機械仕掛けの半神 作:覇王樹
「お母さん?あの子、なんで縛られてるの?」
「じろじろみちゃだめ!ほら!行くよ!」
「ねぇーーなんでー?」
栄養が足りていないことが容易に見て取れるほどボサボサで薄汚れた色素のない髪の毛は腰ほどまで伸びて、端正な顔のには紅い火傷の傷跡が顔の左半分を覆っている。そしてそれの身分を示すかのように歩くごとに鳴る鎖の音。
「おい!奴隷!」
「、、、」
「おい!奴隷!呼んでんだよ!返事くらいしろ!」
背中に慣れた感覚。皮膚から神経、そして脳へ。
「はい。すみません」
「へっ。やっぱこいついかれてやがるな。こりゃすぐ壊れなさそうで良いじゃねぇか。ギャアギャア叫けばねぇしな。おまけにご主人サマの護衛もできると!いい買いモンしたもんだなぁ」
再び背中に感覚。本来、それは痛みと呼ばれる感覚だが少年にとってそれは感覚でしか無かった。
感覚を受け止めるとジャラジャラと鎖の音を鳴らしながら少年はまた歩き出した。後ろから響く蹄の音。その時、目の前に一人佇む老年の男性の姿が有った。
「なんだ?あのジジイ?」
そして彼等は男性へと近づいていく。すると嗄れた声。
「すみません、少しお聞きしたいことがあるのですが、貴方がスレバーさんでしょうか?」
声を荒げるスレバー。
「あ!?どうしてお前が俺の名前を知ってんだ?」
「その様子ではスレバーさんは貴方ですか。それはそれは」
男性は何かを呟いた。そして直後、道の傍から剣を持ち、鎧を身に纏った集団が出てきて彼等を囲った。
「ちっ!囲まれた!おい奴隷!やれ」
「はい」
少年は腰に差した大小二振りの刃を抜いた。そして鎧に向かって駆けていく。
「おお!疾い!」
長い髪をなびかせながら自分達を囲う沢山の鎧へと攻撃をする。
「奴隷へは罪は問わないので必要以上に攻撃せず生捕りにしなさい。必要な攻撃は許可しますが」
少年は指示を下している老年の男性へと距離を詰めた。そして刃で首を落とそうと振り上げた瞬間、急に軽くなる腕。
「これは必要な攻撃ですね。おや、これでも怯まないとは。もう片腕必要でしょうか」
そしてまた軽くなる腕。刃が地面に落ちる音が響く。少年の視界に写る肘から先のない両腕、滝のように流れ出る血。少年は地面に倒れた。
「さぁ、スレバーさん。違法奴隷商人スレバーさん。ついてきてもらいますよ大人しくついてきてもらいますよ。さぁ誰か縄で縛りなさい。そしてこの少年は応急処置をしたら、、って逃げられたんですか?腕のない状態で?血を流した状態で?いやまだ応急処置の途中と。ほぉ。いえ、いいですよ。追う必要はありません。おそらく、また、会えるでしょうからね」
男性はそう言うと口を三日月の様に歪めた。
森の中を列を成して歩く種族性別年齢、様々な集団。そしてその列の先頭を道化の旗を持った金髪の小人族の男が歩く。静かな森を切り開くように集団の騒々しい話し声。しかしそれは先頭の小人族の声で止まるのだった。
「誰か!回復魔法を使える者はすぐに来い!腕のない少年が倒れている!」