前回よりも長めにしました。
ではどうぞ。
店員「ありがとうございましたー」
コンビニで買い物を済ませた涼平は店を出る。
涼平(さっ帰ろ帰ろ)
そう帰路へ着こうとすると
?「ちょっといいかしら?」
後ろから声を掛けられ、振り向く。
そこにいたのは妙齢の女性であった。
自分よりも少し年は上であろうか、落ち着いた感じが出ている。身長は自分よりも少し低いくらい。髪は薄い翠で目も同じ色で大きくパッチリとしている。物腰が柔らかそうで少しミステリアスな雰囲気も醸し出しいる。スタイルも良く何よりバストが大きい。服を着ていても一目で分かる程だ。
そんな美女が自分に何用なのか。
涼平「何かご用で?」
女性「すいません。急に声を掛けて。ちょっとお話があるんですけどお時間よろしいですか?」
勿論涼平は彼女とは初対面である。それなのに急にそう聞かれたのだ。一体何なのだと怪しむのは妥当だ。
涼平「すいませんが、どちら様ですか?」
女性「あっ、すいません。私こういう者です。」
そう言い、名刺を涼平に手渡した。
そこにはこう記載されていた。
『CSC 職員 汀 薫子』
涼平(CSC職員、ミギワカオルコ…)
CSCとは大手警備会社の名前で、メティスパサー(メティス使用者の名称)を多く雇用していることで知られているが、一方でメティスパサーの軍隊を作ろうとしているなどの黒い噂も囁かれている。近年はメティスの研究・機材開発も行っており、メティスの実技訓練などで新機材のインストラクターも派遣している。また本部にはメティス事業の拠点となっていて、独自のメティス関連研究施設も持っている会社である。
涼平(CSCの職員が俺に何の用や?)
益々怪しむ涼平だが、彼女は続けてこう言った。
薫子「ここでは何ですし、宜しければ別の場所でお話出来ませんか?お時間は取らせませんから。」
涼平「‥‥‥分かりました。」
少し間を空けた涼平だったが、特に断る理由は無かったので女性の後に着いていった。
ーーー
薫子「ごめんなさいね、急に声をかけちゃって。」
涼平「いえ別に。暇だったんで。」
喫茶店に入り、席に着いた途端薫子はそう詫びた。涼平は特に気にする事もなくそう言った。
薫子「お詫びに此処は私の奢りでいいから好きな物頼んでも良いわよ。」
涼平「えっ、いいですよ。そこまでしなくても。」
薫子「いいのいいの、遠慮なんかしなくても。私の方が年上なんだからそこら辺は立ててもらいたいわ。」
涼平「・・・・・・そこまで言うならすいませんが、ご馳走になります。」
結局は涼平の方が折れて、渋々頷いた。
注文を終え、ようやく薫子は話を始めた。
薫子「まずお名前を聞いてもいいかしら?」
涼平「立川涼平です。」
薫子「なら涼平君ね。」
涼平(いきなり名前呼びかよ・・・)
少々戸惑いつつも彼女の話は続く。
薫子「名刺にも書いてあったけど、私はCSC本部の職員なんだけど今は出向で
澄之江学園とは
まず上ヶ瀬市とは海に面した複合学園都市で、学園がある一帯の正式名称は「上ヶ瀬市澄之江学園都市町」である。海面上昇により水没した都市を埋め立てて造られた町で、異常気象などを鑑み、津波や地震などの災害を想定した最新防災設備を備えている所だ。
次に澄之江学園とはメティスパサーの健全な育成を目的としている学園であるが、学生はメティスを持たない者の方が圧倒的に多く、1クラス中にメティスパサーは数人程度しかいない。また澄之江学園都市は世界でも最先端のメティス研究機関で、メティスパサーの研究施設の側面も持っている。
涼平「自分は講師の資格は持ってませんが?」
薫子「ああ、違うのよ。別に講師になって欲しいっていう事じゃないのよ。実はね私講師の他にもある仕事があるの。」
涼平「というと?」
薫子「それはズバリ『スカウト』よ。といってもさっき言った通り講師じゃ無くて、メティスパサーのね。」
それを聞いて涼平は益々混乱した。
なぜならーーー
涼平「あの・・自分は今までメティスに関わった事もないですし、メティスパサーでも無いんですが・・・」
薫子「そう・・・でもね、私の『目』にはそう見えないのよ。」
涼平「『目』・・ですか?」
薫子「ええ。私実はメティスパサーなの。メティスネームは《ディスカバリー》。メティスを発生させてる時に出るメティス波を視覚的に捉える事が出来るのよ。」
涼平「はぁ・・・」
生返事で返したはいいもののどこか腑に落ちない所もある。
涼平(まず『メティスネーム』っつうのは多分能力名だろうな・・問題は《ディスカバリー》だ。『メティス波』って言われても分かんねぇし、それを見れるっつってもそれが俺に何の関係があるんや?)
