後世日本国召喚 新世界大戦録   作:明日をユメミル

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第116話

多国籍軍と第6師団との戦闘は、結着がつきつつあり、フェン王国軍による対戦車戦闘を皮切りに第6師団の残存戦力は壊滅手前まできていた。

 

 

「撃て!」

 

 

残り僅かとなったハウンドⅡが5式改に向けて砲を放つが、自慢の47ミリ砲では5式改の装甲を貫くまでには至らず、逆に反撃され撃破される。

 

 

「クソ!17号がやられた!」

 

「どうするんだよ!俺達しかもう居ねぇぞ!」

 

 

最後に残ったハウンド2両とシェイファー1両の戦車分隊の乗員達は向かってくる夜豹師団の戦車連隊の猛攻に最早、勝負にはならない。

 

 

「降伏するか?」

 

「馬鹿言うな!そんなみっともない事が……」

 

「だったらどうするんだよ?」

 

「どうするって…………」

 

 

分隊は迫り来る多国籍軍地上部隊にどうするか悩む。

 

 

「降伏だ!もう降伏するしか手はない!」

 

「馬鹿!死にたいのか?」

 

「死なないために降伏するんだ?それともお前はあんな化け物みたいな戦車相手に死ぬ覚悟はあるってのか?」

 

「それは……………」

 

 

ドイツ軍のパンター戦車とまともに戦えるだけの性能を持つ5式改相手に、ハウンドやシェイファーは火力と防御力の面から見ても明らかに力不足である。それは今までの戦闘からもハッキリしている。

 

 

「そうだな……もう俺達には規律にうるさい上官が何処にも居ないんだからな」

 

「その通りだ。命は大事すれば一生モノだぜ」

 

「でもどうやって降伏する意思を見せるんだ?」

 

「良い方法がある」

 

 

すると分隊長の戦車兵が車長用ハッチを開けると、上着を脱いで裏側の白地を表にすると、通信用アンテナを折って服を括り付けると、砲塔上に立ち上がりそれを大きく振り始める。

 

 

(頼む!日本ならこれで降伏だと認めてくれる筈だ)

 

 

彼はつい数日前に指揮所近くを通った時に師団幹部達の話を盗み聞きした際に、白旗を掲げれば日本に対しての降伏の合図になると聞き、それを記憶していた。何故上官達がそんな話をしていたかはこの際どうでもよく、只彼は自身の身と同郷の兵のため必死に旗を振る。

 

 

「ん?」

 

 

 

すると1両の5式改が砲身を真下にむけたまま近付いてきた。

そして、彼が乗り込むハウンドの前で停車すると、砲塔から1人の兵が降りてきた。

 

 

「白旗を振っているという事は降伏する意志があるのか?」

 

 

その兵士の言葉に彼は大きく頷く。

 

 

「そうか。懸命な判断に感謝する。私は日本陸軍夜豹師団戦車連隊長の瀬戸基だ」

 

 

瀬戸の役職を聞いた瞬間、自分よりも階級が上の人間だと気付き反射的に帝国式の敬礼をした。

 

 

「し、失礼しました!瀬戸連隊長殿!」

 

 

敵国の将校に対しても敬意を払う姿勢に、瀬戸は分隊長の彼に好感度を持つ。

 

 

「流石だな。戦場でも敵に対する敬意を忘れないのは良い事だ」

 

「恐縮であります!」

 

「よし!君達の降伏を受け入れよう!」

 

 

瀬戸が降伏を受け入れた事により、戦車分隊は捕虜として後送された。

 

 

 

 

そしてそれから1時間後には第6師団と多国籍軍との戦闘は終結し、第6師団は壊滅した。

 

 

 

「うむ、此処までは順調か」

 

 

 

多国籍軍司令部はバルクルス基地攻略の下準備は整ったと判断した。直ぐにでもバルクルス基地攻略に取り掛かりたい所だが、作戦開始から一連の戦闘で多国籍軍にも少なくない被害が発生しており、夜豹師団は5式改が十数両が損傷、装甲車もいくつかが撃破されており、兵士の死傷者が出ている。

特に被害が大きかったのはフェン王国軍で、一連の戦闘で敵に対する突撃戦術を多用した事により兵士の損害が大きく、戦闘が続いた事により兵士にも疲れが出ている様子であった。

 

 

「熊谷閣下、此処はフェン王国軍を下げて後詰めのクワ・トイネ軍と交代させますか?」

 

「現状はそれが最善だな。その様に指示してくれ、あまり時間は掛けられないぞ」

 

「はっ!」

 

 

此処で多国籍軍はフェン王国軍を下げて、後詰めのクワ・トイネ軍と配置を交代させる。クワ・トイネ軍はフェン王国軍に負けない程に兵の質は高いため、部隊交代による戦力低下や不均衡の可能性は低い。

 

 

 

「さて、そろそろ時間か」

 

 

部隊再編が終わると、今度はバルクルス基地攻略のため、基地へ向けての第2次攻撃が行われる。

 

 

 

「通信手、第2次攻撃の暗号打電!」

 

 

 

多国籍軍司令部からの第2次攻撃要請の暗号文はS&Lネットワークシステムを通じて旭日艦隊へリアルタイムでもたらされた。

 

 

「司令、多国籍軍より入電!『観客は打ち上げ花火を待ちわびている』です!」

 

 

「よし!第2次攻撃用意!」

 

 

続けて次弾装填が終わっていた日本武尊の艦首垂直発射機の扉が開かれると、2式誘導噴進弾による2次攻撃が始まった。

第1次攻撃の際に、誘導弾は自律飛行でバルクルス基地に向かったが、第2次攻撃では途中までは各所に設置された誘導電波に従って飛行し、終末誘導は一月前よりバルクルス基地近辺に潜伏している旭日艦隊直属の諜報機関『ハギス』の工作員により行われる手筈となっている。

 

 

 

「司令、第2次攻撃完了しました」

 

「これより我が艦隊は当海域より離脱し、当初の予定通りレイフォル沖に向けて北上し作戦を展開する!」

 

 

 

第2次攻撃を終えた旭日艦隊は後詰めの紅玉艦隊にその場を引き継ぐと、そのままレイフォル沖へと向かった。

 

 

 

 

続く




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