もしも白蘭島事件が起きなかったら   作:ロンメルマムート

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ドルフロもう一つの人気部隊登場


第9話

「ロジャース、こちらデルタオスカーデルタ、ポイントアルファタンゴ5到着。

 これより捜索する」

 

『ロジャース了解、ヤンキー4はフォールディングエリア4ケベックで待機。』

 

 国連安全保障理事会で白熱した議論の末国連安全保障理事会決議が採決されていた頃、異世界の小雪が舞うつい1週間ほど前にAR小隊がAR小隊によって回収された建物に5人の人影がヘリからロープで降り立ちリーダー格らしきサイドテールの小柄な少女が無線で伝える。

 上空にいたヘリは全員が降下したのを確認すると上昇し暗く低く垂れこめた雲の中へと消えて行った。

 彼女らの正体は二人はAR小隊(G&K)のAR-15、残りはCIAだ。

 

「空軍だけじゃなくCIAもお出ましとはね」

 

「今回の仕事は何?45」

 

「メキシコよりは楽な仕事よ。

 この廃墟のどっかにあるっていうファイルを探すだけよ」

 

 CIA部隊、通称404部隊というコードが付けられたこのCIA部隊のリーダーは戦術人形のUMP45、CIAがIoPに特注して製造された「一般人形に偽装された特殊工作用人形」の中の一体だった。

 彼女らの任務はAR小隊(グリフィン)からの情報で得たリコリスという鉄血の関係者が残したという情報だった。

 既に捕獲した鉄血製人形などからある程度の技術的資料や技術レベルは確認されているが今だ不明な点も多い為この情報が米国は欲しかったのだ。

 

「45~早く行こうよ~寒い~」

 

「そんなに寒いかな?このぐらいならまだ寒中水泳ぐらいはできるよ」

 

「9、そんなのできるのはあんたとフィンランド人とロシア人だけよ」

 

 背後から気だるげな声と元気な声、そして冷静な声が聞こえる。

 眠そうな声で言うのがG11、元気なのがUMP9、冷静な落ち着いた調子なのが416だった。

 

「分かってるわよ。案内、してくれるわよね?」

 

「代金はビール1ダースよ」

 

「そのぐらいお安い御用よ、バドワイザーでもギネスでもコロナでも何でも好きなのた飲んでいいわよ」

 

 UMP45とAR‐15は仲良くビールの話をする。

 勿論周囲の警戒を怠っていないが周囲数キロに敵が存在しない事は確認済みで楽しい遠足気分だった。

 

 

 

 

 

 監視している4人組がいなければ。

 

 

 

「45姉、どう?」

 

「AR-15がいたわ」

 

 UMP45達404小隊と全く同じ顔と声をした一団が廃墟から少し離れた場所で放置された破壊された鉄血のマンティコアの陰にいた。

 そのリーダーのUMP45は表情にこそ出してないが信じられない物を見て混乱していた。

 行方不明のAR-15を発見したのはいいが見知らぬ勢力と行動を共にしている、情報を整理すればこの一行で済むが他のAR小隊は?あの自分達と全く同じ人形は?そもそも一体何者だ?など疑問は尽きない。

 

「謎だらけね」

 

「何か言った?」

 

「何も言ってないわ」

 

 小さな声で呟いてしまう。

 それ以上に謎だったのがこの場所だった。

 この場所は鉄血の勢力にかなり深く侵入した場所で一番近い味方まで30キロは離れた場所だがこの数キロ手前から鉄血の人形を見ないのだ。

 正確に言えば生きた鉄血を殆ど見ない、あるのは完全に破壊されたか放置された人形のみで極少数の人形と時たま出くわす程度だった。

 

「一体誰が何をやったのかしら」

 

「え?グリフィンじゃないの?」

 

 416がUMP45を代弁する。

 G11は416の言ったことがよく分からないようだった。

 

「数キロ離れたところにあった破壊されたマンティコア、見たわよね?」

 

「うん、それがどうしたの?」

 

「あのマンティコア、右半分にミサイルを食らって吹き飛ばされた後反対側から機関砲の連射を食らってたのよ。

 それもミサイルは右側の足を全部根元から吹き飛ばして機関砲は装甲を一撃で食い破ってた。

 穴の大きさは銃弾じゃないわ、食らったのは最低でも30ミリクラス機関砲ね」

 

「同感ね、恐らく攻撃したのは戦闘ヘリよ。

 他にも爆弾が直撃して破壊されたのもいたわよ。

 その正体を探るのが今回の私達の仕事よ」

 

 数キロ離れた平地で破壊されたマンティコアの一団の話をする。

 数キロ離れたところでマンティコアとアイギスの一団が撃破されていたがその全てがミサイルと大口径の機関砲を食らって無残に破壊されていた。

 基本的に歩兵戦力とそれを支援する火器程度しかないグリフィンでは絶対にありえない破壊のされ方だった。

 

 

 

 

 

 

「で、見つけたの?」

 

「ええ。情報が入ってるだろう端末はこれだけだったもの。」

 

 数分後、UMP45はAR小隊を見つけた部屋で胡坐を組んで瓦礫の中から見つけた端末を持って来たノートパソコンに接続していた。

 慣れた手つきで端末を開き情報を確認する。

 

「ふーん、あら、ロックかかってるわ」

 

「開けられる?」

 

「うーん、セキュリティ次第ね。

 最新のならキツイけどどうだろ?」

 

 AR‐15の心配を他所にカーソルを動かしパソコンのファイルを起動させる。

 

「ま、こいつに開けられないセキュリティはないのだけれどね」

 

「何それ?」

 

