パル・キマイラ2号機が世界連合艦隊と合流し、第1航空機動艦隊へと進撃を始めている頃、2号機とは反対方向の空を進んでいた1号機は、第1航空機動艦隊の後方より近付きつつあった。
「艦長!レーダーが我が方に向かってくる多数の航空機を探知しました!」
「来たか………で、2号機からは?」
「たった今、作戦開始の暗号が届きました。」
「では派手に暴れるとするか。空中戦闘用意!アトラタテス砲発射用意!」
合図と共に、パル・キマイラの指令室を支えている3本の支柱の上下にある半円状の構造物の中から合計6基の3連装砲がせり出してくる。
「間もなく射程距離に入ります!」
司令室に設けられた大型モニターに、船体に設置されたカメラから写し出される、グラ・バルカス帝国の迎撃部隊が見えてくる。
「敵、射程距離に入りました!照準固定よし!発射用意完了!」
「アトラタテス砲発射っ!!」
メテオスの号令と共に、アトラタテス砲の砲身から大量の光輝く弾が掃射される。放たれた光弾は、パル・キマイラに搭載されているコンピューターとアトラタテス砲と連動している火器官制システムにより1発1発が確実に、敵に命中していく。
『何なんだこの弾幕はっ!?』
『やられた!落ちる!落ちる!落ちる!』
光弾が命中したアンタレス、アンタレス改、シリウス、リゲルは次々と叩き落とされていき、1機たりともパル・キマイラには近づけなかった。
「ハッハッハッハッハッ!!見ろ!まるでゴミのようだ!!」
趣味の悪い物言いに、回りに居た乗員達は視線を合わせないようにする。
そうしているうちに迎撃部隊はアトラタテス砲により僅か10分で全滅した。
「もう終わりか?もう少し楽しませてくれるかと思ったが、少し拍子抜けだな。」
「艦長、このまま進撃を続けますか?」
「あぁ、機関出力最大!グラ・バルカスの度肝を抜いてやる!」
1号機は迎撃部隊を始末し終えると、そのまま速度を上げて第1航空機動艦隊に向かって動き出す。
その頃、第1航空機動艦隊では、予想外の展開に混乱が広がっていた。
「全滅したのか……」
「はい。信じられませんが…」
カオニアは突然、艦隊の後方に現れた巨大なパル・キマイラに対して、迎撃部隊80機を送り込んだが、それを僅か10分で全滅させたパル・キマイラに戦慄した。
「80機もの航空機を10分で全滅させるなんて……巨大飛翔物体に関する情報は?」
「迎撃部隊からの通信によれば、敵飛翔物体は全長が200メートルを越え、巨大なリングの中央部に3本の支柱に支えられた指令室のような建造物があったとの事で、その支柱から大量の光線のようなものが撃ち出されたとあります。」
そう言って、カオニアの参謀を勤めるバーツ中佐が一枚の紙を見せる。
「中佐、これは?」
「先程の報告から敵大型飛翔物体の予想図です。」
カオニアは受け取ったパル・キマイラの予想図を見て、呆れ顔になる。
「こんなのをどうやって浮かせ、しかも時速200㎞で飛ばしてるんだ?」
「皆目検討がつきません。もしかしたら、この世界特有の技術が使われているのかもしれません。」
「全く……この世界は非常識の宝庫だな。」
カオニアは頭痛で頭を抱えながら言う。
「提督、どうしましょうか?」
「どうしましょうと言われてもな…………航空機の攻撃が効かないとなると、艦砲射撃か対空砲で迎え撃つしかないだろ。」
そう言って目の前にあった艦内通話用マイクを手に取る。
「レーダー手、敵飛翔物体はあとどのくらいで射程距離に入る?」
『このままだと……あと数分程と思われます。』
「よし。全艦に対空戦闘を指示しろ。砲には近接信管と時限信管を装填し、ギリギリまで引き付けてから一斉攻撃を開始する。」
艦隊全艦は艦隊陣形を組み直し、レーダーを一斉にパル・キマイラへ向けて砲を上に向ける。
「全艦、対空戦闘用意よし!」
『敵飛翔物体を視認しました!極めて……極めて巨大です!!』
ラス・アルゲティの艦橋に居た面々は後方に向けて双眼鏡を向ける。
「あ……あれは!」
「何という…………本当に浮いてるぞ…」
カオニア以外の幹部達が、自分達の視界に現れたパル・キマイラの大きさに度肝を抜かれた。
「敵飛翔物体、射程距離に入りました!」
「提督、いつでも撃てます!」
「先手必勝だ!撃て!」
ラス・アルゲティの第3、第4砲塔から4発の41㎝砲弾が発射され、同時に他の艦艇からも対空攻撃が開始された。
続く
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