ひねくれ提督の鎮守府建て直し計画   作:鹿倉 零

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許されない逃走(後編)

提督の希望的観測には穴があった。

強敵と認識され、背を向けて撤退すれば

弱者を無駄に差し向けては来ない。

確かにそれは確実だったろう。

ならば被害を減らしつつ

強敵を討つにはどうすれば良いのか。

…簡単だ。疲弊している強敵なら、

同じ"強者"が押し潰せば良い。

提督の狙いを看破していたからこそ、

わざと指揮官の一人をその場に釘付けにし、

彼らをその場に残って戦わせる間に

他のflagshipが集合したのだ。

無論生きて返れるとは思っていなかった。

だが、もしかしたら、

という希望を抱いていたのも事実だ。

夕立はため息をつく。

「…完全に此方の考えを読まれてたっぽい」

提督を責める気はない。

相手が一枚上手だっただけだ。

「…無理にでも撤退すれば良かったのかな」

いつの間にか側に来ていた時雨が、

肩で息をしながら諦めたように笑った。

否、それも不可能だろう。

指揮官が動いてまで討ちに来るのだ。

端から逃がす気なんて無かった筈。

初めから。そう、初めから詰んでいたのだ。

人事は尽くした。

だから、後悔はない。

彼女らは、満足気な笑みを浮かべー

砲撃音がー

 

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「は?」

空から降ってくる肉片。

ビチャリと音を立て水面に叩きつけられ沈む

ソレは、深海棲艦と呼ばれるモノだ。

思わず背後を振り返る。

少女らは、あり得ないものを目にしていた。

「…え?なんで…」

「現場のことは現場の人間が一番よく知ってる

現場の人間にしか分からない事もあるだろう

なら…俺が現場に向かえば良い。」

ゴムボートに乗る見知った影。

ある者にとっては恐怖の象徴。

ある者にとっては畏怖の象徴。

そしてまた、ある者にとっては希望の象徴。

そんな"提督"が乗るゴムボートを引っ張るのは

「お、大井ちゃん…?」

龍田が一人の軽巡洋艦の名前を呟く。

「この私にこんな真似させるなんて…!

馬じゃないのよ私は…」

「悪い悪い…だがお前しか頼れなくてな」

そんな男の後ろに、

少女達は更に有り得ないものを目にした。

「…え…なんで…?」

戦艦、重巡、空母など、

主力艦が彼の後ろから随行していたのだ。

「…何故、か。」

風に乗って届いた声に、

戦艦、長門は大声で答えを返した。

 

「提督は仰られた!!!

お前らが護りたい物は、

我々の居場所であるあの鎮守府か!

お前らが憎くて憎くて仕方がない提督か!!!

…我々の答えなど只一つ!

人を…人類を護ることこそが

我等の存在意義である!!」

胸を張り大声でそう叫ぶ長門の背後から、

幾重もの砲撃が飛んだ。

-轟音が轟き、

再び何十もの深海棲艦が宙を舞うー

 

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…朝潮は喜んでいた。

あまりの喜びに、

胸が張り裂けんばかりに痛い。

視界は涙で滲み、

今にも跳ね回りたい気分で一杯だった。

だが、ここは戦場だ。

だからこそ、彼の元へ一目散に走る。

「提督…っ!!!」

彼に手を伸ばすその矢先、

自分より早い動きで自分の横を何かが掠め、

そのままゴムボートへと飛びかかっていった。

 

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【side.提督】

 

「うぉ…っ?!」

反射的に"彼女"を抱き抱え、

勢いのままに倒される。

俺は胸に顔を埋め、

一向に降りようとしない少女の頭を撫で、

そっと名前を呼んだ。

「…"満潮"?」

返事はない。

ただ震えながら、

ギュッと服を握りしめられた。

「…あー…。ごめんな。満潮」

「………。」

「満潮ー…?」

「……………ないで…」

「ん?」

「心配…させないで…」

震えながら、服を濡らす腕の中の少女は

今にも折れそうなほどに儚く、脆く。

「…ごめんな。」

俺は再びそう呟くと、

そっと満潮を抱き締めた。

 

「満潮…!」

駆け寄ろうとする朝潮だが、

そっと荒潮に引き留められる。

「朝潮姉さん…、今は…」

「…そう…ね。」

だが、空気を読まない艦も居る。

「てーとくぅぅぅぅっ!!!!!」

「やめろ島風!!!

