【完結】害虫生存戦略   作:エルゴ

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更新も不定期になったし試験的に更新時間も変えてみたので初投稿です。


第42話「各々・半身」

 

「アンタが一夏が戦った蜘蛛のIS使いね」

「あぁそうだよ。亡国機業のオータムさんだ、覚えときな」

 

 初戦が始まると同時に襲撃してきた敵。その内の一人が目の前で名乗った。

 狭い通路の中、この場にいるのはあたしとセシリアだけ。通信は繋がらず、増援は期待できない。ということはあたしたちだけでコイツを倒さなきゃいけない。

 

「大人しくISを渡せば悪いようにはしねーよ。出さなきゃ奪い取るがな」

「一夏さんに負けて逃げ帰ったというのに、随分と自信ありげですのね」

「意外と楽勝だったりしてー?」

「何だとっ……と、その手には乗らねーよ」

「……そうですか。残念ですわ」

 

 一夏と楯無さんからは直情的で挑発に乗りやすいと聞いていたが、情報が間違っているのか敵も成長しているのか煽りになる様子はない。

 

「セシリア、アンタ通路(ここ)でどれくらい戦える?」

「場所など選びません……と言いたいですが、こうも狭いとまともに戦えませんわね。ビットも飛ばせませんし」

「じゃあ一旦引くしかないわね。外出るわよ」

 

 この狭い道で全力は出せない。それもあたし達二人で戦うのなら尚更。

 先ずは無理に戦わず、広い外へ脱出するしかない。学園祭の後ら透が話してくれた場面と一緒。

 

「ダメだね。お前らは私がここで潰す」

「! あれは……」

「聞いてない武器ね……!」

 

 敵の装甲脚が変形。一瞬先端がぐにゃりと溶けた後、マシンガンとブレードが混ぜられたような歪な武装が展開される。

 情報ではカタールとマシンガンは独立した武装だったはず。つまりは隠していたか、新しい武装か。当然性能も上がってるでしょうね。

 

「さぁて、逃げられるかなぁっ!?」

「来るわよっ! セシリアは脱出の最優先ね! 」

「了解! 鈴さんも足止めお願いしますわっ!」

 

 早速乱射された弾丸を叩き落としながら、全速力で出口へ進む。追いつかれるのが先か、脱出が先か。鬼ごっこの開始(スタート)だ。

 

 

 

 

「私達の相手は貴女ってことね、スコール」

「ええ。この間のリベンジをさせてもらおうと思って」

 

 アリーナ控え室。準備しながら透くんの試合を観戦しようとしていた私たちの前にスコールが立つ。

 

「お姉ちゃん、このクソババ、クソおばさんが前に透と戦った敵?」

「そうよ」

「言い直す気ないでしょう?」

 

 開幕簪ちゃんの煽りが入るが、口調に対し構えは冷静。静かに火球を纏い、臨戦態勢は整っている。

 

「期待してないけど聞いておくわ。目的は何?」

「なら逆に話してみようかしら。いつも通りISの強奪と、新兵器のお披露目と、ちょっとしたサプライズが二つよ」

「新兵器……」

 

 いつものはともかく新兵器というのは右手に持ったブレードと左手に取り付けられた銃口のことだろうか。それ以外には変化がないということはそうなんだろう。

 二つのサプライズが何なのかも気になるが、今は彼女を倒すことが先決だ。

 

「簪ちゃん、前に教えた情報は覚えてるわね?」

「ん。対策もばっちりだよ」

「OK。じゃあ……その通りに」

 

 私たちも準備完了。打鉄弐式には少々狭いかもしれないが、レイディのアクア・ナノマシンを使うには丁度いい環境だ。

 

「篠ノ之博士の作った武器。存分に試させてもらおうかし……らっ!」

「っ!? 簪ちゃん!」

「うん!」

 

 振るわれた右手に持ったブレードから圧縮された熱線が迸る。周囲のロッカーを溶断しながら襲いかかる炎の刃、なんとか回避できたが、当たれば相当のダメージになるのは間違いない。

