後世日本国召喚 新世界大戦録   作:明日をユメミル

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第111話

時計が午前3時を示すと同時に鋼鉄の槍作戦発動の電文が一斉に打たれ、待機していた多国籍軍の地上部隊が動き出した。

 

「前進!!」

 

 

地上部隊の前衛を勤めるのは日本陸軍夜豹師団、中衛はムー陸軍第1、第2、第3師団が勤めており、歩兵を中心とするフェン王国軍やクワ・トイネ公国軍、ロウリア軍はトラック等の車両による支援を受けながら前進を開始する。

部隊の一番先手を勤める夜豹師団の偵察部隊は、最新の装輪偵察警戒車を装備しており、車輪による高速移動により、国境地帯に待機していたムー陸軍国境警備隊と合流した。

 

 

「お待ちしていました!」

 

「この辺一帯の地雷の状況は?」

 

「はい。ここからヒノマワリ王国に向いている北西側には地雷が既に埋設されている可能性があります」

 

「了解。敵の姿は?」

 

「地雷原の先に国境監視所があります。敵戦力は恐らく200程です」

 

「よし、先ずは地雷を処理する。伝令!!」

 

「はっ!」

 

「工兵隊に連絡し、地雷原の地雷を処理させるんだ!」

 

「了解!」

 

 

 

偵察隊からの連絡を受けて、夜豹師団工兵隊が到着した。この時、工兵隊には地雷原の地雷を一気に処理できる最新装備が保有していた。

 

 

「地雷原処理車用意!」

 

 

 

その合図で大きな鉄製の箱を載せた一台の装軌車両が姿を表し、地雷原の前まで移動して停車。すると車体後部の各張った箱が油圧により持ち上げられ斜め上に向けられた。

 

 

「角度よし、方位よし、投射用意……投射!!」

 

 

その時、箱から1発の誘導弾らしきものが打ち出され、地雷原の真上で誘導弾と弾体が割れて、V字型にワイヤーで繋がれた26個の爆薬が地雷が埋まっている地面の上に落下すると同時に爆発、地雷を埋まっていた地面ごと吹き飛ばした。

 

 

「第2射用意……投射!」

 

 

続けて2両目の車両から2発目が発射され、更に奥の地雷原にも大穴を開ける。

 

 

「凄い、あっという間に地雷原を……」

 

 

工兵隊が感心するその車両、リーン・ノウの森で発見された前世戦後日本の自衛隊車両の1つ、92式地雷原処理車を元に開発された『8式地雷原処理車』の威力は想定通りに発揮され、部隊の進撃路を切り開いた。

 

 

 

地雷原処理の報告が本部に成されると、次の策として夜豹師団砲兵隊の出番である。

 

 

「よし!コイツの威力を見せる時が来たぜ!!」

 

 

師団砲兵隊も他の部隊と同様に新型装備を持っており、その装備が姿を表した。

戦車のような車体上に載せられている艦載砲のような砲の砲身はこれまで日本陸軍が保有してきた榴弾砲の口径を上回り、輸送トラックから降ろされた砲弾も艦載砲に使用されているような巨大なものである。

 

そして次に姿を表したのは、前述のものよりもほんの少し小振りで砲身もやや細いが、それでも砲身長は頭1つ抜けており、各張ったデザインの装甲が施された砲塔から伸びる長い砲身は見る者を圧倒する。

 

 

これらの装備もリーン・ノウの森に残されていた車両の1つ、203ミリ榴弾砲と99式155ミリ自走榴弾砲を元に開発された砲で、前者は『8式20糎榴弾砲』、後者は『9式15糎自走榴弾砲』として制式化されている。

双方が持つその強大な火力と射程距離はそれまでの榴弾砲を遥かに上回り、味方地上部隊に絶大な砲兵火力を提供できると期待されている。

 

 

 

「デカイな。重巡の主砲くらいはあるぞ」

 

 

 

新米の砲兵隊の兵士は上に向けられていく大口径の砲身を見て驚きを隠せないでいたが、直ぐに思考を切り替えて各々が担当する砲に砲弾と装薬を装填していく。

 

