サトシに本気を出させたら   作:通りすがりの魔術師

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ここまでしか書いてないんだなこれが!


決戦前夜 集いし仲間たち (後)

 

 

ライバルであるシンジとのフルバトルに勝利し、準決勝へと駒を進めたサトシ。次の対戦相手はこれまでのバトルを全てダークライのみで勝利してきたタクト。サトシは彼に勝利し、決勝戦へと進むべく最善のパーティを組んでいた。しかしそれでも勝てないという現実を突きつけるべく、かつての敵であったミュウツーがサトシの前に現れる。

ミュウツーの言葉に激怒するサトシとポケモン達は彼の挑発に乗り、ミュウツーとバトルを繰り広げる。

 

 

 

「コータス戦闘不能!ミュウツーの勝ち!」

 

 

公式的なバトルでないものの審判は必要だろうと名乗りを上げたタケシだったが、今になってその事を少し後悔した。

カントー地方からここシンオウ地方まで共に旅を続けてきたタケシはサトシのポケモンがどれだけ鍛えられているか理解している。

出会い、GETの経緯、修行にバトル。ジムリーダーとしての側面を持ち合わせるタケシからしてもサトシというトレーナーは理想系に近い。ポケモンに寄り添い、ポケモンと共に歩み、共に強くなる。そして彼はジムバッチを8つ手に入れてポケモンリーグへの挑戦権を得た。はじめのジムで破られた者として感慨深いものもあり、彼の夢であるポケモンマスターを叶えて欲しいという先輩としての気持ちもある。

 

だが、彼はミュウツーとの戦いを目にして戦慄した。なぜならサトシのポケモンの何もかもがミュウツーに通用しなかったのだ。ジュカインの技量も、コータスの防御も、オオスバメのスピードも、ヘラクロスのフィジカルも、フカマルのパワーも。ミュウツーはその全てをへし折るようにポケモン達を無駄にいたぶらず、一撃で終わらせた。

膝をついて項垂れるサトシにピカチュウだけが彼の隣に立っている。その身体に傷はない。彼のみミュウツーとの力の差を知っていたからバトルには参加しなかった。

 

 

『分かったか。これがお前が勝てない理由だ』

 

 

ミュウツーに勝てないのにダークライに勝てるわけがない。暗にそう示したミュウツーにサトシは歯噛みした。

 

 

「じゃあどうすればいいんだよ…!」

 

 

準決勝は翌日。これから無理やりポケモンを鍛えたところで焼け石に水。さらにはポケモン達に疲労を蓄積してしまい、より酷い結果になることはサトシでも分かる。ならばどうすればいいのかと慟哭するようにミュウツーに尋ねた。

 

 

『伝説のポケモンを扱うのは奴1人。ならば、次のみだ。お前が勝つ可能性が限りなく低いのは』

 

 

サトシとタクトとは別に準決勝を行うトレーナーはサトシと同じく普通のポケモンを使う。決勝戦ならサトシは自分達のポケモンと心置き無く、何のプレッシャーもなく戦うことが出来、さらには勝利できる可能性もある。しかし、相手が全て伝説のポケモンとなるとそうはいかない。勝てて1、2体。

ポケモンの中には600族と呼ばれる伝説のポケモンにも引けを取らない凄まじい力を持つポケモンがいる。サトシのポケモンにも進化すればそうなるポケモンはいても、今いるわけではない。

そんなサトシに1、2体倒せるかと言われたら良くて相打ちでダークライともう1体というところだろう。

 

 

『だから、私達を使え』

 

 

「私達…?」

 

 

ミュウツーがそう言うと茂みの奥からこちらに向かってくる足音が聞こえる。今まで完全に置いてけぼりを食らっていたヒカリは茂みから飛び出してきた赤髪の少女を避けると、その少女はサトシの方へとまっしぐらに向かっていく。

 

 

「カノン!?」

 

 

唐突にアルトマーレで出会った少女が現れたことに驚くサトシだったが、カノンと呼ばれた少女は頬を膨らますとその姿を変える。大地に立っていた足は縮まり、身体も人間から明らかに違うものへと変化する。黄色い目に白と赤の体躯へとなったポケモンを目にしたサトシは再び驚いたように口を開けた。

 

 

「ラティアス!!」

 

 

本来の名前を呼ばれたラティアスは上機嫌になりサトシの頬に自分の頬を擦り寄せる。サトシはくすぐったそうに笑うと全くよく分からないヒカリは微笑ましいものを見るような目をしているタケシに尋ねる。

