そんな訳なのでよろしくお願いします。
朝の日差しがカーテンの隙間から入って来る。俺の隣のベットを見ると、
「ぅんー。すぅー」
「・・・何で、熟睡しているんだよ」
深い眠りに落ちているかんちゃんがいる。俺は全然眠れなかったっていうのに・・・。
「本当に無防備だよ、全く」
子供のように安心して寝ている。いつまでも見ていたい。そして守ってやりたい、そんな寝顔だ。だが、心苦しいが起きなければならない時間だ。
「・・・かんちゃん。起きろ」
「う~ん」
小さい頃にかんちゃんの家に泊まった時のことを思い出す。彼女は朝に弱く、起きてくるのがいつも遅かった。
「全く、仕方がないな」
かんちゃんに近づき、無理やり布団をはがす。
「ほら、朝だぞ!いい加減起きろ」
「う~ん?もう朝?」
目をこすりながら、上半身をゆっくりと起こすかんちゃん。ほんと子供っぽいよな。仕草から何まで・・・。
「ほれ、顔を洗ってこい。そうすれば、少しは目が覚めるよ」
「・・・わかった」
ふらふらとした、足取りで洗面所に向かって行った。ああ、転ぶなよな。本当に世話が焼ける奴だな。しかし、こういうのを楽しく感じている自分がいる。実はこんなふうに世話を焼くのが好きだったりする。
「顔、洗った~」
お、戻ってきたか。少しは目が覚めたのだろう。足取りが少し安定していた。しかし、癖っ毛のためか寝癖が凄まじいことになっていた。
「髪がはねてるじゃないか。みっともないから直せよ」
「・・・斑鳩、やって」
首を傾げて上目遣いで言う。可愛い・・・。・・・ハァッ!?いけない、いけない!何を考えているんだ、俺!平常心、平常心・・・。
「なんでだよ。自分でやりなさい」
「・・・昨日の事。・・・何を・・・言ったか、覚える?」
・・・それ言われると、なにも言えない自分がいる。
「・・・ハァ、わかったよ。ほれ、後ろ向け」
「・・・うん」
なんだか嬉しそうに声を弾ませるかんちゃん。そして、髪を梳きはじめた。かんちゃんの髪を触ると軟らかく、そして女の子独特の甘い匂いが鼻をくすぐる。なんだかドキドキしてきた!だがここは落ち着け!
「痛くないか?」
できるだけ、平然とした態度でかんちゃんに聞く。
「・・・ううん。気持ち、いい」
かんちゃんの声まで甘く聴こえてきた。は、早く終わらせないと、俺の(理性の)リミッターが!
「・・・斑鳩・・・早く終わらせようと、してる・・・?」
「そんなことはないって(多分)。・・・これで終了っと。じゃあ、早めに着替えるんだ。ホームルームに間に合わなくなるぞ」
「・・・手伝って、くれないの・・・?」
まだ寝ぼけていたんですか。
「無理に決まっているだろ、普通に考えて。自分で着替えろ!」
どこまで子供なんだよ。子供っぽいのは寝顔だけにしとけ。
「・・・・・・わかった。・・・斑鳩のイケず」
「はいはい、イケずで構わないよ」
そっけなく言い放す。甘えるのはイイが限度がある。・・・・・・俺の理性にもな。
「じゃあ、俺は先行かないといけないから」
「・・・分かった」
「大丈夫、すぐに会うことになるさ。だから、そんな顔すんな」
「・・・うん!」
さて、かんちゃんの機嫌も直ったことだし、職員室に行かないと。また、あの鬼の鉄拳を喰らいたく無いからな。
「ほほーう。その鬼とは誰の事かな?」
「それは勿論、千冬さんしか---ってあれ?」
おかしいな?俺の前に、修羅すら裸足の全速力で逃げだす人(?)がいるように見える。何故、ここに?
