て言うか中の人が面白すぎる
「プッロデューサー!」
「うお!」
朝から仕事の書類を片付けていると、事務所の入り口からフレデリカが入ってきて、勢いもそのままに俺に飛び付いて来る。
「おはよプロデューサー」
「フレデリカか」
「どう?朝からフレちゃんと会えて嬉しい?ん?」
ややどや顔のフレデリカに、若干のイラつきを覚える。
「会えてってフレデリカから会いに来たんだろ?」
「えー?そうだったっけ?」
「まあいいや、おはようフレデリカ」
「うん!おはよっ。あっ二回も挨拶しちゃった、まぁいっか」
「それで何か用事が有って来たんだろ?」
「う~んと用事、用事ね~」
用事を聞くとどうやら何も無かったみたいで、今から必死に考えている。
「何も無かったら俺、仕事に戻りたいんだけど」
「あっ」
やや冷たくし過ぎたのかフレデリカから、寂しそうな声が聞こえて来る
「どうした?」
「えっとねプロデューサー、フレちゃん用事は無いんだけど、プロデューサーと一緒に居たくって、お仕事の時間よりも大分早く来ちゃったの」
何時ものちゃらんぽらんが嘘の様にしおらしくなるフレデリカ
「今日の仕事は、昼からだったもんなぁ」
「プロデューサー、フレちゃんの仕事の時間覚えててくれたの?」
「そりゃプロデューサーだからだよ」
「うんうん、そうだねフレちゃんのプロデューサーだもんね」
フレデリカは嬉しそうに笑い何時もの調子にもどる
「フレデリカだけの、プロデューサーじゃ無いけどな」
「もぅ、プロデューサーのいけず~」
「まぁ仕事の邪魔に成らないんだったら、ここにいても良いよ」
「え!ほんとに!やったーフレちゃんついてるぅ」
フレデリカは空いていた事務椅子をズリズリと引き摺り、プロデューサーのすぐ隣まで持ってくる
「えっ!こんなに近くに居るのか?」
「えーダメ?フレちゃん、ちゃんと邪魔に成らないようにおとなしく出来るよ?」
「そう言ったのは俺だからな、しょうがない居ても良いよ」
「プロデューサーってば、フレちゃんにやっさし~
もしかしてフレちゃんが大好きなんじゃないの?」
「ああそうだよフレデリカが大好きだよ」
「えっ!ほんとに!」
ぐいっと身を寄せて食いついて来る、フレデリカに仰け反りながら答える。
「本当だよプロダクションの皆や、ちひろさんも大好きだ、本当に大切な仲間だと思ってるよ」
「はあぁぁ、そっそういう。そうだよねプロデューサーは誰か一人の事を特別に扱ったりしないもんね」
何故か大きなため息を吐いた後、慌てて取り繕うフレデリカ
「いや、これでもフレデリカには大分甘いつもり…」
「あーあ~きっこえなーい」
フレデリカは両耳を押さえて聞こえない振りをする
「さてとそろそろ本当に、仕事に戻らないと」
「あっうん…フレちゃん大人しくしてるね」
仕事を始めると隣のフレデリカが何をしているのかが気になり、横目でちらりと見るとなんと、自主的に台本を読んでいた。
眼鏡までかけた真剣モード、邪魔しないようにしよう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
仕事を続けて居るとふと肩に重みが掛かる、フレデリカがふざけているのかと思い見ると
「…ん…うぅん…」
台本を読んでいた筈のフレデリカが幸せそうに寝息を立てて居た、読んでいた筈の台本は膝の上に、眼鏡はずり落ちてしまっている、時計を見るとあれから一時間も経っていた。
「フレデリカ良く頑張ったな」
朝早起きして俺に会いに来て、それから台本を真面目に覚えようとしていたフレデリカ、流石に疲れたのだろうこのままそっとしといてあげよう。
昼も近いこの時間になるとやって来るのが、自由奔放な猫みたいなあの子だ、しかしフレデリカが眠っている今少し静かにして貰わなくては。
「グッモーニーン、プロデューサー」
「志希ちょっと静かにしてくれ…」
指でしーっと示しながら、元気に出社してきた志希に注意する