「ふふん、NSA謹製ハッキングソフト。

 シパーネットだって乗っ取れるわよ」

 

「うわぁ、物騒ね」

 

「しょうがないわよ、NSAだもの」

 

 ファイルは端末のロックを弄り始め画面にはロード中と書かれていた。

 

「どのぐらいかかりそう?」

 

「んー、どのぐらいって言われ…」

 

 話しているとロード中という文字に変わってロック解除と映し出される。

 端末のロックが解除され中の情報を閲覧できる状態となった。

 

「早いわね、20分ぐらいかかると思ってたけど。

 では、中身を見させてもらいますよ~」

 

 UMP45は中身の確認を始める。

 一方でUMP9達は暇を持て余していた。

 

「暇だね」

 

「寝ないでよね」

 

 今にも寝そうなG11に416が注意する。

 彼女はこの世界でも寝坊助のようだ。

 

「ねえ、なんか新しい話題ある?

 こっちはいろいろ情報得にくいのよ」

 

「んーオリンピック?」

 

 AR-15が話題を振った。

 それにUMP9が思い付いたのは冬季オリンピックの話だった。

 

「サンクトペテルブルクオリンピックって今月からだっけ?」

 

「うん、来週の日曜からだよ」

 

 今年の冬季五輪はロシアのサンクトペテルブルクで2週間後に控えていた。

 

「盛り上がってるの?」

 

「盛り上がってるよ!話題はやっぱりフィギュアスケートのマコーリフ兄弟、史上初の兄弟そろってのフィギュアスケートメダリストも夢じゃない!

 スピードスケートだとチリのホセ・アントニオ・ルイスがこの間800mで世界記録出して一躍メダル候補に。

 そしてホッケーはやっぱり三連覇を狙うロシア代表とそれを阻止せんとするカナダ代表が大本命、ダークホースのドイツとベラルーシも有力だね」

 

「ホッケーアメリカ代表は?」

 

「あ、うん、聞かないで。オリンピックは弱いから。

 それ以外だとスキージャンプ団体で今年こそはと金メダルを狙う日本に相対するは絶対王者ノルウェー代表。

 カントリースキーはフィンランドのミカ・ライコネンの4連覇、トライアスロンは金メダルを狙う無冠の帝王コーニェフと今季限りで引退を明言してるスウェーデン代表ノーベルの対決かな」

 

 雪を解かすほど熱く彼女は冬季オリンピックの見どころを語る。

 その様子に416は飽きれる。

 

「相変わらず9はウィンタースポーツ好きね」

 

「まーね」

 

 UMP9、彼女は並々ならぬウィンタースポーツ好きだった。

 元々北欧・東欧の専門だけにかなり熱くなっていた。

 

「あんた達、バカな話はやめてこれ見て」

 

 話が盛り上がっているとデータを確認していたUMP45が呼んだ。

 

「何か見つかったの?」

 

「ええ。古いけど技術データってところね。

 なかなか面白いわよ、これ見て、416」

 

 UMP45が画面を見せる。

 その画面を見て416が呟く。

 

「中々面白いわね」

 

「あの管制AIの中枢の青写真よ、しかも完成版の」

 

 画面を見ながら二人はニヤリと笑う。

 この情報の重要性を理解しているからだ。

 

「あら?面白い事やってるわね」

 

 突如後ろから声が聞こえる。

 振り返ると同時に特徴的な金属音、銃をコッキングする音が鳴り響いた。

 

「動かないで、動いたら撃つわよ」

 

 UMP45と全く同じ顔、姿をした女がUMP45を構えながら言った。




・UMP45
リーダー。所属はCIA
IoPが通常モデルに偽装可能な特殊作戦用人形としてCIAの発注で開発。
スペックはAR小隊よりも高い(CIAの備品扱いなので軍には納入できない規格のパーツや装備が付けられてる他軍以上にコスト度外視で作ったのでAIの性能も段違い)
電子作戦メインでNSAでハッカー修行も積んだ世界トップクラスのハッカー
純粋な戦闘スペックは416に劣る。
作戦指揮能力はピカ一
アメフトファン
存在自体が秘匿なので普段はサイバーセキュリティコンサルタントアーシュラ・メリンダ・ポッツを名乗ってる。

・UMP9
45の妹。所属も同じ。
東欧・北欧の専門家でロシア語・フィンランド語・ウクライナ語などに堪能。
姉と同じく優秀だが電子作戦能力はない。
並々ならぬウィンタースポーツ好きで趣味はスキー
カンテレ弾ける。
普段はパトリシア・モリー・アップハウスの偽名を名乗ってる。

・416
UMP姉妹共々同じオーダーで発注された人形。
完璧主義者で何をやらせてもそつなくこなせる優等生タイプ。
個人の戦闘スペックだと一番強い。
M16はハッキング技術の師匠。
どうも南部気質が合うらしく普段はニューオリンズに住んでる。
ジャズが好き。ダラスカウボーイズファン
酒は駄目だと自覚してるので飲まない。
普段の偽名はヘレナ・カーク

・G11
寝坊助。小隊一の問題児。
天才肌で射撃は天才的だが他が壊滅的にダメ。
余りの自堕落ぷりにCIAさえ匙を投げてる。
普段の偽名はケイト・ハットフィールド

・UMP40(一応いる)
CIA発注のモデルの試作品。どの程度の能力が適当か見定めるために作られた。
色々無茶な設計のせいで戦闘には出せないので本部のセキュリティ担当

・G28
同じくCIA発注。
銃の特性から作戦の時と場合によってバランスよく組めるので一応所属だがあんまり出番ない。
こっちは北部気質が合うらしく普段はシアトル居住。
デカい


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