お前まで乗ったらボートが沈みかね…ゴフッ」

大きくゴムボートが揺れるが、

何とか耐えて見せた。

そんなボートを誇りに思いつつも、

島風を引き剥がす提督。

…正確には、引き剥がそうとする提督。

「だぁぁッ!!!離れろ!!

おいやめろ身体を擦り付けるな!!」

「えへへーっ!!」

そんな彼女らを見て熱も引いたのだろう。

ハッとしたように満潮はボートから降りた

「満潮?もう良いの?」

「放っといて…!」

首を傾げる朝潮と、

赤い顔でそっぽを向く満潮。

その視線の先には、

島風を何とか引き剥がそうとする提督が。

そんな彼を襲撃しようと飛び上がったイ級はー

「さぁ、やるわよ!!攻撃隊、発艦!!」

撃ち落とされる。

「瑞鳳、任せるで。」

「…は、はいっ!」

「はいはい、そこの君も。

うちらの面子にかけて、

流石に攻撃はさせへんけどさ。

ここが敵陣のど真ん中ってことを忘れてもらったら困るわ。」

島風に向け、手を叩く女性に男は声をかけた。

「悪いな…龍驤。」

「それじゃあ適当に殺してくるんで。

これ以上前には出ないで下さいね。」

「あぁ、これ以上我が儘は言わねーよ。

…わざわざ本当にすまない。」

「…司令官様の決定なら、

うちらに拒否権は無いんで。

いちいち気にしないで下さい。」

僅かに嫌味を込めた言い方で、

龍驤と呼ばれた女性は先へと進んでいく。

「それでは、えっと、

提督様の護衛はこの私、瑞鳳とー…」

「私、青葉と、」

「この日向が行わせてもらう。

…尤も、これは君が勝手に動かないための"見張り"の意味が大きいんだけどね。」

「ちょっ…日向さんっ?!」

「………。」

「あぁ、頼む。」

手をわたわたと動かし焦る瑞鳳と、

顔色ひとつ変えない日向。

無言のまま敵陣を観察する青葉に、

気にしたそぶりもなく返す提督。

夕立は彼に近づいて話を聞き始めた。

「…お、夕立。」

「どういうことっぽい?」

「三部隊に分けたんだよ。

一つは俺の護衛兼駆逐艦の救助、

一つは鎮守府の防衛、

そして最後が街の防衛だ。

尤も…一番最後に殆ど数を割いたんだがー

って、聞きたいのはこれじゃないか。

…仕方ねぇだろ。こうでもしないと

戦艦ら主力は動いてくれねーからな…

頭が固いと言うか…見ず知らずの人間放って

仲間を助けてもバチは当たらねぇだろうに」

ぼやく提督。

だが、夕立は許すことはできない。

「指揮官が前に出るな。

何の抵抗力も無い只の人間がこんな場所まで出てくるとどうなるかすらもわからないっぽい?はっきり言って迷惑。馬鹿じゃないのかしら。」

「オイオイ、指揮官が前に出てきたのは

向こうも同じだろ。」

「何かあったらどうするっぽい!!」

彼に随行していたのは

戦艦が長門、金剛、榛名、霧島の四名、

重巡は熊野、鈴谷、の二名、

空母は龍驤、加賀、飛龍、蒼龍の四名。

そこに護衛の日向、瑞鳳、青葉が入るとなると、

この鎮守府でも精鋭中の精鋭だ。

何か、などほぼ確実に起こり得ないだろう。

だが、"もしかして"という可能性はつきまとう

その"もしかして"を許せるほど、

彼女は彼の事を軽視してはいなかった。

ーだが、

「そうだな…そんときゃ、お前に頼む。」

「…はぁっ?!」

「守ってくれよ。俺の事。

あ、沈むのは無しな?