内心そう愚痴ったものの何も分からないのが現状だ。そうやって悩んでいるとーー
薫子「いきなりこんな事を言ってごめんなさいね。そんな顔をするのも無理はないわ。」
よほど自分は深刻そうな顔をしていたのか。薫子は心配そうに告げた。
涼平「あっ、すいません。ご心配をおかけして。」
薫子「いいわよ。悪いのはこっちなんだから。とりあえず今迄の会話で涼平君がメティスに関しては無知だって事は分かったから。分からない所は説明するわ。」
涼平「そうですか・・では、まずーー」
涼平はそう言われたので、現時点で分からない所を薫子に聞いた。その結果、以下の点が分かった。
まずメティスネームというのはその名の通りメティスに付けられている名前である。メティスパサーは潜在的にメティスネームを持っており、潜在意識の中でネームを探し当てて発言することにより、初めてメティスを自分の意志で扱うことができるというものだ。そのためメティスネームを発見・認識することが、メティスパサーとしての最初の一歩と言われている。薫子の《ディスカバリー》もその一つである。
次にメティス波とはメティスを発生させている時に出るものであり、《ディスカバリー》や特殊機器により観測可能である。また基本的に固有であるが何億分の1の確率で同一のものとなることがあるらしいとのこと。
粗方の説明を聞いて涼平は大体は理解できた。しかし一つ疑問が残った。
涼平「ん?ちょっと待って下さい。メティス波ってメティスを発生させてる時に出るものですよね。でも自分はメティスパサーでもないのでメティスを発生させる事なんて出来ませんよ。なのに先程汀さんは目に見えたって仰っていましたよね?一体どういう事ですか?」
そう。涼平はメティスパサーでは無いのでメティスを発生させる事など出来ない。なので必然的にメティス波が出る事はまず無いのだ。なのに薫子の《ディスカバリー》によって見えているのだ。この矛盾がどうしても気になり、薫子に質問した。
薫子「それについてだけど人によっては無意識に微弱なメティス波を出してしまう事もあるから大丈夫よ。でも問題はそこでは無いのよ。」
涼平「何ですか?」
薫子「君から出ているメティス波は微弱では無く、
涼平「えっ⁉︎ホントなんですか⁉︎でも本当に自分はメティスパサーでは無いですよ!」
涼平はキッパリとそう言った。そして薫子もまた頭を抱えた。
薫子「だから分からないのよ、私にも。あともう一つ分からない事があるの。」
涼平「まだあるんですか?」
薫子「正直言ってこれが一番分からないのよね。」
涼平(一体何なんやそれは⁉︎)
不安を感じつつ、涼平は彼女の言葉を待った。
薫子「実はね私が今迄で見た事が無い様なメティス波なの。」
涼平「?詳しく説明願います。」
薫子「そうね・・・分かりやすく説明するとね通常だとメティス波はメティスパサーの体から溢れ出す様に見えるの。またメティス波には様々な種類があるからその波の色や強弱で大まかに分ける事が出来るのよ。」
涼平「なるほど。では自分の場合はどうなってるんですか?」
薫子「それがね白い霧みたいなものが君の体全体を覆っている感じなの。」
涼平「・・・ふむ。」
薫子「あら?意外に驚かないのね?」
涼平「いえいえこれでも内心驚いてますよ。ただ焦っても仕方ないかなって。」
薫子「そ。殊勝な心掛けね。でもねもっと驚くべき事があるのよ。」
涼平「えっ・・⁉︎」
薫子「それはねよーく目を凝らして見たらね、白い霧みたいなものの中に鉛色っぽいものも見えるの。それも君の体全体から微量に出ている感じね。」
涼平「っ・・・・・」
涼平は絶句した。しかしこれは自分にも分からない何かを持っているという恐怖心から来るものでは無い。
薫子「流石に此れには驚きを隠せないようね。」
涼平「・・・ええ、まあ。」
薫子「私も初めてだからすごく驚いてるのよ。こんな事があるなんてね。」
涼平「・・・・・」
両者無言になり重い空気が漂う。するとーー
店員「お待たせ致しました。ホットコーヒーとサンドイッチです。」
そんな空気を打ち消すかの様に注文した物を店員が運んできた。
薫子「・・・取り敢えず食べましょう。コーヒーも冷めないうちに。」
涼平「・・・はい。」
注文したサンドイッチを口に放り込み、コーヒーで胃に流し込む。そうしていると不意に薫子が告げた。
薫子「それでね、気持ちの整理がつかない時にこんな事を言うのはアレなんだけど・・・」
涼平「何です?」
涼平はそう言った。
しかしまさにこの時薫子から発せらせる言葉により自分の今迄の生活がガラリと変わってしまう事を涼平は知る由も無かった。
薫子「澄之江学園に来てくれないかしら?」
今回はここまでです。
次の投稿はいつになるのやら。