後世日本国召喚 新世界大戦録   作:明日をユメミル

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第115話

第6師団と接敵した多国籍軍。前衛を勤める瀬戸少将の戦車部隊は第5師団との戦闘後直ぐに補給部隊から弾薬と燃料の補給を素早く受けた後、多国籍軍の前衛として展開、ヘリコプターと爆撃と通信妨害により混乱していた第6師団へ向けて攻撃を開始した。

 

 

「撃て!」

 

 

砲撃を開始する5式改の75ミリ砲はハウンドやシェイファーといった主力戦車や装甲車等を次々と撃破していく。戦車部隊の後方からは機動歩兵連隊とムー陸軍歩兵部隊が続き、戦車部隊が撃ち漏らした敵車両や敵歩兵を掃討していく。

 

 

「降車!」

 

 

装甲車から飛び降りる夜豹師団の兵士とトラックから飛び降りるムー陸軍歩兵は共同で敵歩兵を相手に火力と、機動力に物を言わせながら前進し、第6師団の戦力を確実に減らしていく。

 

 

「クソぉぉ!」

 

「やってやる!」

 

 

帝国兵もやられているばかりではなく、歩兵銃に銃剣を付けて銃剣格闘を挑んでくる。

 

 

「こっちもやるぞ!」

 

「おぅ!」

 

 

夜豹師団とムー陸軍の兵士達も今まで敵歩兵との格闘戦の機会をフェン王国軍に奪われていたため、気合いは充分だった。各々の銃に銃剣を装着して帝国兵との銃剣格闘を開始する。

 

 

「はぁっ!」

 

「とぉっ!」

 

 

よく訓練された夜豹師団とムー歩兵は帝国兵と熾烈な格闘戦を展開、互いの銃剣による鍔競り合いで金属同士が激しくぶつかり合う音が響き渡る。

 

 

「おぅ!もう初めておったか!」

 

「お館様!我々も加勢致しましょう!」

 

「うむ!同胞を助太刀するぞ!掛かれぇぇぇ!!」

 

 

遅れてやって来たフェン王国軍のヨマヅ軍団も助太刀と言わんばかりにその場へ飛び込んだ。フェンでは刀や剣を使った戦闘なら無類の強さを誇るヨマヅ軍団は帝国兵を刀の一振りで切り伏せ、特にサシヒ直属の近衛兵は猛獣の様な突破力を生かした突撃戦法を得意とし、他の軍団兵とはまた違った実力を遺憾なく発揮する。

 

 

「はぁぁぁぁぁッッ!!」

 

「グハァッ!」

 

「クソ!あの赤い甲冑の男は化け物か!?」

 

「誰か奴の突進を止めろ!!このままじゃ瓦解するぞ!」

 

 

帝国兵もヨマヅ軍団を脅威と認識して、排除しようと試み、ハウンドがヨマヅ軍団に向けて砲を向ける。

 

 

「しまった!まだ残ってたのか!」

 

 

夜豹師団が撃ち漏らしたハウンドの何両かがヨマヅ軍団に向けて砲撃を行い、味方の帝国兵ごと軍団兵を吹き飛ばした。

更には機銃掃射まで加えられ、ヨマヅ軍団に損害が目立ち始める。

 

 

「何と卑怯な!?奴ら味方ごと!」

 

「戦場での味方殺しは武士として恥だ!!あのデカブツは俺が相手してやる!着いてこい!」

 

「はぁっ!」

 

 

サシヒらは馬を走らせる。彼の目標は味方の帝国兵ごと自分の兵士を排除という暴挙に出たハウンド中戦車だった。

 

 

「少将、フェンの将軍が敵戦車に!」

 

「なんだと!無茶な事をする!」

 

「どうします!?」

 

「援護する!操縦手、フェンの将軍を後に続け!」

 

「了解!」

 

 

瀬戸が乗り込む5式改がサシヒの後に続く。

相手がチハのような性能でも戦車には間違いなく、歩兵1人が敵う相手ではない。瀬戸は王国軍に向けて攻撃している数両のハウンドの注意をサシヒから自身へ向けさせるため打って出る。

