後世日本国召喚 新世界大戦録   作:明日をユメミル

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第54話

中央歴1640年2月6日

 

トーパ王国のベルンゲン港では、日本国から旭日艦隊の護衛にてやって来た、海兵師団の輸送船と上陸用舟艇から海兵師団の兵員と戦車や装甲車、物資の陸揚げが行われていた。

 

 

「この者達がパーパルディアを下し、大陽神の使いの祖と言われる日本軍か………」

 

「地を掛ける鉄竜に火を吹く鉄の杖……石板にあった通りの偉容ですな………」

 

 

トーパ16世は王立大学の教授と外務大臣以下の首脳陣と共に、日本軍の出迎えのために港へと足を運んでいた。

既に港の物資集積所には、海兵師団の5式中戦車改、高機動装甲兵員輸送車、8輪装甲兵員輸送車、指揮官用の6式装輪指揮通信車、トラックが並べられ、兵員達も各々で点呼を行っていた。

 

 

 

「トーパ王国国王陛下でよろしいでしょうか?」

 

 

九鬼がトーパ16世の基へやって来る。

 

 

「あぁ……私がトーパ16世だ。此度の援軍要請に応えて頂き、感謝の念に尽きない。」

 

 

王は九鬼に感謝の言葉を述べる。

 

 

「では早速ですが、現在の状況を大まかで結構ですか、お教え願い無いでしょうか?」

 

「分かった。では説明はここに居る、騎士モアとガイが伝えてくれよう。」

 

 

国王の背後にはトルメスから召喚されたモアとガイがおり、王に促され九鬼の前に出ると簡単に説明を始める。

 

 

「現在、魔王軍は世界の扉に隣接する町を拠点にしており、未だに進行してくる気配はありません。魔王軍の占領下に置かれている町には、地下に避難用シェルターがあり、住民約150人程が避難しているものと思われます。

 

「避難している住民達の詳しい安否は?」

 

「周囲は多数の魔物による警備が厳しく偵察が出せませんから、状況は未だに不明のままです。」

 

「町の地図はありますか?」

 

「はい。こちらに。」

 

 

モアは懐から町の地図を出して広げる。

 

 

「ここは、町の中央にある集会所を取り囲むように市街地が広がっています。」

 

 

町は周囲を壁に囲まれており、その中に大小の建物が規則正しく建っている。

 

 

「町に備蓄されていた食料の残りと住民達の精神的な事を考えると、直ぐにでも住民達を救出する必要があるな………………」

 

「この分だと市街戦は免れませんね。救出作戦には戦車1個小隊と歩兵2個中隊、住民達を収容するためのトラックは最低でも10……いや20両は必要になります。」

 

「いざと言う時のために、旭日艦隊にも航空支援の要請が出来るようにしよう。使える物は何でも使う。よし!直ちに救出作戦の立案と部隊編成を急げ。」

 

「了解っ!」

 

 

副官は直ちに参謀達と共に作戦立案と部隊編成に入った。

 

 

「国王陛下、早速ですが住民達の救出作戦のための作戦行動の許可をお願いいたします。」

 

「了解した。オブザーバーにモアとガイの二人を連れていくがよい。」

 

「ありがとうございます。モアさん、ガイさん、早速ですが救出作戦の立案に関して助言をお願いしたい。」

 

 

モアとガイは二つ返事で了承。二人から得た魔王軍や魔獣の情報を基に、九鬼達は直ちに救出作戦の立案と部隊編成に取り掛かった。

 

 

 

 

そして数時間後、部隊の編成が完了し、救出作戦部隊はベルンゲンより、中継地点の城塞都市トルメスへの出発準備を整える。

出発準備を整えるモアとガイの二人の前に二人の海兵師団兵がやって来る。

 

 

「モアさん、ガイさん。私が救出隊を率いる百田太郎です。」

 

「私は副官を勤めます、犬神剛であります。」

 

 

救出部隊を九鬼より任された百田太郎中佐と犬神剛少佐が自己紹介し終えると、二人を指揮通信車へと案内する。

 

 

「では早速ですが、こちらの指揮車へとお乗りください。」

 

 

犬神に促され、二人は恐る恐る指揮通信車に乗り込み、後ろから百田と犬神が乗り込むとハッチが閉まる。

 

 

「これより我々は城塞都市トルメスへと向かいます。道中の案内と、到着時には現場指揮官への説明と調整をお願いします。」

 

「はい。」

 

「我々からもよろしくお願いいたします。」

 

「では、参りましょう。」

 

 

百田は指揮車内の無線機のマイクを手に取ると、救出部隊の無線の周波数に合わせる。

 

 

『これより我々は危機に晒されている民間人救出のため、城塞都市トルメスへと向かう。今作戦に於いて各員は任務の重要性を改めて認識し、緊張して任務に当たるように。以上!』

 

『全車、前へっ!!』

 

 

 

指揮通信車を先頭に、救出部隊は王都よりトルメスへ向けて出発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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