後世日本国召喚 新世界大戦録   作:明日をユメミル

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第79話

海面スレスレの低高度を匍匐飛行していた飛行隊は、進路をレイフォリアからやや南に向けて取っていた。

 

 

「宮城兵曹、敵さんのレーダーには掴まってないか?」

 

「はい。大丈夫です。」

 

 

大竹率いる飛行隊が目標としているのは、別働隊の空母から飛び立った攻撃隊の支援のため、レイフォリアに駐留するグラ・バルカス帝国レイフォル方面総軍基地のレーダーサイトの破壊と、基地にある迎撃戦力の破壊である。

 

 

やがて中間地点にまで達した飛行隊は、ここで2隊に分かれる。大竹率いる、第1小隊の雷洋改1機と護衛の春嵐3機はレーダーサイト破壊の任を負い、レーダーに発見されないよう低高度を保つ。

 

 

 

「宮城兵曹、目標まで後どれくらいだ?」

 

「後10分です。」

 

「よし。そろそろ準備を始めるか。5分前になったら電波妨害を始めるぞ!」

 

「了解!」

 

 

後席に居た宮城は、雷洋改の電子装備にある電波妨害装置の準備を行う。

 

 

「飛行長、時間です!」

 

「始めてくれ!」

 

「了解!」

 

 

電波妨害装置のスイッチが入れられると、雷洋改の機首にあるアンテナから強力な妨害電波が放たれる。

 

 

「これで敵さんは目は見えなくなった……全機、いくぞ!」

 

 

第1小隊はレーダーサイトへ迫る。

 

 

「見えた!」

 

 

目の前に現れた陸地に、巨大なパラボラアンテナを備えたレーダーサイトが現れる。

 

 

「全機、突入っ!」

 

 

第1小隊は一気に高度を上げて、レーダーサイトの真上から急降下を仕掛ける。

ようやく敵襲に気がついたレーダーサイト防衛部隊は、対空砲による射撃を開始する。

 

 

「今頃遅いぜ………宮城兵曹、よく狙え!」

 

「はい!爆弾倉扉、開きます!」

 

 

胴体下の爆弾倉のハッチが開かれ、中から大型のロ号爆弾が現れる。

 

 

「安全策解除、投下用意よし!」

 

「ぶっ放せっ!」

 

「はい!」

 

 

宮城がレバーを引くと、爆弾が投下される。

 

 

「ふっ!」

 

 

投下と同時に大竹は操縦桿を目一杯引き、機体を一気に上昇させる。

 

 

 

「やったか!?」

 

 

 

後ろを振り返ると、投下されたロ号爆弾がレーダーサイト直上で大爆発を起こし、強烈な爆風と熱波によりレーダーアンテナは倒壊、レーダー観測所の建物と対空砲を吹き飛ばした。

 

 

「やりました!やりましたよ飛行長!」

 

「あぁ。パナマ運河の時の事を思い出すな!さぁて、迎撃機が来る前にトンズラだ!」

 

 

 

やる事を終えた第1小隊は、迎撃が向かってくる前にその場から足早に立ち去った。

 

 

 

 

 

 

その頃、レイフォリアに向かった第2小隊は………

 

 

「用意……投下っ!」

 

 

雷洋改2号機がレイフォリアにある帝国軍基地へ爆撃を慣行し、投下されたロ号爆弾は基地にあった航空機格納庫に直撃し、中に仕舞われていたアンタレスやベガは粉々に吹き飛ばされた。

軍港に残っていた駆逐艦と小型空母も、噴式春嵐から発射された噴進弾攻撃で壊滅的な被害を受け、まともな迎撃は出来ていなかった。

 

 

「よし!任務終了っ!引き揚げるぞ!」

 

 

第2小隊も出来る限り、基地にある航空機や対空砲を破壊した後に、レイフォリアから飛び去っていった。

 

 

 

しかしレイフォルのグラ・バルカス軍にとっての悪夢はこれからである。

 

 

 

既にレイフォルの南からは、別働隊の空母から飛び立った攻撃隊が迫りつつあった……

 

 

 

 

 

 

続く




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