もしも白蘭島事件が起きなかったら   作:ロンメルマムート

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突然のほのぼの


第33話

 国連軍の基地には色々と設備がある。

 その中の一つが大食堂だ。

 軍隊というのは伝統的に食事に五月蠅い、何せ軍隊が反乱を起こす理由の最多の理由は飯だ。有名なポチョムキンも飯がクソ不味かったから水兵が反乱を起こした。

 基本的に大食堂は二つ、ここともう一つハラール食堂が用意されそちらは主にイスラム教徒が利用しこちらはそれ以外の人が主に使っていた。

 

「なあタバスコくれ」

 

「あいよ」

 

 ピザを食べているスペインから派遣された兵士に向かいの席で本を読んでいた米兵が持っていたタバスコを渡す、多国籍軍らしくこんな光景が日常だった。

 さらに言うとこの食堂を利用するのは何も軍だけではなかった。

 

「へぇードイツ出身なんですか」

 

「そうさ、ハンブルグ出身で親がIOPの工場で働いてた。

 その縁で人形の整備士になったんだ」

 

「ねえねえ!ドイツってどんなお菓子があるの!?」

 

 ある席ではドイツ連邦軍の人形整備士がグリフィンの人形のM14とFACと一緒に色々話していた。

 上層部ではグリフィンが潜在的脅威と認識され始めてる一方で現場はかなり融和的で国連軍司令部のソフィアの基地の人形は基地の施設を使うより国連軍の施設を借りる方が何もかもがいいので大挙して使っていた。

 国連軍の現場も「四六時中7割男だから少しでも女が欲しい」で女に飢えていた、お上の与り知らぬところで利害が一致したのだ。

 そして利用していたのは軍、グリフィンだけでなく国連軍契約企業の姿もあった。

 

『先程入ってきたニュースです、現地時間4月23日午前5時ごろ、紅海とインド洋の間にありますジブチとイエメンの間の海峡、バブ・エル・マンデブ海峡でジブチからアレクサンドリアに向かっていたオランダ海軍の練習艦デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェンがエクソンモービルのタンカージョン・ロックフェラーと衝突したとのことです。

 詳細は不明ですがジョン・ロックフェラーでは火災が発生、デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェンは漂流中との情報があります。』

 

「おいおい、大丈夫かよ」

 

「オランダ海軍大変だな」

 

 前の席で米海軍建設工兵の将校たちの話し声を横目にガーランドは昼食を食べながら一人食堂でニュースを眺めていた。

 ニュースから流れるのは殆ど聞き覚えのない地名の場所で起きた船舶事故のニュース、テレビには事故が起きた場所の地図も映るがどんな場所かなどさっぱり知らない。

 

「隣いいか?」

 

「!」

 

 ぼうっと眺めていたら突然声をかけられて驚く。

 振り返るとどこかアジア人っぽい顔つきのアメリカ人が連れて立っていた。

 

「ど、どうぞ…」

 

「どうも」

 

 この数日の間に自律人形の元々のプログラムが効き始めたのか男性恐怖症も落ち着いてきた彼女だがやはり相応に苦手意識があった。

 だから否が応でも意識せざるを得なかった。

 

(ううん…早くどっかに行ってくれませんかね…)

 

 顔を出来る限り逸らしながらパパっと食べ終わって立ち去ろうとするがそんな彼女の前に缶のコーヒーが置かれた。

 

「いるか?」

 

「え?」

 

 ガーランドは素っ頓狂な声を出す、突然の事に驚きが隠せなかった。

 

「いや、コーヒー。」

 

「どうして私に?」

 

「ここ数日頑張ってるからな、そのちょっとしたご褒美だよ。

 言い忘れてたな、G&Kセキュリティのジェームズ・イシザキ、よろしくな、ガーランド」

 

 ガーランドに指揮官が名乗り右手を出す。

 彼女は遅れてゆっくりと手を出し握手した。

 

「よろしく、お願いします」

 

「ああ、君の事は色々聞いてるよ。

 敢えて聞くつもりはない、誰にだって聞かれたくない過去の事は一つか二つあるさ」

 

「そういうもの、なんでしょうか…」

 

「そんなものさ。他の子がもう他の軍人たちと仲良くなってる中君だけ孤立気味だろ?

