もしも白蘭島事件が起きなかったら   作:ロンメルマムート

41 / 100
のほほん能天気指揮官
   VS
名門軍人一家出身エリート軍事官僚ロシア空軍軍人&大手PMCの政治センスは抜群な幹部&AR小隊最後のメンバーにして堅物警察官僚


軍人と日溜まり

 翌日、コーシャらは数台のロシア軍の装甲車に分乗してガーデン近郊の道路を進みP基地の正面ゲート前に到着した。

 

「ここがスローターハウス5?」

 

「ああ、全員警戒しろ」

 

 コーシャが一言言う。

 一行の構成はコーシャとG&K社の他にロシア軍のドライバー、そして連邦政府の代表者としてRoもいた。

 

「それじゃあ行きましょうか、少佐殿」

 

「そうだな、ジム、頼んだぞ」

 

 Roが隣に座るコーシャに話しかけコーシャが後ろの席に座る指揮官に言う。

 そして指揮官が今度は隣に座るM14に言う。

 

「それじゃあお仕事の時間だ、頼んだよ」

 

「了解です!こちらバリー・フォージ、レキシントン、サラトガ、ヨークタウン、バンカーヒル各隊展開」

 

 指揮官の指示に後ろに座るM14が無線で指示を出し車から降りる。

 同時の他の車からも人形たちが降り周囲を警戒する。

 それに遠巻きで様子を見ていた人形たちが反応し警戒しながら近づいてくるのが見えた。

 その様子を見てからコーシャとRoが降りる。

 

「おい!誰かいるか!」

 

「何の用かしら?」

 

「名乗ってくれませんと通すわけにはいきません。

 それと、AR小隊がなぜあなた達の一緒に?」

 

 警備の人形らしいOts-14グローザとM950が現れ訊ねるとコーシャは軍服の胸のポケットから一枚の書類を取り出しRoもIDカードを取り出した。

 

「私はシークレットサービスの捜査官のRo635だ。

 これよりエドワーズ合意に基づく基地の監査を行う」

 

「私は国連軍司令部付きのロシア空軍少佐のアーチポフだ。

 これよりこの基地を監査する、これが書類だ。

 今すぐゲートを開け責任者を出せ」

 

「もし、いやだと言ったらどうなるのかしら?」

 

「その場合我々は国連憲章第51条を行使する。

 君らが国連憲章を知っているかどうかは知らないが」

 

 グローザの質問にコーシャは国連憲章のある条を持ち出した。

 第51条に書かれているのは国家による個別的自衛権及び集団的自衛権の権利、つまり自衛権に基づく武力行使を示唆した。

 だが軍人や政治家ならある程度は知っているこの章を彼女らが知る訳がない。

 

「あの、もう少しわかりやすく言ってくれませんか?」

 

「そうだな、分かりやすく言えば自衛権を行使し安全保障上許される最低限度の武力行使を行う。

 だから今すぐ責任者と面会し監査を行わなければ君らは我々に対して攻撃しようとしていると判断する」

 

 分かりやすい言葉で脅しをかける。

 あえて脅しをかけることで今後の話し合いを上手く行かせようと考えていた。

 

「分かったわ、まずは指揮官に確認してみるわ。

 見てて頂戴」

 

「分かりました」

 

 グローザは指揮官に問い合わせるため少し離れる。

 その代わりにM590がショットガンを持ち睨みつける。

 その様子にコーシャも警戒し腰の拳銃――いつものマカロフではなくロシア製の極めて強力な至近距離ならボディーアーマーをぶち抜けるリボルバーOts-20グノム――に手をかけ、Roも同じく腰のグロック26のホルスターに手を置く。

 一触即発のこの状況はグローザが戻ってくるまで続いた。

 

「指揮官が通すようにって、今ゲートを開けるから待ってくれるかしら」

 

「それはそれは、ありがたい」

 

 コーシャが礼を言いゲートが開けられた。

 

 

 

 

 

「一体監査とは何なんじゃ?」

 

「どんな人が来るんだろ…」

 

