【完結】害虫生存戦略   作:エルゴ

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 中旬とか言ってましたが余裕で書き上がりました。今回はエピローグなのでとても短い話(相対的に)となっております……が、その前に一つ謝罪しなければならないことがございます。
 私エルゴは約70話の連載中毎度「初投稿」などという虚言を前書きに記載しておりました。本当に初投稿だと思っていた読者の皆様には大変申し訳なく思っております。
 反省の意を込めて、初投稿です。
 


Epilogue

 

 程よく晴れて、程よく風が吹く昼下がりのこと。

 

「あれ、お茶っ葉はどこに……ああ、ここか」

 

 あの世界を賭けた戦いから月日は経ち、IS学園は春休みとなっていた。学生寮からは少しだけ人気が減り、俺も来週には自宅へ帰って、空気の入れ替えでもしようかと考えている。

 

「皆は明日帰って来るんだっけ」

 

 ほとんどの専用機持ちは、春休みが始まった直後から学園を離れている。何でもそれぞれのやりたいことがあるんだとか。出発するまでは教えてくれなかったが、それぞれの手紙やメールである程度把握できている。

 お茶用のお湯が沸くのを待ちながら、送られてきた手紙の束を読むことにした。

 

 

『姉さんが来たら速達で送ってくれ。 箒』

 

 箒は『重要人物保護プログラム』によって離れ離れになった両親に会いに行った。学園に来るまでや、その後のことを話すために。最初に許可を得ようとした時政府は難色を示したが、本人曰く『凄み』でどうにかしたらしい。

 届いた手紙に添付された写真には両親と並んだ箒の姿が写っていた。右側に置かれた謎の置物(兎風)は束さんのつもりだろうか?

 

 

『やりましたわ。 あなたのセシリア』

 

 セシリアは両親のお墓に報告をする……と言っていたのだが、いつの間にか衛星軌道上に存在する対IS用高エネルギー収束砲術兵器【エクスカリバー】を相手に死闘を繰り広げていた。

 実は俺たちも出撃しようとしていたのだが、その前に解決していたという驚きの事件。写真にいた女の子については帰った時に説明するらしい。

 

 

『祝・復縁! 鈴』

 

 鈴は両親に離婚の原因を聞くために飛び出していた。メールによると原因は親父さんが癌に罹り、死を待たせるくらいなら別れてしまおうと考えたから。それを知った鈴とお袋さんは大激怒し、強引に復縁させてしまったそうだ。

 写真には両頬にドデカい紅葉を作った親父さんと、涙の跡をつけて笑う鈴とお袋さんが。いい医者も見つけたらしいし、治せるといいな。

 

 

『社長令嬢になったよ。 シャルロット』

 

 シャルはデュノア社との決着をつけるため……だったのだが、フランスに着くなり衝撃の真実──長くなるらしくメールには書いていなかった──を告げられ、正式な娘として迎えられることになったらしい。

 正直全然納得できないのだが、顔面に青あざのついた社長と、怖いくらい満面の笑みを浮かべたシャルと本妻らしき人を見たら突っ込めなかった。

 

 

『私が姉だ。 お前の婿』

『不服ですが妹です。 あなたの小姑』

 

 ……ラウラの前に、クロエの説明もいるな。束さんと透と一緒に行動していた少女。本来学園で拘束されるはずだったが、特に抵抗する手段も意志も見せなかったので、千冬姉の独断でラウラが監視することになった。意外とノリが合うのか、ドイツ帰りにも素直に同行していた。

 写真は『どちらが姉か決める決闘』の一場面。片や『教官に近づくため』、片や『妹キャラは飽きた』というなんとも言えない理由の戦い。壮絶なクロスカウンターの結果は……メッセージの通りだ。

 

 ここまで五+一人分の手紙とメールは全て昨日届いたものだ。学園に戻ってくる日もそこに。『予定より早めたから絶対学園にいろ』とも書いてあったのは何故だろうか。俺以外で唯一残った簪さんがそれを見て、

 

『シンクロニシティ』

 

 と呟いていた。

 