そうしたら俺も後を追うからな。」

「え…いや、はぁっ?!」

「どうした?守ってくれないのか?」

笑いながら尋ねてくる提督。

「っ…!!私でも守れなかったらっ!」

「ほーん。駆逐艦夕立ってのは…

俺の艦ってのはその程度だったのかー。」

「はぁぁ?!余裕っぽい!!!

人間一人守りきることくらい

赤子の手を捻るより簡単っぽい!!!」

「そうか、なら大丈夫だな。」

「あっうっ…うううううう!!!!」

自分は馬鹿か。

反射的にそう返してしまい、

数秒前の自分を恨む。

…だが、

「…無事で良かったよ。夕立。」

「うるさいっぽい。」

撫でられる頭。

上気する頬。

あぁ、これでは結局理由をつけて

構って欲しかっただけみたいではないか。

「こ…こんなので誤魔化されないんだから…」

「じゃあ変わってくれないかな。」

後ろを振り向くと威圧感を放ちながら

笑顔でこちらを見る時雨の姿が。

「しっ…しぐ!」

「提督…助けてくれてありがとう」

「助けたつもりはねーよ。

俺は単に海に出たかっただけだ。」

「言い訳にしては…

あまりに無理が過ぎると思うな。」

苦笑した時雨と顔をしかめる提督。

「…"うるさいっぽい"。」

「私の真似をするなっぽい!!!」

そんな会話をしているうちにゾロゾロと彼の方に歩き出し始める駆逐艦達。

それにより、提督は口々に様々なことを話す

彼女らの対応に忙しくなってしまった。

 

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【side.長門】

 

「…下らんな。」

文字通り深海棲艦が宙を舞う。

理由は単純明快、

眼前の戦艦の強烈なまでの"拳"によるものだ。

『素手で行くのかよ…』

無線から呆れたような、

感心したような声が鳴った。

「なんだ?不満か?

生憎と私は艤装を扱うのは不得手でな。

それよりは―」

ゴキリと腕を鳴らし、獰猛に笑う。

「―殴った方が早い。」

対して男も心底おかしそうな笑いで応えた。

『構わねぇよ。

殺してくれるならそれで良い。』

「ほう…豪胆なのか適当なのか…

コレを自ら許可した提督は貴様が初めてだ」

『…自ら?』

「ははは、受け入れざるを得ないさ。

相応の結果は出しているからな。

これでも戦艦の最強格だ。」

群がる深海棲艦をなぎ倒し、

彼女は涼しげに語った。

「まぁ、安心してくれ。

貴様が"鎮守府を司る提督"だとするならば、

私は"人類の守り手"だ。

…尤も、貴様の動き次第では…

容赦なく敵対させて貰うがな?」

少しだけ目を細める長門。

冷たい風が彼女の髪を揺らす。

 

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【side.金剛/龍驤】

 

「無駄デスヨ。」

焦るflagship達が撤退を始めるが、

その進行方向の少し先を見事に砲撃する金剛

「勝算は九割。このまま殲滅します。」

「…榛名は、大丈夫です。」

行く手を阻まれ、狼狽する其等を、

ただ黙々と、圧倒的な攻撃力で殲滅していく。

近くのロ級が庇うように彼女等に襲い掛かるが

「全艦載機、発進!!!」

「よしっ、友永隊、頼んだわよ!!!」

空中からの不意の攻撃であえなく沈む。

「ふぅ…大丈夫?飛龍。」

「何かあると思う?蒼龍。」

「まず私達を心配すべきだと思いマース…」

呆れたような口調で金剛がぼやくと、

心底不思議そうに二人は小首を傾げる。

「え?金剛さんは大丈夫でしょ。」

「ん?金剛さんは平気じゃんか。」

金剛は知っている。

仮に無事じゃなくても、

彼女等は何も感じないと。

彼女たちにとって最も優先されるのは、

提督の命令と自らの相方だけ。

その他には微塵も興味がないのだ。

「はいはい。会話はその辺にして、

とっとと殺しきるで。

殲滅特化のうちらがあまり時間をかけとると、

司令官サマにも良く思われんやろうしなぁ?」

その声を聞き、

スッと無表情になった彼女等は、

絨毯爆撃により淡々と敵を狩り殺していく。

「…龍驤さんまで出てくるなんて…」

榛名の小さな呟きに反応し、

彼女は軽くそちらに目をやると、

ため息をついて返す。

「そりゃ君…分かっとるやろ。

この二人に任せきれるわけないし、

やからってうちらの最強格はあてにならんし

こんなんうちが出んかったら、

勝てるもんも勝てんくなるやん」

「龍驤さーん!?

