今回も本編とはクロスはしない設定となっております。
あくまでも番外編としてお楽しみいただければ幸いデス。
俺はデクの野郎が大嫌いだ。
無個性のくせにその心根だけは誰よりもヒーローみたいなあいつが心底ムカついている。
ガキの頃。川に落ちた俺に真っ先に手を伸ばしたアイツの顔を見た時からそう思っていた。
中三のあの時だってそうだ。
ヴィランに取り込まれて、プロヒーロー達が遠巻きに見守る中飛び出してきたあの野郎は「君が助けを求める顔をしてた」とか何とか抜かしながら飛び込んできやがった。
俺はそれが、気に食わなかった。
無個性のデクが俺を助ける?
ふざけんじゃねぇ!
なんであいつに助けられなきゃならねぇんだ。俺はあいつより上だ。
あいつなんかが足元に及ばねぇくらい、凄ぇ男のはずだ。
だが、気がつけばあいつはどんどん俺に迫ってきていた。
デクが居なくなって一週間が過ぎた頃だ。
俺は夢を見た。
変な刀女と見たことねぇ化け物を倒しているあいつを遠巻きに見ている夢。
オレの心はあいつが憎くて堪らない。すぐにでもぶち殺してやりたいと煮え滾っていた。
その次は気がつくとそこは墓場だった。
また違う女と一緒にいる奴を見た瞬間、オレは個性を使いあいつらに襲い掛かった。
鎧女をぶっ飛ばしたがあいつは、デクの野郎は女と協力してオレの動きを封じた。
あいつが何か喚いてやがる。
お前がオレの味方だぁ?
馬鹿にすんじゃねぇ!
オレはお前とは違う!
心が黒く塗りつぶされていく感覚。
そしてオレの口から出たのは信じがたい言葉だった。
『オールマイトを終わらせた原因のテメェが、クソな事言ってんじゃねぇ!』
俺は確かにデクを嫌っている。だがこんな事を言う様な男じゃねぇ。それは俺自身がよくわかっている。
だが夢の中のオレは言う。
『ヒーローなんてクソ喰らえだ! そんな世界なんてぶっ壊してやるって決めたんだよ、オレは!』
この俺様がヒーローを諦めただと?
バカも休み休み言えよ。
これじゃまるで俺はヴィランじゃねぇか!!
このオレはなんでこんな事になっていやがる!
その次は水族館だろうか。
また違う女と乳繰り合ってるデクの野郎を見つけたオレは女ごとあいつをぶち殺そうと迫った。
だが小癪にもデクの奴は女を突き飛ばし、自分だけが捕まる様に仕向けた。
女を連れて逃げるデク。それを追うオレ。
そもそもなんでオレはコイツを殺そうとしてんだ?
確かにクソデクはぶち殺したいが、『そうじゃねぇ』はずだ。
だが夢の中のオレは確実にデクの奴を『殺す』つもりらしい。
ふざけんな。
俺はそんなんじゃねぇんだ。
俺は、ただ・・・。
オレの魔の手がデクに迫る。
そこで、跳ね起きた。
身体中汗に塗れている。
「くそッ!」
荒い息で布団を殴りつける。
「なんなんだよ、畜生・・・」
冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出して、一息に飲み干すと手の中のペットボトルを爆殺して、ゴミ箱に放り込む。
「てめぇ、どこに行きやがった・・・」
窓の外から見える景色はいつもと変わらない。
だがあいつはいなかった。
なんか書いててBLっぽく感じてしまう私は腐りかけてるのかもしれません。