 簪さんは毎日のように整備室に通ってはのほほんさんに引き摺られて出て行くのを見た。色々な問題が片付いたため、再び楯無さん超えを目指して新兵器を開発中だそうだ。完成した暁には実験台になってほしいとストレートすぎるお願いが来ている。正直嫌な予感はしていたというのに、彼女の煽りスキルを前にあっさり乗せられてしまったことに激しく後悔した。

 

 

 あとは楯無さんか。あの人は春休みが始まるのを待たずに学園を飛び出してしまった。急に出て行ったものだから皆驚いていたが、出席日数は足りているから問題無いらしく、生徒会の仕事もリモートでこなしている。

 目的は未だ戻らない透を探すため。『いつまでも待つのは性に合わない』と生徒会室の机に書き置きがあった。ほとんど毎日のように簪さん宛てに荷物が届き、その大半をいらなそうな顔で開封されている。

 

 

「もう三ヶ月も経ってるんだよな」

 

 時が経つのは早いものだ。目を閉じればあの戦いを鮮明に思い出せる。攻撃の感覚も、交わした言葉も……まるで昨日のことのように。

 ちなみにあの戦いを通して世界がどうなったのかだが、結論から言って大して変わらなかった。報道でも最初の頃は毎日特番が組まれていたが、二週間もすれば知らない芸能人のスキャンダルが中心となり、今では思い出したかのように話題になる程度だ。俺たちに来ていた取材も三日前を最後に無くなった。お陰で帰れるんだが、つくづく大衆は飽きっぽいと思う。

 しかしそれは表面上の話。千冬姉曰く水面下では幾度となく議論が交わされ、方針転換が行われていたそうだ。理想の世界にはまだまだ遠いけれど、確実に良い方向には進めている。

 

「はぁ……」

 

 そして、ほとぼりが冷めた今も世界と楯無さんが探し続けている透は何しているのかというと……

 

「あぁっ! また休載してる!?」

 

 ……俺の部屋で漫画読んでる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「すぅ……すぅ……」

「…………」

 

 IS学園地下、特別医務室。沢山の点滴と機械に囲まれ、ずっと寝たきりのエム──マドカを前に、織斑千冬()が座っている。自身の負傷が治ってからというもの、私は毎日のようにここへ来ていた。

 何をするわけでもなく、ただ待っている。いつか目を覚ます瞬間を見逃さないために。

 

「また、何もできなかった」

 

 教え子が戦っている間、自分はただ病室で寝ていた。いくら傷を治す為とはいえ、何と情けないことか。

 

「私は、無力だな……」

 

 昔からそうだ。大事な大事な弟を助けたつもりで多くの弟妹を見逃したり、友人の心の内も理解できなかったり、教育者面をして生徒一人に出し抜かれたり……これが大人かの姿か? 教師か? 私がなりたかったものなのか?

 何年経とうが、私は何一つ変われていない。私は世界に取り残されている。

 ……けれど私はまだ、前に進みたい。

 

「もし目覚めたら、お前を……」

「…………」

 

 『妹と呼んでいいか?』とは続けられなかった。自分を、弟を、生徒を殺そうとした相手を受け入れるなんて、馬鹿な考えなのはわかっている。でも私は、これ以上誰かを見逃すようなことはしたくない。どれだけ憎まれようとも。

 しかし、何を考えようが相手に届かないなら意味はない。結局独り言ですらないのだ。

 

「んぅ……?」

「!?」

 

 だが、届くようになったのなら話は別だ。

 静かに寝息をたてていた状態から一転。薄く目を開き、か細い声を上げるマドカ。長い昏睡から覚醒したのだ。まさか今このタイミングとは、思ってもみなかった展開に動揺する。

 

「ぁ……うぅ……」

「起きっ……! 大丈夫か!? すぐに医者を……」

「あなたは、誰ですか? それに、こ、ここは……?」

「え……?」

 

 困惑を滲ませる瞳、別人のような言動。それらが演技ではないことはすぐにわかった。記憶喪失、長い眠りから覚めたマドカは、自身のことを忘れてしまったのだ。

 原因は思い付かないわけではないが、今重要なのはそこではない。私は彼女に何と言えばいい? 他人として振る舞うべきか? それとも全てを話すべきなのか? 正解は誰も教えてくれない。