聞こえてるんですけどっ?!」

「私達がそんなに頼りない

って言いたいんですかっ?!」

敵を見つめながら、

彼女の方を見ることもなく突っ込む二人。

その声とは裏腹に、

表情は一切動いていないのだろうと

金剛達は正面から

顔を確認する必要もなく、 知っている。

「なんや、異論でもあるんか?

この後相手しても良いんやで、弓道部?」

対して指をポキリと鳴らし、

張り裂けんばかりの笑みで訊ねる龍驤。

「飛龍が嫌そうだから遠慮しておきまーす」

「蒼龍が嫌そうだから遠慮しておきまーす」

最早お決まりとなったやり取りを済ませ、

彼女は最後の確認をした。

「ま、気が向いたらいつでも相手したるわ

なんなら"二人同時"でも構わんねんで?」

「「………。」」

巧妙に隠されては居るが、

彼女らの周りの空気が、ほんの一瞬揺らぐ。

ーそれは、"殺気"だ。

「「…結構でーす!」」

それを確認し、龍驤は鼻で笑った。

「ハッ…まぁ良いか。」

「はぁ…気を付けてくださいよ。

龍驤さん。貴女に何かあれば、

空母をまとめあげる人が居なくなります。」

眼鏡を直しつつ注意する霧島に、

龍驤は投げやりに答えた。

「はいはーい。分かった分かった。

もう神経逆撫でするようなことは言いませーん

背後から討たれても困るからなー。」

ーなどと言いながら、もしそうなれば、

それはそれで面白いと龍驤は思うのだが。

「…これで4127回目です。

次こそ私に4128回目を言わせないで下さいね」

「はいはい…ってか、

なんなら君が相手してくれてもー」

「…演習でもないのにする戦闘に、

価値など見出だせませんから。」

即座に却下され、舌打ちをする。

「…なんや、つまらんなぁ。先読みかい」

「この場合、大抵私にも誘いが来るという

データが出ていますので。」

「まぁたデータかい…合ってたけどな」

「どうしてうちの空母系は

こういう奴しか居ないんデスカネー…」

「お互い様やろ?

ただの脳味噌ゴリラやん君らの最強格は」

「…口を慎メ。軽空母。」

瞬間、辺りを殺気が包み込む。

呼応するかのように、

龍驤からも殺気が溢れ出始めたがー

「黙らせてみるか?英国かぶれ。

…って言いたいけども。

流石に最強格同等とまで言われる君の相手は骨が折れるか…。今はうちが退いとくわ。今はな。」

その殺気はふっと霧散する。

彼女の相手は万全でないと不味い。

そう判断した龍驤は、

それ以上突っ込むこともなく、

敵の虐殺に加わることにする。

「さぁて、仕事やで。皆。」

彼女の掌の中で、"勅令"の二文字が光る。

その炎を握りつぶし、

猟奇的な笑みを湛え、

「仕事内容は簡単。目の前のゴミ共を、

一 匹 残 ら ず 殺 し 尽 く せ 」

 

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【side.加賀】

 

「行くわよ。赤城さん。」

「………。」

息を合わせ、

目の前の敵を一匹一匹狩り殺していく。

チラリと彼の方を見ると、

駆逐艦に囲まれながら、

手をあたふたと動かし、困り果てていた。

というのも殆どの駆逐艦が泣き出しており、

一人一人落ち着かせながら、

頭を撫で、言葉をかけて、

余計に大声で泣く少女達を相手に、

どうすれば良いか分からないのだろう。

「ふふっ…」

思わず笑いを溢し、慌てて口を抑える。

「………」

「ごめんなさい。何でもないわ。赤城さん」

此方を見つめる赤城さんに声をかけ、

敵陣を見つめながら、呟く。

「赤城さんも一度話してみては?」

返事はない。

だが、加賀は少しだけ肩を竦めると続けた。

「…気が向いたらで良いわ。

強制するつもりもないのだし。

…けれど、そんなに悪い人じゃないわよ。」

再び戦闘に戻る加賀。

赤城は、無機物のような目で、

彼等の事をじっと見つめていた。

 

