後世日本国召喚 新世界大戦録   作:明日をユメミル

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第123話

「何事か!?」

 

グラ・バルカス帝国ヒノマワリ統治機構庁舎地下1階に怒号が響き渡る。

その怒号の声の持ち主であり、ヒノマワリ統治機構の最高責任者『オル・ブーツ』は就寝中に内線電話で副官の『ジャギーナ』から緊急の報告を受けて地下へとやって来ていた。

 

 

「お休み中申し訳ありません。実はつい先程、シーン部隊から緊急電があり、王城が敵の襲撃を受けた模様です」

 

「なんだと!?被害は?」

 

「はい。地下に軟禁していた国王と王子が奪われた様で……恐らくは敵の特殊部隊によるものかと」

 

 

 

オル・ブーツはその報告を聞き、自身専用の椅子に腰掛ける。

 

 

「馬鹿な!奴らが我々の警戒網を潜り抜けられる訳がない!何かの間違いではないのか?」

 

「いいえ、事実です。シーン少佐以下のシーン部隊全員の見解では、まず間違いないかと」

 

 

ジャギーナはありのままに報告する。オル・ブーツは敵のやり口に忌々しさを感じつつも平静を装い、指示を下す。

 

 

「では直ちにその敵特殊部隊と国王らを探せ!今すぐにだ!」

 

「しかし、今からでは部隊の展開に時間が」

 

「なら伝令なり信号弾を使うなりして早急に伝えさせろ!」

 

「はい!」

 

 

ジャギーナは直ちに部下に命じて伝令と信号弾による指示を出すように命令する。

 

 

「幸いにも、それ程時間は経っていません。発見は時間の問題かと………それで、発見した際の対処は?」

 

「投降は許すな。国王を含めて全て始末させろ。我々の計画が楽になる」

 

 

 

オル・ブーツは予てから、敵ごと国王と王子を始末し、この国に本格的な傀儡政権を作ろうと画策していた。オル・ブーツは昔からの性格が災いして、帝国内でも腫れ物に近い扱いを受けており、ヒノマワリ王国統治機構トップと言う役職も事実上の左遷でもあった。

そんな扱いをされるのは無駄にプライドだけは高いオル・ブーツ本人にとっては屈辱以外の何物でもなく、ヒノマワリ王国での成果を何としてでも挙げて、自身の統治能力を中央に示す事により本国へ再び返り咲こうと画策していた。

 

その画策こそが、ヒノマワリ王国に親グラ・バルカス政権を立ち上げる事で、ヒノマワリ王国を帝国の新たな領土としようとする事である。王国への入植から既にそれに向けての用意を進めており、国王と王子の幽閉、フレイアの暗殺未遂の指示、更には傀儡政権のトップとなる人物に関しても用意が済んでおり、後はタイミングを見て国王と王子は病死と発表し、新政権を作り自分が裏の王としてヒノマワリを牛耳るまでが筋書きである。

 

 

 

しかし、そんな筋書きが書かれたページを全て書き換えるための特大のペンとも言えるモノが庁舎の上空から降りかかる。

 

 

『着弾……今っ!』

 

 

4発のTYⅡが統治機構庁舎を直撃し、封入されているTNT火薬に点火され大爆発を起こした。

4発ものTYⅡの爆発は凄まじく、地上に出ている庁舎の7割が吹き飛ぶか崩落を起こし、一瞬のうちに庁舎は見る影も無くなった。

 

 

「着弾確認。見事成り」

 

『了解。我、これより帰投する。貴君の任務成功を祈る』

 

「感謝する」

 

 

富士との通信を終えた第2小隊は早速行動に移した。彼らの任務はレジスタンスが動き出す前に、庁舎跡へと入り、敵の機密情報とオル・ブーツの確保であった。

 

 

「行くぞ」

 

 

待機していた建物を飛び出した第2小隊は、爆煙に包まれる庁舎へ向けて真っ直ぐ走る。

爆風によって崩れた防御壁を越えて、敷地内に入ると崩落した建物の残骸には目もくれず、地下室への入り口がある裏庭へと向かい、地下室への入り口の前に立った。

 

 

「爆破用意」

 

 

扉に爆薬を仕掛け、突入態勢に入る。

 

 

「発破!」

 

 

点火栓が捻られると、仕掛けた爆薬が爆発し扉を破壊した。

 

 

「突入!」

 

 

第2小隊は地下室へ一斉に突入する。

無論、地下には警備兵が居たため、第2小隊はステンMkⅡを連射して弾幕を張りながら奥へ奥へと突き進んでいく。

 

 

「発見!」

 

 

やがて、オル・ブーツ以下の幹部が居ると思われる作戦室へと到達した。

TYⅡの爆発が地下にも及んでいた様で、作戦室へと入る扉は歪んでおり外からも中からも開けられない様子だ。

 

 

「ん?」

 

 

ふと、扉から叩く様な音が耳に入る。

小隊長は扉に耳を当てると、奥から声が聞こえてきた。

 

 

(誰か!誰かおらんか!?警備兵か誰かおらんか!)

 

(開けろ!中からじゃ開けられないんだ!)

 

 

どうやら中に居る者達は閉じ込められているらしい。小隊長は一計を案じ、扉を思い切り叩く。

 

 

 

(誰か居るのか?直ぐに此処を開けてくれ!)

 

 

 

それを聞いた小隊長は大声で奥に居る者達に話し掛けた。

 

 

「分かった!!今から扉を爆破する!!少し離れていてくれ!!」

 

(分かった!!早くしてくれ!!)

 

 

隊長は扉から離れると、隊員全員にオル・ブーツの顔写真を見る様に指示して彼の顔を覚えさせてから突入準備に入る。

隊員が残りの爆薬を設置し、点火装置を手にする。

 

 

 

「発破!」

 

 

 

扉が爆薬により吹き飛ばされると同時に第2小隊は一斉に突入。ステンMkⅡによりオル・ブーツ以外を一人ずつ射殺していき、目標であるオル・ブーツを無事に無傷で確保した。

 

 

 

「貴方がオル・ブーツだな?」

 

「何者だ貴様ら!?これは我々に対する反逆か?」

 

「反逆ではない」

 

「ではレジスタンスか?」

 

「違う。日本軍の攻撃だ」

 

 

小隊長は帽子の鍔を上げて顔を見せる。

 

 

 

「特殊遊撃師団霞部隊。貴君の身柄は我々が預からせてもらう」

 

 

 

そう言うと小隊長は何かを叫ぼうとしたオル・ブーツの口に猿轡を噛ませ、手足を手錠で拘束する。

その間に第2小隊の隊員達は作戦室内を捜索し、まだ処分されていなかった機密書類やオル・ブーツのヒノマワリ王国での野望の筋書きが書かれた計画書を押収した。

 

 

 

「充分な収穫だ。これだけあれば良いだろう」

 

「隊長、間も無く時間です」

 

「よし!長居は無用、撤収するぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

続く




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