僕のヒーローシンフォギア   作:露海ろみ

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二十五話目となります。

間を補完する幕間も三回目となりました。



25.幕間3

爆豪を見かけた夜。

出久は弦十郎と話していた。

 

「クリス君、なかなか面白いことをするな」

「笑い事じゃないですよ!」

「すまんすまん」

 

出久からこの一日の話を聞きはじめた弦十郎は笑いながら彼の背を叩く。

 

「まさか彼女がそんな行動をとるとは思えなくてな」

「・・・僕も先輩にそんな風にからかわれるとは思ってもいませんでした」

「それだけ君を気に入っている証拠だ。昔のクリス君を知っている俺からしたら驚きだよ」

 

そう言うと彼女がS.O.N.G.の前身、特務災害対策機動部ニ課に所属となった経緯を話しだす。

聞けばクリスはかつては敵であり、誰も信用せず牙を剥いていたそうだ。戦いの中でフィーネという人に反旗を翻してこちら側についたらしい。

 

「クリス君はなかなかに辛い生活を送ってきたんだ。そんな彼女が今は味方になってくれている」

「そうだったんですか・・・」

「おっと。間違ってもこの話は彼女にするなよ? クリス君はきっと嫌がるだろうからな」

「はい」

「そうだ。敵といえば、マリア君達も最初は敵だったんだぞ」

「えぇ!?」

 

今度はマリア、切歌、調の話を始める弦十郎。彼女達は世界を相手どりノイズを操った敵だったという。

そんな彼女達は今やS.O.N.G.の一員である。

人に歴史あり。その言葉の意味を実感する出久であった。

 

「・・・という訳で。彼女達は今はS.O.N.G.のシンフォギア装者なんだ」

「皆さん、色々な事情を抱えてらっしゃるんですね」

「昔の話はこれくらいだ。それで、他にはどんな事があったんだ?」

 

弦十郎は出久に今日の事を問う。

 

「えっとそれでその後、切歌ちゃんと調ちゃんに連れられて服を選んでもらってですね・・・」

 

出久は続きを語りだす。

二人に服を選んでもらった事。

合流した響、未来とのやり取り。

クリスも加わり、ゲームセンターでの激闘。

未来からの”おしおき”

レストランでの響の暴れっぷり。

そして・・・。

 

「ほう・・・。切歌君からネックレスをもらったのか」

「はい。これを貰ったんです」

 

そう言うと胸に揺れるそれを持ち上げる。

Xの形をしたそれが出久の胸で揺れる。

 

「今もつけてるということは、気に入ってるのか?」

「恥ずかしいんですけど、女の子からプレゼント貰った経験が少ないので・・・」

「そうか・・・」

 

出久より人生経験豊富な弦十郎はなんとなくだが切歌がそれを送った理由に気がついていた。

切歌自身が気づいていたかは不明だが、無意識にそうしたあたりそうなのであろう。

ネックレスを異性に送る意味。

それは・・・。

 

 

『相手を独り占めにしたい』

 

 

切歌は出久に並々ならぬ想いを抱いているようだ。もしかしたら彼女も自分でも気がついていないのかもしれないが・・・。

 

「それなら大切にしないとな」

「はい!」

 

その想いに気づかず元気に言葉を返す出久に弦十郎は苦笑いし、頭を撫でる。

今はこれでいいのだ。

若者達には若者達の速度がある。

それをわざわざ伝えるほど弦十郎は無粋ではなかった。

 

「さて。夜も遅いが、映画でも見るか!」

 

そう言うと一本のBDを取り出す。

 

「これから見るんですか?」

「何を言っている。飯食って映画見て寝るッ! 男の鍛錬は、そいつで十分よッ!」

「そんな無茶な・・・」

「無茶かどうかは、見てから決めるんだな!」

 

言いながらプレイヤーにディスクを入れる。

やがて流れ出した映像に夢中になる出久であった。

男二人の夜は更けていく。

 

 

 

 

所変わって切歌と調の暮らすマンション。

ソファの上で脚をバタバタとしながら切歌はのたうちまわっていた。

彼にプレゼントをした。その一つの事実が彼女を奇行に走らせていた。

男の子にプレゼントを渡したのは初めての経験である。

それ故に形容し難い感情にその身を任せると、不思議と身体が動く。

 

『デク君、喜んでくれてたデス』

 

受け取った彼の顔。驚きから喜びへ変化した顔。思い出すと胸の中がポカポカと暖かくなる。自然と顔が緩む。

その時カチャリと扉が開いた。

 

「切ちゃん。埃舞ってる・・・」

 

お風呂から出てきてパジャマ姿の調は同居人の行動に眉を顰める。

 

「デス!?」

「せっかくお掃除したのに・・・」

 

口を尖らせてジト目で抗議する調。

慌ててその脚を止める。

そんな彼女の姿を見ながら調は言う。

 

「なにかあったの?」

「な、なんでもないデスよ〜?」

 

そそくさと立ち上がり、自身も風呂に向かいだす。

 

「さ〜て、わたしもお風呂入ってくるデスかな〜?」

 

白々しく口笛など吹きながら部屋を後にする。百人が見たら百人が思う。

 

「怪しい」

 

明らかに怪しい。怪しすぎる。

ああなった切歌は確実に何かを隠している。

嘘が下手すぎである。

そんな切歌の態度は調の胸に棘を突き刺す。

 

『切ちゃんは私に言ってくれないのかな』

 

どんな時もずっと一緒だった彼女が話してくれない。それは調にとってとても悲しい事だった。

そしてそれはきっと・・・。

 

「出久君の事なんだよね・・・」

 

最近友達になった男の子。

緑谷 出久。

きっと切歌の変化の中心は彼だろう。

 

「切ちゃん・・・」

 

残されたリビングで一人、大切な名前を呟く。

彼女の想いを知らない彼女へ向かって・・・。




調から切歌に対する感情と、切歌から調に対する感情は似ている様で違うものであるとこの小説では考えております。
だからこそ、このやりとりです。
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