後世日本国召喚 新世界大戦録   作:明日をユメミル

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第13話

中央歴1639年 4月25日深夜 ロデニウス大陸沖 500㎞海上

 

 

夜明け前の暗闇の中、高杉艦隊は迫ってくるロウリア艦隊を迎え撃つため、戦闘態勢を整えつつあった。

 

 

「司令、警戒機からの連絡で敵艦隊は既に本艦隊の前方、北西1200㎞の海上を直進してきているとの事です。」

 

「うむ。」

 

 

高杉は腕時計を見て作戦開始時刻を確認する。

 

 

「そろそろだな。航空参謀、各空母に第1次攻撃隊発艦を下名せよ!」

 

「はっ!」

 

 

 

高杉の命令は直ちに艦隊に所属する全空母に伝えられ、噴式艦上戦闘機『嶺花』、噴式攻撃機『光武』の両飛行隊による第1次攻撃隊がロウリア艦隊へ向けて飛び立っていき、攻撃隊発艦後に艦隊直掩の『電征Ⅱ型』も飛び立っていく。

艦隊は攻撃隊を上げた後に、空母を後ろに下げ、比叡を先頭に単縦陣を取った。

 

 

 

「高杉提督!これは一体何事ですか!?敵襲ですか?」

 

 

そこへ、光武と嶺花のジェットエンジン音に驚いたブルーアイが慌てた様子で艦橋へと飛び込んでくる。

 

 

「驚かれましたかな?ご心配ありません。これは作戦開始の合図のような物です。」

 

「作戦開始ですか?」

 

「はい。『鼠捕り』作戦です。」

 

 

ブルーアイは高杉の言葉を胸に空を見上げながら、戦況を見守るため自身の任を全うすると決める。

 

 

 

 

 

 

その頃、高杉艦隊より北西1200㎞の海上を進むロウリア艦隊の遥か後方の海中では。

 

 

 

「予定ではそろそろ高杉艦隊から第1次攻撃隊が飛び立って、こちらに向かってる頃だな。では作戦通り、各艦は火遁作戦の第1段階の準備を発令!」

 

 

 

前原の命令は音通魚雷を通じて紺碧艦隊の各艦に伝達される。

待機していた伊501、502、503はロウリア艦隊を取り囲むように展開し、ロウリア艦隊の前方を伊601が就いた。

 

 

 

「司令、各艦配置に就きました。」

 

「よし。全艦、油槽魚雷ならびに点火魚雷装填!発射は命令あるまで待て。」

 

 

 

紺碧艦隊各艦の魚雷発射管に今回の作戦のために用意された特殊魚雷が装填される。

発射待機命令を下すと前原は腕時計に視線を向ける。

 

 

 

「あと5分か……潜望鏡深度まで浮上。」

 

「メインタンクブロー!アップトリム5!」

 

 

 

伊601はその場で海面近くまで浮上、潜望鏡と全天監視鏡が上げられ、ロウリア艦隊とその上空を確認する。

 

 

 

「付近に敵の航空戦力は見られません。敵艦隊にも目立った動きはありません。」

 

「よし!油槽魚雷発射用意っ!発射扉開け!」

 

 

 

全艦の魚雷発射管の発射口が開かれ発射態勢が整う。

 

 

 

「左1番から6番発射用意よし!右2番から8番発射用意よし!発射管全門発射用意完了!」

 

「全魚雷一斉射……撃てぇ!」

 

 

 

命令とほぼ同時に全艦から魚雷が一斉に放たれた。魚雷群はロウリア艦隊へ目指しながら進み、艦隊後方で内部より大量の重油を噴出する。

 

 

 

「魚雷第1段発射完了!」

 

「第2段発射用意!」

 

 

 

続いて同じ魚雷が装填、再び発射される。

 

 

 

「トリム上げ7!魚雷第3射用意!射角をずらして扇状に放て!」

 

 

3回目に放たれた油槽魚雷は扇状にロウリア艦隊の後方と左右から迫り、ロウリア艦隊を包み込むように大量の重油が海面に散布され、やがてロウリア艦隊は完全に重油に包まれる。

 

 

 

「魚雷第4射用意っ!4射を放つと同時に点火魚雷装填!」

 

 

 

 

4回目の油槽魚雷が放たれた後、紺碧艦隊は位置を変えて再び発射態勢に入る。

 

 

 

「右1番から6番、点火魚雷装填よし!」

 

「そのまま待機。点火魚雷発射は俺が指示する!」

 

「了解!」

 

 

 

前原は目を閉じて魚雷発射のタイミングを見極める。

 

 

 

「司令、今回の新戦術は上手く行くでしょうか?いくら相手が木造船の集まりとはいえ、相手は4400隻の大艦隊ですが。」

 

「心配するな先任。本来の用途とは違うが、この戦術は敵に対しては戦術的にも心理的にも効果があると期待している。そのために用意した油槽魚雷と火遁作戦だ。」

 

 

 

品川の言葉に前原は自信ありげと言った表情で答える。

 

 

 

 

「点火魚雷発射用意っ!………撃てぇ!」

 

 

 

号令で伊601以下の各艦から5発ずつ、点火魚雷が発射されていく。

 

 

「時限信管作動まで5、4、3、2……時限信管作動、今っ!」

 

 

カウントダウンと同時に点火魚雷がオイルに火を点けると、辺り一体の海面から激しい炎が上がりロウリア艦隊の後方から包み込む。

 

 

 

 

「何だ!?何が起きたっ!?」

 

「分かりません!突然辺りの海面から炎が!」

 

 

 

突然の事態にシャークンと艦隊将兵は何が起きたのか分からなかった。

紺碧艦隊から放たれた油槽魚雷から噴出した油と、それに点火魚雷によって起きた炎は、船体に重油が付着していたロウリア艦隊の艦船に次々と引火し、燃え上がらせる。

 

 

 

「うわぁ!火がぁ!」

 

「熱い!熱い!助けてくれぇ!」

 

「飛び降りろ!」

 

 

炎が燃え移った艦の乗員たちは、急いで炎を消そうとするが、どんどん燃え上がっていく自船の消化を諦めて海へと飛び込んでいく。

 

 

「ギャァ!目が痛てぇ!」

 

「目がぁ!目がぁ!」

 

 

だが海面に浮かんでいた大量の油によって、海に飛び込んだ船員達の目鼻に大量の油が流れ込み、激しい激痛と、それに伴うパニックを引き起こす。

 

 

「何が……何がどうなってるんだ……」

 

 

突然の事態にシャークンはどうして良いのか分からなかった。彼の目には海面から起きた謎の炎で指揮下の船が次々と燃え上がっていく光景だけしか見えていなかった。

だがそんな彼等に向けて、もう1つの刺客が迫っていた。

 

 

『前方の海面に光を確認っ!』

 

『間違いない!敵艦隊だ!全機、攻撃用意っ!』

 

 

第1次攻撃隊は、海面ギリギリの高度での低空飛行で接近してきていた。

翼下のパイロンに対艦誘導噴進弾『猟火』を装備した光武隊は嶺花の護衛を受けつつ発射地点に到達する。

 

 

『目標補足っ!用意……撃てぇ!』

 

 

光武隊全機から一斉に猟火が放たれる。

 

 

『任務終了!全機帰投せよ!』

 

 

光武隊は全ての誘導弾を撃ち終えて、嶺花隊と共に全速力で帰還していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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