後世日本国召喚 新世界大戦録   作:明日をユメミル

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第119話

多国籍軍によりバルクルス基地が占領された頃、旭日艦隊はレイフォルに向けて進んでいた。

 

 

「司令、作戦開始時間です」

 

「うむ。これより『血栓作戦』を実行に移す」

 

 

 

 

『血栓作戦』

 

鋼鉄の槍作戦と連動して実行される当作戦の目的は帝国本土とその経由地であるパガンダ島とレイフォル港への奇襲、それと同時にムー大陸とパガンダ島の間にある海峡を封鎖し敵の補給線を断つのが目標である。

 

ここまで聞くと普通の通商破壊を目的にした作戦に見えるが作戦そのものは陽動であり、血栓作戦の真の目的は別にある。

 

それは、今回の反抗作戦で最大の障害となると言われているグラ・バルカス帝国海軍最大の空母機動部隊である東部方面軍空母機動部隊の殲滅である。

その空母機動部隊を誘き出すため、パガンダ島とレイフォル港を奇襲し、逆襲のためラグナ港から出撃してきた空母機動部隊をパガンダ島と帝国本土の中間に位置する海域で待ち構えている紺碧艦隊が叩く。これが血栓作戦の真の目的であった。

 

 

 

作戦開始時刻と同時に、旭日艦隊第1遊撃打撃艦隊の装甲空母信長と航空戦艦信玄と謙信からパガンダ島攻撃を担当する攻撃隊が飛び立って行く。旭日艦隊の航空戦力を担う光武と閃電の噴進機はカタパルトにより各空母から打ち出され、其々の目標に向かっていく。

 

 

「司令、各空母より攻撃隊発艦完了」

 

「では我々も行くとしよう」

 

 

作戦開始と同時刻、日本武尊を旗艦とする司令部直衛艦隊は中村中将を指揮官とする前衛遊撃艦隊と共に、攻撃目標の一つであるレイフォル港へ向けて速度を上げる。

 

 

その前衛遊撃艦隊旗艦である虎狼型航空巡洋戦艦『虎狼』の艦橋では……

 

 

「大石閣下もまた奇想天外な作戦を思い付くものですな。敵の航空戦力が待ち構えているレイフォル港に航空援護も着けずに」

 

 

中村中将の副官が大石の奇策に呆れていた。

 

 

「副官、これこそが大石閣下の策なのだ。敵は我々と同じように航空戦力を主体とした航空決戦思想の軍隊だ。故に敵は戦艦等の主力艦艇を航空機でも撃滅できるという考えが浸透している」

 

「事実では?」

 

「確かに、戦艦は航空機に比べれば足も遅い故に的にもなりやすい。艦隊決戦思想に拘ったが故に前世日本は敗北した。だが大石閣下はその考えを逆手にとって、敵に航空決戦思想からの転換を促し、こちらに有利に働くようにけしかける気なのだ」

 

「それは……以前に高杉艦隊が米国の新太平洋艦隊にやった天元作戦では?」

 

 

 

天元作戦とは、後世太平洋戦争序盤でダッチハーバーを母港とするアメリカ海軍新太平洋艦隊の撃破とダッチハーバー攻撃を目的とした作戦で、高杉艦隊は新太平洋艦隊の航空戦力の殲滅、ダッチハーバー攻撃を成功させた上に、高杉艦隊の空母赤城の飛行甲板が敵の攻撃で使用不能となったため高杉本人がリーガン提督に直接出向いて、取り引きの末に一時休戦を取り付けて艦載機をホノルル近くまで送り届けるという奇策までやり遂げている。

この作戦で、米国は航空機決戦思想から再び艦隊決戦思想へと戦略を転換させ、その後の後世日本の軍事作戦に大いに寄与する事となった。

 

 

大石はその天元作戦を元に、自信の戦略と紺碧艦隊による敵空母機動部隊壊滅作戦を組み合わせてこの血栓作戦を立案していたのだ。

 

 

 

「まぁ兎に角、あの大石閣下の策だ。此処は堂々と敵に我々の存在を見せつけてやろうではないか」

 

「はい」

 

 

 

それから1時間後、レイフォルの方向から敵の偵察機接近を探知し、迎撃戦闘に入った。

 

 

 

「撃て!」

 

 

 

艦隊は対空砲を打ち上げて、敵偵察機を追い払う。

 

 

 

「敵偵察機反転。レイフォル方向に帰投していきます」

 

「それで良い、深追いはするな。あの偵察機には我々の存在を知らせてもらわんといかんからな」

 

 

この作戦は旭日艦隊の存在を敵に察知させ、レイフォルの航空戦力を誘き出すのが目的である。

 

 

 

 

そして大石の策は見事、図に当たり、レイフォル港から多数の航空機が来襲、それを星鵬の電探が探知し艦隊へと知らされる。

 

 

「やはり来たか………艦隊防空態勢!」

 

 

艦隊は防空態勢に入り、敵機来襲に備える。

 

 

「対空誘導噴進弾の使用を許可する」

 

「はっ!全艦、対空誘導噴進弾発射用意!」

 

 

日本武尊、虎狼型、秋月型、利根型には対空誘導噴進弾が装備されており、電探による誘導、終末誘導は熱探知により高い命中精度を誇る。

垂直発射装置の蓋が開き、連装発射機が敵機に向けられ、電探による敵機の捕捉が開始され発射準備が整った。

 

 

「発射ぁ!」

 

 

合図と共に全艦から対空誘導噴進弾による一斉攻撃が開始された。

 

 

「各艦、割り当ての目標に集中!」

 

 

誘導電波ににより誘導弾は敵編隊に向かって飛行していく。

 

 

『11時から2時方向に掛けて敵機多数視認!』

 

『迎撃せよ!』

 

 

敵編隊は誘導弾を敵の迎撃機と誤認し、迎撃のため誘導弾に向けて突撃する。

誘導弾は電波誘導から熱誘導に切り替わり、敵編隊に向けて襲い掛かった。

 

 

『うわぁっ!違う!敵機じゃない!』

 

『追い掛けてくるぞ!』

 

『回避だ!回避!』

 

 

誘導弾の弾頭には破片弾頭が用いられており、敵機の鼻先で爆発と同時に大量の破片を撒き散らし、複数の目標に損害を与える。

 

 

「誘導弾、半数以上が命中。敵機の残り半数は接近!」

 

「主砲発射用意。ロ号弾の使用を許可する」

 

 

日本武尊の51センチ砲に対空用ロ号弾が装填され、砲身が敵に向けられる。

 

 

「諸元入力完了、射撃用意よし!」

 

「撃てぇ!」

 

 

一斉射により放たれた9発のロ号弾は上空にて爆発し、熱波と衝撃波により敵編隊のアンタレスとシリウスは粉々に吹き飛ばされ、後方に居た機体も衝撃波をまともに受けて揚力を失い墜落していく。

 

 

「敵編隊消滅。付近に敵航空機なし」

 

「よし!このまま我が艦隊はレイフォル港へ突入する!」

 

 

 

 

続く




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