サトシに本気を出させたら   作:通りすがりの魔術師

8 / 12
一番好きな映画のポケモンなので肩入れしたとかそんなんじゃないので悪しからず。


23時30分に描写表現がわかりづらい点などがあったので一部書き足しました。


ルギア 爆誕!

 

ピカチュウの技と特性を活かし、レジギガスの動きを封じたサトシ。しかし、ポケモンが残り2体のサトシに対し、タクトはレジギガスを抜いても3体残している。劣勢に陥っても諦めないサトシはタクトに勝てるのか……。

 

 

「これは驚いたな…」

 

 

レジギガスを麻痺にさせられ、タクトから出てきたのは素直な賞賛であった。タクトは手持ちの全てを伝説のポケモンにしていたが、それでも慢心せず対戦相手のスタイルやポケモンのリサーチは行っていた。その中で自らのポケモンを1匹でも倒せる可能性があったのはシンジ、次いでサトシであった。それでも戦力差は歴然でせいぜいダークライかラティオスが倒される程度に考えていた。

しかし、現実にサトシと対戦すると彼もまた伝説のポケモンを持っており、野生以外で初めて伝説のポケモンと対峙することになった。高揚感はあっても、プレッシャーはなくミュウツーやギラティナといった名だたる伝説のポケモンに怯えることなくタクトは勝ちをもぎ取った。

 

 

「嬉しく思うよ。君と戦えたことを」

 

 

そして、サトシの残りポケモンは2体。これが実質的な決勝戦だと微笑んだタクトは先程までの余裕を捨て、サトシに全力で挑む。

レジギガスを戻そうかと考えたが、ミュウツーやピカチュウからのダメージもある。それに麻痺状態に陥っているレジギガスを戻すのは得策ではない。ならば、サトシの5体目を引きずり出して、レジギガスには退場してもらい確実な勝利を得る。それがタクトの描いた勝利の方程式であった。

 

 

「さぁ、次のポケモンは何かな」

 

 

だがしかし、それはほんの数分で瓦解することとなる。

 

 

 

###

 

 

『レジギガスーーー!ついに戦闘不能!ミュウツーとピカチュウを倒した巨人は海の神によって倒されてしまいました!!』

 

 

 

サトシの5体目のポケモン、それは幻のポケモンとされ、海の神の異名を持つルギアであった。白と青の流線的なフォルムに、雄々しい目、大きく力強い翼を持つその姿はその異名は伊達ではないと思わせるに十分であった。

開幕、レジギガスをハイドロポンプで倒したルギアに対し、タクトは仕方ないと割り切った。スロースターター解除までミュウツーの技を耐え凌ぎ、ピカチュウの10万ボルトを受け続けたのだ。それでルギアに倒されるのは自明の理であると結論づけたタクトはレジギガスを戻すと次のポケモンを出す。

 

 

「ゆけ、レックウザ!」

 

 

ハイパーボールから現れたのは緑色の皮膚に黄色の紋様の入った蛇のような体躯のポケモンで、ルギアと同じく滞空し彼を睨みつける。

 

 

『タクト選手4匹目のポケモンはレックウザ!!ここにきて飛行タイプ同士の対決となりました!』

 

 

睨み合うレックウザとルギア。前者が咆哮するとルギアは静かにサトシからの指示を待つ。意外にも先に動いたのはタクトであった。彼はレックウザにげんしのちからを使わせる。ひこうタイプであるルギアにげんしのちからは効果抜群であり、タイプ一致でそこまでの威力はなくても残り2体とあとがないサトシにとってはここは避けたい。

 

 

「かわせ!」

 

 

ルギアは難なくその技を躱し、レックウザの上を取る。

 

 

「こっちもげんしのちからだ!」

 

 

サトシの指示通りげんしのちからを使う。だがそれは当たることは無かった。レックウザは身体を器用にくねらせその場から動かず全ての石を躱すと獰猛な笑みを浮かべる。

 

 

「今度はこちらだ。レックウザ、げきりん!」

 

 

げきりんとは高威力を誇るドラゴンタイプの技で、我を忘れるほど執拗な攻撃を繰り返すというものだ。連続攻撃が可能であるがその高すぎる威力の反面、攻撃後混乱に陥ってしまうのがネックとなる。しかし、タクトにはその前にルギアを倒しきれるという自信があった。長く強固な鱗を持つ身体でルギアへと向かっていく。

 

 

だが、タクトもレックウザも侮っていた。

ルギアは海の神と呼ばれる由縁を。

通常に伝わっている個体よりも遥かに強い「神」と称させる強さを持つ伝説の三匹の鳥ポケモンを圧倒する力を。

 

 

「な!?」

 

 

レックウザがルギアに接近するよりも前に、ルギアは大きく羽根を広げるとそれをレックウザへと向けた。すると、レックウザの長い身体は大きく吹き飛ばされてしまい、技を発動することが出来なかった。風圧だけでレックウザの技を解除したルギアの凄さに会場は「お〜〜!!」と盛り上がりを見せる。一方、自慢の技を風ごときで封じられたレックウザは歯噛みし、その持ち主であるタクトは驚きの声を上げる。

