後世日本国召喚 新世界大戦録   作:明日をユメミル

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今年最後の投稿になります。


第95話

ラ・ナガトと一戦交える事になったメイサは、護衛の巡洋艦と駆逐艦を下げ、全速力で突き進む。

既にラ・ナガトが散布した電波妨害用のアルミ箔は風に流された事により効果は薄れ、メイサのレーダーはラ・ナガトを捉えていた。

 

 

『ようやくレーダーが復旧しました。接近してくる敵艦は…………馬鹿な!?』

 

「何なんですか?」

 

『それが、接近してくる敵艦は大型戦艦級です!』

 

「何ですと!? よく確認したのですか?」

 

『はい、間違いありません。』

 

 

 

オスニエルはレーダー員からの報告に、疑問を浮かべる。

 

 

 

「確か情報ではラ・カサミ級は200メートルもない重巡洋艦レベルの艦の筈………」

 

「まさか………艦長!」

 

 

副長が何かに気がつく。

 

 

「何か心当たりがあるのですか?」

 

「心当たりと言うか………情報部に居る友人から聞いたのですが、昨年のバルチスタ沖海戦で鹵獲された我が軍のヘラクレス級戦艦を、ムーが日本と協力して修理し、自国の戦力として組み込んでいるという話を聞きました……ムーには200メートルを越える戦艦は保有していませんし、向かってきている目標がそれだとしたら……」

 

 

副長の言葉にオスニエルの顔がまた真っ赤に染まる。

 

 

「クソ! 見事に騙された!相手は1対1の戦いに誘い込むためにあんな通信を送り、ノコノコと単艦で出向いてきた我々を懐に誘い込む…………」

 

 

怒りに手や体を震わすオスニエル。

 

 

「直ちに護衛の巡洋艦と駆逐艦を呼び寄せなさい!」

 

「しかし艦長、今呼び寄せても、追い付くのは敵艦と接触してからになります!」

 

「クソっ! 旧式のメイサでは分が悪い!反転……」

 

 

オスニエルが命令を下そうとした時、見張りから報告が入った。

 

 

『本艦12時方向っ!敵艦視認っ!』

 

「何っ!」

 

 

双眼鏡で前を見ると、真っ直ぐと接近してくるラ・ナガトが見えてきた。

 

 

「何なんだあれは………檣楼の形が違う?」

 

 

現れたラ・ナガトの檣楼の形が自軍のヘラクレス級とは違う事に驚く。

 

 

「艦長………」

 

「こうなれば仕方ない……砲撃用意っ!取り舵一杯っ!」

 

 

メイサは速力を落とし、その場で左に舵を切る。

 

 

 

 

 

 

 

『ラ・ナガト』 第1艦橋

 

 

 

『敵艦、左へ回頭っ!』

 

「相手はやる気だな。取り舵一杯っ!砲撃戦用意っ!」

 

 

 

ラ・ナガトはメイサにワンテンポ遅れ回頭を始める。

 

 

 

「右舷砲撃戦っ!砲弾は徹甲榴弾を装填っ!」

 

 

 

全主砲がメイサに向けられ、砲塔内では自動装填装置が弾薬庫から黄色く塗装された徹甲榴弾と装薬を挙げ、砲身最後尾の薬室に装填され、砲術員が尾栓を閉める。

 

 

「いいか?訓練通りにやれば大丈夫だ。落ち着いて狙え。」

 

「はい。」

 

 

射撃指揮所では砲術員が射撃指揮装置を操作し、メイサを追尾する。

 

 

だが、その最中にメイサが発砲を開始した。

 

 

 

『敵艦発砲っ!』

 

「艦長っ!」

 

「機関出力最大っ!!」

 

 

ガスタービンエンジンが唸りをあげ、艦尾の水面に白い気泡が立つと、ラ・ナガトの船体は一気に加速した。

その直後、メイサから放たれた36㎝砲弾8発は、ラ・ナガトの遥か後方に着弾した。

 

 

 

「砲撃回避成功っ!」

 

『砲撃準備完了っ!』

 

「撃てっ!」

 

 

砲術長が引き金を引くと、ラ・ナガトの第1、第2砲塔から爆音と共に砲撃が始まった。

4発の41㎝砲弾は、砲撃のために速力を落としていたメイサに殺到し、巨大な水柱によって吹き上がった海水がメイサに降り注ぎ、衝撃が船体に襲い掛かる。

 

 

 

「ぐっ!何て威力だ…………被害報告っ!」

 

『右舷より浸水ありっ!』

 

「防水作業急げっ!注排水装置、左舷に注水開始っ!」

 

 

直ちに注排水装置が作動し、左舷の注水区画に海水が注入される。

 

 

「傾斜復元完了っ!浸水止まりました!」

 

「よし!次は夾叉させろ!」

 

 

再びメイサから砲撃し、8発のうち2発がラ・ナガトの側面に命中した。

だが、長門級戦艦とほぼ同じ性能を持つヘラクレス級の防御力はグレード・アトラスター程では無いが旧式のオリオン級の火力で破れる筈もなく、命中した36㎝砲弾は装甲表面に僅かな凹みと焦げ跡をつけただけに止まった。

 