「おや?キミの隣で寝ているのは…フレちゃん?」
「ああ、朝早くから事務所に来て台本を覚えてたんだ、だから暫くは寝かして置いてあげて欲しいんだ」
「ふ~んフレちゃんが朝早く、ねぇ?」
「おう、だから頼む」
「そこまで言われちゃしょうがないにゃぁ、その代わりシキちゃんも可愛がること!」
そう言って志希は事務椅子をズリズリと引き摺り、フレデリカとは反対側のプロデューサーの隣に座る。
「可愛がるって言うのは、具体的にどうすれば良いんだ?」
「ん~にゃはは、そんなの決まってるでしょー、猫を可愛がる時はキミはまずどうする?」
「そうだな、先ずは手を差し出して…」
志希に向かって手を差し出して見ると、志希は手のひらに顎を乗せて此方を見てきた
「そうそう、そんな感じ」
「次に頭を撫でる、かな」
フレデリカの頭を肩から落とさない様に気を付けながら、志希の頭を撫でる
「ん~かゆい所に手が届いたみたいな、気持ちよさ~」
手のひらに頭をぐりぐりと押し付けながら志希はご満悦だ、プロデューサーはこれでお仕舞いと思っていたが
「その次は~どうするの?」
「その次?猫にだったらそのまま抱っこして膝に乗せるかな」
「へ~じゃあどうぞ!」
両腕を広げた志希がプロデューサーに向かいどうぞ!と言っていた。
「へ?」
「だ~か~ら~、シキちゃんをはいどうぞ!抱っこしてどうぞ!」
「それは猫にで有って、志希には無理だろ?!」
「む~失礼な、シキちゃんはそんなに重たくないよぉ!ほら!」
ほら!っと言いながらプロデューサーの膝の上に、志希が乗ると、落とさない様にプロデューサーは必死にバランスを取る。
「お~キミはバランスを取るのが上手だね~」
「志希いきなりは危ないだろ」
「にゃはは、猫は急に止まれないってね~」
「お前なぁフレデリカが起きたらどうするんだよ、疲れてるんだから仕事までは寝かせてやらないと…」
「もう起きてたりして!」
志希が指差す先を見ると、肩の上で寝ていた姿勢のまま固まっているフレデリカがそこに居た。
「フレデリカ?ごめんな起こしちまったか?」
「ごめんね~フレちゃん」
「え?」
寝起きだからか素のフレデリカが居た
「フレデリカおい、大丈夫か?」
顔の前で手を振るとやっと目が覚めたのか何時ものフレデリカに戻る。
「シキちゃん?プロデューサー?」
「ん?なぁに?」
「なんだ?」
「プロデューサー?フレちゃんいつの間にか寝ちゃってた?プロデューサーの邪魔になってた?邪魔にならないようにするって約束守れなくて、ごめんなさい」
フレデリカが涙目で謝り続ける、プロデューサーは困惑して志希に助けを求める。
「志希この場合どうすれば良いんだ?フレデリカが起きたと思ったら、謝り続けていて怖いんだが」
「ん~慰めれば良いんじゃにゃい?」
「そうか、ありがとう志希」
「フレデリカ大丈夫だぞ、邪魔になってないからな、丁度休憩しようと思ってた所だからな」
フレデリカの頭を撫でて慰める、とフレデリカが途端に何時ものフレデリカにもどっていく。
「ほんと?フレちゃん大丈夫?プロデューサーに嫌われて無い?プロデューサーの大好きなフレちゃんのまま?」
「それは些か語弊が有るが、そうだよ大好きなフレちゃんのままだ」
「プロデューサー!」
フレデリカがぎゅっと抱き付いてくる、それを面白がってか志希も前から抱き付いてくる。
「へ~キミってフレちゃんが大好きだったんだ~」
何時もよりも冷たい気がする声で、志希がプロデューサーに言う。
「もちろん、志希も大好きだぞ」
「へ?」
プロデューサーはフレデリカと志希を纏めて抱き締め返すと
「二人とも大好きな仲間だ」
「ね?シキちゃん、プロデューサーは皆が大好きなんだって」
「なっな~んだ、シキちゃん別に焦ってなんかいなかったけど、そうなら納得してあげる」
「って言うか二人とも時間は大丈夫なのか?昼からだって…」
「うわっヤバ」
「シキちゃん走って行こっ」
二人はバタバタと事務所を後にする。