もしも白蘭島事件が起きなかったら   作:ロンメルマムート

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カリーナも出ます。


第10話

「動かないで、動いたら撃つわよ」

 

「今なら許すわよ、銃を下ろしなさい」

 

「立場が逆なら従うのかしら?」

 

 UMP45が銃を向けるもう一人の自分を止めようとするがドアの奥からさらにもう一人の416やUMP9、G11が出てくるとこれ以上は何を言っても意味が無いと理解した。

 

「従わないけれど連邦職員の殺害は重罪よ?」

 

「連邦職員?面白い事言うね、45姉」

 

「あら、信じられないのかしら?

 私達はCIA職員よ、あのピンクの貧乳は違うけど」

 

「協力者みたいなものよ。」

 

 問答が続くが話は平行線だった。

 

「それで?名乗らないで銃を向けるとは無礼じゃない?」

 

「戦場に礼儀が必要かしら?」

 

「礼儀を知らないような奴と話し合うなってママに言われなかった?」

 

「ママから教わったのは変な奴はぶち殺せってことだけよ」

 

「現代にフン族がいるとは驚きね。

 アッティラなら1000年以上前に死んだわよ」

 

 二人のUMP45が互いに煽り合う。

 売り文句に買い文句、口の悪い者同士の低レベルの口論だった。

 

「フン族なら殺して略奪するだけよ。

 死にたくなければAR‐15と情報を渡しなさい」

 

「OK、その前に…」

 

「?」

 

 UMP45が端末に手をかけ構える。

 

「CIA、舐めないでもらえるかしら?」

 

 次の瞬間投げられたパソコンが空中で爆発、一帯が煙に覆われる。

 彼女の持っていたパソコンは偽装された煙幕手榴弾だった。

 

「く!煙幕手榴弾!やられた!」

 

「うわ!何!」

 

「何処!?」

 

「45姉!」

 

 怯み、しかも至近距離で食らったUMP45達は突然の事に戸惑う。

 そして突如足を取られ体勢を崩すと手を殴られ銃を落とし、持ち上げられると地面に放り投げられ両手を後ろに纏められ地面に押し付けられる。

 

「く」

 

「どう?本場日本仕込みの柔道の味は?」

 

「酷い味ね」

 

「さてと、お人形さんたち、戦争ごっこは終わりよ?

 あんたらのボスの首は取った、さっさと武器を捨てて降参しなさい?

 今なら特別に見逃してあげるわ」

 

 煙幕が晴れ始めるならUMP45が大声で叫ぶ。

 煙が晴れると他の隊員たちは押さえつけられた彼女の姿を見て驚いていた。

 

「え、45姉」

 

「どういう事?」

 

「さてと、これで形勢逆転。

 あんた達はどこの誰?」

 

「グリフィン&クルーガー社に雇われた人形よ」

 

「例の会社ね。

 正直に答えてくれたお礼にこっちも名乗るわね、私はUMP45、CIA所属の戦術人形。

 ま、CIAと言ってもこの世界のじゃないけどね」

 

 UMP45(CIA)がUMP45(グリフィン)を押さえつけながら名乗る。

 

「どういう意味よ…」

 

「深く追求しないのがルールじゃない?」

 

「ふ、いいわ。で、どうするの?」

 

 UMP45(グリフィン)が聞く。

 するとUMP45(CIA)は顎に手を当てて考える。

 

「そうね、この場でフン族のように八つ裂きにするのも悪くないわね。」

 

「もっといい方法があるわよ、生きたまま一つずつバラしていくってのは?」

 

 416(CIA)が416(グリフィン)から拳銃と銃を奪いながら言う。

 

「いいね、それ。色々興味あるんだ~」

 

「ひ!」

 

 UMP9(CIA)も乗っかりG11(グリフィン)もつい声を出してしまう。

 だがUMP45(CIA)は表情を緩めると聞いた。

 

「ってのは冗談で、あんた達本社との連絡手段持ってる?」

 

「ええ、持ってるわよ。」

 

「ならしばらくついて来てもらうわよ。

 メッセンジャーになって貰うから」

 

 UMP45(CIA)が言うと立ち上がる。

 

「ほら、立ちなさい。両手は頭の後ろに。

 9、司令部と連絡よろしく」

 

「了解!」

 

 UMP45達(グリフィン)を立たせると背中にS&WM5004インチモデルをつきつける。

 

「大人しくしなさいよ。

 このリボルバーなら人形でもどこかに当たれば戦闘不能よ」

 

「随分物騒な拳銃を持ってるわね。」

 

「一撃で相手を吹き飛ばせる威力と確実性を求めたらこうなったのよ。

 人形だから反動を考えなくていいもの」

 

