「だ~れだぁ」
事務仕事をしていると突然後ろから、両目を覆い隠される、そして甘い声でだ~れだとは。
「まゆだろ」
椅子事後ろに振り返り、相手を確認すると案の定まゆが立っていた。
「プロデューサーさん、当たりです」
「まゆの声は特徴的だからな、直ぐに分かるよ」
「まぁ!嬉しいです」
「それで何の用だったんだ?」
「用がなければ話しかけてはいけませんか?なんて。
実はまゆ、プロデューサーさんにお弁当を作って来たんです。
良ければもうそろそろお昼ですし、一緒に食べませんか?」
「お弁当を作って来てくれたのか!なら休憩がてら頂こうかな」
時計を見ると既に12時を過ぎていた、休憩するには丁度良い時間だった。
「まゆお茶をいれて来ます、プロデューサーさんはソファーに座って待ってて下さいね」
「ああ、分かったよ」
まゆは鼻唄を歌いながら給湯室に向かっていった。
机の上に散らばる書類を片付けてソファーに向かうと、丁度まゆもこちらに戻って来る所だった。
「お疲れ様です、プロデューサーさん」
「まゆもお茶ありがとう」
「プロデューサーさんの為なら、まゆ何でもしちゃいますよぉ」
腕捲りをして気合いを見せるまゆに微笑ましさを覚えて、思わず笑顔になる。
「プロデューサーさん、それよりもお弁当食べましょう。何時もですけど今日もまゆの力作ですよぅ」
「楽しみだなあ、まゆの料理は美味しいからな」
「まぁプロデューサーさんたらお上手」
まゆのお弁当を開けてもらうと、色とりどりの可愛らしいお弁当で栄養のバランスも考えられているのか、野菜も多めに入っていた。
「おおっ可愛らしいお弁当だな」
「ふふ、まゆ頑張っちゃいました」
「ありがとうな」
「いえいえ」
二人でソファーに並んで座り、二人一緒に手を合わせて
「「いただきます」」
・・・・・・・・・・・・・・・・
「ふー、食った食ったご馳走さま」
「はぁい、お粗末様です」
空っぽになったお弁当箱を2つまゆは、嬉しそうに微笑んで見ていた。
「ふふふ、お弁当綺麗に空っぽですね」
「はしたなかったかな、美味しくて一気に食っちゃったよ」
「まゆは嬉しいですけど」
「まゆは何時も、嬉しそうにしてるな。
何か理由でも有るのか?」
「まゆが嬉しそうな理由?」
う~んとまゆが考える様な仕草をすると、すぐに答える
「まゆはプロデューサーさんと居ると嬉しくて、プロデューサーさんと居ない時でも、プロデューサーさんの事を考えていると嬉しくなっちゃうんです。
だから、まゆはプロデューサーさんが居るだけで幸せで嬉しくなっちゃうんです。」
「ああ、そ、そうなのか」
プロデューサーは少し驚いたものの、まゆの真っ直ぐな気持ちに嬉しくなる。
「そうなんです」
まゆは2つのお弁当箱を片付けると、紙袋からカップケーキを取り出して来る。
「プロデューサーさん、甘いものはお好きですか?まだ食べられる様ならまゆ、デザートも作ってきたんですよぉ」
「おっカップケーキか、甘いものはそこまでだけど、まゆの作る甘いものは美味しくて大好きだぞ」
「ふふふ、ありがとうございます、それならまゆ頑張ったかいが有りました」
取り出したカップケーキは箱に入れられており、全部で六つ入っていた。
カップケーキ一つ一つにデコレーションがされており、その全ての何処かしらにハートがあしらわれていた。
「まゆ、紅茶淹れてきますね」
「それなら俺が淹れて…」
「ダメですプロデューサーさんは、座って待っていて下さいね、プロデューサーさんはお仕事で疲れてるんですからね」
「まゆがそう言うなら、まゆの淹れる紅茶も美味しいから楽しみに待ってるよ」
「そんな事言われたらまゆ、張り切っちゃいますよぉ」
まゆが給湯室に消えていく、その間にカップケーキの中から好きなものを選んでおく。