 

「あの……」

「はっ!? な、何だ!?」

「ひえっ……ご、ごめんなさい……」

「いっ、いや。こちらこそすまん!」

 

 考え込んでしまったところに声がかけられ、思わず大きい声で返してしまう。いかん、怯えさせてしまった。

 いまいち接し方がわからない。そもそも記憶を失う前から一度も話したことが無いんだった……どうしよう。

 

「その……聞いても?」

「あ、ああ。何でも聞いてくれ!」

「は、はい! えっと……」

 

 『何でも聞いてくれ?』だと? 今の私に何を答えられるんだ。さっさと他の人を呼んで、説明を任せた方がいいに決まってる。そうだ一夏を呼ぼう。あいつならきっと上手く──

 

「もしかしてあなたは、わたしの家族ですか?」

「うっ……」

「あれ、違いましたか? てっきり()()()()()かなと」

「そうだ……あ゛」

「?」

 

 いや、思いっきり即答してるじゃないか私。数分前の葛藤はどこへ行った。これは嘘になるのか? 一応血縁的なものはあるからセーフなのか? ……本当にどうすればいいんだこれは。

 

「じゃあ……お姉ちゃんの名前は?」

「織斑千冬だ。そしてお前は織斑円夏(マドカ)。それともう一人兄弟がいて、一夏という」

「そんなんですか、へぇー……」

 

 ええい、一夏に文句を言われるかもしれないし、すぐに記憶を取り戻すかもしれない。だがその時はその時だ。今はもう……どうにでもなれ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺の知らないところでとんでもないことが起きた気がするのは置いといて、お茶が入った。適当な和菓子もいくつかお盆に乗せて運ぶ。

 

「お茶だ……ぞ……?」

「おい! ハメ技は禁止ってルールでしょう!!」

「うるせ〜! 知らね〜! 勝てば官軍!!」

「うん」

 

 いつの間にか読書からゲーム──俺の部屋にはなかったやつ──に移行し、しかももう一人のお尋ね者(篠ノ之束)が増えている。どこから、どうやって入ったと問い詰めたいが、まずは頭の整理ついでに足りなくなったお茶を淹れ直そう。

 

 数分後。

 

「……で、何しに来たんですか二人とも?」

「生存報告」

「付き添いとついでにちょっと」

「えぇ……」

 

 理由を答えてくれたのはいいが、答え方があまりにも適当すぎる。いや確かに生存報告は嬉しいが、もうちょっと何かないのか。

 そしてついでにちょっとが何か不安で仕方がない。爆弾とか仕掛けたんじゃないだろうな。

 

「まあ生存報告と言っても、『この通り生きてましたー、いぇい』で終わりなんだけどな」

「いやもっとあるだろ! 三ヶ月もどこにいたとか! 何してたとか! どうして連絡しなかったとか!」

「だらだら治療しながら世界中旅行してた。連絡は完治したらするつもりだったけどタイミングわからなくて逃しちまった、以上」

「最悪過ぎないか?」

 

 皆が聞いたら大激怒しそうな事実に頭を抱える。あの時の心配を返してくれ。本当は生きていただけでも喜ぶべきなんだろうけども……けども!!

 

「一応言っとくが、世界旅行は遊ぶためだけじゃないからな? この元神様気取りの天災無職にもう一度じっくり世界を見てもらおうって目的があったんだよ」

「あっ、そうなのか。そりゃそうか……」

「お陰で認識が変わったよ。まだまだ世界は汚れてて、人は愚かだけど、希望もあった。だから、私はもう少し人を信じようと思う」

「束さん……」

 

 そう語る束さんの表情は穏やかで、憑き物が落ちたようだった。これが俺たちの戦いで起きた変化だというのなら、それだけでも意味があったと言えるだろう。

 

「ちなみに真面目と遊びの比率は?」

「2:8ってとこか」

「マジで一発殴らせてくれないか?」

 

 それはそれとして遊びすぎだろ。

 

「ああそうだ、寿命問題は全部解決したぞ。あの後胸の機械も外してくれてな、人並みの寿命に戻った」

「……だから、そこを詳しく話してくれよ」

「体重一キロ減ったぜ」

「そういうことじゃねぇよ」

 

 どうしてこいつは大事なことを適当に話すんだろう。前もこんなやつだったっけ……何度も死にかけるとこうなるのか?

