ご注文は記憶ですか?   作:榎田 健也

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 桃弾頭さん、時間遡行者さん、すふぃあさん、未雷日機さん、富富富さん、イギーさンさん(「さん」が重なっちゃった……!)、感想ありがとうございます!

七羽を六羽と書いていたので直しました。疲れてるのかな……?



第八羽「ご注文はソーセージですか?」

「う~~トイレトイレ」

 

今トイレを求めて廊下を早歩きしている俺は喫茶店に住み込んでバイトしているごく一般的な男の子。強いて違うところをあげるとすれば記憶喪失ってとこかナ……名前はわからない。今は梅斗って呼ばれている。

 

そんなわけで喫茶店の二階にある居住スペースのトイレにやって来たのだ。

 

トイレのドアを開けると、便座に一人の男が座っていた。マスターだ。ちなみにマスターのマスターは右手で隠れていますたー。

 

うわっ! 気まず……

 

そう思っていると、突然その男は俺の見ている目の前でパンツとズボンをあげはじめたのだ……! 俺はマスターのマスターが見えないように、すっと目線を上げると丁度マスター(本体)と目線があった。

 

じじー(ズボンのチャックを上げる音)

 

「仕事しないか」

 

そういえばこのマスターは、娘さんに怪我させてしまった俺を「示談」として住み込みで働かせるくらいの仕事人間だった。

 

罪悪感に弱い俺は誘われるままホイホイと、あ。

 

「すいません、おしっこさせてください」

 

やばい漏れる。

 

 

 

 

 まだ時間は早いらしいが、店の掃除をすることにした。マスター――タカヒロさんにその旨を言うと、とても旨い朝飯を作ってくれた。昨日の夕食はココアが作ってくれたので美味しさ補正が掛かっていたと思うが、普通に旨かった。ネックがあるとするなら、ソーセージを食べるとき、少し思い出してブルーになったってとこくらい。

 

「そういえば……何の夢だったんだ、あれ……?」

 

 昨日は覚えていないもしくは見ていないが、今日は夢を見た。夢は深層心理うんぬんかんぬんだったような気がするから記憶の手がかりになると思っていたのだが、なんとびっくりココアと戦う夢だった。しかも、会ったことが無いのに見た事がある人と一緒に戦っていた。ココア先輩も剣を持った女性の侍を連れていて、戦わせていた気がする。夢の事だからあまり覚えていないし、どんどん忘れてしまっている気もするが記憶の手がかりになるのだろうか。俺、ココアと戦うならすぐ降伏すると思うんだけどな……。

 

 

「あれ? 梅斗くん早いね!」

 

タカヒロさんから訊いておいた清掃用具入れから取り出したホウキで床を掃いていると、ココアが降りてきた。

 

「おはよう、ココア……先輩」

 

危ねえ、一応今は仕事中だから先輩だ。

 

「まだ正確には仕事の時間じゃないし、大丈夫だよ……?」

 

「まあ一応ですよ、一応。……朝食は食べたんですか?」

 

さっき時計を見たら九時半で、営業開始時間の十時まで三十分もある。平日はココアたちの学校があるためタカヒロさん一人で、学校が終わって帰ってくると仮眠に入るらしい。そしてその後深夜までバーで働くらしい。……ほんと大変だな。よく今までやってこれたものだ。

 

「いや、タカヒロさんから梅斗くんはもう働いているって聞いて、様子を見に来ちゃった」

 

「一人で掃き掃除くらいは終わらせておきます。……ゆっくり食べておいで、ココア」

 

もう少し、夢について考えていたい。そういうと何か「夢を追いかける若者」という感じだが、実際には自分の夢なんて覚えていない無職だ。……ココア、顔赤いぞ、大丈夫か?

 

「ココア先輩、どうしました?」

 

「う、うん…………いじわる」

 

あ、行っちゃった。……どういう事だろう。いや、難聴ではない。しっかり聞き取れた。だが、意味がわからない。親切心全開だったんだけど。

 

「まあ、いいか」

 

俺が今やるべき事は夢の内容を思い出して記憶の手がかりをつかむこと、そして店内の掃除。さて、掃き掃除もざっと終わったし、次は机を『ふむ、しっかり働いているようじゃな』誰だ!?

 

「先日は、ありがとうございました」

 

「……あっ」

 

そこににいたのは、一昨日ぶつかった銀髪の美少女でタカヒロさんの娘さん――「チノちゃん」と――

 

彼女の頭に載っている毛玉がいた。

 

「早くから掃除とは感心感心」「毛玉が喋ったぁぁぁぁぁ!!」

 

なんじゃこの毛玉は! てか声が渋いぞ、おい!

 

「毛玉じゃないです。アンゴラウサギのティッピーです。私の腹話術で喋りました」

 

全ての疑問に答えてくれた。少し不愛想なのが、幼さを感じてとてもいいと思います。

 

「あ、その……一昨日はぶつかってごめん、なさい。チノさん」

 

この前の出来事は100パーセント俺が悪い。年下だとは思うが、下手に出るしかなかった。タカヒロさん怖いもの。

 

「いえ、父が大げさなだけで、あまり大きな怪我じゃないんです。一応、昨日はベッドで安静にしていましたが……」

 

「そうですか、それはよかった」

 

ほっとした。これでどこか異常があったらタカヒロさんに殺されかけない。だってあの人、過保護な余りチノちゃんの部屋のドアに指紋認証と虹彩認証かけてるんだぜ……?

 

「その……特に気負う必要はないのですよ? 私も、その……父以外の男性とあまり話すことが無いのですが……梅斗さんが優しい人なのは、知っていますので」

 

そう言って、チノちゃんははにかみながら微笑んだ。父性愛ってやつか……守りたい、この笑顔!

 

「その、チノ、ちゃん。……頼みたい事があるんだけど」

 

「はい……」

 

実は、少ししてみたいことがあった。

 

「触らせてくれないかな?(ティッピーを)」

 

「え!? (私を)触りたいんですか!?」

 

やっぱり、動物は見知らぬ人に触られるのは駄目だろうか。……あと、話が食い違ってる気がするが、気のせいだろうか。




淫夢に加えく○みそとか、もう救いねえな……。次回、アン〇ャッシュ。

そういえば、自分も梅斗くんみたいに変な夢を見ました。

ガ〇ダムみたいなロボットに乗って、ゴ〇ラみたいな人を捕食する怪物と戦って倒す夢です。怪物が元は人間だったり、「イケニエ」を巡る人々の思惑があったり、戦いの中で失われていた「善」を思い出した怪物が自ら海に落ちようとしていたり、やけに人間ドラマがあった気がします。誰か物語に仕立ててください。自分には人間ドラマは無理です。

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