後世日本国召喚 新世界大戦録   作:明日をユメミル

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第90話

左翼、右翼の敵を攻撃している最中、ボーグに率いられた第4師団本隊は森の中を全速力で駆け抜け、アルーの丘の真正面にある北の出口に来ていた。

 

 

「予想通りだ。報告にあった要塞砲はこっちには向いていない………あれさえ無ければ敵に一矢報いる事が出来る。」

 

「閣下、いよいよですね……」

 

「あぁ………ここで決着をつける。総員突撃用意!」

 

 

ボーグの合図と共に部下達が歩兵銃に銃剣を装着し、ボルトを操作し装填されていた弾丸の初弾を薬室に送り込む。

 

 

「戦車隊前へ!」

 

 

後ろに居た戦車隊が横に整列し、後ろに爆薬を乗せたトラック、その更に後ろからは歩兵部隊が配置に就く。

 

 

「行くぞ!各隊突撃…………前へ!」

 

 

戦車のエンジンが唸りをあげ、マフラーから排気煙が吹き出すと、戦車が全速力で走り出し。後ろからトラックが続く。

入り口を出た戦車隊は砲撃しながら丘へと迫る。同時に戦車壕に控えていた9式と5式改が砲撃を開始した。

 

 

双方の戦車隊は激しく撃ち合い、帝国軍戦車隊は砲撃を回避するため左右にジグザグに動き照準を付けさせないようにするが、9式の火器管制装置による精密照準で次々と破壊されていく。

 

 

 

「怯むな!進め!」

 

 

 

やられた車両は、9式と5式が次弾を装填している隙を狙い、連続砲撃と機銃掃射を行いながら尚も前進を続ける。

 

 

「奴等、本気だぞ!殺気立ってる!」

 

 

味方がやられても、構わず前進してくる第4師団の勢いにムー軍と夜豹師団は驚く。

丘の頂上近くにある塹壕からも機銃掃射が始り、戦いは更に激化していく。

帝国軍戦車隊は丘の麓からなんとか中間地点にまで到達したタイミングで全滅したが、後方に控えていた爆薬つき自爆トラックが爆炎を突っ切り全速力で突っ込んでくる。

 

 

「あのトラックには爆薬がある!攻撃をトラックに集中させよ!」

 

 

塹壕に居たムー軍はトラックに向けて機銃掃射を行うが、帝国歩兵部隊が注意をトラックから自分達に引き付けるため機銃と歩兵銃による攻撃を行う。

 

 

 

「ぐぁ!」

 

「うっ!」

 

 

塹壕にいた機銃手とムー兵が腕の良い狙撃主による銃撃を受けて射殺され倒れる。

 

 

 

「狙撃手が居るぞ!」

 

「頭を低くしろ!」

 

 

塹壕からの機銃掃射が散発的になると、トラックは速度を上げて、前衛の戦車隊に迫る。

 

 

『各車!全速後退急げ!』

 

 

これ以上、同じ場所に留まるのは危険だと判断した戦車隊指揮官が後退を指示し、9式と5式が塹壕から飛び出し、全速力で後退を始める。

 

 

「敵戦車が後退をしたぞ!」

 

「行くぞ!」

 

 

トラックの運転手はアクセルを目一杯踏みこみ、後退する戦車隊を追い掛けようとする。

 

 

『煙幕弾発射っ!』

 

 

9式と5式が一斉に煙幕弾を打ち上げ、辺りが白燐による真っ白い煙幕に包まれた。

 

 

「何だ!前が見えんぞ!」

 

「敵は何処だ!うわぁ!!」

 

 

視界を奪われパニックになった運転手は次々と対戦車壕に落ち込み、岩に衝突したり、別のトラックに衝突したり、穴に脱輪して走行不能になったり、燃料漏れで気化した燃料に白燐が引火し爆発を起こし、爆薬にも同時に引火して大爆発を起こす。

 

 

「師団長!戦車隊、トラック隊全滅しました!」

 

「よし!彼等が切り開いてくれた道を無駄にするな!進めぇぇぇ!!」

 

 

 

ボーグを戦闘に歩兵部隊が一斉に駆け出し、最後の突撃を敢行した。

トラックを排除し終えた塹壕から再び機銃掃射が行われ、歩兵達は次々と倒れていくが、それを踏み越え突撃を続ける。

 

 

「走れぇぇ!!恐れるなぁぁ!!」

 

「第8帝国万歳ぃぃ!!」

 

「皇帝陛下万歳ぃぃぃぃ!!!!」

 

 

銃撃と迫撃砲による砲撃にも怯む事なく、煙幕の煙と爆薬の爆発による黒煙を盾に、喉を枯らす勢いで走り続ける。

だがそんな彼等も砲撃により人数が勢いよく減っていき、時々地面に伏せて匍匐前進で進むが、上から銃撃されているため背中や頭を撃ち抜かれ、運の良い兵士は近くにあった岩を盾にしたり、頭の良い兵士は破壊された戦車の残骸を即席の盾替わりに前進を続けるが、それも付け焼き刃なため形勢は第4師団が一方的に不利となっていく。

 

 

「だいぶ減ったな………無事に敵陣深くに切り込めるのは何人になるかな?」

 

 

ボーグも部隊の先頭に立ちながらそう呟く。

 

 

「師団長!間もなく敵陣に入り込めます!」

 

「よし!最後の突撃をするぞ!掛かれぇぇぇ!!」

 

 

立ち上がった瞬間、ボーグは1発の銃弾により頭を撃ち抜かれ、一瞬のうちに絶命した。

 

 

「師団長!!」

 

 

ボーグが倒れた瞬間、彼等の頭上から大量の砲弾が降り注ぎ、辺りが爆炎と炎に包まれ、その業火が決死の第4師団にトドメを刺した。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして戦いは正午頃には完全に決着した………

 

 

 

丘の麓と中腹近くは、帝国兵の遺体が溢れ、戦車やトラックの残骸が散らばり阿鼻叫喚図の様相を呈していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




アルーの戦いは一応決着しました。

映画『203高地』を見ながら書きましたが、一人の兵士の命や思いでは銃弾1発で、あっけなく崩れるんだなと思いました……


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