焔薙様の「それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!」からヤークトフントチームを勝手に借りました、申し訳ございません。(なお活躍しない)
「諸君、我々の同胞を殺害した連中に正義の鉄槌を下す時が来た」
4月29日深夜、イタリア軍基地ではグラツィアーニが兵士達に語っていた。
「同胞を殺した連中に明日、我々は正義の鉄槌を下す。
FBI、DEA、DBIの摘発に協力し基地の外側にピケットラインを作り逃げだそうとすれば我々が捕らえる。
我々は支援役だ、だが正義はなされなければならない、例え世界が滅びようとも。
正義は我らと共にあり、神は我らと共にある、恐れる物は何もない!
相手は卑劣なテロリスト、容赦も恐れる物もない!」
彼女の弁舌に兵士達の士気はうなぎのぼりだった。
そんな中で誰かが呟いた。
「
「「
誰かが120年近く前のイタリアのパルチザンの歌、さらば恋人よの一節を呟くと兵士達は大合唱を始めた。
「「
「
「スタン?何その歌?」
「イタリアの古い軍歌、さらば恋人よ、だ」
「不吉な名前ね」
「恋人と別れてパルチザンとして自由の為に戦いに向かう歌だよ。」
『こちら本部、各部隊状況を報告』
「こちらアレクサンドリア、正面ゲートでアーリントンと共に待機完了、いつでも突入可能」
イサカと話していたスタンが無線のグラツィアーニに返事をする。
二人は防弾チョッキをつけその後ろには完全装備のDBIの特殊部隊員、更に前には同じく完全装備のDEA特殊部隊員とウィリー・プロがいた。
翌4月30日深夜、アンドラーシュの摘発作戦が開始された。
作戦名は「ファントム・メナス」、見えざる脅威の意である。
作戦はFBI、DEA、DBIだけでなくイタリア軍、米軍、グリフィンまで参加する作戦だった。
イタリア軍としては復讐という目的が、米軍としても自国領域内での大規模な組織犯罪は看過できる事態ではなく、グリフィンに至っては配下勢力が暴走し国連軍を攻撃したのでその失点を補いたいという多分に政治的要素が絡んでいた。
作戦は簡単であった、作戦開始としてグリフィン本部がS-07の基地の管理権を全て作戦開始と同時に作戦を指揮するイタリア軍司令部、コールサイン「ローマ」に移しセキュリティの解除と指揮権の剥奪、そして電気系統の遮断を行う、そこにDBI、DEAの合同部隊がサヴォイア竜騎兵連隊の火力支援の下正面ゲートを、裏口からはFBIが突入、更に屋上からフォルゴーレ旅団と派遣されるというグリフィン部隊がヘリボーン強襲を行い上階を制圧、下から来る警察部隊と共同で容疑者を確保する。
また逃がした場合にはその外側にサンマルコ旅団とアルピーニ、ベルサリエリ部隊がピケットラインを作り確実に逮捕する、逮捕後は速やかにヘリに乗せられて本部のある基地を経由せず直接エドワーズに送られるとされた。
だが…
『アーリントン、展開完了』
『フーヴァー1、射撃位置に展開完了、いつでもいけるよ』
『フーヴァー2、準備完了』
『サジッタリオ1、ポイントブラボー3まで4マイル』
『サジッタリオ2、同じくポイントブラボー3まで4マイル』
作戦を指揮するイタリア軍司令部にDEA突入部隊コールサイン「アーリントン」、FBIの突入部隊コールサイン「フーヴァー1」、FBIの狙撃支援部隊「フーヴァー2」、屋上から突入するフォルゴーレ旅団コールサイン「サジッタリオ1」、「サジッタリオ2」の兵士達が報告する。
グラツィアーニは最後にグリフィン部隊の動向を聞いた。
「グリフィンのクソッタレ共は?」
「それが…フライトプランが提出されずトランスポンダも切られてて離陸さえ確認できてないようです」
連絡将校の米空軍将校が答える。
グリフィン部隊コールサイン「ヤークトフント」の動向を確認しようとしたがそもそも現在管制空域に入ってるかどうかさえ把握できていなかった。
その上フライトプランも提出されず管制承認も離陸連絡も受けていないためそもそも来ているかさえ不明だった。
「現在、ミューロックレイクタワーに今問い合わせ…」
すると電話が鳴り空軍将校が電話を取る。
「はい、え?分かった、ウェイポイントエックスレイの北3マイルに低空飛行中の高速物体を一機、ミューロックレイクタワーがレーダーで捕捉、今スクランブルが出てます」
連絡は管制センターから、レーダー上で低空を高速飛行する未確認の飛行物体を発見したという連絡だった。
空軍はすぐにスクランブル発進し要撃していた。
グラツィアーニはすると連絡要員として来ていたコーシャに聞いた。
「アーチポフ少佐は元パイロットだったな?
