後世日本国召喚 新世界大戦録   作:明日をユメミル

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第109話

天の川作戦が終了し、いよいよグラ・バルカス帝国に対する反抗作戦の開始が近付いてきた。

先のアルー攻防戦後に大規模な前線基地として生まれ変わったアルー前線基地。

 

アルー要塞を囲むように建設されたアルー前線基地は日本とムーの全ての航空機が運用可能な滑走路と格納庫、日本とムーの他に反抗作戦に参加する諸外国の兵士が寝泊まりする兵舎や娯楽施設が設けられ、車両訓練や射撃訓練が可能な森を伐採して作られた訓練場など、かなりの規模に仕上がっている。

 

 

そんな基地の訓練場内を夜豹師団所属の瀬戸少将率いる5式改や9式の戦車連隊が射撃訓練を行なっていた。

 

 

「撃て!」

 

 

ドンッと腹に響くような音が連続して響き、標的の鉄板に大穴を開ける。

 

 

「撃ち方始め!」

 

 

別の場所では機動歩兵連隊所属に所属している6輪の装輪装甲車から歩兵達が飛び降りて敵が居る方向に向けて手にしている小銃による射撃を行う機動訓練を行なっている。

 

 

「当たらん!」

 

「単発で撃て!無理に連射で撃つ必要はない!」

 

 

 

歩兵達が手にしている小銃は従来のボルトアクションや射程距離が短い短機関銃ではなかった。

左右非対称の木製銃床と木製の握把、20発の弾丸が入ったマガジンを装着した新型銃であった。

 

 

「クソ!重い!」

 

「弾倉が挿しにくいったらないぞ!!」

 

 

しかし一部の兵士からはかなり酷評されているものの、まだ配備されたばかりの新型銃なため慣れていないのだろうが、時間が経過すればその言葉は無くなるだろう。

 

その実、その小銃は後世日本と前世日本の技術によって産み出された物で、前世からの転生者でその分野に詳しい者が見れば、戦後日本が開発・国産した自動小銃『64式小銃』に見えるだろう。

その小銃も先のアルー攻防戦で活躍した9式戦車の大本である74式戦車と同様に、前世からの転生者の記憶や、クワ・トイネのリーン・ノウの森から発掘された遺物の中にあった64式小銃の実物を元に後世日本の技術力によって設計段階から更なる手直しが加えられ真に完成度の高い小銃に生まれ変わったその銃は『9式7・62ミリ小銃』として制式化され、現在は夜豹師団に優先配備されている。

 

 

 

一方でムー陸軍でも、新兵器を使った訓練が行なわれていた。

 

 

 

「戦車小隊前進!!」

 

 

 

ムー陸軍の車両用塗装が施された97式中戦車が土煙を上げながら前進し、その後ろ多数の装甲トラックが続く。

 

 

「敵襲!!」

 

「降車!展開せよ!!」

 

 

空砲の音が響き、97式が停止すると、後方の装甲トラックから騎兵銃を携えたムー歩兵が一斉に飛び降りる。

 

 

「者共、出合え!出合え!」

 

 

そんなムー歩兵と共に刀や薙刀を携えた日本の戦国時代の合戦場に居た雑兵のような格好をした兵士、立派な兜を被って雑兵よりも高価であろう装飾と家紋が描かれた甲冑で全身を固めた指揮官らしき侍のような風貌の甲冑男がらしき者がトラックから降りる。

 

 

「伏せぇぇい!!」

 

 

甲冑男の号令で雑兵達は一斉に地面へと伏せる。

 

 

 

 

「小隊前進!」

 

 

先に降りたムー歩兵が戦車を盾に前進し、敵が居ると思われる藪のに向けて空砲による銃撃を加える。

 

 

「よぉし、今が好機じゃ!!者共掛かれぇぇい!!」

 

 

法螺貝のような巨大な貝殻のから発せられる音を合図に雑兵達は一斉に立ち上がり、槍兵を前に藪に向けて突撃を仕掛ける。

その後を刀を携えた雑兵が続き、藪の中に入り込むと機関銃陣地や塹壕に居た敵役のムー歩兵が接近戦や格闘戦に持ち込まれてしまい、双方の兵同士の乱闘状態に入った。

 

 

「うぉぉぉ!!」

 

 

その中で一番やる気を出していた甲冑男が木刀で敵役を次々と切り伏せて、倒した敵役の頸を取る真似をしながら頸の代わりに被っていたヘルメットを取り上げ、最後は陣地の敵役を全ての討ち終えて、雄叫びをあげた。

 

 

 

「敵陣地、このシダケが討ち取ったりぃぃぃぃ!!!!!」

 

 

 

この訓練に参加していた反抗作戦作戦に参加している諸外国軍の1つであるフェン王国から派遣された、フェン王国の強者と名高い武将の1人『シダケ・ゲタン』率いる軍勢は陣地を占領し、全員が雄叫びを上げた。

 

 

その勢いにおいてけぼりの敵役のムー歩兵達は、疲れ果てた様子だった。

 

 

「化け物かよ奴らは……」

 

「仲間がやられても無視して突っ込んでくるんだぜ………噂通りだな、奴等が死をも恐れないってのは」

 

「あぁ言うのが案外手強いんだよな。なまじ連中は接近戦が得意だし、こっちが銃剣やシャベル使って仕掛けても直ぐにやられるから余計に始末に終えないんだよ」

 

「アレが持ってる俺たちのヘルメット、実戦じゃ人間のアレなんだよな?つくづく味方で良かったぜ」

 

 

 

 

 

その様子を遠くから見守っていた熊谷とアーレイ将軍は……

 

 

 

「張り切っていますなぁ」

 

「天の川作戦が成功した今、反抗作戦開始まで秒読みの段階ですからな。嫌でも熱が入るものです」

 

 

指揮所から部下達の訓練を見ながらそんな話をしている2人。

既に反抗作戦を行う日本とムー、そしてその他の諸外国軍で編成された多国籍軍内ではムー大陸のグラ・バルカス帝国軍を排除する反抗作戦が近い事を予見しており、実際に訓練や演習の頻度が増え、シナリオについてもリアルになってきている。

 

 

「アーレイ閣下、統括軍本部よりお電話が入っております」

 

「来たか」

 

 

電話の受話器を取ったアーレイ将軍。電話の向こう側に居る担当者からの話を手短に済ませると、受話器を置いて熊谷に顔を向ける。

 

 

「熊谷閣下、本部より召喚命令です」

 

「了解した。星電を待たせてあるので、それで本部に行きましょう」

 

 

2人は、滑走路に待機していた星電に乗り込みそのままオタハイトへ飛び、統括軍本部へと入った。

 

 

 

 

 

そして、反抗作戦開始のXデーが2人に通達、命令書が手渡された。

 

 

作戦名は『鋼鉄の槍』と命名された。

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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