 

「とーくんは素直じゃないなー。あんまり喜ばれると照れくさくなっちゃうからって、こんなあっさり言わなくたっていいのに」

「ばっ……やめてください!」

「……へーえ?」

「何だその顔は! ああそうだよちょっと照れくさかったんだよ!! はいはい次束さまの話!!」

「はいはーい」

 

 顔を赤らめながら強引に話を変える透。照れくさいとはまた以前ならまず出さなかった感情を見せてくれる。本当に変わったんだな……この場合はいい意味で。皆にチクるのは勘弁してやるか。

 それに束さんの目的も気になるところだ。いくら改心したとはいえ予測不能な人であることには変わりないし。

 

「いっくんは疑り深くなったねぇ。本当に大したことじゃないよ、ちょっとスコールとオータムに会ってきただけ」

「あぁ〜あの2人に会ってきたんですか……は?」

 

 俺の聞き間違いでなければ、今スコールとオータムって言ったか? どうしていきなり学園に捕まってる亡国機業の二人が出てくる。

 

「いやぁ、あの二人には結構迷惑かけちゃったからね。ほら、お詫び的な? ISは流石に無理だけど、スコールの義肢を届けたんだよ」

「それIS学園に大大大迷惑かけてません?」

「あっ……ち、ちーちゃんなら許してくれるっしょ」

「……なんつーか、すまん一夏」

「何でそこは謝るっ……!」

 

 思想が変わろうとやることが無茶苦茶なのは変わっていないらしい。千冬姉は間違いなくキレるだろう。

 ……で、二人の反応は如何に。

 

「『施しは受けない』って言われちゃった。まぁそれ聞くより先に取付けしちゃったんだけど」

「おい透、本当に改心したのかこの人?」

「人間滅ぼすとか言わないだけマシだろ」

「あと鍵全部開けてきちゃった」

「脱走の手引きまで!?」

 

 畳みかけるように驚愕の情報が出される。鍵全開放って、今から追いかけて捕まえられるか? ……いや、もうとっくに敷地外か。この人はIS学園の警備を何だと思っているんだ。

 

「ISも無いんじゃちょっかいのかけようもないと思うけどねー。それに、二人にも思うところがあったみたいだし」

「だといいんですけど……はぁ、もういいや」

 

 十分にも満たない会話なのにどっと疲れた。この脱走が知られた後を考えると頭が痛い。

 

「ところで、キャラクター戻したんですね。あっちが素とか言ってたのに」

「長年続けてたからかなぁ、こっちの方がしっくりくるんだ。……こういうのは、きらい?」

「いーえ、あなたらしいですよ」

「そう? ……ふふっ」

「……んん?」

 

 キャラクターがどうとかは置いといて、なんか二人の雰囲気変じゃないか? 前は主従に近いものを感じたが、今は何というか、家族というか……恋あ

 

 バァンッッッ!!!!

 

「うわぁーッ!!?!??」

「すぅーーっ……」

 

 突如爆音と共に弾け飛ぶドア。昨日掃除したばかりの部屋が、一瞬にして破片まみれの惨状と化す。何があった、誰がやった?

 ……煙の中で揺れる水色ですぐにわかった。

 

「愛しの簪ちゃんに会いに来てみれば……亡国の二人が脱走してるし、警備システムは全部停止してるし、この部屋に変な反応があるし……!」

「あ、あなたは……!」

「どういうことかしらねぇっ! 透くんっ!?」

「楯無先輩!!」

 

 そこにいたのは楯無さん。ドアを吹き飛ばした彼女は、誰がどう見てもド怒りモード。赤い瞳が燃えるようだ。

 

「説明して頂戴。何してたの? どこにいたの? どうして連絡してくれなかったの? そして妙に距離が近い篠ノ之博士は何なの?」

「さ、三番目までは一夏が知ってます……」

「世界中で遊び歩いてたらしいです」

「キサマァーーッッ!!!!」

 