なら航空規則については?」
「勿論知ってます、アメリカのもです。
現在S地区は連邦航空局の制限空域、民間航空機は事前のフライトプラン提出とミューロックレイク管制空域の指示に従い特定の高度、ルートを特定周波数を使用してトランスポンダを常時起動した上で飛行するのが義務化されています。」
S地区全体の航空行政は連邦航空法が施行され更にそこに
そしてグリフィンの機材は全て軍用登録ではなく民間登録とされていた。
さらにFAAはグリフィンの機材の大半を整備不良として飛行停止命令を下していた。
つまるところこの時点で連邦航空法違反である。
「ならば連邦航空法違反だ。
グリフィンの駄犬の到着前に叩き潰せ、法も守れないバカ共の手助けなど不要だ」
「了解」
「作戦第一段階、開始。」
グラツィアーニが作戦開始の号令を下す。
すぐにコンソールを兵士達が操作する。
「基地のセキュリティ解除、指揮権剥奪、人形区画ドア閉鎖。」
「監視カメラ映像出ます」
作戦室の大画面に基地内の全監視カメラの映像が映る。
廊下、玄関、談話室、機械室、作戦室、ゲート、中庭、倉庫、あらゆる部分が映っていた。
そしてそれなりの数のグリフィン所属ではない人間が映っていた。
「この連中は?」
「恐らく民兵と思われます。敵です」
グラツィアーニにクロッラランツァが答える。
民兵らしき人間は全員AKやAR-15系の武器を持ちそれなりの装備だった。
「分かった。出来る限り位置をマークしろ。
情報は即座に突入部隊に連絡、連絡は密にしろ、同士討ちとなれば洒落にならない。
これ以上の犠牲は世論が許さない」
「了解」
データリンクシステムを使い兵士達は得られた情報を急いで各部隊に送り始める。
「情報送信完了」
「了解、では全部隊突入態勢。
電気系統遮断」
情報の送信が終わると電気系統の遮断を命じる。
次の瞬間、基地の一切の電気系統が落とされた。
「なんだ!?」
突然停電となりアンドラーシュは驚いていた。
すぐに予備システムを動かそうとコンソールを動かすが表示されたのは「あなたにはアクセス権がありません」という文だけだった。
「クソ!何が起きてやがる!」
コンソールを叩くがうんともすんとも言わないし画面が変わる訳でもなかった。
そして突如ヘリの音がし始めた。
急いで部屋を出て廊下の窓から外を見る、そこには二機のヘリが猛スピードで接近して来ていた。
そして次の瞬間、正面ゲートが爆発した。
『目標破壊!』
イタリア軍の装甲車がゲートを破壊する。
そして戦闘が始まった。
建物からは激しい銃撃が浴びせられDEAとDBIの突入部隊は正面ゲートの瓦礫を盾に銃撃戦になった。
「クソ!援護を求む!」
『こちらサジッタリオ2、了解。
掃射する』
釘付けになり動けないスタンは無線で援護を要請すると上空を旋回するヘリが降下すると搭載されたドアガンで一掃する。