 篠ノ之博士の名前が出ただけに、相当強力な武器なんだろう。

 

「お次は……これ」

「!」

 

 そう言って構えた左手の銃口の奥から覗く炎が、徐々に圧縮されて強い光を放つ。

 これはまさか、透くんのと同じ──

 

「吹き飛びなさい」

 

 直後、控え室に爆炎が巻き起こった。

 

 

 

 

 一通り避難の済んだ観客席。残る生徒は専用機持ちが4人。シャルロット()とラウラ、さっき挨拶したばかりのフォルテ先輩。そして──たった今、目の前で敵になったダリル先輩。

 

「何してんスか? どうして、うちらに武器(それ)向けてるんスか?」

「……説明してもらおうか」

「見ての通りだよ。オレはおまえらの敵で、たった今お前らのISを奪うように命じられた。それだけさ」

 

 へらへらと笑いながら、しかし真剣な眼差しで剣を向ける。

 何でもないような冷めた口調で、彼女の──亡国機業の目的が語られた。

 

「オレの本名はダリル・ケイシーじゃない。『レイン・ミューゼル』……炎の家系、ミューゼルの末席。そして亡国機業の下っ端だよ」

「レイン、ミューゼル……」

「くだらない運命に呪われた、哀れな家系だよ」

 

 もう隠す必要はないと素性を明かしていくダリル改めレイン先輩。しかしその笑みには自嘲が浮かんでいる。

 

「……挨拶と言って僕たちに近づいたのはこのためですか?」

「いやぁ? そいつはただの気まぐれだよ。まさか今裏切ることになるなんて思わなかったしな」

「ふん、どちらでもいい。いずれにしろ貴様は敵、そうだろう?」

「ああ、そうだよ」

 

 その気まぐれが本当か嘘かはわからないが、今標的にされているのは間違いなく僕たちだ。いつでも攻撃に対応できるよう、こちらも武器を構える。

 

「早速ISを頂く──とその前に、もうちょっとだけ話があるんだ」

「……何スか」

「フォルテ。おまえ、オレと一緒に来ないか?」

「「「!?」」」

 

 いつ仕掛けてくるかと思いきや、突如目の前で裏切りの勧誘を始まる。これも作戦? いや、この二人はペアを組んでいるぐらいだし、勧誘するぐらいには仲がよかったのかもしれない。

 

「オレはさ、ぶっちゃけこの学園なんかどうだってよかった。どうせいつかは裏切るし、適当に過ごせばいいと思ってた」

「……」

「でもおまえに会って、愛し合うようになってから、おまえと過ごす時間はとっても楽しかった。だから、おまえを失いたくない」

「……先輩」

 

 へらへらした笑みは消え、懐かしむような、それでいて少し悲しむような顔でフォルテ先輩に語りかける。

 ……僕には何となくだけどわかる、これは嘘じゃない、本心から出た言葉だ。

 

「今決めろ。おまえも学園を裏切ってオレと一緒に行くか、それともオレを捨てて敵になるかを」

「いきなりそんなこと、言われても……うちは……」

「……なら、諦めるさ。悪かったな」

「ッ!」

「へっ、さて──やるか」

 

 また自嘲するように笑って、今度こそ本気の眼差しで剣を構える。

 話は終わり。ここからの先輩は、完全に僕たちの敵だ。

 フォルテ先輩は激しく動揺している。すぐには戦えない。僕たちで何とかしなくちゃ。

 

「っ来るぞシャルロット!」

「ラウラ、気をつけて!」

 

 闘争心を表すように両肩の犬頭から炎が吹き出し、呼応するように両刃剣が赤熱する。

 

「【ヘル・ハウンド】──焼き尽くす」

 

 炎の猟犬との戦いが始まった。

 

 

 

 

「……うち、は」

 

 

 

 

 そして、再びアリーナへ。

 

