後世日本国召喚 新世界大戦録   作:明日をユメミル

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第122話

ヒノマワリ王国解放作戦として再度修正を施された『雷雪作戦』。

それは、ヒノマワリ王国解放とグラ・バルカス帝国統治機構の無力化を犠牲者を極力出さず、尚且つ敵を無力化せよと言う難解な作戦である。

 

 

そんな難解な作戦を成功に導くため、日本は切り札を出した。

 

 

「総員搭乗!」

 

 

 

マイカル港に4機の大型飛行艇が飛来した。

4機のうち1機は先のパーパルディア戦で活躍した輸送飛行艇白鳳だ。

飛行艇の離発着エリアに乗り付けたソレは、整列して待機していた千葉少将以下の特殊遊撃師団霞部隊の目の前で停止、乗員がラッタルを降ろすと霞部隊の隊員達は白鳳へ乗り込んでいく。

 

 

「見ろ!アレが噂の空中戦艦だ!」

 

「あの独国の原爆工場を爆撃したっていうアレか!?」

 

 

機内の視察窓から霞部隊の注目の的となっているソレは、白鳳を上回る巨体を持つ双胴飛行艇で、かつて地球を半周してナチスのニュルンベルク原爆施設を爆撃した超大型大艇『富士』、又の名を空中戦艦と呼ぶそれは、威風堂々とした姿でマイカル沖で待機している。

 

 

 

「あんなモノまで投入するとはな……どうやら上は本気らしいな」

 

 

千葉は自分達に与えられた、ある重要な任務に富士の力が加わる事に興奮している。

それもその筈、富士の爆弾倉には秘密兵器が搭載されており、ソレはヒノマワリ王国のグラ・バルカス帝国統治機構を完全に無力化する事が出来る力を持っているからである。

 

 

 

「さて、俺たちも行くか」

 

 

 

霞部隊を乗せた白鳳はマイカル港から飛び立っていき、富士が後を追う様に離水、一路ヒノマワリ王国へと飛び立っていく。

 

 

 

 

マイカル港から飛び立った白鳳と富士の飛行隊は、途中で空母武御雷から派遣されてきた護衛の閃電隊の護衛を受けながら、既に機能していない帝国軍のレーダーサイトや見張り員の目の届かない高高度を飛行、長大な航続距離と飛行艇とは思えない速度性能を生かし、ヒノマワリ王国上空へ到達するまでの時間と手間を大幅に短縮する。

 

 

 

 

それが項を奏して、飛行艇はヒノマワリ王国上空へと到達した。

 

 

「降下準備!」

 

 

白鳳の貨物室で待機していた霞部隊はパラシュートを確認し、降下準備に入る。

 

 

 

『降下用意…………降下!降下!降下!』

 

 

 

霞部隊は夜の暗闇の中を真下にあるヒノマワリ王国へ向けて降り立っていく。千葉も最後の隊員が降りたと同時に機体から飛び出して、降下していく。

 

 

 

「上手くやってくれよ空中戦艦」

 

 

そう祈りながら背中のパラシュートを開き、降下速度を落とす。

 

 

 

「総統要塞程じゃないが………アレじゃ火の無い灯台と変わらんか」

 

 

 

彼らの降下目標はヒノマワリ王国の王城と帝国軍統治機構の庁舎だ。真下に見える建物は松明の光すらなく、夜の闇に真っ黒に染まっている。空中で部隊は2手に分かれる。

 

 

 

(居たか)

 

 

 

千葉率いる第1小隊は統治機構庁舎である。ハギスの調査により庁舎にはヒノマワリの人間は誰1人として居らず、統治機構の職員のみが常駐している事は把握済みである。

 

王城から北の方向には王族用の庭園があり、今は帝国軍が車両置き場として使用しているが、見る限り車両は数両のトラックと装甲車が数台かしかない。だがそれは千葉達にとっては非常に好都合だ。

