ギャルゲーの友人キャラに転生したら主人公が女だった。 作:4kibou
『 、 くん……!?』
正直、衝撃というものに近かったと思う。いままでなんとなく接してきた彼女。その衣服の下に隠された肌色に、とんでもないモノを受けた。
『い、いやっ、ちょ、み、見ないで……!?』
じっくり見てしまったのは、本当申し訳ないと思う。
『……もう、駄目だからね? 女の子の裸、あんなにジロジロと見ちゃ』
私以外だったら通報されてるよ? と冗談交じりに彼女は言う。それもそうだろうと返したかった。衝撃的すぎて声が出ない。裸を見られて女の子らしく狼狽える彼女はとても可愛かった。そのあたり破壊力だって桁違いである。
『あーあ……でも、見られちゃったかあ……よりにもよって、 くんに』
『……ごめん』
『ま、いいんだけどね? 今回は不問と致します! っと、あー、それじゃ、私、次の授業行かなきゃだから!』
言って、彼女は校舎のほうへ走り去った。自分は、あまりにも手に余る感情をそのとおり持て余している。……どうすればいいのだろう。答えは、なかなか出なかった。
◇◆◇
覚悟を決める。なにもないが、それはこの際どうでもいい。大事なのは自分ではなくて、気持ちが向かうべき相手のほうだ。だからもう迷わない。迷っている暇なんて真実ない。とれる手段はなんでもとるし、使えるものはなんだって使う。どうせ意味もないのなら、きっと流れるように繋がってくれる。それだけが頼みだ。
『あ、いいよね夏祭り。……どう? 一緒に行く?』
とんでもないチケットを手に入れてしまった。どうしよう。まずい、この展開は俺の想定に入っていない……! そんな風に悩んでいたら友人に蹴られた。うん、揺らぎかけた。でも、信念は一度も曲がってはいない。
◇◆◇
足りなかった。しょうがない。どうせ分かっていたことで、この身には足りないものが多すぎる。なら、なんでも使うしかない。過程の話。裏と表が表裏一体だというなら、すこしの衝撃でひっくり返ってもおかしくはない。そんな空想のおとぎ話が、現実になるだろうか?
◇◆◇
やるか、やらないかではない。やるしかないのだ。もう決めた。明日に自分がいない光景を思い浮かべて、とくになにを思うでもなかった。でも、あの子が笑っていないのは許せない自分がいる。大事なのは自分じゃない。――俺はもう、壁を越えている。
◇◆◇
伝えたいこと。言いたいこと。やりたいこと。やりたかったこと。なんだって良くて、どれも無さそうなのが笑えない。でも、すこしはマシだ。不思議なことに、明確な目標と落下地点が見えてくれば人生すら輝いて見える。いままで空虚だった毎日が嘘みたいだ。ならもう分かっているだろう? 変えたいと願うなら、変えるしかない。
◇◆◇
多くは望まない。けれど、贅沢は言おう。涙もないまま沈み込むのなんてごめんだ。当たり前みたいに泣いて、笑って、明日を願うように生きてほしい。
◇◆◇
色々と、感情を持て余してたまらない。ああどうしよう。どうしようああ。どうしよう。俺、とんでもなく壊れてやがる――!
◇◆◇
無理は承知だ。覚悟はできている。突き進むべき道もはっきりした。これ以上ないほどに、いま、最高潮の絶好調で、俺の人生は輝いている。そうだろう? だってこんなにもなにかを成し遂げたいと願ったコトなんて、一度も無い!
◇◆◇
他の誰かなんて見ている暇はない。願いはひとつ。シンプルなまでに一直線だ。もう二度と悲しまないように。何物にも縛られないように。どうか、どうか。
――彼女が、救われますように。
◇◆◇
狂っている。でなければ、きっとすでに気が触れているのかもしれない。ああ、でも、良いんだ。それで良い。だとしても、俺の心は変わらない。なにもなかった俺に、なにかを与えてくれたのは紛れもない彼女が原因だ。そうしたいというすべてを願ったのがあの瞬間だった。だから、もう大丈夫。いけるぞ。できている。
◇◆◇
気分は、爽快か?
◇◆◇
そうだとも!
◇◆◇
走れ!
◇◆◇
答えろ!
◇◆◇
おまえは誰で、おまえはなんだ?
◇◆◇
俺は俺で、俺が俺だ。
◇◆◇
なら、なにを悩む。
◇◆◇
なにを躊躇う?
◇◆◇
――否、否、否。
◇◆◇
ぜんぶまとめて、違うだろう!
◇◆◇
もうなんともないさ。俺はすでに完成した。ならばなにを見返すのでも、思い返すのでも、迷うのでもない。そんな寄り道が許されると思うのか? いいや、そうじゃないだろう。命をかけてもやりたいことだ。やるしかないじゃないか!
◇◆◇
さあ行こう。俺はもう、
◇◆◇
世界を、変えたくはないか――?