仕事場の方にXDのガチャを回してもらったらキャロルちゃんをお迎え出来ました。
兎に角可愛い・・・。
何度も読み直しはしておりますが、誤字脱字等気がつかれた方は是非とも御指摘頂けたらと思います。
あれから二日後。
出久はS.O.N.G.発令所に立っていた。
「緑谷出久です。雄英高校一年A組、ヒーロー科に在籍しています。ヒーロー名は『デク』。よろしくお願いします」
サラリーマンよろしく、仮免を名刺に見立て90度のお辞儀をしながら簡単な自己紹介を終えた。
「いや固すぎるだろ・・・。つか、ヒーロー名ってなんだよ?」
クリスのツッコミは今日も冴える。
「まさかお前。いい歳して正義の味方ごっこしてんのか?」
「雪音、彼にも事情があるのだ。今日はそこを話す機会だろう」
「まぁ、そうなんだけどな・・・」
「ようやく彼も復帰したのよ。誰かさんのせいで昨日まで治療を受けていたのだから」
『ようやく』と『誰かさん』の部分を強調しながらマリアが続ける。無論視線を送るのを忘れない。
それを受け約一名が冷や汗を垂らす。
その彼、風鳴 弦十郎は一歩前に出る。
「緑谷君」
「は、はい!」
「あらためてすまなかった。無神経にも君を傷つける言動と行動をとってしまった。弁解のしようもないが・・・本当に申し訳なかった」
「いえ! 僕の方こそ感情的になってしまって、すみませんでした」
頭を下げる大人とそれを受け下げ返す少年。
その光景を見て装者大人組は視線を交わし、彼の蛮行を許すことにした。弦十郎は『信頼』を体現した様な人間である。無闇に人を傷つけず、むしろ人を救う。『優しさ』の擬人化といってもいい。
それをわかっていたからこそ、彼女らは彼を正座させた。
珍しくあんな手段に出た彼に驚いたのは二人もだったのだ。自分達の時にはしなかった行動に無意識に嫉妬したのかもしれない。
そう思う位に風鳴 弦十郎という大人を信じているのだ。
「しかし君は凄いな。その歳であんなに戦えるのは素晴らしい。かなり鍛えているのがよくわかったよ」
「・・・僕はまだまだです。自分が使う力に振り回されてます」
褒められた出久は恥ずかしそうに頭を掻きながら返す。
「それにオールマイトに追いつくまでには先は長いですから」
「君が口に出していた『オールマイト』なる人物は相当な傑物のようだな」
「はい! 僕の目標ですから!」
「彼はどういった人物なんだい?」
「オールマイトはですね・・・」
出久は自分の事を褒められた以上に嬉しそうに師の事を語り始めた。時には自身のスマートフォンに保存してある動画を見せながら。
その過程で自分の事や身の回りを取り巻く環境、自身が体験してきた事件を語った。
実は元公安の弦十郎は出久に悟られない様な誘導尋問をかけていた。人間は好きな物を語っている時ほど本性が出る。世間話をする様に出久に様々な事柄を喋らせた。
時折。話を聞いていた装者達からも声があがり、それに出久は律儀に答えていく。
時に嬉しそうに。
時に恥ずかしそうに。
時に辛そうに。
時に悔しそうに。
時に楽しそうに。
気がつけばその場の誰もが出久の話に、知らない世界の話に聞きいっていた。
「あ・・・。なんか僕だけ喋っちゃって・・・すみません!」
一方的に喋っていたことに気がつき、生来の腰の低さからまた謝る出久。
「いや、ありがとう。君の事、君の世界の事がよく理解できたよ」
「・・・信じてもらえるんですか?」
「並行世界、という言葉を知っているかな。我々は条件が揃えばそこに行くことができる」
S.O.N.G.には並行世界の異変を察知し現世界と繋がる完全聖遺物『ギャラルホルン』という物があるという。
「話を聞く限りどう考えてもここは君の世界ではない。恐らく君はギャラルホルンの力によってこちらの世界に来たとみて間違いない。だが・・・」
ここで弦十郎は言葉を切った。
「『シンフォギア』を使えない君が何故こちらに来られたのかわからないんだ」
話によるとギャラルホルンを使い世界を渡れるのはシンフォギアを使える者のみらしい。生身の人間が世界を渡るなどあり得ないそうだ。
「今更なんですが、その『シンフォギア』というのはなんなのでしょうか?」
「あぁ、そういえばそこら辺の説明もしなくてはならなかったな。エルフナイン君」
「はい」
名前を呼ばれトコトコとやって来たのは白衣を纏った自分よりずっと歳下の少女だった。
「はじめまして。ボクはエルフナインと言います。緑谷さんにこの世界の事をご説明させて頂きます」
ぺこりと可愛いお辞儀をした少女は手に持ったタブレットを操作して、スクリーンに様々な情報を表示した。
