ヒノマワリ王国王都ハルナガ京から無事に脱出した霞部隊はタカ号からの上空援護を受けながら、バルクルス基地へと無事に帰還した。
「陛下……いえ、お父様!」
「フレイアよ……よく無事であった!」
無事に救出された国王と王子はフレイアとの無事な再開を喜ぶ。
しかしお互い、やらなければならない事を理解しているため、再開の喜びも早々に終えて、多国籍軍とのヒノマワリ王国解放について会談に挑んだ。
「それではこれより、ヒノマワリ王国の解放に関する会議を開きたいと思います」
今回の会談には多国籍軍のトップを勤める熊谷とアーレイ、ロウリア王国軍のシダケ、クワ・トイネ公国軍のノウ、ロウリア共和国軍のパタジンに加えて、多国籍軍に参加している国の大使が同席している。
会議が始まると、先ずはお互いの現状確認、多国籍軍に参加している各国大使と軍の指揮官の紹介、鋼鉄の槍作戦の主目的、フレイアの保護から始まった一連の救出作戦について説明が行われた。
「なる程…我々の知らぬ間にその様な事態になっていようとは」
「つきましては国王陛下には、ヒノマワリ王国解放にむけて、何卒ご協力をお願いしたい。我々は可能な限り民間人の犠牲は避けたいのです」
「無論、私は可能な限り協力する。私が帝国の力に屈したりしなければ、この様な事にはならなかったと今でも恥じている…………祖国解放の後、私は」
ひと呼吸置いて、国王はその場に居る全員に宣言する。
「ヒノマワリ王国国王並びに国家元首の座を退き、その後継者を置く事を此処に宣言する!」
突然の退位の表明とその宣言に皆が驚く。
「つきましては、この場に居られる各国の代表の方々にはその証人となっていただきたい」
それから1日経過の後…………
復旧と同時に大幅に拡張されたバルクルス基地の飛行場では、ヘリコプター独特のローター音が響き渡っていた。
ヘリコプター専用区域には暖気運転で2枚のメインローターを回転させるタカ号と、同じく2枚のローターとターボシャフトエンジンを持つヘリコプターがある。
「これが空飛ぶ兵員輸送車と言う奴か」
前世の戦後世界で勃発したベトナム戦争で活躍した『UH-1 ヒューイ』に似ているその機体は、タカ号と共に開発された『中型輸送回転翼機』、通称『ユカ号』の名を持ち、これも夜豹師団に配備されたばかりの最新鋭機である。
これもタカ号や他の最新鋭装備の例に漏れず、リーン・ノウの森で発見された『UH-1J』、『UH-1N』、『UH-1Y』等のヒューイシリーズに加えて、たった1機だけ発見された『OH-1 ニンジャ』の技術が使用されており、それを泰山航空工業が解析、短い期間で見事に実用化したものである。
そのためヒューイシリーズとは似ても似つかない外観ではあるが高い加速力と速度性能、低空飛行性能を持ち、そのカテゴリーには似合わない性能を持っている。
「空中機動作戦………訓練では何度も繰り返したが、実戦では初の戦術になる。成功すれば今後の作戦行動がやり易くなるが」
空中機動作戦、所謂『ヘリボーン作戦』は前世戦後世界に普及したヘリコプターを使用した戦術で、熊谷自身はその戦術に関する経験が無い。
前世からの転生者が持ち合わせた記憶を元に訓練を何度も行われたが、訓練は訓練であり実戦で訓練通りに通用するかは誰にも分からない。
「賽は投げられたとはいえ、初めて実行する戦術を行う前と言うのは不安なものだな」
作戦開始時刻となり、夜豹師団の新設部隊『空中機動挺身団』 の ヘリコプターが次々と離陸していき、ヒノマワリ王国の方向へ向けて飛び去っていく。
『前進!』
続けて、多国籍軍地上部隊も基地から出発し、空中機動挺身団の後を追う形でヒノマワリ王国へ向けて前進を開始する。
続く
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