全部が凝った作りになっていて悩んでしまう。
「おっこれは」
カップケーキの中に一つだけ、ネクタイの絵が描かれているものがあった。
何処と無く俺に似ているのは気のせいだろうか、そしてハートも他のカップケーキよりもふんだんにあしらわれている。
「プロデューサーさん、紅茶入りましたよ~」
「おっありがとう」
「どのカップケーキが良いか、決まりましたか?」
「これが良いな、何となく俺に似ている気がして」
「あら、わかりましたか?これはプロデューサーさんを意識して作ったんですよぉ」
まゆがお皿にカップケーキを取ってくれる、紅茶も貰い優雅なデザートタイムだ。
残りのカップケーキから、まゆは赤いリボンの絵が描かれている物を選んだ様だった。
「いただきます」
一口食べてやっぱり俺ごのみの甘さだと、感心する。
一般的なデザートは甘過ぎるが、まゆの作るデザートだと俺には丁度良い、一体どうやってぴったり俺ごのみの
デザートを作って居るんだろう。
「美味しいですかぁ?」
「うん、美味しいよ。
俺デザートだと、まゆの作る甘いものが一番好きだな」
「良かったです、まゆ頑張って良かったです」
「これだけ作って来るのは大変だっただろ?ありがとう」
「いえいえ、プロデューサーさんの笑顔を見れたのならまゆ、それだけで満足です」
「そんなに俺に尽くして、頑張って何かやってほしい事は無いのか?」
「まゆのして欲しい事?まゆプロデューサーさんが満足ならそれで…」
「本当に?本当に一つもないの?」
まゆの顔を覗き込む、どうやら真剣に考えている様だった。
何かを思い付いたのかガバッと顔を上げる。
「まゆ、まゆ、それなら一つだけ有りました」
「おっ何だなんか欲しいものが有るのか?」
「はいっプロデューサーさんが…じゃなくて、頭を撫でて欲しいです」
「へっ?」
「まゆ本当はプロデューサーさんが欲しいです、でもそれは今じゃなくて、プロデューサーさんにまゆを選んで欲しいです」
まゆは真剣に考えて話している、俺も真剣に話を聞く。
「今はプロデューサーさんの温もりだけ、欲しいです」
「まゆ、分かった今は頭を撫でれば良いんだな」
まゆの頭に手を伸ばす、まゆは自分からすり寄って来る。頭にカチューシャをしているのでそれに触れないようにそっと頭を撫でていく。
頭に手を乗せると髪の毛に手が触れ、そのふわふわで柔らかな髪の毛に手が通る。
手を乗せただけで柔らかなその髪は、俺の手の中からすり抜けて行く。
「ふふっプロデューサーさん何だか楽しそうです」
「悪い、まゆの髪の毛があんまりにもふわふわで柔らかくて、サラサラで気持ち良くてな」
「それなら普段のお手入れを、欠かさなくて良かったです。それにプロデューサーさんも撫でるのが上手ですよねぇ?」
「ああこのプロダクションにも小さな子達が増えたからなぁ、撫で馴れてきたのかも知れない」
「むー何だか小さな子達と一緒に、されているみたいです」
「すまんすまん、そんなつもりは無かったんだ」
「うふふ、冗談ですよプロデューサーさんに怒ったりなんてしませんよぉ」
「ふう、なんだ驚かさないでくれよ」
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「まゆもう、眠たいです…ですけど頑張りますよぉ」
深夜まゆの部屋には、ぼそぼそと女の呟き声が響いていた
「これも明日プロデューサーさんに喜んで貰う為です、まゆの睡眠時間なんてどうでも良いんです」
まゆは下がりそうな瞼をごしごしと擦り、眠ってしまいそうになる気持ちを引き締める為に両頬を叩く。
「ううぅ、お弁当の後にはカップケーキが有るんですぅ、寝ちゃダメです」
「プロデューサーさんとのランチタイムの為に、まゆ頑張りますぅ」