もしも白蘭島事件が起きなかったら   作:ロンメルマムート

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パラデウスが死にます(全部じゃないけど)


第83話

「クソ!」

 

 AR-15は瓦礫を盾に背中をつけて寝そべりながらリロードして悪態をつく。

 空襲を生き残った敵兵は数少ない全戦力をこちらに向けて、結果局地的に数的優勢を生み出していた。

 

「そーれ、ポーン!」

 

 その横でSOPがいつものような感じでグレネードランチャーを発射して敵兵を吹き飛ばしていた。

 空挺兵たちは空挺戦車と瓦礫を利用して敵兵と交戦していた。

 

「目標3時の方向、撃て!」

 

 空挺戦車の車内で車長が命じると主砲の30ミリ機関砲が火を噴いて白い敵兵やバックパックを背負った敵兵をなぎ倒す。

 中には遮蔽物の瓦礫を貫いて吹き飛ばすほどだ。

 敵も攻撃してくるが銃撃や機関砲程度では撃ち抜けない。

 だが、それでも死兵のような連中は数で押し潰そうと一歩も退かずそれどころかまるで機械のように全身を続けていた。

 

「こちらチャーリー!火力支援要請!」

 

『了解、状況を確認した』

 

 無線で支援を要請した数秒後、上空の戦闘機が爆弾を投下して敵兵を数メーター上空高く上げるがその土煙を抜けてまだ突撃してくる。

 土煙を抜けたところで空挺兵が分隊支援火器や軽機関銃で一斉に銃撃を浴びせて薙ぎ倒してもなお進む。

 もはやその様子は不気味なものがあった。

 

「とにかく撃ちまくれ!」

 

 M16が瓦礫の上で膝立ちで撃ちまくる。

 その横では空挺兵たちが伏せたりしながら銃撃を浴びせる。

 そこへ支援部隊の戦術人形が現れると背負っている対戦車ロケットを撃ち込み吹き飛ばす。

 だが、それでもなお進み続ける敵兵、もはや異様である。

 30ミリ機関砲弾を食らって肉片になっても、機関銃の弾でミンチになっても、爆弾で空高く吹き飛ばされても機械的に進み続ける敵兵の攻撃はたった15分の交戦が1時間に感じる程だった。

 

「制圧射撃だ!早く制圧しろ!」

 

「ボス!連中銃撃なんてお構いなしに突っ込んできてるんですよ!」

 

 大尉が叫ぶが敵は迎撃などお構いなしに突っ込んでくる。

 すると頭上を甲高い空気を切り裂く音が聞こえると空中で爆発した。

 砲兵の砲撃だ。

 

 

 

 

「距離1500、ファイアー!!!」

 

 砲列指揮官の指示と共に兵士達は耳栓をして砲撃を開始する。

 緊急で設置された砲兵陣地で空挺砲兵大隊の大砲、たった5門程度であるが155ミリ榴弾砲が一斉に火を噴いた。

 

「次弾装填急げ!!」

 

「モタモタするな!!!俺達の一秒の遅れが兵士の生死を決めるんだ!!」

 

 砲列指揮官だけでなくボスのオーキンレックまでやってきて劇を飛ばす。

 オーキンレックは即座に全火力を攻撃者に向ける指示を出していた。

 だが兵力の集中には多少時間がかかる、何せ徒歩でも数百メートルの距離瓦礫の中を進むのは時間がかかる。

 彼はその時間稼ぎの為あらゆる支援火器、即ち砲兵、爆撃機、攻撃機、UAVをぶつけるという手に出た。

 

「撃て!」

 

 装填が完了すると号令し砲撃する。

 兵士達は訓練された通りに行動し、火力を提供し続ける。

 

 

 

 激しい砲撃が開始され一時的なフリーハンドを得た部隊は即座に再編のため陣地転換を開始していた。

 

「負傷者は後方だ!

 先鋒を一旦撤退させろ!」

 

 瓦礫の中に作られた指揮所で戦闘の騒音にかき消されないように大声で無線で指示を出す。

 部下と行進しているとそこに別の無線が割り込んだ。

 

『こちらジュリエット!!チャーリー応答せよ!!』

 

「こちらチャーリー、状況は!?」

 

 それは背後に回り込んでいるはずの味方だ。

 

『連中の背後についた、いつでも強襲できる。」

 

「敵は残りはどのぐらい確認できる?」

 

 回り込めたという連絡に敵方の残存戦力について聞く。

 するとすぐに答えが返ってきた、

 

『ざっと見積もって2個中隊、それにガンダムみたいなのが5機。

 黒い服の女も何人かいる』

 

「了解、出来れば今すぐ攻撃できないか?」

 

『了解、ちょっと待ってくれ。

 

 

 

 

 行ける。3分後に開始する』

 

 攻撃要請には少し間が開いて返事が行われた。

 それを聞くと部下に対して指示を出す。

 

「3分後だな、了解。

 さっきの命令は取り消しだ!!