 彼女達は人形だ、だからこそ人間の限界に迫ったスペックと称されるM500さえも軽々使えていた。

 サイドアームにこの世界最強の拳銃を使うのはその威力がすさまじくどんな人間どころか人形でさえ一発食らえば吹き飛ぶほどだ。

 その上確実性のあるリボルバー方式という事もあり彼女はこれを愛用していた。

 一方の416はM1911のカスタム、UMP9がグロッグ21、G11がP226の中でかなり異質だった。

 

「ふーん」

 

「ねえ、45、データ大丈夫なの?」

 

 すると一人蚊帳の外だったAR-15が聞いた。

 

「大丈夫よ」

 

 彼女はポッケからマイクロSDカードを取り出して見せる。

 

「情報だけ抜きってこっちに入れたから。

 このぐらい出来なきゃね」

 

 彼女は自慢げに笑った。

 数分後上空からヘリの音がし始めた。

 

 

 

 

 

「え?本当?AR-15」

 

『本当よ本当。マジの話よ。

 で、どうする?指揮官DCに出張中だけど』

 

 AR-15からの突然の連絡に基地でスナック菓子を貪り食っていたM4が驚く。

 責任者たる指揮官不在の中で面倒な事が起きたのだ。

 どうしようかと頭を抱える。

 

「とりあえずSVDさんに聞きます?」

 

『責任者って誰だっけ?』

 

「…カリーナさん」

 

『あのドケチ…』

 

 一応基地の中で最も権限の高い社員のカリーナ、ルーマニア生まれで孤児としてアメリカに渡り投資家の両親に育てられ頭はキレるが何を間違えたかお金大好きという人格になってしまった女性の社員を思い出す。

 総務部からの派遣で給与や基地の保守点検などの雑務の書類管理を行うが守銭奴でインサイダー取引スレスレの事を裏でやっているという噂もある人物が現状の責任者だと思われた。

 

「とりあえず両方に相談します」

 

『お願いするわ。空軍の方も大変そうだから。

 『いや、今から追い返そうにもここから落としたら確実に死ぬわよ』

 ってな感じよ、クベック中佐ともめてるみたい』

 

 AR-15は隣で基地の責任者と言い争うUMP45の声を聞かせると電話を切った。

 彼女は携帯をポッケに入れるとカリーナを探しに廊下に出た。

 暫くカリーナを探し廊下を歩いているところを見つけた。

 

「カリーナさん!」

 

「あら?M4さん、どうかしましたか?」

 

「実は…」

 

 振り返った特徴的な赤みがかった明るい茶髪のカリーナにM4が事情を説明する。

 

「というわけで」

 

「…CIAに押し付ければ?人形全部が私達の責任じゃないですよね」

 

「そうですね」

 

 一言、カリーナが正論をぶつけた。

 UMP45は事実上面倒事を押し付けられた。

 

 

 

 

 

「はあ?面倒事増やすんじゃねえよ。

 たく、大佐も折れもこっち来てるんだ、その上さっき国連軍派遣が正式決定だ。

 これからクソ忙しくなるってのによ、聞いたかよヘリアンも国連に協力してオブザーバーでこっち来るらしい。

 俺は多分向こう側の責任者だろうな、給料は増やしてくれるらしいがありがたみがねえよ」

 

 指揮官がホテルで靴を脱ぎながら電話口で愚痴る。

 国連が国連軍派遣を正式決定した米国東部時間0時過ぎ、丸一日公聴会で疲れ切った指揮官は電話をかけてきたカリーナに愚痴っていた。

 

『指揮官様、それ嫌味ですか?』

 

「そうかもな!この間先物取引で1万ドルを2時間で稼いだお前に言われたくねえ」

 

「あんた、何電話口で騒いでるの?

 早く寝ましょう、もうくたくたよ」

 

「指揮官は人形じゃないんですから寝ましょう。

 仕事は明日で構わないじゃないですか」

 

 カリーナに鬱憤をぶつけていると隣のベッドにナイトガウン姿で寝転がっていたワルサーとM14が言う。

 なぜか部屋代をケチられた3人はキングサイズのベッド二つの部屋に放り込まれていた。

 なので指揮官のベッドとワルサーとM14の共用ベッドに分けて寝ていた。

 

「ああそうだな。さっさと寝よう。

 これから死ぬからな」

 

 嫌になったのか電話を無理やり切り電源を落として充電コードに繋ぐとベッドにダイブし部屋のライトを切った。




・カリーナ
ルーマニア出身で元孤児。
投資家のアメリカ人に引き取られアメリカで育つ。
拝金主義者で汚い金の噂が一杯あるが本人は気がついてないか無視してる。

・SVD
M14に並ぶベテラン。元ロシア空挺軍スペツナズ所属。


事実上一章終わり。
次から二章的なパート
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