後世日本国召喚 新世界大戦録   作:明日をユメミル

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第20話

「偵察隊から魔信はまだですか?」

 

「はい。定時報告の時間なのですが偵察隊各騎とも、呼び掛けに反応ありません。」

 

 

ロウリア軍陣地ではアデム達に、偵察隊からの報告が途絶えた事に困惑と疑問が広がっていた。

 

 

「12騎の偵察隊各騎が残した最後の通信内容から、敵は恐らく飛行機械を使ってきたものと思われます………」

 

 

静まり返る陣地……

 

 

「やはり敵はクワ・トイネと日本による連合軍に違いない………やはり本国からやって来た連絡騎の報告と一致するな。」

 

「ハーク港が敵の攻撃を受けて壊滅………しかも相手はクワ・トイネではなく日本の軍隊………偵察隊らが残した報告にあった飛行機械と言う言葉から、此度のこの戦には日本国が関わっている事は間違いない。」

 

 

 

ロウリアにとっては未だに明らかになっていない日本軍の実力と恐ろしさが、軍団内に広がりつつある。

 

 

「パンドール将軍、私は一度本国へ戻り援軍要請を陛下に直訴してきます。」

 

「そうか………分かった。アデム君、頼むぞ。」

 

「はい。では早速……」

 

 

 

アデムは足早に陣地内のテントから出ると、時分の馬に跨がり走り出す。

だが彼が走っている方角はロウリア本国ではなく、まったく別の方角だった………

 

 

(不味いぞ………もし日本軍が報告通りの実力なら、この戦はロウリアに勝ち目はない!!あの方に報告しなければ!)

 

 

 

アデムは何処かへと走り去ってしまい、東方征伐軍に増援は届く事は無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間後、事態は急変した。

 

 

 

「参謀長、この陣地の警護はどうなっている?」

 

「はい。ワイバーン50騎が警戒についています。日本軍が我々にも匹敵するような実力を持つ相手なら数が多い事に越した事はありません。」

 

「うむ。アデム君が援軍を連れてくるまでは、暫く我々は動けんな。」

 

 

来る筈の無い援軍に期待しながらパンドールはテントの外へと出て空を見上げる。

 

 

「うむ……これだけの数のワイバーンなら敵もそう易々とは来ないな…………」

 

 

 

直後、パンドールの思考が止まった……

 

 

 

 

「ん?」

 

 

 

ふと何処からか、雷のような羽音のような物が混ざった音が聞こえてくる。

その音は徐々に近くなってくる。

 

 

「向こうからか?」

 

 

ふと南の方角に目を向けた瞬間、頭上を巨大な"何か"が複数通過した。

 

 

「あれは……」

 

 

信じられない速度で頭上を通過した何かは、上空を飛んでいた警戒のワイバーン隊に襲い掛かり、左右に真っ直ぐ伸びている翼から小さい光の弾を撃ち出し、ワイバーンを次々と落としていく。

 

 

 

「何だっ!?何が起きたっ!」

 

 

 

唖然となるパンドール、参謀、兵士達の目の前に現れたのは、海軍航空隊の電征Ⅱ型で編成された征空隊だった。

 

 

「馬鹿な……ワイバーンが…」

 

「なんて速度だ!?」

 

 

電征の速度と火力を生かした一撃離脱戦法にワイバーン50騎達は成す術も無くやられていく。

 

 

「見ろ!新手だ!」

 

 

誰かが叫び改めて空を見てみると、今度は爆装した電征Ⅲ型の攻撃隊が突入してくる。

主翼下に吊り下げられていた爆弾やロケット弾が一斉に放たれ、兵舎、竜舎、食料や武器貯蔵庫が破壊されていく。

 

 

 

「将軍!外は危険です!本部内にお入りください!」

 

「あ、あぁ……」

 

 

部下に促されるまま、パンドールはテントから少し離れた元ギムの町の役場だった建物へと逃げ込む。

 

 

 

だが直後、彼は悲劇に襲われる。

 

 

 

突入してきた攻撃隊の電征から放たれたロケット弾が役場へと殺到し、着弾と同時に起きた複数の爆発で、老朽化していた建物が一気に崩れ始める。

 

 

「うわぁ!!」

 

 

建物に逃げ込んだ直後、パンドールは建物の崩落により踏み潰され、部下諸共、瓦礫の中へ生埋めとなり人生を終えた。

 

 

 

 

 

 

