僕のヒーローシンフォギア   作:露海ろみ

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二十一話目となります。

翼戦後の短い話です。
OTONAの所業を文にするととんでもない事に気がついた今日この頃。
AXZ8話を是非見て頂きたいです。司令のとんでもなさが炸裂していますから。



21.『戦う』という事

「しかし緑谷、筋がいいな」

 

模擬戦の後、休憩中の二人は並んで座ると喉を潤していた。

 

「徒手空拳で私と彼処まで戦えるとは驚いたぞ」

「ありがとうございます!」

「立花とはまた違うタイプの戦い方だな」

「そうなんですか?」

「立花は叔父様の影響で中国拳法の技をよく使う」

「中国拳法ですか・・・」

 

出久の頭の中で響が『アチョー』と構えをとっている。

そういえば初めて彼女が戦っているのを見た時、不思議な動きだとは思ったが中国拳法だったのかと合点がいった。

 

「そういえば。叔父様は強かっただろう?」

「・・・勝ち目が見えませんでした」

「当たり前だ。以前ギアを纏った六人で挑んだことがあるが惨敗だった」

「シンフォギアを使ってですか!?」

 

翼と戦った今だからこそシンフォギアがどれほど強いのかわかる出久は驚いた。

それを六人分でぶつかって勝てないとは、風鳴司令の強さはやはり尋常ではないようだ。

翼はその時の様子を語り出す。

 

「マリアは猛攻の前にあっという間に吹き飛ばされ、立花の連撃は片手で防がれた。私の剣は指二本で受け止められて、雪音のミサイルは全部投げ返されていたな」

「えぇ・・・?」

「暁と月読に至っては震脚の衝撃波で攻撃をするまでもなかった」

 

あまりにとんでもない話に出久は口を開けて茫然とする。同時に自分は相当手加減されていたという事に気が付いた。

そうでなければ最初の一撃で勝負はついていたはずだ。

 

「だが叔父様は立場故に戦場に出る事が出来ない」

 

手にしたペットボトルに視線を落としながら翼は言う。

 

「本当ならいの一番に戦場に立ちたい筈だ。だがそれが出来ないからこそ私達に託してくれる」

 

その瞳が上げられ、正面を見据える。

 

「その想いを私達は忘れてはならない」

「その話、マリアさんからも聞きました・・・」

 

横に座る翼を見ながら出久は続ける。

 

「自分は戦う事が出来ない。装者の人達に戦ってもらうしかない。大人の自分が戦えず、子供達に戦ってもらうしかないのが申し訳ない、って・・・」

「・・・叔父様は優しい方だからな」

 

出久の顔を見て翼は笑いかける。

その悲しそうな笑みを見て出久は言う。

 

「なら・・・僕もその想いを引き受けます」

「緑谷・・・」

「僕は子供かもしれません。でも戦う事は出来ます! 司令さんが戦えない分、僕が皆さんの力になります」

 

拳を握り締め、そこまで言うと立ち上がる出久。

その瞳に決意を宿し、翼に手を差し出す。

 

「これから、よろしくお願いします!」

 

だがその手は握られなかった。

 

「緑谷」

 

かわりに彼の頭を撫でる手がひとつ。

 

「ありがとう」

 

今までで一番綺麗な笑みを浮かべた翼がそこにはいた。

 

「頼もしい弟分が出来た気分だよ」

「・・・はい!」

 

出久の手は握られなかった。

だがしっかりと握られている。

それは自身の髪に触れるその手から感じられる確かなものであった。

 

 

その時。警報が鳴り響く。

 

 

『市街地にてノイズ出現。装者は現場に急行してください!』

 

突如鳴り渡る敵の出現に二人の顔が上がる。

その顔は戦場に赴く武士(もののふ)の顔に変わっていた。

 

「緑谷、助力を頼めるか?」

「もちろんです!」

 

その肩を並べて二人は駆け出した。

 




OTONAって凄い(小並感)

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