射撃が止むと大声で叫んだ。
「今だ!前進!」
瓦礫から突入班は瓦礫を乗り越え建物に殺到、正面玄関を蹴破りエントランスから階段という階段で上に上がりドアを蹴破る。
「DBIだ!誰もいない!次!」
誰もいないと分かると次の部屋へ
「DBIだ!」
そしてまた次の部屋
「DBIだ!」
「ひ!」
「大丈夫だ、助けに来た。
一名保護!」
部屋の中にいた人形を助けるとその次の部屋へ
「DBIだ!」
「クソ!」
部屋の中にいた男が銃を向けるが次の瞬間には穴だらけになった。
一瞬の間に突入班は中にいた男が目的の男でない事を確認し射殺したのだ。
「次だ!」
そして全く気にせず次の部屋へと取り掛かる。
上階の階段を完全武装のイタリア兵が駆け降りる。
そして階段から警戒して廊下に入ろうとした瞬間、弾がドアを掠める。
「クソ!」
撃ったのはアンドラーシュ、持っていた拳銃で撃ったのだ。
彼は逃げようともう片方の階段に急ぐが角から大勢の同じく完全武装のイタリア兵が現れる。
「動くな!イタリア軍だ!」
「こちらサジッタリオ1、目標発見!4階北西向き廊下」
「武器を降ろせ!」
イタリア軍に対する返答は銃声と銃弾であり一発が一人のイタリア兵を倒しアンドラーシュは逃げる。
「クソ!上は何をやってる!」
銃撃しながら執務室に入ると毒づいた。
庇ってくれると思っていた上層部は何をやっているのか、拳銃をリロードしながら考える。
だが誰もこのクソを庇う気などなくもはや破滅は目前であった。
リロードが終わればドアから身を乗り出し両側のイタリア兵に発砲し手榴弾を投げる。
「グレネード!」
イタリア兵は手榴弾に退避するか投げ返す。
数秒後爆発し廊下の窓は全て割れガラスの破片で覆われた。
「なんだ!?」
「爆発だ!」
下にいたスタンとイサカ、そして突入班の兵士数人が爆発に驚いた瞬間、背後のドアが開き男が飛び出した。
「な、動くな!」
一瞬あっけにとられるがすぐに銃を向け追いかけると逆には撃ってきた。
撃って来たのはスキンヘッドの男、例の後方幕僚に違いなかった。
「イサカ!あのハゲだ!」
「了解!」
確認したスタンはイサカに任せる、イサカは飛び出すとバタノイユに向かって全力で走る。
バタノイユはイサカに向かって撃つが効く様子はなくそして至近距離でショットガンで撃たれ、次の瞬間体中に電撃が走り倒れた。
その隙にイサカは男の両手に手錠をかける。
「オーレリアン・バタノイユね?連邦職員及び人形に対する第一級殺人未遂の容疑で逮捕するわ。
1、貴方には黙秘権があるわ、2、供述は裁判で不利な証拠として使われることもあるわ、3、貴方には弁護士を呼ぶ権利がある、4、もし自力で弁護士を雇えないなら公選弁護人をつけてもらう権利がある、いいわね?
