後世日本国召喚 新世界大戦録   作:明日をユメミル

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第60話

中央歴1640年8月15日

 

ここ、神聖ミリシアル帝国の先進11ヶ国会議が行われる港町カルトアルパスでは、会議に参加する各国の代表を乗せた数ヶ国の船が停泊しており、後に続くように、次々と各国の船が入港してくる。

 

 

カルトアルパスにある港湾管理局の庁舎内では入港予定の船の情報を基に、責任者の『ブロンズ』が各部署に指示を伝達していた。

 

 

「第1文明圏のトルキア王国軍が到着しました。」

 

「了解、第1文明圏エリアに誘導せよ。」

 

 

港に到着する各国の船は港湾管理局の職員によって的確に誘導されていく。

 

 

「しかし、今年もお祭り騒ぎだな。」

 

 

ブロンズは大の船マニアである。

この会議では各国は会議に参列する代表を護衛する目的で最新鋭の軍艦を派遣してくるため、彼にとっては各国の最新鋭艦を直接目にする貴重な機会なのである。

 

 

 

「さて、次はお楽しみの日本とグラ・バルカスの軍艦の入港だな。」

 

 

今年から会議に参加する日本とグラ・バルカスがどんな軍艦を送り込んでくるのか、彼は昨日から楽しみだった。

両国とも2つの列強を一年のうちに下しているため、どのような軍事力を持っているのか、どのような軍艦を保有しているのかが気になってしょうがなかった。

 

 

「ブロンズ部長!」

 

「どうした?」

 

「グラ・バルカス帝国の船が到着しました………戦艦1隻のみなんですが…………」

 

 

慌てた様子で入ってきた職員の様子に只事ではないと感じたブロンズは視線を沖に向ける。

 

 

「あれは………」

 

 

水平線の向こうから現れたのは、横幅が広く、空に向かって城のように聳え立つ巨大な檣楼、正面から見ても信じられない程に巨大で長い砲身を持つ連装砲塔……

 

その力強く、正に海の王者と呼ぶべき偉容を持つその戦艦こそ、列強レイフォルを単艦で滅ぼしたグラ・バルカス帝国が誇る超巨大戦艦『グレードアトラスター』だった。

 

 

「なんてデカイ砲塔を積んでやがるんだ!」

 

 

思わず見とれていたブロンズはグレードアトラスターを所定の位置に誘導するよう指示を送る。

 

 

「どうやら噂は本当らしいな。だがあの艦は確か魔写では3連装砲塔だったような……それに砲身が若干長くなってる?」

 

 

ブロンズは、レイフォルで撮影されたグレードアトラスターの魔写と、目の前のグレードアトラスターの姿に違和感を感じていた。

確かに目の前の艦はグレードアトラスターに間違いないが、主砲は3連装から2連装になり、小型の3連装副砲の数が4基だったのが2基に減り、左右の甲板にあった副砲跡には連装高角砲と50基の対空機関砲がところ狭しと配置されていた。

 

 

 

「ブロンズ部長!日本国が到着しました!」

 

「おぉ!来たか!」

 

 

次に現れた日本国の戦艦を見て、ブロンズはまた驚いた。

 

 

「何だ、あの戦艦は?」

 

 

左右に向けて異様に出っ張った船体に、先程のグレードアトラスターと形状がよく似た檣楼を持ち、巨大な3連装砲塔が3基、針鼠のように規則正しく配置された多数の対空砲と両用砲……

 

 

「まさか、グラメウス大陸の魔物を海から砲撃して焼き払ったという、あの日本武尊とかいう戦艦か!?」

 

 

ブロンズは、今年の2月に号外として発表されたグラメウス大陸解放のニュースを思い出した。

発表された新聞には数枚の写真が掲載され、その中に日本武尊の写真があったのを思い出す。

 

 

「くぅ~!!今年はいい年になりそうだな!」

 

 

どっちの戦艦にも見入ってしまったブロンズの尻目に、先に入港したグレードアトラスターの第1艦橋では、後から入港してきた日本武尊を見ていた一人の人物が居た。

 

 

「あれが噂の日本艦か……」

 

 

そう呟くのは、このグレードアトラスターの艦長を努める『ラクスタル』大佐だった。

今回の会議に出席する代表の護衛に、自分の艦が選ばれた理由をずっと考えていたのだった。

 

 

(……ミレネケス司令が言っていた、日本の実力を確かめろというのは、そういうことだったのか。)

 

 

彼は日本武尊を目にするまで、グレードアトラスターに施された強化改装の意味を理解できていなかったのだが、目の前の日本武尊の主砲を見てその理由を理解した。

 

 

(いきなり46㎝砲を51㎝砲に換装するなんて通達が来た時には驚いたが、あの艦との戦闘を見越しての事だったのか。)

 

 

ラクスタルは新たに生まれ変わった、自分の分身ともいえるグレードアトラスターを見て、心中こう思っていた。

 

 

(ついこの前まで子供だったのが、一気に凛々しくなりやがって…………)

 

 

46㎝3連装砲塔に変わって装備された、51㎝連装砲塔3基と2基に減った副砲、左右の中央甲板にあった副砲跡に設置された長砲身の10㎝連装砲、25㎜と30㎜の対空機関砲の姿にラクスタルは、以前のグレードアトラスターとは違う頼もしさを感じる。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、グレードアトラスターの隣に停泊していた日本武尊の艦橋でも、ラクスタルと同じように、グレードアトラスターを見ていた人影があった。

 

 

「本当に大和に似ていますな…」

 

「あぁ………前に軍令部で東機関の本郷少佐からもたらされた情報にあった、グラ・バルカス帝国のグレードアトラスターと言う戦艦の写真を見て、俺は夢でも見てるんじゃないかと思ったよ。」

 

 

大石も前世では戦艦大和に乗り込んでおり、大和と共に九州沖の海で運命を共にしている。そのため大石には大和に対して特別な思いがある。

 

 

「しかしあの艦の主砲を見ましたか?あれは46㎝砲ではありません。明らかに本艦の主砲と同じ口径はあります。」

 

「恐らく本艦の存在を意識してるんだろう。日本武尊は2月のグラメウス大陸の件で有名になってしまったからな。」

 

「しかし大和級戦艦の規模の船体に51㎝砲を搭載するとは……無理があるように感じますが…」

 

「前世では大和級戦艦の後継艦となるA150計画があったと聞いている。その内容があの艦と似通ってるのが気になる所だが………」

 

 

 

大石は一抹の不安を抱きつつ、艦から降りて会議場に向かう大使を見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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