 

「こちら雷、用意よし」

 

『了解。諸元を送る』

 

 

地雷原の奥にある国境監視所の上空を旋回している多国籍軍の航空機と偵察隊として行動している観測員からの報告を元に諸元の算出、砲身の仰角と旋回角の調整が行われ、砲撃準備が整う。

 

 

「試射用意!」

 

「撃てぇ!」

 

 

ドンッ!と大口径砲独特の巨大な発射音と共に203ミリと155ミリ榴弾が放たれると、直ぐ様砲兵が砲弾の再装填を実施する。

 

 

『弾着……今っ!』

 

 

砲弾は国境監視所と防衛線の少し手前に着弾する。

 

 

 

『弾着、敵数百メートル手前』

 

「了解!諸元送れ!」

 

 

送られてきた修正諸元を元に今度は修正射が行われる。

 

 

「修正射!撃てぇ!」

 

 

修正射は次に敵の頭上から降り注ぐ形で着弾する。

 

 

『全弾命中!同一諸元のまま効力射!』

 

 

敵に対して最大限の効力がある効力射が行われ、同時弾着によるTOT射撃場による砲撃を行う。

 

 

「撃てぇ!」

 

 

今度は各砲がタイミングをズラして砲撃し、全ての砲弾が国境監視所に同時弾着、同時爆発が起きた。

砲兵隊はそのまま砲撃を続行し、10射目で漸く砲撃が止まった。

 

 

『砲撃による効力は絶大。敵監視所並びに防衛線は甚大な被害を与えてると認む』

 

 

砲兵による砲撃が止まると、待機していた瀬戸少将率いる5式改で編成された戦車隊を前衛に機動歩兵連隊を載せた装輪装甲車、そしてフェン王国兵とクワ・トイネ公国兵を載せた多数のトラックが処理された地雷原の中を列をなして無事に突破に成功する。

そして、砲撃によって破壊された国境監視所を突破、無事に国境を越えてヒノマワリ王国へ突入する。

 

 

 

「敵襲!」

 

 

 

国境を越えたと同時に監視所から退避に成功していた敵の国境警備隊が防衛線に籠りながら、機銃掃射と対戦車砲による攻撃を仕掛けてきた。

 

 

「目標前方の対戦車砲、撃てぇ!」

 

 

戦車隊は直ぐ様反撃して対戦車砲を虱潰しに破壊していく。敵が使用してくる対戦車砲は57ミリ榴弾と47ミリ砲であり後述の47ミリ砲は距離によっては戦車に大きなダメージを負わせる事ができる厄介な存在なため、戦車隊は対戦車砲を優先して破壊していく。

 

 

「総員降車!」

 

 

敵歩兵による機関銃攻撃に対しては、歩兵連隊が対処を行い、携帯噴進砲と重機関銃による攻撃で敵機関銃を黙らせていく。敵歩兵もライフルによる射撃を行うが機関銃程の火力は無く、しかも元から機関銃の数が少なかったせいか機関銃は早々に沈黙し残ったのは歩兵のみであった。

 

 

「頃合いだな。後ろの侍がそろそろ出たがってるみたいだ」

 

 

後ろを振り向くと、既にトラックから降りてきていたフェン王国兵の兵士が突撃は今か今かと待っていた。

 

 

「連中に花を持たせてやるか」

 

 

突撃の合図を伝令兵が伝えると、まるで堰が外れた鉄砲水の如く、フェン王国の軍団が一斉に駆け出した。トラックと戦車が道を開けると、指揮官が腰から提げていた刀を引き抜いて敵に向ける。

 

 

「掛かれぇぇぇぇ!!!!!」

 

 

その掛け声と共に太鼓が鳴らされ、フェン王国兵が雄叫びを挙げ、槍兵が前に出て、自身の身長よりも遥かに長い槍を両手で持ちで構えて穂先を帝国兵に向けて防衛線陣地に仕掛ける。

 

 

「キエェェェェェェェェェェェェ!!!」

 

「ヒャアァァァァァァァァァァァァ!!!」

 

「う……撃て!撃て!撃て!」

 

 

帝国兵はライフルを撃って止めようとするが、王国兵達は撃たれた仲間の屍を乗り越えて突撃の勢いを落とす事はせず、雄叫びを挙げ続けながら迫る。

 

 

「駄目だ!距離が近過ぎて狙いが定まらない!!

