後世日本国召喚 新世界大戦録   作:明日をユメミル

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第91話

『第4師団壊滅っ!!』

 

 

その報告を受けたグラ・バルカス帝国帝都ラグナの国会議事堂では、衝撃が走った。

 

 

「それは間違いないのだな?」

 

「はい。バルクルス基地からの報告では、師団長のボーグ大佐を始め、全部隊が全滅に近い被害を受けたとの事です。」

 

「敵に与えた被害は?」

 

「未確認情報では僅か程かと………」

 

 

 

帝国陸軍大臣『ガッシーニ』は呆然自失となり、カイザルとミレケネスも表情を厳しくする。

 

 

「やはり時期尚早だったのではないのかな?」

 

 

最初に口を開いた慎重派議員の言葉に、ガッシーニが反論する。

 

 

「いえ、第4師団によるムー侵攻には絶好のタイミングでした。ムーの戦力なら第4師団だけでも勝てた筈です………ですが奴等はまるで我々が侵攻してくるのを予想していたみたいに待ち構え、強固な要塞を築きあげ、尚且つ日本軍も援軍としてやって来ていた。これは情報部の怠慢だ!もしこれらの情報がもっと早くあれば、作戦は建て直させる事は出来ました。」

 

 

ガッシーニが向かいの席に居た情報局局長に視線を送り、局長も立ち上がって反論する。

 

「そうは言いますが、我が情報部も総力をあげて努力しています!ですが今年の始めにムーのマイカルにあった拠点が失われ、ムーの情報部はより一層厳戒態勢を敷いているのです。情報が入らなかったのは仕方のない事だったのです。」

 

「仕方のないっ!?そこを何とかして情報を集めるのが情報部の仕事だろうっ!」

 

「我々は情報の神ではない!情報収集活動にも限界はある!」

 

 

 

予想通り始まった口喧嘩に、カーツが止める。

 

 

 

「やめんか!!皇帝陛下が居られないとはいえ、今は御前会議ぞ!!」

 

 

 

カーツの鶴の一声にガッシーニと情報部長官は黙って、席に座る。

 

 

 

「取り合えず今年の達成目標だったムー大陸制圧と第2文明圏国家の支配下計画はこれで延期せざる得ません。何せ海でも陸でも我が国は負けました。これからの事を考えると、これ以上の戦線拡大は………」

 

 

財務局局長の言葉に、突然オルダイカが立ち上がる。

 

 

「そんな弱腰でどうするのですか?我が国は国力なら他国に引けをとったりなどしないのですぞ。」

 

「オルダイカ副長官、既に我が国は前年のバルチスタ沖で200隻近い艦艇と多数の航空機、人員が失われています。海軍としては財務局局長が述べられたように、これ以上の戦線拡大による物資と人員の浪費は得策ではないと申し上げているのです。」

 

「陸軍も同意です。バルチスタ沖や今回の敗北件で国内世論にも、世界支配に関して国民からは大きな疑問が浮かび上がっているのです。もし今後戦いを続けた場合、昨年のミリシアルが投入したという空中戦艦を何隻も投入された場合、我が軍では奇跡でも起こらない限り対抗するのは不可能です。」

 

「しかし既に海軍は1隻落としているのではないのですか?」

 

「あれはバルサーの砲手による神業と、敵空中戦艦が第1航空機動艦隊に注意を向けていたからできた偶然の出来事なのです。敵があの戦いで学習しているなら、我が軍がどんな作戦を立てようと、あの空中戦艦に対抗するのは困難です。」

 

 

オルダイカはカルスラインのエルチルゴから多額の賄賂を受け取っているため、今回の戦争特需を維持させるためには戦争は何としても続行させなければならないと考えていた。

 

 

「カーツ長官、皇帝陛下には何と報告いたしますか?」

 

「……………下手に包み隠さず、ここに居られる方々の意見を纏めて全て皇帝陛下にお伝えするしかあるまい。後は皇帝陛下のご決断待ちになるだろう。」

 

 

 

だが、そこへ外務大臣が立ち上がる。

 

 

 

「外務省から提案がございます。」

 

「提案? 申してください。」

 

「ムー国には二つの重要拠点があります。首都のオタハイト、南東に商業都市マイカル………ここを攻撃すればムー国の軍事や民間における心理的影響は図り知れません。」

 

「たがマイカルには日本の旭日艦隊が停泊しています。バルチスタでの被害の埋め合わせが出来ていない中、攻撃を実行する戦力の編成には時間が……」

 

 

カイザルの言葉にオルダイカか立ち上がる。

 

 

「"彼等"を使ってみては如何でしょうか?」

 

 

彼の言葉に誰もが唖然となる。

 

 

「彼等………まさか!第52地方隊…イシュタムを?」

 

「はい。彼らは所詮、占領地の監視を行うための地方隊ですし、万が一彼等が全滅しようと我が国にとっては痛くも痒くも無いでしょう?」

 

「しかし旭日艦隊相手にイシュタムでは………」

 

「そこはご心配なく。我々が目標とするのはマイカルではありません。目標は首都オタハイトです。ここに一撃を加える事が出来ればムー国は混乱に陥り、油断が産まれ、付け入る事は可能です。」

 

 

 

この作戦は直ちに計画が立てられ、それは直ぐにイシュタムの基に届けられた。

 

 

 

 

ラグナの軍港に設けられた小さな桟橋に停泊している、第52地方隊『イシュタム』旗艦、オリオン級戦艦『メイサ』では、イシュタムの幹部3人が集まっていた。

 

 

 

「海軍本部から我々に作戦指示命令が届いたよ。」

 

 

 

青白い病人のような顔つきのイシュタム司令官『メイナード』は二人に作戦計画書を手渡す。

 

 

 

「ムーのオタハイトとマイカルを同時襲撃ですか……ようやく我々にも出番が来たという訳ですね。」

 

 

 

メイサ艦長の『オスニエル』大佐は、下衆染みた笑みを浮かべて薄気味悪く笑う。

 

 

 

「同時襲撃と言う事は、艦隊を2分するのですか?」

 

 

 

航空参謀のネイトが質問する。

 

 

 

「あぁ。今回、我々の主目標はオタハイトだ。ここはムーの政治中枢の全てがある。ここに一撃を加えればムー政府は機能不全に陥り、国そのものがまともに機能しなくなるだろう、という事らしい。」

 

「成る程、本命が首都ですか。これは我々にとってピッタリな仕事ですね。」

 

「そうだ。艦隊編成はオタハイトには戦艦1、軽空母1、巡洋艦2、駆逐艦4を向かわせる。マイカルには空母1、巡洋艦3、駆逐艦8、補給艦3を向かわせる予定だ。君達はオタハイトのムー艦隊を適当に相手にしてくれればいい。彼等の技術水準は遥かに遅れているらしいから負ける事は有り得んだろう。」

 

「分かりました。さて……楽しみにですな……奴等をどう料理してやりましょうかねぇ~……」

 

 

 

彼等は本部からの命令に従い、二日後に出港した。

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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