「元第45独立親衛特殊任務連隊の隊員とはねえ、頼りがいがある。
何分空軍士官だから荒事は苦手で」
「私に任せておけ」
「こいつは強いぞ?部下に名誉勲章持ちの元フォースリーコンがいるがそいつと互角に戦えるんだぞ。」
「おお、そりゃすごい」
輸送機の機内、アッパーデッキの人員輸送用スペースで指揮官とコーシャはリラックスして話していた。
コーシャとSVDはロシア出身という事でロシアの話で盛り上がっていた。
すると指揮官がコーシャに聞いた。
「ところで今朝は朝っぱらからひっきりなしに戦闘機が離陸してたがアレはなんだ?」
「多分SEADだ。」
「SEAD?あの日本のアニメか?」
「それじゃない、敵防空網制圧の略だ。
アメリカ風に言えばワイルド・ウィーゼル」
「ああ、ワイルド・ウィーゼルね」
「この輸送機が飛ぶ航路に害を成す防空陣地とレーダー設備を攻撃してた。
損害ゼロで防空陣地を120個破壊したそうだ」
コーシャが今朝の戦闘機と攻撃機の任務を説明する。
今朝の出撃は全て敵防空網制圧任務、所謂ワイルド・ウィーゼル任務で防空網を破壊し絶対的制空権を確保する任務だった。
防衛戦では制空権の有無は絶対条件ではないが攻勢では制空権は絶対要素である、ましてやチャフやフレアなどの防御装置こそあれど自衛火器を持たないこの輸送機を安全に目的地に飛ばすという理由もあった。
その後ろの座席に座っているのは404小隊だった。
「もっと寝たかった…」
「ゲーム楽しかったのに…もっといたかった…」
「堕落してるわよ」
国連軍とアメリカに甘やかされすっかり堕落していた。
グリフィンとの接触や基地などの詳細情報は全て彼女らとAR小隊の協力により把握され今回の輸送作戦―秘密裏にニルバーナのコードが付与された-に使用される航空用地図やルート選定も彼女らの協力あってのものだった。
唯一UMP45はパイロットの航法支援のためコックピットにいた。
「こちらロメオパパアルファ63シエラ、イーグル」
『こちらイーグル、1万まで降下し機首時方位235に右旋回、管制空域を離れる。』
「ロメオパパアルファ63シエラ、了解。」
「降下1万、方位235っと。お嬢さん、これであってるかい?」
副操縦士が無線交信する横で機長は自動操縦のノブを回して降下と旋回を設定すると後ろの補助席に座るUMP45に聞いた。
「ええ。本部の飛行場の管制に向かえるわよ」
「事前の偵察で飛行場があるのは分かってますから大丈夫ですよ」
心配する機長に副操縦士が安心させる。
事前に無人機による偵察で飛行ルートの安全は確認されてた。
「そうだな、今はここだな?」
「だいたいその辺りです。予定だとこのまま直線に進んで滑走路24にアプローチですよね?」
二人は墜落して放置されたグリフィンのヘリの中から回収された航空用地図を見ながら話し合う。
二人共初めてのルートであるため警戒していた。
「予定通りに行けばな。
無線周波数は113.145だな。」
「そのはずですよ」
「ちょっと早いがコンタクトしてくれ」
「了解、周波数113.145にセット、あーこちらロメオパパアルファ63シエラ。
現在機首時方位235、高度は120から100まで降下中。
速度450ノット」
副操縦士が無線のダイヤルを回し呼びかける。
するとロシア訛りの英語で返事が返ってきた。
『こちらアプローチ、ロメオパパアルファ63シエラ、予定の便にはないぞ』
「特別フライトだ。
事前連絡が無くて済まない」
『そう言う事かい。
じゃあ右旋回240、5000まで降下しローカライザーとグライドスロープを受信してくれ』
管制官は輸送機に旋回と降下を指示しローカライザーとグライドスロープ、100年近く前に開発され改良を繰り返されてはいるが未だ現役の計器着陸装置の電波の受信を指示した。
「ロメオパパアルファ63シエラ、右旋回240、5000まで降下了解した」
「離陸して30分で着陸か」
「直線で200キロですからね。
それじゃあ、着陸チェックリスト始めましょうか」
パイロットは着陸の為チェックリストの確認を始める。
二人のパイロットの目の前のモニターに出てくる文字を一つずつ着実にこなしていく。
機体が降下し始めた事は後ろの客も気がついた。
「降下し始めた、もう着陸かぁ」
「シートベルトしたままでよかった」
窓の外が雲海から段々雲の中に入り雨が窓に打ち付けられ雲を抜けると真っ白い雪原が広がる。
さらに段々と高度が落ち始め街や道路が増え始め、更に低くなり家々の屋根がすぐそこまで迫った次の瞬間、ドスンという強い衝撃が体を襲う。
「フルリバース!エアブレーキ!」
「リバース最大!エアブレーキ、コンファーム!」