霞部隊は任務の特性上、自身に課せられた任務を終えた後の逃走手段が限られるため、今までの訓練や実戦では敵の車両を奪ってその場から逃走を図っており、先の総統要塞襲撃でもトラックを奪って追手を振り切る事に成功している。

 

更に好都合だったのは、見張りが居ない事だ。

車両が駐車されている庭園には幸いにも歩哨が1人も立っておらず、回りにも庭園を見渡せる櫓は見当たらない。

霞部隊はほぼ音も無く、無事に庭園に降り立った。

 

 

 

 

(これより、作戦を開始する。1班は此処に残り、車両と逃走経路の確保だ)

 

(了解)

 

(残りは俺に続いて王城に侵入の後、目標の確保だ)

 

(了解)

 

(よし。これより雷雪作戦を始めるぞ)

 

 

千葉はその場に数名を残して逃走車両の確保を命じ、残りは王城へと侵入する。

 

 

(そろそろだな)

 

 

部隊は王城に侵入の後、ハギス工作員と合流する手筈となっており、その工作員が確保している城内にある一室へと入った。

 

 

「お待ちしていました」

 

 

そこには1人のハギス工作員が待機していた。第1小隊は部屋に入ると早速、工作員と共にある事の確認を行う。

 

 

「これが王城地下の見取り図です。この図の此処に地下牢があり、救出目標は此処に収容されています」

 

「敵の見張りは?」

 

「5人。全て帝国兵です」

 

「そう言えば城内に王国兵の姿を見ないな」

 

「一応、居るには居ますが殆どが帝国軍に現地兵として徴収……というか雑用みたいに扱われている様で、先の多国籍軍のバルクルス基地攻略後に殆ど城外に出払ってる様です」

 

「成る程……なら心置きなく戦えると言う事か」

 

 

第1小隊は地下牢の見取り図を素早く記憶し、早速作戦に取り掛かる。

 

 

此処で、霞部隊の役割について説明しよう。

 

 

雷雪作戦での霞部隊の役割は2つあり、帝国によって幽閉された国王と王子以下の王族の救出と帝国軍統治機構庁舎と帝国軍指揮所へ富士からの高高度精密爆撃後にハギス工作員とヒノマワリ王国のレジスタンスと共に武装蜂起を支援する事になっている。

千葉が率いる第1小隊は王族の救出を担当しており、救出後はハギス工作員と共に王城を出た後、別任務を終えた第2小隊と合流後、一旦王国を脱出、多国籍軍への合流を果たすと言う物であった。

 

しかしヒノマワリ王国内には数は非常に少ないが帝国軍地上戦力が存在するため、支援には先のバルクルス基地攻略で活躍した陸軍独立回転翼機隊が行う手筈となっている。

 

 

 

「行くぞ」

 

 

 

千葉は王族救出のため部屋を出ると、その足で地下牢へと向かう。

敵兵の数は少ないとはいえ、用心には用心と第1小隊は足音を立てず、暗い廊下を進み、何者にも見つかる事なく、地下牢入り口へと到達した。

此処から先は会話は出来ないため、手信号による意志疎通に切り替え、地下牢への扉を開けて、階段をゆっくりと下っていく。

 

 

(居た)

 

 

階段を降りて、真っ直ぐ歩いた先には巨大な地下牢があり、そこには帝国兵が見張りを行っていた。

幸いにも、死角に居るため気付かれてはいなかった。

時間も無いため第1小隊は直ぐに動く。

 

 

(悪く思うなよ)

 

 

千葉はサプレッサー付きのワルサーP38をホルスターから出して両手でしっかり構えると、見張りに就いていた帝国兵を1人ずつを1発で倒した。

突然の襲撃に帝国兵は慌てて内線電話を取ろうとしたが、背中を向けた瞬間に霞部隊の主力火器であるステンMkⅡSによる射撃を全身に受け、その場で倒れた。

 

