僕のヒーローシンフォギア   作:露海ろみ

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十五話目となります。

前話にて未来さんのちょっと黒い所を描いたら沢山の方から反応を頂きまして、私自身も「ですよね」と苦笑致しました。

皆様方。ご安心くださいませ。
私の中の未来さんは存外優しい方でした。



15.集合、学生組

買い物を終え、三人はベンチで飲み物を飲んでいた。

そろそろ先輩達が合流できるとの事で無闇に動くよりは、と休憩中だ。

 

「ぷは〜。疲れた身体に染み渡るデスなぁ!」

「切ちゃん、はしたない」

「そうデスか?」

「女の子なんだから」

 

豪快にコーラを飲む切歌とそれを嗜める調。

出久は横目で見ながらメロンソーダを一口飲む。

 

「でも元気があっていいと思うよ?」

「デスって、調!」

「む〜。出久君、切ちゃんに甘くない?」

「そ、そうかな?」

「絶対そう」

 

そう言うと調もアイスティーを口にする。

その顔はどこかしら拗ねた表情に見えた。

出久はそれを見て『悪い事しちゃったかな?』と苦笑した。

その時。横に座る切歌から視線を感じる。

その視線は出久の手にあるメロンソーダに注がれていた。

 

「デク君、メロンソーダ美味しいデス?」

「うん。普通に美味しいけど・・・」

「一口下さいデス!」

「・・・いいっ!?」

 

出久は大袈裟に驚いてしまった。

友人との回し飲み自体は珍しい事ではない。

出久もクラスメイトに「それ一口くれよ」と言われることは、ある。

だがそれはあくまで『同性』の友人だからだ。

 

「駄目デスか?」

「いや、そうじゃなくって・・・」

 

言わずもがな、暁 切歌は『女の子』である。

『異性』にそんな事を言われる事が初めての出久には刺激が強すぎた。

躊躇する出久に切歌は不思議そうな顔をしていたが、ハッとした顔をする。

 

「交換っこが良かったデス? はい!」

 

突き出される『切歌が口をつけた』コーラ。

違う、そうじゃない!と出久は思う。

だが言語化はできなかった。

気になっていたメロンソーダが飲めないと思った切歌は残念そうな顔になる。

 

『切歌ちゃん、もしかして気がついてないのかな?』

 

出久がぎこちなく視線を調に送る。

先程クリスから助けてくれた彼女なら、今度も助けてくれるのではと期待するが・・・。

 

調は複雑な顔をしてこちらを注視していた。

 

助けはない。それだけはわかったので出久は勇気を振り絞るしかなかった。

 

「切歌ちゃん」

「なんデスか?」

「それはちょっとダメかな、って」

「どうしてデス?」

「その・・・間接キスになっちゃうから・・・」

 

言った。

出久は顔から火が出るくらい真っ赤な顔で、消え入る様な小さな声で言った。

その返答を聞いた切歌は暫し無言になり、今聞いた言葉を頭の中で反芻する。

そして気がついた。

 

「で、デク君違うデス! わたしはそれを飲みたかっただけで、そーいったつもりで言ったのではないデスからね! いつも調と交換っこするから、ついいつもの調子で言っちゃっただけで・・・」

 

あわわわ、と大慌てで弁解する切歌。

やっと自分が何を頼んだか理解したようだ。

 

「なんだかごめんね!」

「いえ、こっちこそごめんなさいデス!」

 

二人揃って頭を下げる。

そして同時に顔を上げる。

お互いの顔を見、その後無言でそれぞれの飲み物を呷った。

飲みきってしまえばこの問答はおしまいであるとばかりに。

その二人の様子を見ながら、調はマイペースにアイスティーをちびちび飲み進めた。

どこか安心した顔をしながら。

 

 

そんな問答から数分後。

 

「お待たせ〜! 待たせちゃってごめんね〜!」

 

立花 響はやっとのことで合流する。

 

「・・・あれ? なにかあったの?」

 

流石の響も三人を、というよりその中の二人を取り巻く微妙な雰囲気に気がついたのか疑問符を浮かべた顔になる。

 

「なんにもないデス!」

「はい! なんにも!」

「?」

 

状況は全く理解できなかったが、二人が大丈夫と言うならそうなのだろうと響はそれ以上の追求をしなかった。

だがその様子を一歩後ろから眺める姿が一人。

小日向 未来である。

二人の慌てた様子、空になった二つのペットボトル、二人を見つめる調の視線などから『なんとなく』状況を理解した。

 

「響。その子がさっき話してた?」

「うん。緑谷 出久君だよ!」

 

そこでようやく出久は響の後ろに立つ女の子に気がついた。

見知らぬ女の子は一歩前に出るとにこやかに自己紹介を始める。

 