 

「アイツら止まらない!!止まらねぇ!」

 

「撃てよ!早く撃てよ!」

 

「もう弾が無いよぉぉ!!」

 

 

その時………

 

 

 

「魔導銃隊、放てぇぇ!」

 

 

 

帝国兵の物とは違う銃声が響き渡る。

 

 

 

「奴等、銃を持ってやがる!」

 

 

 

王国兵の後方には、魔導銃を手にした王国軍に新設された魔導銃隊が帝国兵達を狙っていた。

最初の一撃を放った兵士達が下がると、2列目の魔導銃兵が構えて発砲し下がると、3列目の魔導銃兵が発砲してくる。

 

 

「3段撃ちか……織田信長がやった戦法だな」

 

 

3段撃ちとは、戦国時代の武将『織田信長』が考案したとされる鉄砲の一斉射撃戦法であり、長篠の戦いで武田勝頼率いる武田騎馬隊に壊滅的な被害を与えたと言われている。

そんな撃ち方を何故フェン王国軍が知っているかは定かではないが、3段撃ちは効果を発揮し、命中しないまでも帝国兵を怯ませて味方の突撃を支援するという効果を存分に発揮している。

 

 

 

「キエェェェェェェェェェェェェェェェ!!!」

 

 

 

魔導銃隊に支援された王国軍の一番槍が遂に敵陣地内に突入に成功した。

戦車隊の砲撃で破壊された有刺鉄線の隙間から一気に雪崩れ込んだフェン王国軍は帝国兵との乱戦に突入した。

 

 

「ハァァァァァァァァァッ!!!」

 

「ガァッ!!」

 

 

帝国兵は槍兵の槍の一突きにより次々と倒され、ライフルに銃剣を装着して果敢に挑む帝国兵はライフルよりも遥かに長い槍により敵兵に銃剣を突き刺す前に槍の一撃を受けて絶命していく。

 

 

「調子に乗るな!」

 

 

弾切れになったライフルを捨てて拳銃で反撃し数人を倒す事が出来た帝国の将校や、まだ残っていた機関銃で反撃して十人以上の王国兵を倒せた帝国兵も居たが、槍兵の後続として突入してきた刀持ちの王国兵達による斬撃に見舞われ切り伏せられていく。

 

 

「なぁお前敵なんだろ?敵なら首を置いてけ!首を置いてけ!首を置いてけ!」

 

 

刀持ちの王国兵を指揮していた、赤い甲冑を身に纏った1人の王国軍武将がすっかり逃げ腰の帝国兵に向けて鬼気迫り、向かってくる帝国兵の頚を次々と刎ねていく。

 

 

「お前が此処の敵将か?首を置いてけ!」

 

「貴様ぁぁ………この私が誰か知ってるのか!」

 

「知らん!首を置いてけ!」

 

「このぉ……舐めるな!」

 

 

敵の指揮官らしき将校を見つけたその武将は、サーベルを引き抜いて仕掛けてきた将校を見て、笑みを浮かべる。

 

 

「その勢!だったら俺も全力で行くぞ!」

 

 

武将は刀を構えると将校との斬撃を行うが、将校のサーベルが刀の一振りで折れてしまった。

 

 

 

「バカな!クソぉぉ!!」

 

 

 

将校はサーベルを捨ててホルスターから拳銃を引き抜こうと手を伸ばすが、武将は刀を振って将校をあっさりと切り伏せた。

 

 

「敵将打ち取ったりぃぃぃ!!!!」

 

 

武将『サシヒ・ヨマヅ』は、部下の兵士達に高らかに宣言を行い、その場の士気を大いに上げたと同時に作戦の緒戦に於けるヒノマワリ王国突入一番槍としての役目を見事に勤め上げた。

 

 

 

 

 

続く




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