急報を受けた蒼莱隊は西方へ移動し、旭日艦隊の警戒機からの誘導を待っていた。
『こちらフクロウ、こちらフクロウ。貴隊の所属を述べよ』
旭日艦隊所属の警戒機『星鵬』から無線が入ってきた。
『こちら隼1』
『確認した。国籍不明機は機種は不明なれど大型機と思われる。敵性航空機の可能性あり。敵性航空機は貴隊より西へ直進の位置、高度1万2千。発見次第迎撃せよ』
『隼1了解。各機、1万5千まで上昇』
蒼莱隊は更に高度を上げて、高々度からの捜索に入る。
「何処だ?」
ムー人パイロットの隊長を勤める、マルコ大尉は目を凝らし、ゴーグル越しに下方に視線を向けて不明機を探す。
「ん?」
その時、雲の切れ目から太陽光による反射光が見えた。
「教官殿!9時下方に不明機発見!」
『よくやった!9時下方だな?』
蒼莱隊は彼が発見した位置に移動し確認する。
「なんだアレは!?」
雲が晴れて正体不明の大型機が姿を表した。
『デカい!』
『まるで怪物だぜ!』
『あんなのが空を飛ぶのかよ!?』
ムー人パイロット達がそう表現するソレは、6発のエンジンを備えた超大型重爆撃機だった。
『なんだアレは?米国のB32並だぞ』
『前に見たヨルムンガンドより大きいな』
『見ろ!あの機体に描かれてるのはグラ・バルカス帝国の国章じゃないか?』
米国の超重爆B32フライングデビルに負けない巨体を持つ爆撃機にはグラ・バルカス帝国の国章が描かれている。数は13機で、この規模の爆撃機としてはかなりの数であった。
ムー人パイロット達は敵重爆を見て気圧されているが、マルコだけは違った。
「皆、情けない事を言うな!!奴らが象なら、こっちはチーターだと思え!教官殿!自分に先陣を切らせて下さい!」
『駄目だ!!お前達はまだ蒼莱の実戦経験が無い!そんな奴が突っ込んでも落とされるのがオチだ』
「しかし」
『落ち着け。俺達はお前達が蒼莱を上手く使いこなせる様に此処に居るのを忘れたか?お前達は厳しい訓練を耐え今此処に居るんだろう?だからよく見ておけ!俺たちがお前達に教えようとしている事を……………行くぞ!!』
日本人教官達が操縦する蒼莱6機が敵爆撃隊へ向けて、斜め後ろから仕掛ける。
『何っ!?まさか!!』
敵爆撃隊の後方に居た機体の銃座に居た射撃手が蒼莱の存在に気が付いた。
『敵機、6時上空!』
爆撃機の銃座が一斉に射撃を始めるが、蒼莱はそれを巧みに潜り抜け、機首の8式57ミリ機関砲が火を吹き、徹甲榴弾が浴びせられた。
『やった!』
砲弾は敵機の右エンジン1基と右主翼付け根に直撃し、炎上と同時に爆発し主翼が千切れ、錐揉み状に落下していく。
『続け!』
続けて他の蒼莱も敵重爆機に向けて機関砲を放ち、次々と叩き落としていく。
「凄い…」
『こちら隼1!お前らも続けて来い!』
「はっ!行くぞお前ら!」
マルコ率いるムー人の蒼莱も続けて突撃を仕掛け、訓練通りに敵機に向けて機関砲を放つ。
『大尉!横滑りをさせろ!突っ込みが甘い!』
「はい!」
戦闘中でも日本人教官からの指導は入り、マルコは蒼莱を操縦しながら敵機に食らい付く。
「落ちろ!」
マルコは1機の敵重爆の下方から機関砲を浴びせた。すれ違い様に後ろを見ると、敵機は炎上しながら落ちていくのが見えた。
『全機、この空域から脱出する!』
瞬く間に9機が落とされた敵爆撃隊は進路を変えて、その場から逃亡を図る。
『振り切れ!エンジン出力最大だ!!』
「逃がすか!」
マルコはスロットルレバーを前に押し込みエンジン出力を上げる。蒼莱はみるみる加速し、敵機に追い付く。
「いけぇぇぇ!!!」
引き金を引いてありったけの機関砲弾を放ち、敵機を落としていく。
「これで最後だぁぁ!!」
残り1機に向けて最後の数発を浴びせ、敵機は炎上。機体が前と後ろに引き裂かれていった。
「やった!」
『よくやった大尉!』
蒼莱隊は西の方角からムー本土に侵入したグラ・バルカス帝国軍の新型超大型爆撃機を13機撃墜と言う、輝かしい戦果となった。
しかし、グラ・バルカス帝国が放った刺客は西からだけでは無かった…………
「ん!?」
北方向から敵機侵入との報を受けたムー海軍航空隊のデン・セイが迎撃に上がっており、大型機の編隊を発見し接近する。
「何っ!?空軍だと?」
ムー海軍パイロットが見たのは、空軍所属のラ・カオス輸送機の編隊だった。
「何故輸送機がこんな所に?しかも皆、敵機が居る方向に向かってる」
輸送機の編隊は全機で10機程。護衛の戦闘機も伴わず敵機の居る北へ機首を向けている。
「ん?」
海軍機のパイロットはある事に気が付く。
ラ・カオスの機首から大砲の砲身が伸びており、コックピット後方と機体下面には合計6門の3連装機関砲の砲身が見えている。
「まさか……あの大砲で敵機を?」
機首から伸びている大砲の砲身は非常に長く、口径も大きく見え、機体の上面と下面の連装機関砲も同じく銃身が長く、パイロットは空軍の輸送機が只の輸送機ではないと気付き、興味が湧いたのか、無線でその輸送機編隊の指揮官に連絡を入れた。
「これより我が隊は貴隊の護衛に就く!」
『協力感謝する!』
無線を切り、パイロットは笑みを浮かべた。
「見せてもらおうか?何をする気かだいたい想像はつくが、お手並み拝見と行こう」
続く
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