コックピットではパイロットの間のスロットルのレバーに付いた中くらいのレバーを機長が上げスロットルを前に押し足元のブレーキペダルを踏みこみスロットル傍のスイッチを動かす。
足元の主脚はブレーキが作動し金切り声を立て4基のターボファンエンジンは推力を前に出す、主翼からは小さな壁が立ち上がり空気の流れを阻害する。
機体はゆっくりと速度が落ち、1分もせぬ間に停止した。
「アレが国連軍か」
「ええ。見た事のない輸送機ですね」
飛行場の建物の中で一連の様子を見ていた者達がいた、グリフィンの社長のクルーガーとへリアンだ。
二人は着陸した見慣れない輸送機を見る。
エンジンはターボファン4基、一面グレーで高翼T字尾翼というオードソックスに見えるが主翼の先のウィングレットは珍しいシミタールウィングレット、主翼形状も古いボーイング787のような丸みを帯びた形で何より機体にはロービジ塗装の星が描かれ、尾翼にはテールコードと部隊マークが描かれていた。
機体はエプロンに入ると建物の前に停止した。
「行こう」
「はい」
二人は建物から出ると機体側面の出入り口の前に向かう。
出入り口のドアが開くと中からエアステアが出され、機内からグレーの毛皮のファーがついた仕立てのいいコートを着ウシャンカを被った将校が現れた。
「ミスタークルーガーですね、ロシア空軍少佐コンスタンティン・ハリトノーヴィチ・アーチポフです」
「ベレゾヴィッチ・クルーガーだ、よろしくアーチポフ少佐」
降りてきた将校とクルーガーは握手する。
その間に指揮官、SVD、ワルサー、G36姉妹も荷物を持って機体から降りる。
「君たちは?」
「護衛だよ。こいつは俺の秘書、あの二人は少佐のお付きの人だ」
ヘリアンが指揮官に聞き答える。
雑な説明だが間違ってはいない。
「そうか」
「俺はG&Kセキュリティミューロックレイク特別支局福祉局長のジェームズ・イシザキだ。」
「上級執行官のへリアントスだ。歓迎しよう」
へリアンと指揮官は自己紹介すると握手した。
すると横から声をかけられる。
「ではついて来たまえ」
クルーガーが言う。
指揮官たちは彼について本部の中に入る。
本部の中はある意味50年前と大して変わっていない国連軍の設備や彼らの国とは違いSF映画の近未来感のある雰囲気だった。
「ほぉ、随分近未来的だな」
「SFっぽいな」
「ご主人様、期待しても奥からダース・ベイダーとストームトルーパーは出てきませんよ」
「分かってるさ。ところでスターウォーズとスタートレックどっちが好き?」
「俺はウォーズかな、トレックは堅苦しいし古臭い。
親父はトレッキーだけど」
「俺は筋金入りのウォーザーだからな。
英語はスターウォーズで習った。」
「あんた生まれた頃にゃとっくの昔にシリーズ終わってたのにか?」
「いい映画に時代が関係あるか?
レオンも風と共に去りぬもダークナイトも、勿論タクシードライバーも今見ても色褪せることはないいい映画さ」
「このロシア人は映画が好きなのかい?」
「コーシャさんは大の映画好きですから」
「成程ねぇ、オタクに付き合わされるのは大変だねえ」
コーシャと指揮官が傑作SFシリーズ映画の話から傑作映画の話を始め指揮官が斜め後ろを歩くG36Cと話す。
すると前を歩くへリアンが振り返った。
「静かに歩けないのか」
「すいませんね。ちょっと話が盛り上がって」
指揮官が謝る。
そして一行はある会議室の前に案内された。
「ここだ、入ってくれ」
クルーガーが案内して入るよう促す。
それにコーシャと指揮官が入り続いてワルサーとG36が入ろうとするとクルーガーが止めた。
「駄目だ、ここから先は人形の立ち入りは厳禁だ。」
「はあ?」
「それは困ります。ご主人様の資料等は私が持参しています」
ワルサーは素っ頓狂な声を出しG36が抗議する。
二人も騒ぎに気がつきクルーガーに意見する。
「クルーガー社長、彼女らはスタッフです。
護衛は外に置くとしても資料や情報を持っている彼女らを会議の場から追い出すわけにはいきません。
もしも追い出すならばこの場で交渉を打ち切ってもよろしいですね?」
「ああ。あんたはこの建物の管理者だろうが彼女らの管理責任は俺にあるし指示を出すのも俺だ。
彼女を入れてもらわないと困る」
「はぁ、分かった。二人だけだ」
クルーガーは二人の抗議に折れワルサーとG36を中に入れた。
その代わりにSVDとG36Cは会議室の前に置かれた椅子に座り待つことになった。
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一応出した輸送機はC‐17の後継機って設定のオリジナル機(名前は決めてない)
出てくる兵器は大体今開発中の兵器かその後継