それじゃあ立ちなさいハゲ」
バタノイユにイサカはミランダ警告を伝えると立たせ捜査官に身柄を預けた。
「お願いね」
「分かってます、ほら歩け。裁判所が待ってるぞ」
「クソ、ビッチが」
「黙れ、歩け」
捜査官はバタノイユを黙らせ連行していった。
上階では未だ銃撃戦が続いていた。
アンドラーシュはアサルトライフルや手榴弾や拳銃で抵抗し一方のイタリア軍は逮捕が目的であるため迂闊に撃てなかった。
かといって接近してスタングレネードを使おうにも近づけず膠着状態に陥りイタリア軍指揮官はFBIに援護を要請した。
「こちらサジッタリオ2、フーヴァー2応答せよ」
『はいはーい、こちらフーヴァー2。何かな?』
FBIのM21がとぼけた口調で返事する。普段ならイラっと来るが状況が状況だけに誰も気にも留めない。
「そこからアンドラーシュの手を狙撃できるか?」
『難しいオーダーだねぇ、ま、出来ると思うよ』
「なら頼むよ」
『了解!』
数秒後、部屋の中にいたアンドラーシュの叫び声と銃声が聞こえると数人の兵士が壁沿いに進み部屋の中に数発のスタングレネードを投げ込んだ。
数秒後炸裂すると部屋の中に雪崩れ込み、耳と目がおかしくなりながらも抵抗しようとするアンドラーシュを押し倒した。
「アンドラーシュだな!貴様を崩壊液管理法違反等6つの連邦法違反と12の第一級殺人の容疑で逮捕する」
「く…」
将校が逮捕を宣告した。
「くーっ、一仕事終わった後のドクターペッパーは最高だ」
「相変わらずね、スタン」
一仕事が終わりスタンはドクターペッパーを飲む。
銃撃戦が止み、人形たちは保護され捜査官たちが基地の家宅捜索を行う様子を眺めながら呟いた。
「これで終わりって訳じゃないが警告にはなるだろうな。
これからはここはアメリカであり厳格な法が運用されるってことにな」
「上とか政治家たちにとっては遺恨が残って政治的にも不味い結果になったけど」
「そういうのは政治家の仕事さ。
俺達は連邦法に違反した犯罪者たちを片っ端から捕まえて裁判所に送るのが仕事、正義はなされよ、よしや世界が滅ぶとも、だ」
「あー、終わっちゃった?」
「んあ?」
突然後ろから声をかけられスタンとイサカは振り返る、そこには赤い出火時のデフォルト衣装を着たM21やイングラムなど数人の戦術人形がいた。
「あんたはFBIの…って訳じゃなさそうだな。
どこの誰だ?グリフィンからの派遣か?」
スタンは右手をホルスターにかけ警戒する。
イサカも愛銃に手をかける。
「まあそんなところですよ、本当なら2時間前に到着したかったんですがねお宅の空軍が邪魔をして遅れたんですよ」
イングラムが答える。
「連邦航空法無視して飛んだ方が悪いんだよ。
残念ながら君らが望んだ仕事は終わったよ?今頃捜査官と鑑識が上から下までひっくり返してるさ。
さあ帰れ帰れ、お前らに捜査権はないんだ、これ以上立ち入るなら不法侵入で逮捕するぞ」
スタンの言葉に彼女達は引き下がった。
二人の背後からは朝日が昇り始めていた。
・M21
FBIのSWATチーム所属戦術人形。
狙撃の腕は天才レベルでジョーク好き。
軍上がりではなくFBI一筋。
ヤークトフントチームを勝手に出すも連邦航空法違反をやらかし参加できず。
空は自由ではないんです、極めて厳格なルールと運用規則の下管理されているんです。
ついでに国連軍グリフィンを一切信用してない。
なおコールサインの由来は
フーヴァー:FBI初代長官J・E・フーヴァー
アーリントン:DEA本部の場所
アレクサンドリア:DBI本部の(設定上の)場所
サジッタリオ:サジタリウス(いて座)のイタリア語読み
政治的にグリフィンの立場が相当不味くなってます、国連や米国世論はこの後「グリフィンの影響力排除」を強く求める一方、政府側はグリフィンに「国連軍統治地域での影響力の維持拡大」を要求、国連軍自体は「グリフィンの影響力を可能ならば排除したいが現状そのような事をすればアフガンやイラクのような混乱を引き起こす可能性が高いのでまずは完全な統制の下に置き軍事的圧力をかける」って戦略を選択します。