「これでおしまいっと!」
そう言いながら彼女は近くにあった真っ白なソファに倒れこむ。
「あ、そうだ!彼には1つボーナスを与えないとね!」
彼女は何もない空間に手をかざして名簿を取出して何かを書き込んでいく。
「さてと。数多くの転生者の中でも珍しい特典を選んだものだね彼は。それが吉と出るか凶と出るか…」
彼女は名簿を見ながら年相応に似合わないくらい不気味な笑みを浮かべていた。
「まぁ、物語を作るのは私ではなく彼だから今後どうなるか楽しみにしておくか!」
勢いよくソファから飛び起きて上を見上げながら背筋を伸ばす彼女。それは見た目と同じくかわいらしいものだ。
コツ、コツ、コツ―――
近づく足音がしたので彼女は誰が来たのかと思っていると―――
「こんの、バッカモン!」
いきなり拳骨で思いっきり殴られた。神だとはいえ痛いものは痛い。あまりの痛みにうずくまって悶えていると、彼女と同じローブを着た立派な白髭の白髪の老人がしゃがみ込んで話しかけた。
「報告もせずに何をしとるか!」
「な、何をするダァ―――!?」
「バカモン!お前のミスでわしの仕事を余計に増やす羽目になったんじゃぞ!それになんじゃ!酔った勢いでリスト削除する神なぞ聞いたことがないぞ!」
「も、申し訳ないです…上位神様」
思わず泣きそうな顔をする彼女に老人―――上位神は思わずため息をついた。
「まぁ、とりあえず今後このようなことを起こすでないぞ!今回は日頃から良く働いているからそれに免じて許すがの。2度目は無いぞ?」
「は、はい!」
「彼も無事送り出したんじゃろう?特典には興味はないがの。」
「はい…」
「まったく、しかも死に方もひどいもんじゃ…自爆テロで巻き込まれて死ぬとはの…かわいそうじゃの…」
「もうやめてくださいよ!私の精神的なLPはもう0ですよ!?」
「では、わしは先に集会に戻る。お前も早く来るんじゃぞ。くれぐれも、余計なことはするんじゃないぞ!」
そう言うと上位神は光の粒子になって消えた。
「はぁ…」
彼女は変な声を上げながら首をコキコキと鳴らし、背伸びをする。そして先程送り出した転生者のいた場所を見つめる。
「君の選んだ道は前世と同じく厳しいものかもしれない。それに”彼”も出てくるだろうしね。それでも私は―――」
「君の人生に幸あれと願っているよ」
そういって彼女は振り向くとその空間から跡形もなく消えた。
かくして魔法少女と世界樹の子との物語は始まる。
そして神様が追加した特典の事を彼は知る由もない。
駄目神の独り言でした。
なかなか3000文字まで行かないですね…
精進します…
次は少しネタバレになりますが設定を出すつもりです。