 

その場で倒した敵兵の数を確認し、事前の情報通り倒した帝国兵は5人だった。千葉達は帝国兵が警備していた地下牢の鉄格子前に近寄ると、奥には2人の男の姿があった。

1人はかなり身分の高そうな服装をしており、もう1人はまだ20代前半くらいの若者で、千葉は国王と王子の顔を写真で確認すると、鍵を破壊してドアを開けた。

 

 

「国王陛下と殿下ですね?」

 

「あぁ……そなた達は?」

 

「日本国の者です。お二人の救出に参りました」

 

「そうか…………感謝する」

 

「時間がありません、早速脱出致します」

 

 

 

国王と王子を保護した第1小隊は2人を連れて地下牢から出ると、そのまま駆け足で城を出て降下地点の車両置き場へと走った。

 

 

「隊長、車両確保しています!」

 

「よし。国王陛下と殿下は装甲車へ、後の者はトラックだ!」

 

 

車両置き場に残っていた数名が停めてあった帝国軍のトラックと装甲車を確保しており、国王と王子は半装軌装甲車に乗せ、その他の隊員はトラックへと乗り込む。

 

 

「隊長、全員乗車完了!」

 

「出してくれ!」

 

「了解!」

 

 

隊員の運転で装甲車1両とトラック2両は車両置き場から飛び出す様に走り出し、庭園の出入口の扉を突き破り王城から脱出した。後は第2小隊との合流地点へ向かうだけであった。

 

 

 

 

 

その頃、第2小隊は………

 

 

 

「千葉隊長がやったようです」

 

「よし。我々も行くか」

 

 

第2小隊は帝国軍統治機構庁舎付近の空き家に待機しており、ハギス工作員数名と合流を果たしている。

既に辺り一帯には、数日前からヒノマワリ王国の反体制組織やレジスタンスの構成員が潜伏しており、庁舎を爆撃した後に一斉に武装蜂起を決行する事になっており、第2小隊はレジスタンスより先行して破壊された庁舎へ突入、統治機構の機密書類の確保と統治機構の責任者『オル・ブーツ』なる人物の確保を実行する。

 

 

「時間だな…………こちら霞2、用意よし」

 

『こちら富士1、これより攻撃を開始する』

 

 

 

ヒノマワリ王国上空7000メートル上空では、1機の空中戦艦富士が待機していた。

 

 

「これより爆撃を敢行する!爆撃手、外すなよ!」

 

『了解!』

 

 

 

3機の富士を率いる海軍大佐『臼井丈男』らが乗り込む1番機は統治機構庁舎、残る2機は帝国軍指揮所への爆撃を担当している。

1番機の爆撃手はニュルンベルク原爆工事爆撃の際にも見事な手腕を発揮した指折りの実力を持っており、精密誘導のための照準スコープのレンズを使い遥か真下にある帝国軍統治機構庁舎に狙いを定める。

 

 

『TYⅡ、投下用意!』

 

 

爆弾倉の扉が開かれると、大型爆弾が姿を表した。これこそが富士が空中戦艦と呼ばれる所以の一つである、秘密兵器『TY弾』である。

これはニュルンベルク原爆工場爆撃に使用されたTY弾に更なる改良を加えた『TY弾Ⅱ型』、通称『TYⅡ』と呼ばれている改良型で、熱探知と姿勢制御装置の精度向上、夜間爆撃能力の付与、制動板の形状修正を経て、より命中精度が向上している。

 

 

『照準、チョイ左……ヨウソロ』

 

 

爆撃手の指示で機体の姿勢制御が行われ、精密照準が行われる。

 

 

『投弾、用意よし!』

 

「投下!」

 

『投下!』

 

 

爆撃手がスイッチを押すと、TYⅡが爆弾倉から投下され暗闇の中を目標に向けて落下していく。

 

 

 

 

 

 

 

続く




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