 

 

「えっと、あのポケモンは…」

 

 

「あぁ、ラティアスだよ。昔、アルトマーレって街で出会ったんだ」

 

 

そう言いながらタケシは昔のことを思い出した。最近のようで何故か遠い昔のように感じる出来事。当時カスミという水ポケモン使いの少女と旅をしていたサトシとタケシはアルトマーレという街で行われる水上レースに出場するためにその街を訪れた。

そこで見事優勝したのはカスミで、本来ならあとは観光を少しして街を出るはずだった。だが、アルトマーレに伝わる伝説のポケモン ラティオスとラティアス、さらには街に隠された秘宝『こころのしずく』を狙う怪盗団との戦いに巻き込まれる。

 

 

「そこで俺たちと一緒に街の危機を救ったのがあのラティアスなんだ」

 

 

「そうなんだ」

 

 

タケシの話を聞きながら未だにサトシとじゃれ合うラティアスの姿を複雑な気持ちで見るヒカリ。

 

 

『浮かない顔だな』

 

 

「別にそんなこと……って」

 

 

そう言い返したヒカリだったがタケシでもミュウツーでもない別の声に首をかしげ、隣を見る。そこには細いしなやかな四駆の脚を地面につけ自分を見下ろすポケモンがいた。

 

 

「あ、アルセウスッ!?」

 

 

「え!アルセウス!!」

 

 

ヒカリの驚愕にサトシは反応するとその名を呼ばれたポケモンは穏やかに微笑む。

 

 

『久しぶりだなサトシ、ピカチュウ』

 

 

「久しぶり!アルセウス!」

 

 

アルセウスとは幻のポケモンであり、伝説のポケモンとは位置づけが異なる。宇宙を創造したとされ、全てを超越したとされるポケモン。その強さはシンオウ地方に伝わる伝説のポケモンのディアルガ、パルキア、ギラティナが3体で挑んでも歯が立たない程である。そんなポケモンとサトシは友だちであり、此度の戦いに参加するべく彼もやってきたのだ。

 

 

『私以外にもお前を助けにポケモンが来ているぞ』

 

 

「え、ほんと!?」

 

 

アルセウスがちらりと道しかない場所を見やるとそこが黒く染る。そしてそこから這い出るように現れたのは金、黒、赤を差し色に灰色を主体としたドラゴンゾンビのようなポケモン。反転世界の主にして、彼もまたサトシと友だちになったポケモン。

 

 

「ギラティナまで来たのか…」

 

 

シンオウ地方の伝説のポケモンがまさか1人のトレーナーのためにやってきたことに出会いの重大さに改めて感慨深い気持ちになるタケシ。反転世界からこちらの世界に来たギラティナはムカデのような体躯が変化し四足歩行になりその足を大地につける。そこにピカチュウが駆け寄ると、ギラティナはピカチュウを口でつまんで放り投げると自分の頭の上に乗せる。それにピカチュウは嬉しそうにはしゃぎ、それを見たフカマルもギラティナへと近づき放り投げられている。

さらにポッチャマもギラティナに放り投げてもらおうと彼に近づいたがその前に何者かに首を摘まれ空高く飛翔する。

 

 

「ポチャ〜〜〜〜!!?」

 

 

「ポッチャマ!?」

 

 

ポッチャマの持ち主であるヒカリはポッチャマを連れ去った空高く舞う白い翼を持ったポケモンを睨みつける。だが、サトシのみが目を輝かせ友の名を叫んだ。

 

 

「ルギア!」

 

 

オレンジ諸島の旅路で出会った幻のポケモン その名をルギア。タケシはオレンジ諸島の旅に同行していなかったため初見であるが、サトシから出会ったことがあるという話を聞いていたためそこまで驚きはしていない。しかし、先程からシンオウ地方以外からやってきた名前も姿も初めて見るポケモン達にヒカリは「すっごーい…」と言葉を失っている。

ポッチャマもルギアがサトシとピカチュウの友だちと分かると彼の頭の上に乗って夜空を眺めている。

ミュウツー以外のポケモンが好意的だったこともあって、サトシのポケモンをはじめ、ヒカリとタケシのポケモンもギラティナやルギア、アルセウスらと言葉を交わし僅かな時間で友情を育んでいった。

 

 

「ルギア来てくれたんだ」

 

 

『私が幻であること。その方が世界のため……だが今回は君のために幻であることを捨てよう』

 

 