 

「敵さんも中々良い腕をしてるな。次、弾種徹甲弾、撃て!」

 

 

今度は後部の第3、第4砲塔の38㎝砲から4発が放たれる。日本の技術供与によりメイサの物より口径長や直径が一回り大きい45口径38㎝砲の長砲身から放たれた砲弾はメイサの側面装甲と甲板に穴を開ける。

 

 

『敵弾命中っ!』

 

『右舷、破孔より浸水拡大っ!』

 

「左舷注水開始っ!」

 

 

 

再び注水区画に海水が注水されるが、ラ・ナガトの38㎝徹甲弾によって空けられた穴が予想より大きく、追い討ちを掛けるように放たれた41㎝砲弾の爆発による衝撃で穴が広がり浸水が拡大する。

 

 

 

『右舷浸水拡大っ!!止められません!』

 

『傾斜20°まで拡大っ!砲旋回不能っ!』

 

「艦長!これ以上注水したら、注排水区画が満杯になり、注排不可能になります!」

 

「分かっている!そうならないためにも、浸水阻止に全力を尽くせっ!」

 

 

 

既にメイサは右に20°傾斜し、浸水による艦の排水量増大により速力も従来の半分の15ノット程度に落ちている。

 

 

「クソ!クソ!クソ!クソォォォォォォ!……イシュタムが……死神イシュタムがここまで一方的にやられるなど…………あってはならない!あってはならないっっっ!!!」

 

 

オスニエルは怒り狂ったように怒鳴り散らす。だが彼がどんなに怒鳴ろうがメイサは傾斜増大で主砲塔の旋回ができなくなり、細かい照準と修正は不可能になっている。揚弾装置はなんとか機能していて砲弾の装填はかろうじて可能であるが、既にメイサにはラ・ナガトに勝てる要素は無くなっていた。

 

 

 

「敵艦、速力低下っ!」

 

 

 

そんなメイサの様子を見ていたミニラルは、報告を受け決断を下す。

 

 

「よし!例の新装備を試すぞ!」

 

「はいっ!右舷魚雷発射管用意っ!」

 

 

修理と改装時にラ・ナガトには日本が91式航空魚雷をベースにムー向けに開発した大型魚雷が装填された4連装魚雷発射管が片舷に3基12門が装備されており、日本で訓練を受けた水雷員が発射管をメイサに向かって旋回させ、方位と発射角を計算し照準を合わせる。

 

 

『艦長!魚雷発射用意完了っ!』

 

「必ず当てて見せろ!全門一斉発射っ!」

 

『全門一斉発射っ!撃てぇぇ!!!』

 

 

空気圧の力で押し出された12本の大型魚雷は、海水に着水するとエンジンが始動すると同時にスクリューが作動し、メイサに向かって突き進む。

 

 

 

『敵戦艦より魚雷接近っ!』

 

「何っ!? 戦艦が魚雷だとっ!? か、回避だっ!!」

 

「速力低下で、回避間に合いませんっ!」

 

「駄目だ!当たるっ!」

 

 

 

メイサは回避しようとするが、速力も落ちて舵の効きが悪くなっていたため、扇状に広がりながら向かってくる魚雷は避けようが無かった。

 

 

 

「総員、衝撃に備えっ!!」

 

 

 

その瞬間、12本のうち7本の魚雷がメイサの右舷に命中し、船腹に大穴を開けた。

炸薬量323㎏の魚雷による同時着弾は、経年劣化により脆くなっていたメイサの船体外板を簡単に突き破り、穴からは大量の海水が浸水し、メイサの艦内はあっという間に水没していき、艦内に居た乗員も共に飲み込んでいく。

 

 

『傾斜増大っ!止まりません!』

 

「総員退艦っ!総員退艦っ!」

 

 

傾斜が拡大し、傾いていくメイサの艦橋でオスニエルは、完璧な敗北に呆然自失となる。

 

 

(死神イシュタムが、蛮族如きに完璧に負けた………もうイシュタムはお終いだ…………お終いだ……)

 

 

数分後、メイサは完全に右舷に転覆し、船底を上にして艦首を下にしながら海中に消えていった。

 

 

 

『敵艦轟沈を確認っ!』

 

「よし!」

 

 

 

メイサの轟沈を見届けたラ・ナガトの乗員は喚起に沸いた。そこへ通信員が艦橋に駆け込んでくる。

 

 

 

「艦長!オタハイト基地から、本海域に向けて海軍航空隊と首都防空飛行隊が急行中との事です!」

 

「そうか………航空隊に、敵艦隊の残存艦艇は航空隊と共に追撃する事を伝えろ!」

 

「はっ!」

 

 

 

30分後、オタハイトから飛んできた海軍航空隊と首都防空飛行隊の航空機の大群がやって来た。

 

 

「凄いな……新型のデン・セイに加えて、マリンや雷装した爆撃機まで引き連れてきてるぞ。」

 

「これで追撃がやり易くなりますな。」

 

「あぁ……シーマリン発艦用意っ!千里眼封じをやるぞ。」

 

 

ラ・ナガトから再び大量のアルミ箔を乗せたシーマリン2機が発艦し、航空隊と合流し飛び去っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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