「小日向 未来です。うちの響がいつもお世話になっております」

「み、緑谷 出久です。こちらこそ響さんにはお世話になっています! といってもこの間、知り合ったばっかりなのですが・・・」

 

立ち上がり、深々と頭を下げる出久。

未来の『言葉の違和感』に気がつく程、出久は人生経験が豊富ではなかった。

 

「うちの響からお話は聞いています。一緒に戦ってくれる仲間が増えたと・・・」

 

その言葉を聞いて出久は響を見る。

S.O.N.G.やシンフォギアは機密事項のはずだ。喋っても良いのだろうか、というお伺いの視線であった。

それに気がついた響は手をパタパタと振る。

 

「あ、だいじょぶだいじょぶ。未来は民間協力者だから、事情知ってるよ〜」

 

先輩の許可も出たので出久はあらためて頭を下げながら返事をする。

 

「はい! 今後微力ながらお手伝いさせていただきます! よろしくお願いします!」

 

彼は右手を差し出し、握手を求める。

その手を握る未来。とても『優しい』握手であった。

 

あくまで真面目に返事を返す出久に未来はクスッと笑う。

なんだか無害な仔犬の様な男の子である。

 

『この分なら大丈夫そう・・・』

 

言葉には出さず未来は心の中で安堵し、笑顔の中の瞳の仮初の光は消えていく。

 

一方、返事をした出久。

『言葉の違和感』には気がつかなかったが、何故だか『雰囲気』が違う事には気がついていた。

目の前の女性から妙な圧迫感が漂っていたのだ。もともと丁寧な喋り方の出久ではあったが、さらに慎重に言葉を選ぶ。

言葉を間違えたら大変な事になる気がする。

そう。とっても怖い事が起こる様な・・・。

 

「未来先輩、ひさかたぶりデース!」

「お疲れ様です」

 

そんな二人の攻防を知らず、後輩コンビが話に加わってくる。

瞬間、圧迫感は消えた。

人知れずほっ、と息をつく出久。

ザババコンビが未来に駆け寄り話をしている。その姿を見て、なんとなくベンチに座り直してしまった。というより緊張が解け、力が抜けた感じである。

ふと前を見ると、更に響が加わり「これからどうする?」と話が進んでいるところだった。

話を聞きながら『どこか行くならこの荷物は一度ロッカーにでも預けた方が良いかも』と横に置いた買い物袋に目をやる。

 

切歌と調が選んでくれた服。

出久は女の子に服を選んでもらう事自体が初めてである。諭吉さんが1.5人分飛んでいってしまったが、なんだか嬉しくて全部買ってしまった。

・・・そういえば、レジに行く前の切歌は一体何をしたのだろう?

不思議に思って袋を覗き込むと、いつの間にか隣にはクリスが座っていた。

 

「よう、緑谷」

「雪音先輩!?」

「さっきはよくもやってくれたな?」

 

クリスはじっ、と出久を見つめる。

その目に気圧され、言葉に詰まる。

『僕もある意味被害者なんですけど』と言おうとはしたが、言うとろくな事にならない気がした。

 

「あたしのハートはブロークンだ。これは落とし前つけてもらわねぇとな」

 

理不尽である。

だが相手は先輩。下手には逆らえない。

どうしようかと汗を流しながら考えていると。

 

「クリスちゃん! 来てくれたんだ!」

 

響の明るい声が飛び込んでくる。

すると他の三人もいつの間にやら来ていた彼女に気がついた様で、近くに来る。

 

「おい、バカ一号。また補習だったんだってな」

「うぅ・・・めんぼくない」

「クリス、あんまり響をいじめちゃダメだよ?」

「お前がついていながら、なんでこいつ毎回の様に補習なんだよ・・・」

「いや〜、未来には教えてもらってるはずなんだけどどうしてか実力が発揮してくれなくて」

「響はやれば出来る子なんだけど・・・」

「あんまり甘やかすなよ。つけあがるぞ、この手合いは」

「酷い!」

 

ショックを受けて項垂れる響に寄り添う未来。

出久は二人がとても『仲が良い』様に見えた。だがなんというか、そこには違和感があり、自分が知っている『仲良し』とはまた違う。そんな気がした。

 

「そ、それで次はどこに行きましょうか?」

 

出久は声を出して話題を変える。

十の瞳が彼を向く。

どうやら話はまとまっていた様で、切歌が代表して答えた。

 

「次はみんな大好き、ゲームセンターデス!」




先日の絶唱ステージ11、お疲れ様でございました。
私自身楽しくお買い物をさせて頂きまして、適合者の方々がこんなに沢山いることに安心いたしました。
もしノイズが出現しても、みんなギア纏えますから日本は安泰ですね!
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