サトシとの再会を喜ぶルギアは以前よりも少し大人びてるようで根は変わらないサトシに微笑みを浮かべる。サトシもここまで飛んでやって来てくれたルギアへと感謝の意を込めて手を差し出す。すると、ルギアは羽を先でサトシの手に触れ、握手をするように互いに手を握る。

それを静観していて見ているミュウツーは眉を潜めながら自分の周りにサトシらのポケモンがいないことに何の違和感も、寂しさも感じなかった。けれども、いつの間にか隣にいたピカチュウに気づく。

 

 

『お前も久しぶりだな』

 

 

「ピカァ、ピカチュー!」

 

 

『ああ、皆元気だとも』

 

 

ピカチュウは挨拶を交わしながらミュウツーと共にいたクローンポケモン達はどうなのかと尋ねた。それにミュウツーは微笑み混じりに答える。

 

 

『お前達も元気そうだな』

 

 

「ピカ!」

 

 

そうしてヒカリがポケッチを見れば夕食からかなり時間が経っていることに気づく。

 

 

「サトシ!もうこんな時間よ」

 

 

「うわほんとだ!」

 

 

駆け寄ってポケッチを見せるヒカリにサトシは言葉の割には慌てる様子はない。久しぶりに出会った友だちとの再会に喜んでいる間に経過した時間など彼にとっては些細なことなのだろう。

 

 

『時間が無いなら目的を手短に済ませよう』

 

 

ルギアがそう言うと、ミュウツーはコクリと頷く。サイコキネシスでサトシのバッグから空のモンスターボールを引っ張り出す。

 

 

『これで我々を一度捕獲するといい』

 

 

「え、ええっ!?」

 

 

幻のポケモンをモンスターボールに入れる。サトシはこれまで伝説や幻のポケモンに数多く遭遇したが、ゲットしようとしたことは無い。ゲットすればその地域の守り神や主がいなくなってしまうし、そもそもゲットできるのかという疑念もあるためそのような考えに至らなかった。だが、まさかポケモンの方から要請されるとは彼も予想外である。

 

 

『1日だけだ。ダークライを使う者との闘いが終われば我々は自分のいるべき所へと戻る』

 

 

そこのラティアスは知らないが、とアルセウスは言葉を飲み込んだがサトシとラティアス以外のポケモン達からは「あいつはどうするんだろう」という視線が集まっていた。

 

 

「みんなの気持ちは嬉しい……けど悪いよ」

 

 

『何がだ』

 

 

「タクトさんは多分、ダークライとバトルして勝って実力でゲットしたんだ。なのに、俺だけ決勝戦に行きたいからってみんなの力を借りるのはずるいと思う」

 

 

ミュウツーの問にサトシは勝利と自分のポケモンで勝ちたいという思いの中で揺れ動く葛藤の中でそう答えた。

 

 

『だが私たちがお前に力を貸すのは何もお前のためだけではない』

 

 

「え?」

 

 

ルギアの言葉に思わず首を傾げるサトシに代わってアルセウスがテレパシーで話す。

 

 

『ここに来た私たちはお前に助けられた。だから、今度はお前を助けたいとここまで来たのだ』

 

 

つまりは自己満足であるとアルセウスは少し自嘲するように言う。

 

 

『それにタクトというトレーナー。あれだけの伝説のポケモンを所持しているのはどこか妙だ』

 

 

以前にポケモンコレクターと呼ばれる輩にサンダー、フリーザー、ファイヤーを囮に自分をコレクションに加えようとした人間が居ることを身をもって知っているルギアはタクトに対して懐疑的であった。それはミュウツーと同じで『ただの人間に奴らが簡単に捕えられるとも思えない』と意見を出す。

 

 

「ギラティナとラティアスはどうなんだ?」

 

 

『ギラティナとラティアスは純粋に君への好意だ』

 

 

テレパシーの使えない2匹に代わりルギアが言葉を代弁するとギラティナはサトシを温かい目で見下ろし、ラティアスはカノンの姿のままサトシの腕にくっついている。

 

 

「分かった……タクトさんとのバトルだけみんなの力を借りるよ」

 

 

けれどとサトシ付け足すとピカチュウに瞳を向ける。

 

 

「6匹目はこいつだ。こいつなら相手がグラードンでもライコウとかでも絶対大丈夫だ」

 

 

サトシの期待にピカチュウはいつものように彼の肩に乗って「ピッカッ!」と勇ましく鳴いてみせるとミュウツーは首肯した。

 