「クソクソクそくそクソッ!! 早ク、死ねッ!!」

「『あぁうぜぇっ!!」』

 

 多少の無理を覚悟で82%へ引き上げてかれこれ十分。例のスイッチと特訓の成果もあって、圧倒とまではいかずとも互角以上の戦いを続けている。

 

「今だ箒!」

「よしきた!」

 

 しかしそれも一夏と妹様の協力があってのもの。俺一人ではこの出力でも一方的にやられていただろう。始めはガタついていた連携もそこそこスムーズになってきた。

 

「『動き鈍らせてこれか……またあの人は何てもん作ってんだ」』

「あの人って何だよ!?」

「『察しろ!」』

「私は大体察しついているぞ……」

 

 やっぱりバレてるじゃないか(諦め)。まあ妹さまなら気づけるだろう。そうでなくてもこんなめちゃくちゃなISを作れるのはあの人だけだ。

 

「ぁ」

「『っとあぶねぇ!」』

「油断するな!」

 

 危うく直撃しかけた一撃を回避。捉えられるといってもやはりこのスピードは驚異だ。

これでも何度か当てられた攻撃を介して付着させた《VenoMillion(対ISナノマシン)》でジャミングをかけている。多少は効き目があって助かったが、普通のISならとっくに機能停止させてるはずなんだがな。

 ついでに言うと出力こそ80%を超えているが、ナノマシンの量が少なすぎるため《暴毒命終》は発動できない。発動したところで完全に止められる気もしないけど。

 

「『お返しだオラッ!」』

「ッガ……無駄だァ!」

「『蟷螂のくせに硬いなぁもう!」』

 

 尾の一撃が加わり、ナノマシンを追加。これでさらに動きが鈍るはず。

 しかしそれはいいのだが、さっきからまるでダメージが通っている感じがしない。怯みこそするが、装甲に傷はほとんど無く、敵にもさほど応えている様子がない。

 82%でも足りないのか? これ以上は筋肉痛じゃ済まないんだが……くそ。

 

「透避けろっ!」

「『くそっ! また掠ったっ!」』

 

 そもそも俺の《Bug-VenoMillion》は回避に向いてない。普通の数倍のデカさとシールドエネルギーで強引に突破するISだ。シールドバリア自体を引っ剥がしてくる相手なんか想定外。一夏みたいに《零落白夜》の一撃に気をつければいいならともかく、全ての攻撃がこんな効果を持っているならなおさら。

 ……なーんか明らかにメタられている気がする。もしかして、あのも特訓見てたのか?

 

「下がれ九十九! 私が前に出る!」

「『──っ、すまん、頼んだ!」』

「邪魔だ、と言ってイる…!」

「やっぱり俺たちに興味はないってのかっ、なんで透ばかり狙うんだ!?」

「五月蠅いッ! そレが、私が生きる方法ダカラだっ!」

 

 俺が後ろに下がっても尚執拗に追いかける敵。理由を聞いても答えは滅茶苦茶で、いくら普段の行いがアレだからってここまでの恨み買うようなことは……まてよ。

 

「『ちょっとお前……その面見せろ!」』

「顔いったぁ!?」

「『ああーー、やぁっぱり」』

 

 わざと大鎌を受け止めながら、カウンターで顔面の装甲を攻撃する。目元のバイザーが僅かに砕け、見覚えのある片目が露出した。

 酷くノイズのかかった声と機体が変わったせいで気付かなかったが、この織斑先生にそっくりな目にはよーく見覚えがある。

 ……余計俺だけを狙う理由がわからなくなったが。一夏だって恨み買ってるだろたぶん。

 

「『お前、【サイレント・ゼフィルス】の女だったか。名前は……エムだったっけ?」』

「こいつがあの!?」

「全く面影が無いな……」

「ギ、そウダ……ダが、知っタ所で何も変ワらん」

 

 ゆらりと姿が揺れて、一瞬の内に姿を消す。

 

「ア ハ」

「『っ!? また速──」』

 

 反応すらできない速度で目の前に現れたエムが大鎌を振り上げる。何でいきなり速く──まだ全力を出していなかったのか!?

