後世日本国召喚 新世界大戦録   作:明日をユメミル

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第112話

国境監視所を制圧しヒノマワリ王国に突入した多国籍軍は、国境監視所を橋頭堡として確保し、作戦の第二段階『バルクルス基地攻略』のため部隊の進撃速度を上げて前進を開始する。

 

 

「予定ではそろそろだな」

 

 

熊谷の右腕に装着されている腕時計は午前6時を示している。

 

 

 

 

その頃、ムー大陸西方海域に展開している旭日艦隊。

作戦に従い、バルクルス基地への直接攻撃を実行に移そうとしていた。

 

 

 

「これより秘匿兵器の一部使用自由を宣言する!航海日誌に記録!」

 

 

大石が懐から鍵を取り出し、艦橋の天井ある鍵穴に鍵を差し込み右へ回す。この鍵を回す事により、日本武尊に搭載されている秘匿兵器の使用が可能になる。

 

 

 

「2式誘導噴進弾、発射用意!」

 

 

 

日本武尊の艦首甲板に備えられた垂直発射装置の扉が開く。

 

 

 

「発射用意よし!」

 

「目標、敵バルクルス基地!撃てぇ!!」

 

 

 

大石の合図で艦首の発射装置から煙が吐き出され、次の瞬間には発射口から誘導弾が次々と撃ち出されていき、全てムー大陸方向を飛び去っていく。

 

この『2式誘導噴進弾』は、かつて独国中枢への攻撃を意図した心臓作戦に於いて、ヒトラーの提案によりグルッフ重工業が開発した28センチ『ゲルマン砲』、80センチ『ヒトラー砲』が置かれたドーバー海峡の砲台攻撃に使用された日本武尊最大と言える秘匿兵器である。

誘導は本体内のジャイロコンパスが行い、最終段階では目標が発する熱源を捉えて接近する赤外線誘導方式の両方を採用しており、目標を確実に破壊できる様、弾頭はロ号弾頭が使われている。

 

日本武尊から放たれた2式誘導噴進弾の目標はヒノマワリ王国からムー方面に向けられているレーダーサイトとバルクルス基地で、2目標への同時攻撃が行われる。

10発の2式のうち半数の5発はレーダーサイトへ向けて突入する。

 

 

「敵襲!」

 

 

レーダーサイトを守る防空部隊が迎撃を開始するが、直後に2式はレーダーサイト直上で爆発。ばら蒔かれた燃料に着火と同時に辺り一帯に熱波と衝撃波が広がりレーダーサイトと防空部隊を丸ごと吹き飛ばした。

 

 

 

 

最早、目を失ったも同然の敵防空網を堂々と飛行する残りの2式は亜音速で、バルクルス基地へと近付いていく。

バルクルス基地の防空レーダーが2式を捕捉し、基地全体に警戒警報が鳴り響いた。

 

 

「ガオグゲル閣下!敵襲です!」

 

「敵襲だと!何処からだ!」

 

「西の方角から超高速で接近する目標をレーダーが捕捉しています!」

 

 

バルクルス基地を預かる帝国陸軍第8軍団団長『ガオグゲル・キンリーバレッジ』は遂一時間前に国境監視所からの最後の通信であった敵襲の報とレーダーサイトからの通信途絶を受けて、基地の地下に作られた作戦指揮所で迎撃の指揮を行っていた。

そこにもたらされた報告にガオグゲルは部下に詳細な報告を求めた。

 

「目標数は?」

 

「5機です」

 

「あとどれくらいで此処に到達する?」

 

「速度から見て後数分程かと」

 

「直ぐに迎撃のアンタレスを出せ!防空部隊にも対空砲による攻撃態勢をとるように!」

 

 

ガオグゲルの指示の元、迎撃部隊のアンタレスが格納庫から出され、基地防空部隊の高射砲と機関砲が西の空に向けられる。

 

 

「エンジン回せ!急げ急げ!」

 

 

待機していたアンタレスのエンジン始動が行われ、格納庫内にレシプロエンジンの音が響き、プロペラの風圧が辺りに広がった。

 

 

「車輪止め外せ!行くぞ!」

 

 

パイロットがランディングギアのロックを外し、機体を自走させ格納庫から出し、滑走路へと出る。

 

 

「管制塔、離陸許可を!」

 

『了解。離陸を許可する!』

 

「よし!」

 

 

パイロットがスロットルレバーに手を掛けたその時、防空部隊の高射砲と機関砲が攻撃を開始した。

 

 