しかし、まだ戦いはこれからだと気合いを入れ直したタクトとレックウザに、ルギアは太陽を背をして彼らを見下ろす。圧倒的な威圧感と強者の風格を漂わせるルギアの姿に、先程まで闘争心に満ち溢れたレックウザにはどこか汗が浮かんでいるように見え、タクトも眩しいのかそれとも焦りを感じているのか浮かべている表情はとても険しい。

そして、ルギアとサトシはそんな彼らを真正面から見据えた。もう残りわずかなポケモンしかいないというのにその顔には必ず勝利をもぎ取ると決意と本気が感じ取れる。ルギアは竦んだ彼らに対して挑発とも取れる警告を促す。

 

 

「いのちをかけてかかってこい」

 

 

生半可な気持ちでは私には勝てない。ルギアは暗にそう語り、それはまさにその通りであった。

 

 

 

 

###

 

 

 

 

『つ、強い……!ルギア!レックウザを一撃でノックアウト!!』

 

 

「スゲーーー!!?」

 

 

「海の神様ヤバすぎるだろ!!!」

 

 

会場から大歓声が上がり、タクトは苦闘の表情が浮かべながらボロボロになった雑巾のように地面で伸びているレックウザをモンスターボールに入れた。顔を上げると地面に足をつけたルギアがサトシと仲つむまじく何やら話している。周りの声でその内容はうかがい知れないが、サトシの顔を見るにルギアの健闘を褒めているのだろう。

 

 

(一瞬だった……)

 

 

それに対してタクトは拳を握りしめた。不覚だったと、自分の力を過信しすぎた自分に憤りをかんじた。あの挑発を受けてレックウザは怒りを剥き出しにし、タクトも負けじとルギアに果敢に挑んだ。しかし、結果はこの通りだ。レックウザがルギアの上を取った瞬間であった、それを狙っていたかのようにサトシからルギアへの指示が出たのだ。

 

 

(エアロブラスト……なんて威力だ)

 

 

きっとサトシは最初から狙っていたのだろう。恐らく、上から放てば会場が倒壊する恐れがあったので、それを避けるために頭に血が上ったレックウザを空へと上げたのだろう。それに気付かず、易々とレックウザを倒されたのはタクトの失態であった。自分がまだまだ未熟ものであると感じずにいられないタクトは彼らを眩しいものを見るように見つめる。これは力の差なのか、それとも絆の差なのか。タクトはこれまで自分がポケモンと過ごした時間を思い返す。伝説のポケモンのトレーナーになったからと慢心していたのではないか、勝手にチャンピオンになった気でいたのではないか。

伝説のポケモンが普通のポケモンより強いのは当たり前だ。今までダークライのみで連戦連勝を重ねていたタクトがそれはよく知っている。けれど、同じ伝説のポケモン同士の戦いがここまでとは思わなかった。しかも、サトシは1匹だけ普通のポケモン…ピカチュウを投入してきた。それが自分との力の違いなのかとタクトは考える。

 

 

「これはもう油断出来ないな…」

 

 

ボソリと湧き上がる会場の中で呟いたタクトは5体目のポケモンが入ったモンスターボールへと手をかける。全ては目の前にいる自分史上最強のライバルに勝つために、今までの自惚れていた自分を捨て去るために。慢心を捨てたタクトはサトシを睨みつける。

 

 

────伝説、幻ポケモン大決戦となったシンオウリーグスズラン大会準決勝。残りポケモンが共に2体となったサトシとタクト。いよいよラストスパートとなったバトルに勝つのは一体どちらなのか……。

バトルは続く。続くったら続く。

 

 

 

……To be continued

 

 

 

 

 

 

 

 

 




個人的にサトシの手持ちの強さ順は アルセウス>ルギア>ミュウツー=ギラティナ>ラティアス>ピカチュウとなっております。レジギガスはスロースタート前ならミュウツー、ギラティナが本気出せば倒せるくらい(ぶっちゃけ、ミュウツーは舐めプした)。発動後はちょっと厳しいがルギアならエアロブラストで確殺できる。それくらい強い………いや、あの3体相手にできるんだから当たり前だと思うし、なんなら笛吹けば無限復活みたいなもんだからチート。そしてシンオウ神ポケモン3体をフルスペックじゃないのにボコれるアルセウスって一体…。


補足
サトシの伝説、幻のポケモン→映画で出会った強個体(ゲームでいう個体値MAX 特別な技を覚えているなどなど)シロナのガブリアスでも倒せてラティアスくらいというチートスペック集団。

タクトの伝説、幻のポケモン→ゲームなどで捕獲できる個体とほぼ同一
でありサトシが出会っていない個体。レックウザは隕石を破壊してないし、ダークライはディアパルと戦ってないし、レジギガスは氷山から出てきたりフロンティアブレーンに会ったりしてないし、ラティアスは死んでない。以後登場する二匹も同様。

最強の伝説幻ポケモン厨になるなら劇場に足を運ぶか、スーパーマサラ人に転生するべし…!

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