 

『いいだろう』

 

 

ミュウツーの決定にアルセウスやギラティナ達も頷くと、彼らは目の前に置かれたモンスターボールに触れる。ポケモンをゲットするのは基本的に自分のポケモンで弱らせてからゲットするのがポケモン研究所やポケモンスクールでは当然とされている。しかしこのサトシという少年は、ポケモンに対して真摯に向き合い、傷ついていたら助け、仲間を欲していたら手を差し伸べる。そんな彼に惹かれてバトルを自らモンスターボールに入ったポケモンは珍しくない。

普通ならば弱らせたとしてもゲットが困難とされている伝説のポケモン達であるが、彼らはサトシに対して恩があり友情を感じている。さらに今回だけの約束も必ず守るものだろうと信じて躊躇いもなくモンスターボールへと入った。そしてモンスターが静かに3回揺れるとカチッと音が鳴る。ポケモンをゲット出来た合図のようなものである。

サトシは振り返ってジュカイン達を見る。勝ちたいという気持ちを優先させミュウツー達の力を借りるか、自分のポケモン達で全力で悔いなく戦うか。僅かに残った葛藤が顕れるように揺れる瞳で彼らを見つめているとジュカインは口角を上げてサムズアップする。それは「別に構わない」という彼なりの言葉であり、ほかのポケモンたちも笑顔でサトシの背中を押す。

 

 

「……ありがとう、みんな」

 

 

こうしてシンオウリーグ準決勝の布陣が正式に決まったサトシは翌日のバトルに備えて布団へと入りぐっすりと休む。来るべきポケモンマスター達の道は近い……。

 

 

 

……To be continued




それぞれのポケモンの紹介したいけどそれはバトルとかの時にしたらいいかなって!てことで、サトシがタクトを倒す最善策。
個人的にミュウツー、アルセウスあたりで6タテできそうな気もしますがそれでは面白くないので全員に見せ場を作りたいですね。てか、ラティアス可愛すぎな。ピカチュウとヒロインのポジションを奪っていくポケモン型ヒロインとか誇らしくないの?

ちなみに伝ポケの選出理由。
ミュウツー→映画とアニメ特別編にて登場。その際にサトシと仲を深めてたし、恩も少なからずあるだろうから来るやろなと。
ルギア→首に2回も乗せたし心許してる感凄かったし、cv山寺宏一やし来るやろ(意味不明な発言)幻のポケモンで私が幻の方がこの世界にはいい事だけど、サトシのためなら別にいいかなって!
ラティアス→この子は絶対くる。戦力になるかは別として。来た中では好感度MAX。
ギラティナ→怒りで我を忘れてたのにサトシとピカチュウを見て心穏やかにするとか最高かよ。
アルセウス→あの別れ方で友情感じてないとか神様として恥ずかしいでしょ。人の中ではダモスの次くらいにサトシのこと好きそう。
あと当たり前のように三輪セウス。こいつ来るだけで大会が終わる。ので、活躍は控えめにする予定。


来させたかったけど断念したポケモン
エンテイ→上記パーティのタイプが偏ってるので入れたかった。けどサトシママが使うならまだしもサトシじゃ来ないかなって。
ルカリオ→こいつはね……ほんとにね……来させたかったね。別個体ではなくてアーロン様と修行してサトシに心開いたね……。
マナフィ→ハルカがトレーナーなら来ただろうけど、サトシなら「スーパーマサラ人だし……」ってなりそう。ってのは半分冗談で海の王子やってる間は海を離れるの無理そうだから。
カイオーガ→でけぇんだよなぁ……いい的になりそうなのとサトシとの交流がほぼ皆無。
シェイミ→テレパシー使えるしサトシとも交流あるしええやん!ってなったけど来させるとピカチュウを出せなくなるのと上のメンバーとの交代もあったので断念。てかスカイフォルムなれないと戦闘向きじゃない。


と、ということで結果的にエスパータイプ多めになったパーティ。
真っ当な手段でダークライ倒すにはアルセウスの冤罪さばきのつぶてしか弱点を突くことができないけど、そこはご都合主義でボッコボッコですよボッコボッコ!
てか、普通に当時思ったんですけどエンテイとフロンティアブレーンの伝説のポケモンと渡り合ったリザードン使えば3体目引きずり出せたのでは?と思ってます。ラティアスはともかくダークライはキツそうだけどね!

では気が向いたらまた次回。

ロケット団の出番は欲しいか

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