僕のヒーローシンフォギア   作:露海ろみ

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五十一話目になります。

ご無沙汰しております。
今回の投稿は日常回です。

リアルの方で色々とやるべき事が出来てしまいまして・・・お待たせしてしまい申し訳ありません。


51.普段の顔

数日後。再び市街地にはノイズが出現し、それの殲滅戦が繰り広げられていた。

 

「切ちゃん、そっち行ったよ」

 

ザババの二人は相変わらずの連携力でノイズの群れを伐り刻んでいた。轟の氷壁から受けたダメージより回復した調は丸鋸とヨーヨーを駆使してノイズを追い立てる。

 

「まかせるデース!」

 

追い詰められたノイズは切歌の操る大鎌により一刀両断されていく。あっさりと炭化していくノイズ。出現したノイズは既に大半が倒されている。

そんな中、共に戦場に立つ出久は苦戦を強いられていた。

 

「・・・くッ!」

 

自身の動きが鈍い。ワン・フォー・オールを纏っているのに腕も脚も重りをつけているかの様に一挙動が遅く感じる。攻勢に出られず、守勢に回りながらも少しずつノイズを処理していく。

 

「このッ!」

 

最後の一体を倒した出久は普段ならあり得ないくらいに息を切らしている。ワン・フォー・オールを維持するのが辛い。8%を維持できるはずなのに力が入らない。今出ているのは5%が精々だろう。

あの日から個性を使う事に心の何処かでリミッターをかけてしまっている。いや、かけているつもりはない。それでも、意識しないところで力が抜けているのだ。

出久は自分の掌を見つめた。握り、開きを繰り返しながら再び握り込む。このままではいけないと言い聞かせるが、身体が言う事を聞かない。もどかしい気持ちが募っていく。

 

その様子を遠巻きに眺める切歌は動きに精彩を欠ける彼に違和感を感じていた。視線の先の一人思い悩む様な出久の姿に『相談してくれればいいのに』と少し寂しさを覚える。

 

「どうしたんだろうね」

 

気がつけば隣に立つ調が同じ方に視線を向けながら呟いた。彼女も自分と同じ顔をしている。あの日から様子がおかしい彼に調も同様の違和感を感じていたのだった。

切歌は自分と同じ気持ちを持ってくれている調にとある提案する。

 

「調、お願いがあるんデスが・・・」

 

 

自室に戻った出久はシャワーを浴びて濡れた髪を拭きながら、ベッドに腰かけた。自問自答しながらも答えが出ない答えを考え続けるのは苦痛であり、ここ数日心が晴れない。

 

「はぁ・・・」

 

思わず漏れた溜息が霧散していく。沈んだ心は彼の顔をも暗くしていた。

その時、部屋の扉が開かれる。

 

「邪魔するデース!」

「お邪魔します」

 

突如現れたのはサングラスをかけてはいるが見覚えのある二人組。突然のことに驚く出久の目の前まで来ると、二人は彼の腕を両側から掴んだ。

 

「じゃあ連行するね」

「ちゃっちゃと歩くデス!」

「え、なに、どういう事?」

 

困惑する出久をよそに切歌と調は有無を言わさない様子で彼を引きずっていく。

 

「さぁ、デク君。遊びに行くデスよ!」

「この間の約束、果たしてもらう」

「・・・それ、今日じゃなきゃダメ?」

 

こんな気持ちで遊びに行けるはずは無く、流石に勘弁してもらおうと抗弁する出久。しかし二人の決意は固い。

 

「「ダメ(デス)!」」

 

その剣幕に気圧された出久は根負けし、せめて着替えさせて欲しいとお願いするのだった。

 

 

私服に着替えた出久は二人に連れられ、前にも来た大型ショッピングモールに来ていた。

 

「切ちゃん、見て。新しいお店が出来てる」

「さぁ、突撃デース!」

 

出久は巻き込まれる様に様々な店を共に回る。

雑貨店やファンシーショップを冷やかし、可愛らしい小物を三人で選んだ。緑とピンクのティッシュボックスカバーを気に入った二人は迷った末に買うことを決めた様だ。

 

前は出久の服を選んだので、今回は切歌と調の服を探した。沢山の服を試着しては着替えてを繰り返しながら、出久はそれぞれに意見を求められる。

つい調を褒めていると、むくれた切歌から抓られた。

 

ゲームセンターでは三人でプリクラを撮った。満面の笑みの二人と慣れておらずにぎこちない笑みを浮かべる出久のスリーショット。

切歌と調が率先して出久の顔にラクガキをしていく。出久はとんでもない顔になった自分に吹き出す。それにつられて笑う二人。

出来上がったそれは三人で分けた。

 

 

散々に遊び回された出久は二人の後ろをついて歩く。先を歩く二人は本日最大の目的地、フルーツパーラーに楽しそうに向かっている。

出久は笑いながら歩く二人を見ながら、ふといつも通りに笑っている自分がいる事に気がついた。さっきまでの暗い気持ちを忘れて笑う自分がそこにはいた。

自分の変化に驚いているとその思いを見透かしたかの様に切歌が振り向く。

彼女は目が合った出久を見て、笑みを深くした。

 

「あ。やっと笑ったデス」

「・・・え?」

「ずっと怖い顔してたの気がつかなかったデスか?」

 

自分がそんな深刻な顔をしていたなど全く気がつかなかった彼は足を止めてしまう。すると切歌も同じく足を止める。

振り向いた切歌は出久に言った。

 

「デク君にそんな顔は似合わないデス」

「切歌ちゃん・・・」

「だから・・・」

 

切歌は出久に手を伸ばす。

 

「いつもみたいに笑って欲しいデス。困った事があるなら話していいんデスよ?」

 

彼女から伸ばされたその手は開かれている。まるで『いつでもおいで』と言っているかのように。

無意識に出久はその手を掴んだ。だが掴んだら掴んだで気恥ずかしくて、照れ臭くて、なんとも言えない顔をしてしまう。

そんな変な顔をする彼に彼女は優しくその手を握り返す。そして頬を染めて殺し文句を言う。

 

「だってわたしは、デク君の彼女さんなんデスから」

 

その言葉に今度は嬉しさから照れた顔をする出久。それは言った切歌もだ。

二人で互いを感じながら立ち尽くした。

そこにもう一人の声がする。

 

「二人とも。置いてっちゃうよ?」

 

少し先に立つ調が声をかける。

こちらを見ながら『世話が焼けるなぁ』といった顔をした調は歩み寄ると、手を繋ぐ二人の手を引っ張る。

 

「ほら行くよ。切ちゃんを心配させたんだから、ちゃんと話してね」

「う、うん」

「あとこの前も言ったけど、イチャつくなら二人っきりでやってね?」

「調ぇ⁉︎」

 

その身から黒いオーラを豪ッ!っと湧き立たせながら調は微笑む。その恐ろしさを感じて出久と切歌は身を震わせた。

 

「ごめんなさい・・・」

「ごめんなさいデス・・・」

 

しょんぼりと縮こまる出久はそうなりながらも彼女にも感謝をする。

同時に意味は違うが二人の『大切な人』に心配をかけた自分に反省をし、彼女達にちゃんと話そうと思う。

それが今の自分に出来る事なのだろう。ならば今はこの好意に甘えてもいいのかもしれない。

そう考えた出久は二人と共にこの前の約束を果たしに向かった。




やらなきゃいけない事がポケットいっぱいです・・・。
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