 

「よし!敵は浮き足立ってる!全車、ギムへ向かって突入っ!」

 

 

 

航空隊による攻撃から30分後、瀬戸少将率いる第71、72戦車連隊と歩兵部隊が南側よりギムへと突入する。

 

 

 

「今度は何だっ!?」

 

「化け物だ!鉄の化け物だ!逃げろ!」

 

 

塀や即席の防護壁を突き破って突入してきた5式改にロウリア兵達は一目散に逃げ出していく。

 

 

「クソ!投石器と攻城槌を早く持って来い!」

 

 

だが勇敢な十数名が、エジェイ攻略用に用意していた投石器と攻城槌を用意し、迫ってくる5式改に向ける。

 

 

 

「これでも喰らえ!放てぇ!」

 

 

指揮官の合図でありったけの投石器から大小様々な石が放たれ5式改に命中するが、鋼鉄で出来ている戦車相手にこれらは全くの無力で、全て弾き飛ばされるか粉々になってしまう。

 

 

「弾種、榴弾!目標、前方敵攻撃兵器!」

 

 

攻撃を受けた瀬戸は直ちに反撃を指示し、投石器と攻城槌に向けて戦車砲が放たれ、ロウリア兵ごと粉々に消し飛ばす。

 

 

「うわぁ!やられた!」

 

「もう駄目だ!お終いだ!!」

 

 

ロウリア兵達は自分達の兵器が効かないと見るや逃げ出そうとする。

 

 

「怯むな!戦え!行け!行け!行け!」

 

 

尚も戦意が衰えていなかった指揮官が剣を振り回し、逃げ出そうとするロウリア兵を威嚇し突撃を指示する。

発破をかけられたロウリア兵達は死ぬ覚悟で、突撃を開始する。

 

 

 

「敵さんも必死だな………各車は向かってくる敵兵に対しては機銃で応戦せよ!万が一、敵兵が戦車に取りついた時は車内に待避しハッチを厳重に閉めてから後方の歩兵に排除してもらえ!」

 

 

 

戦車は歩兵に弱いと言う欠点から瀬戸は冷静な判断を下し、ロウリア兵に向かって応戦を開始する。

5式改に装備されている機銃が一斉に射撃を開始し向かってくるロウリア兵を次々と倒していくが、味方の死体を乗り越えてロウリア兵の突撃は止まらない。

 

 

「ちっ!」

 

 

瀬戸は埒が明かないと判断し、車内から短機関銃を取り出し銃口を向かってくるロウリア兵に向けて連射で銃撃を与える。

後方の歩兵も無論、見ているだけではなく戦車隊の援護のために攻撃を開始する。

 

 

「擲弾撃て!」

 

 

戦車隊の後方からも、歩兵部隊の擲弾兵が擲弾筒を使って曲射による連続攻撃を加えていき、ロウリア兵の頭上から大量の擲弾を降らせる。

 

 

「ギャッ!」

 

「腕がぁ…腕がぁ……」

 

「目がぁ~目がぁ~……」

 

 

擲弾の爆発による破片と爆風は効果覿面であり、破片をまともに受けた者は身体中に破片が突き刺さり痛みに藻掻き苦しみ、爆風を受けた者は回りの建物の壁に叩きつけられたりして全身複雑骨折で動けなくなる。

 

 

「よし!敵は怯んだ!総員下車戦闘っ!」

 

 

歩兵連隊は8輪装甲兵員輸送車やトラックから飛び降り、手にしていた小銃と軽機関銃を構えて射撃を開始する。

 

 

「各車、前進開始っ!」

 

「各員、戦車を盾に前進せよ!畳み掛けるぞ!」

 

 

停止していた戦車隊が動き出し、その後ろから歩兵連隊が続き逃げ去ろうとするロウリア兵を排除しつつ、町内を前進し一気に畳み掛ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギムの戦いの勝敗は昼頃にはついていた………

 

 

 

ロウリア側は東方征伐軍指揮官のパンドール将軍の戦死と数十名の捕虜を残して壊滅した。

 

 

 

日本、クワ・トイネ連合軍は歩兵部隊に若干の損害を出しつつもギムの町の奪還に成功し、ロウリアの野望を打ち砕く事に成功した。

 

 

 

 

「ふぅ~…………」

 

 

 

街中で停車している自車の砲塔の上で、空を飛ぶ鳥を眺めながら瀬戸はタバコをふかす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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