 基地の玄関で指揮官のユノと副官のナガン、そして専属メイドのG36は心配そうに待っていた。

 そこへ数台のロシアングリーンの車が現れ停車した。

 ドアが開き青い軍服を着た男が降りてきた。

 

「君がヴァルター指揮官だね?」

 

 やや訛りのある英語で訊ねた。

 

「は、はい!ユノ・ヴァルターです」

 

「ズドラーストヴィーチェ、私はロシア連邦空軍所属国連軍司令部付きのコンスタンティン・ハリトノーヴィチ・アーチポフ少佐だ。

 今日はよろしく頼む」

 

「よ、よろしくお願いします…」

 

 握手している間に同じ車からさらにもう一人ワイシャツの上から防弾チョッキと装備をつけ肩からM27をかけた男と見慣れたはずの人物が現れる。

 

「Ro?なぜそなたそこにいるんじゃ?」

 

「恐らく別の人形ですよ、私はシークレットサービスの捜査官のRo635です。

 今日は連邦政府の法執行官として来ました。」

 

「そちらの方は?」

 

「俺はG&Kセキュリティミューロックレイク特別支局副支局長のジェームズ・イシザキだ。

 今回はアーチポフ少佐の警護で来た」

 

 Roと指揮官がそれぞれ自己紹介した。

 だが一方のユノはどうも緊張している様子だった。

 

「どうした?テロリストも名前を聞くだけで逃げ出すこわーいロシア空軍の軍人さんが現れて緊張してるのか?」

 

「い、いえ…そういうわけでは」

 

「ふーん、まあいい。

 ヴァルター指揮官、俺の部下も来ているんだが部下に警護の為基地内を探索させてもよろしいか?」

 

「なぜ必要なんじゃ?」

 

 ナガンが聞き返す。

 明らかに警戒した口調だった。

 

「警備の都合だ、警備の。

 こちらとしても何かあって客に死なれたら困るんですよ、分かります?

 どの業界も商売ってのは信用ですからね。」

 

「なら構いませんよ」

 

「ありがとうございますね、よーし、各隊仕事の時間だ」

 

 ユノが許可を出すと車から部下の人形たちが降りてきた。

 ユノの注意がそちらにそれる。

 

「どうかしたか?俺の部下に何か?」

 

「い、いえ…なんだか全然違う気がして。」

 

 ユノの言葉に指揮官は首をかしげる。

 そのやり取りを気にせず離れたところでM14が各隊割り振っていた。

 

「ではバンカーヒルは指揮官たちの護衛、レキシントンが外周を右回り、サラトガが外周左回り、ヨークタウンとバリーフォージがその他建物と中庭。

 いいですね?」

 

「「了解」」

 

「では、見逃しのないようにお願いしますね」

 

 各隊バラバラに行動を始めた。

 

 

 

 

 

「本日は協力感謝する、ミスヴァルター。」

 

 数十分後、基地の一室でコーシャ、RO、指揮官、ワルサー、ガーランド、ユノ、ナガン、コーシャの持っている方のG36姉妹とP基地のG36が話し合いを始めた。

 

「最初に私達についてどのように聞いてますか?」

 

「えっと、違う世界の人たちで国連軍?って組織の人たちでこれからはグリフィンに変わって統治するって聞きました」

 

「その通りだ、正確には米国政府の委託を受けた国連軍であって法的にはアメリカ合衆国カリフォルニア州ミューロックレイク特別行政区だ。

 なのでこの地域には米国の連邦法とカリフォルニア州法の両方が適応される。

 こう理解して欲しい」

 

 コーシャは丁寧にジェスチャーを交え訛りのある英語で事情を説明する。

 彼女もその説明を理解しているようだった。

 聞いていたナガンも説明を聞いて納得し目的にも思い至った。

 

「成程な、それで法的要件とかを」

 

「そういう事です。

 ですので収支報告書、保有している又は管理している全火器のリスト、全人員のリスト、基地の簡単な図面、航空機を保有又は管理している場合はその航空日誌を提出してただけないでしょうか?」

