後世日本国召喚 新世界大戦録   作:明日をユメミル

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パーパルディア編はあと2~3話で終わらせる予定です。


第44話

UX99の砲撃を受けたデュロは、パニックに陥っていた。

 

 

「そこの火を消せっ!急げ!」

 

「クソっ!ここも駄目だっ!」

 

 

あちこちで上がる火の手にデュロ防衛隊の陸軍兵士達は対応に追われるが、砲撃で武器製造工場から起こる誘爆により火災は収まる気配を見せていなかった。

 

 

 

防衛隊本部では防衛隊司令官の『ストリーム』が報告を受けていた。

 

 

「くっ……ここまで被害が大きいとはっ!」

 

 

ストリームは報告に上がった被害の大きさに怒りを隠せない。なにせ、敵艦隊接近の報告が上がって防衛艦隊全艦を出撃させた直後に起きた工業地帯の爆発。

 

彼や他の幹部達や最初は、偶然が重なった事による製造工場の火災による事故だと最初は考えたが、被害を受けたのは何れも武器製造工場や倉庫、造船所や修理中の艦艇だけと言うのが彼らの心に引っ掛かっていたのである。

 

 

「偶然にしては出来すぎている………」

 

「司令官、これ程の被害を考えますと、恐らくこれは事故ではなく敵による攻撃では………」

 

「馬鹿な!敵艦隊は沖に居るんだぞ!それに敵艦隊が防衛艦隊の…………待てよ……」

 

 

ストリームは思案に暮れる。

 

 

(最初に来た海軍本部からの命令……通信制限……防衛艦隊全艦出港直後に起きた謎の攻撃…………そうか!!南から迫ってきている敵艦隊は陽動で、敵の本命はデュロ攻撃だったのか!?だとしたら敵はどうやって我々の懐に侵入し攻撃を?)

 

 

潜水艦と言う兵器の存在を知らない彼等には、敵がどうやってデュロを攻撃したのかが分からなかった。

 

 

 

(どうすればいい?艦隊を引き揚げさせるか?しかし、敵が迫ってきている中で艦隊を引き揚げるのは……)

 

 

だがそこへ、慌てた様子の伝令兵がやって来た。

 

 

「司令官!緊急事態です!」

 

「どうした?」

 

「出撃した防衛艦隊からの通信が全て途絶しました!」

 

「何だとっ!?どういう事だ!」

 

「それが最後の通信では、艦隊は突然海上から起きた炎に包まれたとあります。」

 

 

 

彼に飛び込んできたその報告に、以前に噂で聞いたロウリア艦隊を壊滅させた謎の炎についての事だった。

もしデュロ防衛艦隊がそれにやられたのなら、それをやったのは間違いなく敵である可能性が高かった。

 

 

「クソ!通信兵、海軍本部へ繋げ!」

 

「しかし、命令では通信制限が……」

 

「構わん!」

 

 

ストリームは急いで海軍本部に魔信を繋ぎ、確認をとった。

 

 

「何ですと?それは本当なのですか?」

 

『本当だ。我が海軍本部はそちらに対して何の命令も報告も受け取っていない。』

 

「しかし確かに我々はそちらから、敵艦隊を発見したため防衛艦隊全艦出撃せよとの命令を受けたんだ!」

 

『寝惚けた事を言うな!海軍本部はそんな命令は出した覚えはない!』

 

 

ストリームは海軍本部からの回答に、最初の魔信が偽物であった事を悟った。

 

 

「嵌められた!最初の魔信は敵の謀略で、我々は見事に騙されてしまった!」

 

 

ようやくその事に気が付くが、時既に遅し。

デュロは壊滅的な被害を受け、艦隊は壊滅した。残っているのは防衛隊の地上戦力1万と少しのみ。もしこの状態で敵の攻撃がやって来たらデュロは守りきれない。

 

 

「こうなったら援軍要請だ………」

 

 

ストリームは海軍本部を通じて、軍上層部に援軍要請を行った。

 

 

だがそれは叶わなかった……

 

 

「何ですと!!海軍本部が?」

 

 

それは海軍本部が陸軍の兵士によって武力制圧されたと言う知らせだった。

それに呼応するように各地の陸軍基地からの通信が途絶し、軍全体に混乱が起きていた。

 

 

 

 

それはレミールとカイオスによるクーデター計画により、行動を開始した反乱軍による基地の制圧によるものであった。

デュロ攻撃による混乱に乗じて、反乱軍は行動を開始し、全陸軍基地、海軍基地、属領統治機構本部、国家戦略本部、情報部本部、財務、農務、内務等の行政機関を次々と制圧していく。

 

 

 

第3外務局の庁舎の最上階からレミールとカイオスは、デュロがある方角へと目を向けていた。

 

 

「やってくれましたな………」

 

「あぁ………ところでカイオス、状況は?」

 

「陸軍と海軍基地、各行政本部と治安機構本部は掌握しました。後はパラディス城のみです。」

 

「城内のアルデ以下の首脳や皇帝陛下を押さえるだけだ。それさえ成功すれば、戦争を終わらせる事が出来る。」

 

「いよいよですな。」

 

「そうだな。我々も城へ行こう。」

 

 

レミールとカイオスは、配下の反乱部隊と共にパラディス城へと向かった。

 

 

 

 

 

 

その頃、パラディス城では軍基地からの通信が途絶した事により混乱が広がっていた。

 

 

 

 

 




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