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【side.熊野】

 

飛び上かかる数体の深海棲艦達。

「全く…下品極まりませんわ。

これだから深海棲艦は嫌いですのよ。」

対して戦場とは思えないほど優雅で、

軽やかな足取りで歩く熊野。

だが、その手から放たれる主砲が、

彼女に傷を付けることを許さない。

だが、流石に限度がある。

そのうちの一匹がその砲撃を掻い潜りー

「はい!ザンネーン!!ドカーン♪」

大きく開けたその口内に、

砲撃を見舞われ、沈む。

「ね~ぇ~!鈴谷つまんなーい!

もっと楽しませてほしいな~?」

「…はしたないですわよ。鈴谷。」

軽く窘め、前を向く熊野。

「…あら?どうしたのかしら?」

「…んー?どしたの?」

「…深海棲艦が帰っていきますわ…。」

「えー?!もう終わり?!」

ケラケラと笑う鈴谷を見て、

熊野は眉間を手で押さえた。

 

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【side.提督】

 

『提督、どうやら敵は撤退しているようだ』

長門からの無線を受け、男は嗤う。

「そうかそうか…。…ん?で?」

『どうするのだ、と聞いているのだ。』

「おいおい、決まってんだろ。…追撃だ。」

『追撃するの?折角退いたのだし、

今は駆逐艦を下げることに専念した方が良いと思うのだけれど?』

『私も、無理な追撃は望みませんわ。』

『鈴谷帰りたーい。

数が多いだけでつまんないし。』

男が口を開くより先に金剛らが答えた。

『此所で見逃す方がナンセンスネ。』

『うちも殺し足りんけど…

ま、うちは司令官様の指示に従うだけやで?』

『知能持ちは此所で討つべきだと思いまーす』

『私もそう思いまーす』

『知能持ちは遠くから指示だけ飛ばしている可能性がありますね。もう出てきても良い筈です…。』

『その場合、より多くの深海棲艦を引き連れてくる可能性がある。と言うことかしら。

どのみち引き連れてきそうだけど、

こちらの詳細な情報を持ち帰らせる方が愚策という推測が立てられます…ですよね?提督?』

霧島の質問に、男は笑って答えた。

「まぁ、それもあるがな…。」

『…別の狙いが?』

考え込む霧島だが、

そんなに考える必要はない。

理由は単純で、明快だ。

「…お前らは、自分の家に上がり込んで

散々荒らしてくれた"害虫"を、

みすみす逃がしてやるのか?」

返事はない。

納得からではなく、

理解できないが故の沈黙だ。

『ハッハハハハ!!』

瞬間、吹き出したように笑う長門。

『…あぁ…非常に。非常に気分が悪い。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…非常に気分が悪いが、

…私と貴様は気が合うらしいな?』

長門は嗤い、男の居る方をチラリと眺める。

駆逐艦に囲まれているせいで、

正確な位置までは把握できないのだが。

『何を言うんかと思えば…

でも良いなぁ、そういうのは好きやで?』

『これだから人間は嫌いなんデース…』

『それが貴方の指示であれば、

従うまででしてよ。』

「大した被害がないんだ。追撃は当然だ。

散々やっておいて、逃走なんて許さねぇよ。

一匹として、生かして帰すな。」

提督の指示が飛び、

ー了解の返答が、全員から返された。




俺の嫁はこんなんじゃねぇ!!!って方!!!
ごめんなさいほんとごめんなさい!!!!
前任とか色んな出会いによりちょっと性格がねじ曲がっちゃったという荒んだというか!!!
いつか元に戻る…かもしれませんし!しれないかもしれませんが!!!
これからもどうかどうか彼等の事を見守っていっていただけるとありがたいです…!

※誤字修正いたしました…!
教えてくださって本当にありがとうございます…っ!!

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