 だって八割本当のことだろう。こっちはまたドア修理の申請出さなきゃいけないんだ、これくらい我慢しろ。

 

「ふーん……ねぇ、最後は?」

「知りません! 急にこうなってました!」

「出たな女狐! とーくんは渡さないぞう!」

「いだだだだ首絞まってる!!」

「ア゛ーーッッ!?」

 

 少しだけ落ち着いた、しかし未だ恐ろしいオーラを纏った楯無さんが透に詰め寄る。が、束さんが割って入り、思いっきり透を抱きしめた。

 汚い絶叫が響く、何が起きているんだ。

 

「九十九くん……?」

「苗字やめてください! いや本当に知らないんですって、ただの主従だったはずなのにっ……!」

 

 確かにこの関係の進み方はちょっと不思議だ。完全に束さんから一方的に感情が向いているようだし、透自身よくわかっていなかったらしい。

 

「だってとーくんたら、『俺を信じて』とか『あなたを信じます』とかかっこいいこと言うんだもん! 恋愛経験ゼロの私はもうイチコロだよ!」

「言いましたけども! え、その台詞!?」

「それにとーくんの顔って私の好みで作ってあるし……」

「嘘だろ……?」

 

 透自身気付かぬ内に口説いていたというのか、意外と罪な男だったんだな……なぜか殺意を感じる。具体的には五人分。

 そして明かされる衝撃の事実。あまりにも予想外な理由に透は驚きを隠せていない。いや、これで驚かないやつはいないか。

 

「おい一夏、助けてくれ」

「嫌だ……」

 

 そういうのは、もっといいシチュエーションで聞きたかったよ。

 

「ちくしょう俺は逃げるぞ! ここにいたらまた死にかねないっ!!」

「待ちなさい透くん! まだ話は終わってないわよ!」

「とーくん待ってぇ!」

「うおぉーーーーっ!?!!?」

「窓が!!」

 

 睨み合いの雰囲気に耐えかねたのか逃走を図る透。今度は窓が破壊され、風通しのいい部屋になってしまった。もちろんそのまま見逃すわけもなく、すぐさま二人も追いかけていく。

 

「あー……」

 

 荒れ果てた部屋に一人残されたところで、まだまだ聞きたいことがあったことを思い出す。昔のこととか、学園に戻る気はないのかとか、逃げる時に展開した黒いISは何だとか……気づいた時にはもう点にしか見えない。

 

「まぁ、いいか」

 

 追いかけようかと思いかけて、まず部屋の片付けをすることにした。どうせ今から出たって追いつけないし、追いついたところで二人の争いに巻き込まれるのは御免だ。

 それに俺たちにはまだ命がある。未来がある。だから、きっとまた逢える。

 

「あの空で──なんてな」

 

 俺たちの生存戦略は、今日も続いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

生存戦略

________________

Infinite Stratos Fun Fiction

 

 

 

 

 

 

 

「いい天気ねー……」

 

「そうですか。取り押さえられてなきゃ俺にも見えるんでしょうがね」

 

「あっごめん。だって透くんが逃げようとするから……篠ノ之博士はどこ行っちゃったんだろ」

 

「そのうち出てきますよ……お、本当にいい天気」

 

「……ねぇ、私の名前教えてあげよっか。楯無(通名)じゃなくて本当の名前」

 

「楯無は襲名する名でしたっけ……で、どうして急に?」

 

「べっつにー、ただ教えたくなっただけ」

 

「ふーん……ならこっちから聞きましょうか。『あなたの名前は?』」

 

「うん、私の名前は──刀奈(かたな)よ。更識刀奈」

 

「かたな、刀奈か……いい名前ですね。楯無より似合ってるんじゃないですか?」

 

「そう? ……えへへ、にやけちゃう」

 

「何照れてんですか……じゃ、改めてよろしくお願いしますよ。刀奈さん」

 

「……うん!」

 

 

 

 

THE END.

 

 

 

 




 
 これにて完結です。また数日中に活動報告で後書き的なものを載せる予定なので、よろしければそちらも見ていってください。
 今まで本当にありがとうございました。


 ちなみに途中のかっこいいタイトル風特殊タグはあの(皆さんご存知)めど氏からいただきました。いいだろー。

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