 3分後にジュリエットが背後から強襲する!!

 3分後だ!3分後に反撃だ!!」

 

 命令を取り消し、反撃の準備を指示した。

 その連絡にM4達はすぐに構える。

 

「3分後に反撃です、いいですね?」

 

「了解です」

 

 傍の空挺兵が答える。

 返事を聞いて敵の方を見る、砲撃の土煙で何も見えないが時折空高く敵兵だったものが吹き飛ばされているのが見える。

 

 

 

 

「目標、ガンダム。攻撃用意」

 

 その頃敵背後では回り込んだ部隊が瓦礫に隠れて対戦車ミサイルを用意していた。

 この部隊は404と合流し、さらに空港制圧部隊も合流しつつあった。

 

「照準完了」

 

 折れた鉄筋に先端を乗せて構える兵士が答える。

 そしてタイミングを計ると班長が命じる。

 

「撃て」

 

 合図と共に肩に構えたミサイルが発射される。

 鈍い音と共に出ると少し離れてブースターに点火する。

 同じタイミングでさらに40mほど間隔を開けて同じようなものが発射される。

 ミサイルは寸分たがわずガンダムのような巨大ロボを直撃した。

 ミサイルの弾頭に仕込まれた本来複合装甲をぶち抜いて内部を破壊するメタルジェットはガンダムの装甲を食い破り、脚付という構造的に弱いそれはあっという間に行動不能、擱座した。

 これを合図に一斉に銃火が放たれた。

 瓦礫の合間に隠れた兵士達が一斉に銃撃する。

 曳光弾の雨が背後から襲い次々と敵は斃れていく。

 空挺兵はすぐに次の行動を起こす、瓦礫から出ると支援を受けながら遮蔽物に沿い前進し始めた。

 

「援護!」

 

 45が瓦礫の陰から前進する9と空挺兵を援護するべく弾幕を作る。

 前進する9は瓦礫から出ると別の瓦礫の陰へ、そして敵を銃撃。

 戦術人形特有の射撃精度で敵兵をいともたやすく数人射殺する。

 

「こっちよ!」

 

 対戦車ミサイルチームがいた瓦礫の上で416は火力班の移動を支援する。

 重装備の火力班は最初の一撃を食らわせると陣地転換するべく移動する。

 その彼らを狙う敵を排除し、移動を援護するため彼女はG11と共に見える敵兵を片っ端から銃撃する。

 有難い事に敵兵は真っ白であり味方との識別は用意だった。

 G11も瓦礫の上に上がってきた敵兵数体を纏めて黙って殺す。

 その間に火力班の兵士達は遮蔽物を通って移動する。

 416は火力班に先んじて瓦礫の中を横方向に進む、そしてG11は火力班の殿を務める。

 空挺兵の強襲に敵は大混乱に陥った。

 

 

 

 

 

 強襲が始まり敵の攻撃が落ち着き始めた。

 

「援護!!」

 

 砲撃が治まるとM4は立ち上がり瓦礫の山を駆け降りる。

 背後から軽機関銃とアサルトライフルの制圧射撃を受けながら前進する。

 続けて数人の兵士が後に続いて行く。

 銃弾が頭の上を掠めながら砲弾のクレーターに潜り込む。

 そして周囲を確認すると後ろの仲間に手で合図する。

 

「SOP!M16!」

 

「了解!」

 

「そーれ!」

 

 AR-15、M16、SOPが飛び出し、前進。

 それに続けて数人の兵士も続いて行く。

 彼らも同じようにクレーターに滑り込んだ。

 潜り込んだ彼らにM4は手でM16とSOPに左から敵の側面に回り込むように指示を出す。

 そしてAR-15には自分と一緒に前に進むよう、合図した。

 それを了承すると瓦礫から頭を覗かせてタイミングを計る。

 

「援護!」

 

 タイミングを計って飛び出した。

 兵士達の援護を受けて前に進み別のクレーターに潜り込む。

 敵兵が飛び出してくる瓦礫の尾根に辿り着いた。

 二人の頭の上を銃弾が掠めて飛び出してきた敵兵が尾根に落ちていくのが見える。

 二人は手榴弾を取り出した。

 そして同時にピンを抜くと数秒待って同時に放り投げる。耳を塞ぐと爆発が起きる。

 二人は立ち上がると銃を構えて瓦礫を乗り越える。

 そこには敵の死体やまだ銃を構えようとする敵がいたが片っ端から射殺する。

 M4の背中をAR-15がカバーしながら二人は進む。

 背後に敵らしきものが現れるとAR-15が射殺、目の前に敵兵が現れればM4が殺す。

 何発か撃っていると弾が切れリロードする。

 そのタイミングで敵兵が現れると咄嗟に拳銃を取り出して射殺する。

 射殺してから構えなおしてリロード、更に進み続けると違う物を発見した。

 それは黒い人影だった。

 一瞬M4は迷った、味方か?敵か?