 

「『げっ」』

 

 ならば防御と前に出した尻尾は、糸を切る様に両断される。

 回避─無理。防御──どうやって? カバー──もう間に合わない。

 

「死ね」

「『っっぐあぁっ!!」』

「透!!」

 

 絶対防御が発動し、それでも相殺しきれなかった衝撃が走る。どうにか本体()の身は守られたが、シールドエネルギーが大幅に減少。装甲がX字に大きく切り裂かれた。

 いくらこっちのシールドエネルギー量が通常の数倍とはいえ、また絶対防御が発動すれば残りはあと僅か。このスピード相手では《絢爛舞踏》で回復することもできない。

 

「『ぅ……」』

「ハハハハッ! やっと、ヤッと殺せル!」

「『ぁークソ、ここまでか……」』

 

 

 

「『なぁんてな」』

「!?」

 

()()()()

()()()()

 

「『95%──死ぬのはお前だ」』

「───ッ!?」

「『ドーン」』

 

 ほんの一瞬目の前が光に包まれ、限界を遥かに超えて引き上げられた出力で放たれた砲撃が炸裂する。通常の数倍はあろうかという指向性の爆炎が敵の装甲を焦し、置き去りにされた爆発音が響く。

 

「ぃあ……何ヲ、した……?」

「『《Bonbardier(砲撃)》だよ、思いっきりぶっ放した。壊れるほどにな」』

 

 いくら爆破が指向性でも、反動は無になるわけじゃない。爆発音にかき消されつつも、確かに俺の耳には肉と骨が潰れる音が届いていた。

 一見何でもないような平然を装いつつも、もう右腕はズタボロ。装甲の隙間からは血が滴り、肘から先がミキサーにでもかけられた様な痛みで満たされている。

 今までで一番酷いダメージ、今すぐ叫びたいくらいだ。

 

「『構うものかよ」』

「ごぁッ!?」

 

 隙だらけとなった胴に続けて左腕を振るう。半壊した装甲へ《Hornet》の針と共に叩き込まれた拳はさっきよりも鋭く、重い一撃となる。同時に破砕音と腕の潰れる音が響いた。

 これで両手が使い物にならなくなった。ちゃんと治せるのか……というかこれはもう、お説教どころじゃ済まないのでは……?

 

「『だが──もう一発」』

「ッッァがっ!!」

 

 ダメ押しの蹴り。その衝撃は焦げた装甲を破壊し、操縦者(中身)まで伝わっていく。

 

「『──ぁークソ、やっぱ痛てぇな」』

 

 骨が砕けて、その破片一つ一つが肉に突き刺さる感覚。これで右脚も使えなくなった。エネルギーも残りわずか。高出力を維持することも出来ず、40%程まで低下する。

 

「グ、ぐぐ……ァ」

「『うわ、まだやれんのかよ。マジで硬いな」』

 

 装甲にも中身にも、確実に深手となるダメージは与えたはずだが……それでも倒れる気配はない。こっちは痛みで意識が飛びそうだってのにタフなやつだ。

 しかも予想外の攻撃を食らってかなり御立腹らしく、今にもまた飛びかかってきそうだ。

 

 

「貴様ァぁァァァッ!!」

「『じゃ、あとは任せた」』

「「応っ!!」」

「ギグッ……」

 

 激怒したエムが大鎌を振りかぶった瞬間。瞬時加速でぶっ飛んできた二人が突撃、全力の蹴りをお見舞いする。速度の乗ったIS二機からの蹴りは流石に堪えたのか、大きく距離を空けられた。

 

「透はっ、俺の仲間はやらせねぇぞ!!」

「よくもスルー連発してくれたなっ! 今度こそ私たちが相手だ!!」

「『お前ら……」』

 