 だから助けてくれないか?って言われてな、ついでに君とはちゃんとした挨拶もしてないし。」

 

 そう言って指揮官が笑う。

 釣られ彼女も笑った。

 

「そうでしたね」

 

「俺の話はこのぐらいで君の話を聞きたい、いいだろ?」

 

「え、つまらない話ばかりですけどいいですか?」

 

「構わんさ、あのタンカー事故よりは面白い。」

 

 意気投合したように二人は話し始めた。

 その様子を少し離れたところから見ている人たちがいた。

 

「ふぅ、よかったぁ…」

 

「カービンちゃん、心配してたもんね」

 

「あの指揮官がガーランドと気が合って良かったですわね」

 

「あいつ、気が合えば結構モテるタイプよ。

 話し上手で聞き上手、まあPMCだとあんまりいらないスキルだけど」

 

「そうですよね~軍事知識がある分いいですけど指揮を執れるかといえば私が指揮した方が1万倍マシレベルですし。

 平時の管理職がふさわしいですよね」

 

 見ていたのはM1カービンたちガーランドの仲間と指揮官と付き合いの長いワルサーとM14。

 カービンたちはガーランドが、M14達は指揮官がやらかさないか不安で見に来ていた。

 

「中々厳しい事言いますわね、指揮官なのですわよね?」

 

「指揮官って言っても雇われで軍経験なしって人ですよ?

 本来は管理職として入社したのに気がついたら指揮官やってたらしいですから」

 

 すっかり安心し本人が聞いてないのをいい事に色々と悪口を言っていた。

 ただ彼女らは失念していた、ガーランドはこれまで殆ど人から優しくされたことが無いという事を…

 

 

 

 

「それで連中言ったんですよ、人形様が偉そうにするなって」

 

「そりゃ酷いな」

 

「どこが酷いんですか?」

 

「人形は人間と全く同じ扱いを受けてる、人形だからって差別するのは人種差別に該当する。

 で、M4、それで?」

 

「殴りかかってきたんで取り押さえて警察に引き渡しましたよ。

 捕まえたグアルディア・シビルの人曰くこれで今月に入って200人目だって」

 

「拘置所足りてんのか?」

 

「足りてないからカリフォルニアとかネバダの刑務所に送っているらしいです。

 大変ですねぇ」

 

 数日後、オフィスでは指揮官とM4が世間話をしていた、ガーランドと一緒に。

 まるで昔からの知り合いのようにふるまう二人にM4が聞いた。

 

「ところで、何時から二人共仲良くなったんですか?」

 

「ここ数日だよ。お互い気が合った。」

 

「それに指揮官と一緒にいるとなぜか安心できるんです」

 

「そういう事ですか、フフ」

 

 何かを察したM4が微笑んだ。その意図が分からずガーランドは首をかしげる。

 

「どうかしたんですか?」

 

「何でもありませんよ。

 指揮官、女の子を泣かせないようにしてくださいね?」

 

「そのぐらい分かってるよ。

 ワルサーにも同じこと言われたさ」

 

「分かってるなら…」

 

「まずは自覚してもらうのが先じゃないかな?

 全くモテる男はつらいぜ」

 

「あの、お二人何の話をしてるんですか?」

 

「なに、大したことじゃないよ。

 そうだ、そろそろ昼飯だが一緒に食うか?」

 

 ガーランドに聞かれると適当に話を誤魔化すと話を逸らす。

 時計を見ると正午を指していた。

 

「ご一緒してもいいですか?」

 

「いいぞ、M4は?」

 

「私は遠慮しておきます」

 

 国連軍による平和は長く続きそうだった。




特異点?MOD?10章?ハハ!俺には関係ねえ!

人形と人間の権利は全く同じでしかも法律は連邦法とカリフォルニア州法が適応されるから滅茶苦茶厳しいのでアホみたいな数が犯罪やらかして毎日捕まってます。
お陰で拘置所足りないので空のトラックに積んでカリフォルニアに送ってます。





某ポンコツ指揮官はフリー素材らしいので勝手にコラボしようかな…
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