「私はこの寮の責任者だからな。それなので、お前の様子を見に来たわけだ」
そ、そうでしたか。それは、存じ上げませんでした。
「さて、さっきの話の続きをしようではないか?・・・鬼とは誰の事かな?」
「わ、わかりきったことを聞きますか、普通ぅ!?」
言い終わる前に、千冬さんの鉄拳が剛速球の様に、俺の顔、目掛けて放たれた。だがしかし、喰らう訳にはいかない!瞬時にバックステップをし、千冬さんから離れる。
「・・・うむ、なかなかいい反応だな。これもあの人が鍛えたからか?」
「そうですね。死ぬほどしごかれましたからね」
このくらいならまだかわせるが、相手は世界一の女性。本気になったらかわせるかわからない。そうだとしたら、選択肢は一つ!
「織斑先生、早く職員室に行きませんか?!そのために、来たんですから!!」
「あからさまに、話を変えたな」
「悪いですか?」
「・・・まあいい。ではいくぞ」
「・・・ハ、ハイ。じ、じゃあ、かんちゃん。後で」
「・・・うん」
かんちゃんとわかれ、織斑先生の後をついていく。新しい生活が始まるのか。俺の心は少し高鳴っていた。
「おい、黒翼。少し質問したいのだが・・・」
「な、なんですか・・・。急に」
「・・・避妊具は使ったか?」
「余計な質問ですね!!」
斑鳩とわかれ、教室に着き、私は打鉄弐式のプログラムの調整をしていた。もうすぐ学年別トーナメントが始まる。このトーナメントは全員が参加しなければならない。だから、私は少し焦っていた。代表候補生だが、専用機も無いためか、クラスの視線が冷たい。挽回するにはこのトーナメントで勝つしかない。それに・・・い、斑鳩がいるし。いいところを見せたい。
「・・・頑張らないと」
自分に励ましの言葉を送る。一人で打鉄弐式を作り上げ、斑鳩の相応しいお嫁さんになる!
「はーい!みんな、席に座って」
先生の呼びかけでクラス全員が席に着く。
「ホームルームを始める前にみんなにお知らせがある。昨日、うちのクラスに転校生が来るって言ったわよね?一日遅れたけど紹介するわね。---じゃあ入ってきて」
「失礼します」
教室のドアが開き、斑鳩が入ってくる。
「自己紹介してくれる?」
「はい。本日からここで皆さんと一緒にISを学ぶ、黒翼斑鳩です。宜しくお願いします」
斑鳩が自己紹介を終えると、クラスに沈黙が流れる。
「どうした・・・?男が来たからびっくりしたの?」
「自分なにか変なこと言いましたか?」
先生と斑鳩が不安そうに言うが、次の瞬間---
「「「キャア~~~!!!!」」」
教室に絶叫が響く。
「ついにうちのクラスにも男が!」
「それにカッコイイ系の!」
「ミステリアスでイイ!私の好み!!」
次々と女子の歓喜が出てくる。しかし、私の心はチクリと痛んだ。斑鳩は私の婚約者なのに、そんな考えで頭がいっぱいになっていた。後で怒っておこう。
「それじゃあ、席は更識さんの後ろの席ね」
「はい、わかりました」
斑鳩がこちらに近づき、目を合わせる。
「・・・よろしく」
「・・・うん。よろしく」
少しよそよそしい挨拶をかわす。これは斑鳩の希望で、みんなの前ではあまり目立つ事は控えている。斑鳩はあまり目立つのは好まない。というか、嫌いでなのだ。私はみんなに斑鳩は私の婚約者と言いたかったのだが、私の前だけは---というのにも憧れていたので苦ではなかった。これから斑鳩と一緒だと思うと、胸がいっぱいになる。あんなことをしたいし、こんなことも斑鳩とやってみたい。そんなピンク色の妄想を一日中考えていた。
「え、エヘヘッ。じゅる」
あ、いけない。涎が止まらない。