 仲間だと思ってくれてたのか、そしてスルーされてたの気にしてたのか。という言葉を飲み込んで、絶体絶命の危機から救ってくれたことに感謝する。

 

「何度モ何度もっ……! ならバ、お望ミ通リ貴様ラから殺してヤルッ!!」

 

 漸く標的を変え、一夏に向かって上げた大鎌を振り下ろす。

 

「だからっ……殺させねーよっ!!」

「!?」

「そこだっ!」

 

 しかしその攻撃が決まることはなく、高速で振るわれた《雪片弐型》が弾き、《穿千》が吹き飛ばす。飛ばされた刃はくるくると回転し、遠くで地面に突き刺さった。

 

「何故透を狙うのかはもういい! でも、お前の思い通りにさせるわけにはいかない!」

「どうせお前からは聞かなくてはならん事が幾らでもある! 一つ増えたところで今更変わらんっ!」

「「だから──お前をぶっ飛ばして、とっ捕まえてやる!!」」

「『キャラまで変わってないかお前ら? ありがたいけど」』

 

 とにかく俺のピンチは脱した。狙いも代わり、二人の調子も良さそうだ。もう俺はまともに動けない。後は離れて爆弾でも飛ばそうか──と、思った瞬間。

 

 バキッ。
 
バキッ

 

「『あ?」』

「ん?」

「え?」

「ハ?」

 

 固い物が割れるような、俺が関節を鳴らすのとはまた違った無機質な音が響く。それも二重。

 音の出所は……目の前の白式と紅椿。

 

「ちょっ、え!?」

「何なのだこれは!?」

 

 白式の右半身、紅椿の左半身の装甲がバキバキと音を立て、内側から押されるようにして剥がれていく。剥がれた後には見たこともないような白と赤の装甲が残っていた。

 それはまるで脱皮のようで、しかし半身だけという不完全で歪な変化であった。

 

「『形態移行(フォームシフト)……? いや違う、紅椿は無段階移行(シームレスシフト)機のはずだ」』

「変わるならもう半分もやってくれっ……!」

「言ってる場合か!?」

 

 そうこうしている間にも変化は進み、白式の右半身はだいぶ小柄に、不完全故か余剰エネルギーの放出か、バチバチと紫電を放っている。

 対する紅椿の左半身はサイズにほとんど変化はなく、しかし装甲には鋭さが増し刺々しいシルエットになっている。

 

「止まった……けど何だこれ、名前が文字化けしてる」

「私もだ、何が何やらさっぱりわからん」

 

 そして、アンバランスな姿ながらも変化が落ち着く。

 しかし名前の文字化けか、変わったのは見た目だけじゃないというのか? 一応二人自身には変化は無い──いやまて。

 

「『おい、二人とも目の色おかしくないか?」』

「え……本当だ! 箒の左目が赤い!?」

「一夏こそ、右目が金色に!?」

 

 何故か二人揃って片目だけ色が変わっている。言われるまで気付いていなかったあたり、感覚に異常はないらしい……が、その変化が何を意味するのかがわからない。

 

「ナンダ、ソレは……っ!?」

「……知らん!」

「同じく!」

「『おいおい……」』

 

 未だ戸惑いは残っているが、少なくとも戦いに支障はないようだ。こんなタイミングで弱体化なんてたまったもんじゃないからな。

 

「えーっと……じゃあ、行くぞ箒っ!」

「ああっ!」

「『援護はまかせろー」』

 

 完全に空気が変わってしまったが、以前目の前にいるのが強敵であるということは変わらない。

 もう俺は前に出れないが、今は二人の援護に徹するとしよう。いつでも背の爆弾を発射できるように構える。

 

「『っ……ん?」』

 

 潰れたはずの右腕の感覚だけが、痛みから奇妙な疼きに変わるのを感じながら。

 

 

 

第42話「各々・半身」

 

 

 




特訓した=勝てるって図式現実だと全然そんなことないなーと思ったのでこうなりました
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