「おい、まだ早いぞ!離陸出来ないじゃないか!」

 

 

ふと上を見上げると5つの光点がこちらへ向けて信じられない速度で接近してくるのが見えた。5人のパイロット達は直感で、もう離陸は間に合わないと判断し、乗っていた機体を捨てて、近くにあったコンクリート製の倉庫へと一斉に飛び込み、空いていた鉄製の扉を閉めて中に積み上げられていた食料が詰まった麻袋で扉にバリケードを作って身を低くした。

 

 

その直後、5発の2式は滑走路直上で爆発し、爆風と熱波が放棄されたアンタレスと格納庫、更には防空部隊の高射砲と機関砲、管制塔を吹き飛ばして尽く破壊し尽くし、木造の兵舎と車両格納庫にも大きな被害を与える。

 

 

「うぉぉぉっ!!!」

 

 

爆発の衝撃が地下司令室にも及び、ガオグゲルは何事かと思った。

地上の様子を見るための潜望鏡を覗き込むが、スコープ越しには黒煙しか見えず様子は分からなかった。

 

 

「警備兵は私に着いてこい!」

 

 

ガオグゲルは3人の兵士を伴って司令室から飛び出し、階段を登って、扉を開ける。

 

 

「これは………!?」

 

 

目の前に広がっていたのは、ロ号弾頭の爆発により倒壊した航空機格納庫と管制塔、原型を留めない程に破壊されたアンタレスと対空砲があり、少なくとも航空基地は完全に無力化されていた。

 

 

「誰か!誰か居ないのか?居たら返事を!」

 

 

ガオグゲルがそう呼び掛けると、食料庫の扉が開いた。

 

 

「閣下!」

 

 

直前に食料庫に逃げ込んでいたあのパイロット達が外へ出てきた。

 

 

「おぉ!無事だったか!」

 

「申し訳ありません。機体を捨てて逃げてしまい」

 

「そんな事は気にするな!貴重なパイロットが生き残ってくれただけでが幸いだ。何が起きた?」

 

「分かりません。あの食料庫に逃げ込んだ直後に轟音と衝撃が来ました」

 

「そうか」

 

 

ガオグゲルは取り敢えず航空基地が破壊された事により、敵の侵攻が近いと判断。基地に駐屯している帝国陸軍第8軍団の指揮下にある第5師団と第6師団に敵の侵攻を食い止めるため、直ちに迎撃態勢を取るように指示し、直後から軍団の地上部隊がバルクルス基地をを守るため動き出した。

 

 

 

 

 

バルクルス基地攻撃成功は暗号に変換され、直ちに多国籍軍に伝えられる。

 

 

「此処までは順調だな」

 

「えぇ。次の敵基地の主力部隊との戦闘ですな」

 

 

多国籍軍司令部には、先行している偵察部隊からの報告によりバルクルス基地から第8軍団の地上部隊が動き出しているのが報告されており、これもバルクルス基地攻略に於ける作戦のうちであった。

 

 

「これよりバルクルス基地攻略の第2段階に移る!敵地上部隊に対する攻撃を実行する」

 

 

熊谷の指示は有線通信により直ぐ様伝達され、多国籍軍地上部隊は作戦を開始する。

向かってくる敵地上部隊に対して多国籍軍地上部隊は3つに分かれた。

 

3つに分かれた地上部隊は3つの攻撃軸となり、それぞれ軸には戦車部隊を中心とした機甲部隊が前衛に置かれ、その後ろを歩兵が固める。

攻撃軸は全て敵地上部隊を真正面と左右から包み込む様に展開、敵を包囲攻撃する戦術である。

 

 

 

「先ずは敵さんに挨拶と行こう。砲兵連隊に砲撃準備を下命せよ!」

 

 

熊谷の命令は待機していた砲兵隊に伝達され、先の国境監視所攻撃に使用された9式15糎榴、8式20糎榴による砲撃準備が行われる。

今度の砲撃では敵をロングレンジで攻撃する必要があるため、砲弾は特殊な物が使用される。

 

 

「噴進補助推進弾装填!」

 

 

噴進補助推進弾とは、通常の榴弾砲の砲弾にロケットによる補助推進装置が取り付けられた砲弾で、長距離攻撃に使用される砲弾である。各砲に噴進補助推進弾が装填され、観測部隊からの報告に従い諸元算出が行われ、観測射撃準備が整った。

 

 

「各砲、射撃用意よし!」

 

「撃てぇ!」

 

 

 

 

 

 

 

続く




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