宇宙戦艦ヤマトが無事に飛び立ったとの報告を副官から聞いた私は、やっとか…という思いに駆られていた。
そして、ヤマト出港後にやるつもりでたてていた計画を実行に移すべく行動に出た。
いや、出るつもりだった。
いざ計画を実行しようととある場所へ電話(盗聴対策済み)しようとして、受話器に手を伸ばすが、副官が続けた次の言葉にその手は硬直した。
「か、閣下…もう一つ報告が…閣下の紅茶の茶葉の在庫があと数ヶ月分を切り、閣下の自家栽培の茶葉も…その…浄水器の故障が原因で全滅しました」
目の前が真っ暗になったような気がした。
世界一メシの不味い欧州管区イギリス州において、その世界一不味いメシがガミラスの侵攻を受けてから更に不味くなって来ているのに、そこに来て唯一の私の救いであった紅茶が欠乏する?
そんな…許せんなそれは
私から家族を除き唯一の救いであった紅茶を奪うなど…その原因たる戦争の原因を作った
そして私は気を取り直して受話器を取る。副官には退室を促し、既に此処には居ない…何故か退室する時に真っ青を通り越して灰色な顔色になって居たが…どうしたのだろうね、大丈夫か聞いたら裏返った声で大丈夫だと言ってそそくさと行ってしまったが…。
まあ、それは置いていて、さて、電話が繋がったようだ。
「…私だ……ああ、それについては計画を少し変えてくれ、何人かは見逃す手筈だったが、根こそぎで構わん…地位などに構わずに全員を社会的に再起不能まで破滅させて構わん……混乱?藤堂が何とかするだろうから大丈夫だ。念のため無関係な連中やその家族は退避させておけ……連中に関しては……紳士的に対応してくれ…紳士は何事にも拘るのだよ……連中も泣いて喜ぶだろう」
その数日後、地球防衛軍にとって最大のタブーとされていた情報が証拠付きで暴露された挙句に、地球脱出計画(イズモ計画)なるものがあった事や、それに関わる一部上層部の汚職や、汚職どころかそれ以上のやらかしまでマスコミやネット情報媒体などにリークされ、数百人規模の佐官以上の階級の軍人が破滅した。
極東管区の芹沢とか言う参謀に関しては、色々汚い事をやっていたようだし、イズモ計画派の筆頭であった事、戦争の直接の原因を作った張本人だと暴露された事もあったためか、まあ、私が親切心で一番過激な善良なる市民団体に芹沢のその日の行動予定を教えてあげたからか……
芹沢とか言う参謀は、真っ赤な段ボールになって見つかったらしい。
正直、やりすぎたかも知れんが…だって仕方ないじゃないか…私から紅茶を奪うような原因を作る方が悪いのだから
この日、地球のイズモ派は政治的な影響力を喪失し、イズモ派の指導者達は、政治的に、そして物理的にも破滅した。
私はちょっとした後悔と、そこまですると思ってたけど、実際見たら市民の恐ろしさに恐怖した。
この時、私は多分民主主義とは、国の指導者の市民への恐怖から生まれたのではないかなと思った。
……民主主義は実に紳士的だ。
ワイアットは遠い目をしながらそう呟いた。
多分、欧州管区の食料生産プラントが何故か英国面に堕ちている事も原因かも知れない。
欧州管区のメシマズは、食料プラントのせいで更に悪化していた…。
極東管区は食料プラントもメシウマだった。
紳士って何だっけ?