後世日本国召喚 新世界大戦録   作:明日をユメミル

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明けましておめでとうございます。

新年1発目の投稿です。


第96話

メイサの沈没とムーの航空機群接近は、後方に居たイシュタム分艦隊の残存艦艇に衝撃をもたらした。

 

 

 

「反転180°っ!全艦、現場海域より離脱っ!!」

 

 

アンドロメダ級空母アンドロメダ(蒼龍型空母に酷似)の艦橋に居た、アンドロメダ艦長は反転指示を出し、艦艇は現場海域からの逃亡を図ろうとする。

だが、水上を航行する艦船の速度と、航空機の速度とは天と地程の差があり、逃げる前にムー首都防空飛行隊と海軍航空隊が追い付いた。

 

 

 

『シーマリン1号機、作戦開始っ!』

 

『同じく2号機、作戦開始っ!』

 

 

飛行編隊の真後ろを飛んでいたラ・ナガトのシーマリン2機は高度を下げると、後部座席のパイロットはアルミ箔が詰まった袋の口を、床面の穴に挿し込み、アルミ箔をばら蒔く。

無論イシュタム分艦隊は、不審な行動をとるシーマリンに向けて対空砲を放つが、風が強いのと、イシュタム分艦隊へむけての向かい風が吹いていたため、アルミ箔は短い時間でイシュタム分艦隊を覆い尽くし、最新式の対空用近接信管はレーダー波の乱反射によってまともに機能せず、シーマリンを撃墜するまでには至らなかった。

 

やがて辺りがアルミ箔に覆い尽くされ、任務を終えたシーマリンと入れ替わるように、魚雷を携えた爆撃機がデン・セイに護衛されながら、イシュタム分艦隊の左右から迫る。

 

 

『全機、海面ギリギリを這えっ!』

 

 

爆撃機隊は海面ギリギリのシースキーミング飛行の要領でアンドロメダに接近、魚雷を投下した。

着水した魚雷は、そのままアンドロメダに向かって突き進み、回避しようとしたアンドロメダの両舷に命中した。

 

 

 

『やったぞ!命中だ!』

 

 

左右からのべ6本の魚雷攻撃を受けたアンドロメダは、右舷に5発、左舷に1発が命中した。

破孔からの浸水と機関停止により右に向けて大きく傾斜し、僅かに残っていた爆弾と魚雷が格納庫内を転げ回り、うち1発の爆弾が誤爆を起こすと、他の爆弾と魚雷にも連鎖爆発を起こし大炎上する。

 

 

他の艦艇も必死に応戦するが、アルミ箔によるレーダー欺瞞により近接信管とレーダーが無力化されているのと、転移から内地での待機が多かったイシュタム将兵の練度が落ちていた事もあり、まともに応戦が出来ず、次々と撃沈又は航行不能にされていく。

 

 

 

そして、真打ちのラ・ナガトが到着し、形勢は完全にムーに傾く。

 

 

 

『敵艦隊視認っ!』

 

「まだ残っていたか。砲撃始めっ!」

 

 

ラ・ナガトからの艦砲射撃も加わり、航行不能となっていた巡洋艦と装甲の無い駆逐艦は次々と撃沈されていき、イシュタム分艦隊はオタハイトの沖500㎞地点の海域で全滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、マイカルの旭日艦隊では………

 

 

「長官、ムー統括軍本部より入電です。」

 

 

日本武尊の艦橋に原が一枚の紙を手に入ってくる。

 

 

「内容は?」

 

「はい。オタハイトに向かっていた敵分艦隊は、戦艦ラ・ナガトと航空部隊の攻撃により全滅したとの事です。」

 

「そうか。次はこちらの番だな。原参謀長、敵攻撃隊は今どの辺りだ?」

 

「はい。既にマイカル沖800㎞地点の空域に展開しています。各空母から発艦した迎撃隊が間もなく接触します。」

 

「そうか。で、"彼ら"はどうだ?」

 

 

その言葉に原は声を小さくして言う。

 

 

「はい。既に配置に就いています。」

 

「よし。」

 

 

旭日艦隊による準備は整った。大石は一層気を引き締める。

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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