彼女の説明によるとこの世界にはノイズと呼ばれる怪物が出現するらしい。それは人間を襲い、接触により炭化させて殺す事が出来るそうだ。
位相をずらして存在するノイズには通常兵器は役に立たないが、唯一倒す手段がある。
それがFG式回天特機装束。
通称『シンフォギアシステム』
過去の聖遺物を歌で起動させ、音楽の力で炭化を無効化。歌唱により位相を調律し、ダメージを与え倒すことが出来る唯一兵装。
「それがシンフォギアとなります」
エルフナインの言葉を聞き終えた出久は顔を青くしていた。
触れたら炭化して命を落とす。
よもや戦った相手がそんな怪物とは思ってもいなかったのだ。
思わず殴り、蹴った自らの四肢をマジマジと見てしまった。だがそこに炭化の兆候は見られない。
「不思議なのはそこです。緑谷さんは何故ノイズと戦って無事なのでしょうか・・・」
エルフナインは困惑した顔で首をかしげる。
「アンチノイズプロテクターを纏っていないのに炭化されず、調律無しのノイズへの攻撃。とても説明ができません」
「確かに響君達から報告を受けた時は驚いた。なにか思い当たる節はあるかい?」
話を振られ、思考のために黙り込む出久。
先ほどの話でシンフォギアは『纏う』と表現されていた。
ならば自分にとって『纏う』ものとなれば一つしかない。
口からその名が溢れでる。
「ワン・フォー・オール・・・」
出久にとっての個性『ワン・フォー・オール』
それを『身に纏う(フルカウル)』状態で運用している。
「僕は自分の力・・・『個性』を身に纏う形で使っている・・・。それが僕の事を守ってくれてるのだと思います」
「俺と戦っている時に君の体から紫電が見えたが、それか?」
「はい。僕はこの力を全開で使えないので、自分の身体が許容出来る限界を見極めて使ってるんです」
それを聞いた弦十郎は目を見開く。
「それはどれくらいの力なんだ・・・」
「えっと、常時なら8%・・・瞬間的になら20%くらいですかね」
「まだ上があるのか!」
「でも今の僕がこれ以上の力を使うと、身体が耐えきれなくって怪我してしまいます」
そう言って出久は袖を捲る。
そこには傷跡だらけの腕があった。
今ほどワン・フォー・オールを使いこなせてなかった頃、無茶をした名残だ。
出久自身の戒めでもある。
それの惨状を見た周りが騒つくのがわかり、出久は早々に袖を戻した。
「なるほどな。君も大分死線を潜ってきたようだ」
その腕を見、この間の手合わせを思い出した弦十郎は大きく頷いた。
限界を超え、限界を見極める。
それはただ鍛えるだけでは至れず、実戦を伴わないと得られない教訓であった。
「是非とも全力の君とも戦ってみたいものだ」
「司令?」
「叔父様?」
思わず出た言葉にマリアと翼は声を揃える。この大人、やはり懲りていない。
二人からの冷たい視線を浴び、弦十郎は話題を切り替えた。
「さ、さて緑谷君、これからの事についてだ。君の状況は非常に良くないのはわかるな?」
この世界において異世界人となる出久は当然の事だが戸籍などが存在しない。
通う学校もなければ、住む家もない。
「しかも君はノイズと戦う力を持っている。このままでは他国からのエージェントに拐われかねない」
「拐われるって・・・」
「ノイズと戦えるだけ、と軽く言ったが十分に凄いことだからな。シンフォギアを運用できない他国からしたら喉から手が出るほどに欲しい存在だ」
出久は思わず目を伏せる。
その様子を見た弦十郎は彼に目線を合わせた。
「今回の件は俺達に非がある。知らずな事とはいえ君をこちらの世界に巻き込んでしまっているしな。君が元の世界に戻れるように尽力させてもらう」
顔を上げる出久の前には真っ直ぐにこちらを見る弦十郎がいた。
彼は真剣な表情で続ける。
「そして・・・君が良ければだが、ウチの装者達と共に戦ってほしい。子供の君にこんな事を頼むのは大人として申し訳ないのだが・・・」
「いえ、それは僕からもお願いしようと思っていました」
出久は目の前に助けを求める人がいるのにそれを助けないわけがなかった。
それをしないのなら、彼は自分で自分を否定してしまうことになる。
「僕はまだまだ半人前ですが『ヒーロー』です。誰かが助けを求めているのなら、その手を笑顔で握って助けます。だから・・・」
そこまで言うと一度言葉をきる。
『ヒーローの顔』になった出久は言った。
「僕をここで戦わせてください」
それを聞いた弦十郎の右手が差し出され、半人前のヒーローは固く握り返した。
まだ書きたい事の半分もいっていない・・・。
お話を書くというのはとても大変な事なのですね。
連載されている方々の素晴らしさを痛感しております。