 

「収支報告書?航空日誌?火器のリスト?」

 

 ユノは大混乱していた。

 ROが早口で各種用語をまくしたて久しぶりにオーバフローしかけていた。

 

「ええ、収支報告書は脱税やマネーロンダリング、その他金融犯罪の可能性の調査、火器に関しては現在この地域では連邦法に基づく銃規制とカリフォルニア州法に基づく銃規制がなされている。

 そのためアサルトウェポン法やNFA規制火器、銃安全法などがあるので」

 

 コーシャが事情を説明する、カリフォルニア州はアメリカの中でも銃規制のやや強い州だ、だからその規制があるのだ。

 その上つい先日基地が犯罪組織と結託し各種金融犯罪に手を染めていたことも発覚している、少なくともアメリカ世論はこの件からグリフィンに対して厳しい目で見ていた。

 

「一応もし違反すればユノさんも責任者として訴追されます」

 

「訴追?」

 

「裁判にかけられるってことだ」

 

 ジムが分かりやすく説明した途端、驚き立ち上がった。

 

「さ、裁判!?」

 

「お嬢様を、ですか!?」

 

「まあ少なくとも君はまだ17だろ?

 刑務所には入らないだろうが少年院送りになる、もちろん、犯罪を犯していたらね?」

 

「それとだが、一応訴追されるのは今年の4月以降の犯罪だけだぞ。

 法の不遡及って原則だ」

 

 何とかコーシャとジムがなだめる。

 パニックになっていたユノも落ち着き始める。

 

「そうだよね、犯罪を犯してなかったら…どうしようおばあちゃん!」

 

「落ち着くんじゃ、まずはその言ったものを提出すればいいんじゃろ?」

 

 ナガンに泣きつくが一方のナガンは冷静だった。

 

「そうです、それをここで調査した上で問題が無ければそれで終わり、火器類はまずは登録です。」

 

「航空機に関しても当面は飛行禁止ですが整備状態の調査で問題が起きなければFAAが登録するはずです。

 いつになるかは言えませんがそれほどかからないと思いますよ?」

 

「分かった、今すぐ持ってこさせよう」

 

「助かります」

 

 コーシャは含みのある笑顔で微笑んだ。




アサルトウェポン法とNFA規制火器は実際にある法律だけど銃安全法はオリジナルの連邦法。
「銃を安全に扱うため」の法律で基準未満の安全装置しかない銃の取り扱いや流通を規制する他低品質弾薬や銃を市場や市井から排除する法律として制定、表向き「より銃を安全に扱い、尚且つ安全な銃のみを市場に流通させる」を目的としているせいでNRAも強く言い出せない(言ったらそれはそれで銃の安全性を蔑ろにするつもりかってなる)法律。


コールサインは二人一組で
M14・カービン組:バリーフォージ(独立戦争中の大陸軍の本営のあった場所)
M4・AR-15組:レキシントン(独立戦争最初の戦いのレキシントン・コンコードの戦い)
SOP・M16組:サラトガ(サラトガの戦いから)
SVD・SV-98組:ヨークタウン(ヨークタウンの戦いから)
ガーランド・ワルサー組:バンカーヒル(バンカーヒルの戦いから)

当作世界のMODは「外部メーカーのサードパティによる改造」と「IOPまたは製造メーカーによる最新生産型のパーツのレトロフィット」のどちらか。
一応ドルフロ世界レベルのMOD3相当改修なら「ナガンで2000ドル、LWMMGなら6000ドルから。なお一部は保険適応又は製造メーカーのサービス改修、ローン払い可」からやれます。(つまりちょっと愛があるオーナーなら車のチューニングの如く弄れる)
というかそもそも素でMODより技術力の差で性能がいい

叛逆小隊は一応ロシアの国家親衛隊所属の大統領直属対テロ人形部隊。ウロボロスもいる。
製造メーカーも一応カラシニコフ系の会社製で量産品。所属してるのはその中でも優秀だった個体。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。