 だが次の瞬間、人影は逃げた。

 

「あっ!クソ!」

 

 M4はその人影に向け銃を撃つが空しく外れる。

 

「15!追うわよ!」

 

「え!?」

 

 後ろを見ていたAR-15は人影に気がついていなかった。

 驚く彼女を連れてM4は人影を追いかけた。

 M4は瓦礫を超えると一瞬黒い布が吹き飛んだ屋根の瓦礫の向こうに消えるのが見えた。

 それをAR-15と一緒に追いかけて瓦礫に辿り着くと更に別の瓦礫の向こうにひらひらと目立つ黒い布が。

 そこに辿り着くと更に別の人影が迷路のような瓦礫の中に。

 

「クソ!ウロチョロと!」

 

「待って!M4!」

 

 追いかけるM4にAR-15は追いつくのが精いっぱいだった。

 そして何とか二人はとうとう追いついた。

 そこは吹き飛んだ兵舎らしき瓦礫の中だった。

 追い詰めた先にいたのは不自然なほど白い肌の機械のような印象すら受ける黒い服の少女だった。

 

「武器を捨てろ、両手は頭の上、跪け」

 

 

「10数えるまでに捨てないと撃つわよ。

 10!」

 

 銃を構えて命じる。5m程距離を開けていた。

 その命令に少女は妖艶などこか怖い笑みを浮かべた。

 

「なぜ、同族なのに戦うの?」

 

 突如意味不明な事を言った。

 その言葉にM4は更に警戒する。

 

「同族?武器を捨てて跪け」

 

「忘れたのかしら?貴方も私もお父様は同じはずよ。

 なぜ私達に武器を向けるの?なぜ私達のお庭を焼いたの?」

 

 さらに理解不能な言葉を並べ立てる。

 もはや気味が悪かった。

 

「直ちに、武器を捨てて、両手を上げて跪け!」

 

「従わなければ撃つわよ!」

 

 二人が再度命じた。

 すると少女は笑みを浮かべるだけだ。

 

「そう、なら仕方ないわ」

 

 そう言うと右手をM4に向けた。

 手はなくそこには機械の爪があった。

 そして次の瞬間その爪が向かってきた。

 

「なっ!!!」

 

 M4は咄嗟に後退りしてその爪を銃撃する。

 だが弾は弾き返される。

 

「M4!」

 

 次の瞬間、M4の体が掴まれる。

 そして女の下に引き寄せられた。

 

「忘れたの?ルシニア。

 貴方が何者か」

 

「ルシニア?人違いよ。」

 

「そんなわけないわ。

 貴方はルシニアのはずよ、お父様が言っていたわ」

 

「お父様?誰の事かしら?」

 

「お父様はお父様よ、私達の、そしてあなたの」

 

「人違いね、サイボーグ」

 

「あなたはグリフィンを襲撃して死んだはずよ、そしてM4になったの、そうよね?お父様」

 

「あなたの言うお父様とやらは私達の会話は聞こえてるのかしら?

 なら言ってあげるわ、人違いでこんな羽目に合わせる無礼者は死ね!」

 

 M4はそういうと右手にトマホークを持ち脇腹に叩きつけた。

 

「ああああああ!!!!」

 

 腹を半分抉るほどの一撃を食らわせ絶叫する。

 一瞬力が抜けたその瞬間、M4はかぎ爪を振りほどいて離れた。

 

「この…!!」

 

 腹を半分抉られてもまだ立っていた。

 背中を曲げながらも殺意に満ちた眼光を見せる。

 次の瞬間、拳銃を取り出したM4と距離を取っていたAR-15に撃たれた。

 それも確実に殺すために二人はマガジンが切れるまで全弾撃ち込んだ。

 

「はぁ…はぁ…クリア」

 

 ミンチとなった人間のような肉塊と金属を見ながら呟いた。

 

「災難ね」

 

「ええ、一体何なのかしらこれは」

 

 二人は足元の肉塊を見下ろした。

 

 




ガンダム即死

パラデウス君はこれからも絡むんですがね
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