 

 

「砲手、撃て!」

 

 

75ミリ戦車砲が火を吹いて、対戦車榴弾が1両のハウンドの前面装甲を貫いて内部で爆発、弾薬に引火し中に居た敵戦車兵ごと破壊した。

 

 

「次弾装填急げ!」

 

 

装填手が弾薬庫から砲弾を取り出して砲に装填する。

 

 

「装填よし!」

 

「撃て!」

 

 

再び放たれた対戦車榴弾はヨマヅ軍団を砲撃していたハウンドの車体側面に命中しこれも破壊した。

ハウンドの戦車隊は瀬戸の存在に気付き、サシヒの事は無視して瀬戸の5式改に目標を切り替えた。

 

 

「敵はこっちに向いたな。なら相手をしてやる!」

 

 

キューポラから身を乗り出していた瀬戸は砲撃と銃撃に備えて半身を車内に隠し、頭半分をキューポラから出した状態で指揮を続ける。

その直後、2両のハウンドから砲撃を受けた。

放たれたのは57ミリ砲弾で、車体前面と砲塔防盾に直撃したが、対戦車用ではない57ミリ弾では力不足で、あっさりと跳ね返されてしまった。

 

 

「撃て!」

 

 

お返しと言わんばかりに75ミリ砲が火を吹いて瞬く間にハウンド2両を撃破した。

 

 

「残り2両か!」

 

 

2両のみとなったハウンドとシェイファーは砲撃と銃撃をしながら後退を開始する。

 

 

「敵は怯んだ!奴らの鎧にしがみつけ!!」

 

 

好機とみたサシヒと近衛軍団はハウンドとシェイファーに向けて突貫、砲撃と銃撃で次々と部下を失いながらも敵の懐まで接近したタイミングで、サシヒは馬から飛び降り、目の前のハウンドの懐に見事取り付いた。

 

 

「クイラ王国特製の酒だ!!」

 

 

サシヒは腰から提げていた液体が詰まった一升瓶を手に取ると、注ぎ口に巻き付けられていた布に日本製のライターを使って点火し、ハウンドのエンジンルームに立つと、ソレを思い切り叩きつける。

その瞬間、割れた瓶から飛び散った液体に布の火が触れた瞬間、ハウンドは一気に燃え上がった。

 

 

 

「どうじゃ!クイラの酒は美味いだろう?」

 

 

 

エンジンが突然燃え上がったハウンドの車内ははあっという間に煙が充満し、中に居た乗員が堪らずハッチを開けて咳き込みながら脱出してきた。

 

 

 

「はぁぁぁぁぁッッ!!」

 

 

 

その乗員をサシヒは刀で切り伏せていく。

 

 

 

「お館様がやったぞ!」

 

「我らも続けぇぇ!!」

 

 

 

近衛兵は最後のシェイファーに向けて突撃を敢行していく。

数に物を言わせた軍団兵は次々とハウンドやトラック等の車両に手当たり次第に取り付き、乗員達はパニックになり車体や砲塔を激しく動かして振り払おうとする。

 

 

「くらえ!」

 

 

クイラ産の石油から精製されたガソリンや灯油や可燃性物質を混ぜ合わせた混合液が入った火炎瓶や壺を叩きつけて車両を油まみれにしていく。

 

 

「これは……油だ!奴ら火をつける気だぞ!」

 

 

松明を持った王国兵が油が付着した車両に松明の火をかざすと、瞬く間に車両は炎上する。

 

 

「脱出しろ!!」

 

 

戦車のように装甲に守られていないトラックや軽車両の乗員は慌てて脱出したが、そこを王国兵に問答無用で切り伏せられていき、帝国側は完全に瓦解していく。

 

 

 

「なんとも便利な武器だな、この火炎瓶ってヤツは」

 

 

 

サシヒは火炎瓶を手にそう呟いた。

 

 

 

 

 

続く




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