後世日本国召喚 新世界大戦録   作:明日をユメミル

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第124話

無事に統治機構から脱出した第2小隊は、千葉達との合流地点へと向かって走っていた。

 

 

「あと2ブロック先だ!頑張れ!」

 

 

厳しい訓練を受けて、様々な実戦を経験してきた霞部隊はオル・ブーツという特大な荷物を抱えながらも合流地点へ向けて必死に走る。

 

 

 

しかし作戦前より霞部隊にはある懸念があった。

 

 

それは、フレイアがバルクルス基地にやって来た時に話していた、自分の姉を死に追いやったと言うグラ・バルカス帝国軍特殊部隊の存在だった。

帝国に潜入している本郷少佐以下の東機関の調査では、確かにその特殊部隊は存在しており、部隊長の名前をとって『シーン』と名付けられている。

厳重な情報統制により詳細は未だ不明だが、暗殺・拉致・遊撃・偵察といった特殊作戦を一通りこなせる部隊である事は判明しており、そのうちの1個小隊がヒノマワリに配備されているらしいとの情報がある。

 

もしそれが事実なら霞部隊にとっても大きな脅威となる事は先ず間違いない。

もしかしたら既に自分達の存在が露見している可能性も含めて、第2小隊は狙撃や奇襲を警戒しながら合流地点へと急ぐ。

 

 

 

「!?」

 

 

 

あと1ブロックで合流地点と言う時に、正面から強烈な光が浴びせられた。

第2小隊は咄嗟に側の民家の壁に寄りかかると同時に、銃声が響き渡り、ほんの数秒前まで自分達が射た空間に大量の弾丸が通過していく。

 

 

「待避!」

 

 

民家の扉を破り、屋内に待避する第2小隊。

幸い空き家だったため住民は居なかった。民家に逃げ込むと同時に入り口を残されていたテーブルとタンス、ベッドで塞ぎ、裏口も同様に厳重に塞ぐ。

 

 

「隊長、出入り口は全て封鎖しました!」

 

「第2分隊は2階に配置。残りは1階だ」

 

「了解!」

 

 

2階からの襲撃に備えて第2分隊が2階に上がった。

 

 

 

「通信手!」

 

「はっ!」

 

「千葉隊長に繋げ!」

 

「了解!」

 

 

通信手は背中に背負っていた無線機を床に降ろし、発電機のハンドルを回してから無線の回線を開いた。

 

 

「無線開きました」

 

 

通信手から受話器を受けとる小隊長は千葉に報告する。

 

 

「こちら霞2、霞1へ」

 

『こちら霞1、霞2どうした?』

 

「敵の待ち伏せを受けました。現在、合流地点から北へ1ブロック離れた民家に待避中」

 

『了解!こちらからヘリに応援を要請する、10分でそちらに向かうからそれまで耐えてくれ』

 

「了解!」

 

 

 

無線を切ると、民家内に静粛が漂う。

 

 

 

「外の現状は?」

 

「囲まれてます。数はおよそ30、全員が短機関銃と軽機関銃で装備しています。それと装甲車らしき車両も3両確認しました」

 

「我々の装備では此処から逃げ出すのは無理か………しかし10分か」

 

 

腕時計を確認する小隊長。

 

 

「今はヘリの到着を待つしかないか」

 

 

今の第2小隊の頼みの綱はヘリコプターだ。今回の作戦には最新鋭のタカ号が投入されている。アレさえあれば此処から逃げ出す事は可能である。隊員はタカ号が到着するまで何とか必死に耐える。

 

 

「外に居る連中の事だが………もしかしたら奴らが噂の特殊部隊か」

 

「恐らくは。装備の面から見ても普通の帝国兵ではありませんね」

 

「出来れば奴等と出くわしたくはなかったがな」

 

 

彼の推測通り、この時、民家を取り囲んでいたのはグラ・バルカス帝国が誇る特殊部隊、又の名を『シーン暗殺部隊』と言われている彼等は帝国軍きっての精鋭で、様々な特殊作戦を遂行できる唯一の部隊で、短機関銃や自動小銃等の銃火器から戦車や装甲車等の重装備を使いこなす事が出来、様々な状況に対応できる能力を持ち合わせている。

 

その練度は霞部隊にも全く引けを取らず、現に第2小隊は待ち伏せを受けて民家に閉じ込められている。第2小隊の動きを予測し、その進路上で待ち構えていたと言う事からも練度の高さが伺えた。

 

 

 

「どうやら奴さん達は降伏は認めないらしいな」

 

 

小隊長が壁の穴から外を見ると、敵は短機関銃や機関銃の銃口を向けており、装甲車の銃塔も向けられている。どうやら此処で第2小隊を皆殺しにするだろうと読める。

 

 

「予定だとそろそろだな」

 

 

 

その時、何処からか何かが羽ばたく音が聞こえてきた。

 

 

「来たか」

 

 

どうやらタカ号が増援に駆けつけてきたらしい。第2小隊は直ぐに脱出準備を始めた。

 

 

『こちら梟、聞こえるか?』

 

「こちら霞2、感度良好」

 

『了解。これより待機する。敵の位置を報せ』

 

 

タカ号に敵を攻撃させるには敵が居る位置をマークする必要がある。タカ号の暗視装置はまだ解像度が低く、夜間攻撃となると敵の位置を正確に知らせる必要があり、そのためには敵が居る位置に向けてストロボを焚くしかない。

 

 

「これより敵の位置を印す。俺が合図したら扉を開け」

 

 

 

小隊長は背嚢からストロボライトを取り出す。

第2小隊は手にしているステンの安全装置を解除し、壁に身を寄せる。

小隊長は扉に手を掛ける隊員に合図を送り、ストロボライトの電源を入れて外に放り投げる態勢をとる。

 

 

 

「3、2、1、今っ!」

 

 

扉が開かれると同時に霞部隊の隊員達は一斉に外に向けてステンによる弾幕を張り、同じように敵も弾幕攻撃仕掛けてきた。双方の弾丸が飛び交う中、小隊長はストロボライトを外に向けて放り投げた。

 

 

『了解確認した!これより攻撃を開始する!』

 

 

ストロボライトに照らされた敵を暗視装置で捉えたタカ号の射撃手は20ミリ機関砲による機銃掃射を開始。大量の20ミリ弾を浴びせられたシーン部隊はたちまち大混乱となり、装甲車は破壊され、兵も20ミリ弾の直撃や弾薬の爆発によりその数を一気に減らされていく。

 

 

『掃射終了、敵影なし!』

 

「了解!支援感謝する!」

 

 

 

その時、千葉達が合流してきた。

 

 

 

「皆を早く乗せろ、此処から帰るぞ!」

 

「了解!」

 

 

千葉にそう促され、第2小隊は次々とトラックに乗り込んでいく。

 

 

「全員乗車確認!」

 

「出せ!」

 

 

車列は逃げるようにその場から走り出す。タカ号の上空支援を受けながら、車列は何とか無事に王都を脱出し、帰路に就いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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