後世日本国召喚 新世界大戦録   作:明日をユメミル

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第33話

ルミエスが紺碧艦隊と共に日本へ向かっている頃、アルタラス王国本土では、来たるべき皇国軍との戦闘に備えてアルタラス王国の陸軍と海軍が集結していた。

 

 

「スゲェな……あれが日本艦隊か。」

 

 

港に居た海軍軍人達は港に停泊している、ある艦隊を指差す。

アルタラス王国のル・ブリアス港の真ん中に、アルタラス軍人達をも唖然とさせる一隻の巨大戦艦が停泊していた。

 

 

 

「司令官、全艦入港しました。」

 

「うむ。」

 

 

 

巨大戦艦の艦橋で報告を受けるのは、アルタラス王国支援のために日本から派遣されてきたアルタラス支援艦隊、通称『旭日艦隊』を指揮する海軍元帥『大石蔵良』だった。

 

 

「原参謀長、尊氏に警戒機と哨戒機発艦を下命。潜水遊撃艦隊と共に周辺の海域の哨戒を実施せよ。」

 

「了解。既にそのように。」

 

 

大石の命令を受け、大石らが乗り込む旭日艦隊旗艦『日本武尊』の後方に待機していた、艦隊防空軽空母尊氏から飛鴎と、護衛の光武が飛び立っていく。

尊氏から飛び立った哨戒機は、既に周辺海域に展開していた潜水遊撃艦隊のア号潜水艦と共に、アルタラス王国周辺海域の警戒を行う手筈となっている。

 

 

 

「司令官、ハギスからパーパルディア皇国側の動きについて何か連絡はありましたか?」

 

「あぁ…既に皇国本土からはアルタラス王国攻略のための上陸部隊3000を乗せた輸送船団を護衛する大艦隊が出撃したとの連絡が先刻あった。」

 

「上陸部隊3000ですか……………独軍の1個師団に比べれば対した数ではありませんが、アルタラス王国にとっては脅威でありますな。ですが、ここを守りきれたとしても皇国が戦力を逐次投入をしてくれば我々だけで護りきれるかどうか………」

 

「そのためにこのアルタラス以外の国には、再編成された高杉艦隊と坂元艦隊が周辺海域を封鎖するため展開している。大陸国家のパーパルディア皇国による周辺諸国への侵攻は艦船を用いた遠征軍による上陸作戦が主となる。今回の『出城作戦』による海上封鎖はそのための物だ。」

 

 

『出城作戦』

 

これは、パーパルディア皇国によるアルタラス王国、フェン王国、シオス王国等の島国へ侵攻が考えられる皇国軍の侵攻阻止のための海上封鎖作戦である。

大石が述べたように、大陸国家であるパーパルディア皇国軍による周辺国や周辺島国への侵攻は船舶と強大な軍事力を用いた強襲上陸による制圧が基本戦術である。

 

周辺諸国より隔絶した国力を持つ皇国ならではの戦術であるが、逆に船舶が航行するために必要な海域を敵に抑えられるのは皇国軍側にとっては無敵とされてきた画期的な戦術を根本からねじ曲げられる事に等しく、島国であり、それを熟知している日本だからこそ成せる大戦略である。

 

 

 

「皇国軍艦艇の平均速度が11ノットと考えると、ここに到達するまでは数日は掛かる。その間に我々は先手を打つための用意を行う。」

 

 

 

出城作戦による周辺海域の概要は以下の通りである。

 

 

1・ロ号潜水艦によって敷設された大量の機雷による海上封鎖

 

2・ア号潜水艦とロ号潜水艦の潜水艦隊による待伏せと通商破壊。

 

3・旭日・高杉・坂元、3艦隊の海上と航空戦力による周辺諸国の制空権と制海権の確保と維持。

 

4・周辺諸国家軍と共同作戦を行う日本とクワ・トイネ公国と、新たに建国されたロウリア民主共和国の3軍による日・ク・ロ連合軍を中心に編成される『大東洋諸国防衛軍』による防衛戦力の構築。

 

 

以上がこの出城作戦の全てである。

 

 

この作戦内容にある『大東洋諸国防衛軍/Greater Oriental countries Defens Army』通称『GOCDA』とは、フェン王国軍祭で皇国監査軍の撃退と、国交開設による貿易協定と技術援助協定による恩恵を受け信頼を勝ち取った周辺諸国の了承によって成立した『大東洋諸国連合/Great Oriental countries AIIience 』(以後:GOCA)の指揮下にある軍事組織であり、有事の際にGOCA加盟国間の協議の上で賛成多数による可決で各国の軍事力を抽出し編成される連合軍として機能し、前世界で言う所の国際連合平和維持軍、所謂『PKF』に近い。

 

各国とも兵力では対皇国戦においては互角であるが、国による技術格差が激しく共同歩調を取るのが難しいため、日本は制海権と制空権の確保を担当し、他国は日本陸軍の支援により陸上防衛を担当し、完全に振り分けられている。

 

 

 

「防衛軍上層部の指揮下にある我々はアルタラス王国防衛が任務だが今後、皇国軍との直接戦闘に入る事を想定している。このアルタラス王国防衛の成功の可否は今後の作戦行動にも大きく影響するぞ。」

 

「では場合によっては、我々が皇国本土への直接攻撃を行う事も有り得ると言う事なのでしょうか?」

 

「それは向こうの出方次第だ。皇国本土の直接攻撃の任務を我々が請け負う事になるやもしれんし、あるいは無いかもしれん。私は個人的に前者が来ない事を祈るが…………」

 

 

 

大石の不安は的中するのか外れるのか、現状ではその事を知る者は誰も居ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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